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2002/02/14
平成14年度政府予算に対する組替要求について
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民主党

 小泉総理のまとめた平成14年度予算は、「改革断行予算」を掲げてはいるものの、その実態は「隠れ借金」によって財政状況を粉飾し、旧来型公共事業を継続する等既得権益に縛られたままの財政構造を温存しており、構造改革とはほど遠いものとなっている。民主党は現下の厳しい経済・雇用状況を深刻に受け止め、景気回復を実現し、国民の安心を高めるために、以下の組替要求を行うこととする。

1.景気回復の実現とセイフティネット強化のための歳出見直し

 極めて深刻な経済状況と財政状況を勘案し、歳出規模は政府予算並みとするが、その内容においては無駄な歳出を徹底的に切り込むことによって、雇用を中心とするセイフティネットの強化による安心の確立、未来を支える子供たちへの支援、食糧・農業、環境等の新たな方向性確立等のための施策を大幅に拡充する。

【歳出増額を求める項目】

(1)雇用対策(5100億程度)

* 新緊急地域雇用創出特別交付金の拡充等
 現行制度を改善した上で、規模を拡充。森林の緊急整備に重点配置
* 求職者能力開発支援制度の創設
非自発で雇用保険給付を終了した者、1年以上の長期失業者、非自発廃業自営業者を対象に職業訓練を伴う能力開発手当を支給(月10万円)
* 雇用保険財政安定化対策
 枯渇する雇用保険特別会計の財政安定化を図る措置
* 看護休暇制度導入奨励金制度の拡充
 仕事と子育ての両立を支援するため、看護休暇制度を導入した事業主を支援
* ホームレスの自立支援
 実態調査、職業訓練の実施、就労支援、自立支援事業等の実施

(2)社会保障関係(3500億程度)

* 医療の質向上・医療提供体制の充実
 情報開示の徹底、電子カルテ化・EBMの推進、院内感染対策の拡充等
* 介護サービス基盤の拡充
 待機者解消に向けた特別養護老人ホーム整備等介護サービスの基盤を拡充
* 子育て支援対策の拡充
 保育体制整備促進による「待機児童」解消等子育て支援の施策を充実
* 児童扶養手当制度の維持
 本年8月予定の児童扶養手当の縮減を行わず、現行制度を維持
* 無年金障害者の救済


(3)教育関係(2000億程度)

* 日本育英事業の無利子貸付貸与枠の拡充
 対象人員を政府案の41万人から大幅に拡充
* 高等学校奨学金事業費の拡充
 保護者の失業等の経済的理由による就学困難高校生に対する支援の拡充
* 30人学級の早期実現
 30人学級実現に必要な教職員を速やかに補充
* スクールカウンセラーの配置
  カウンセラーの配置校数を政府案の5500校から大幅に拡充
* 老朽校舎改修

(4)BSE対策(2300億程度)

* 野党共同提案「BSE対策緊急措置法」の実施経費

(5)中小企業対策(1500億程度)

* 「セーフティネット保証制度」の拡充
  主として連鎖倒産の回避を目的とする上記制度を拡充
* 「大学ベンチャー100社計画」の拡充
  政府の「大学ベンチャー100社」計画の目標数を倍増
* 「中小企業技術革新制度」の拡充
  「新事業創出促進法」に基づく「中小企業技術革新制度」を拡充

(6)農業対策(1500億程度)

* 大規模農業者に対する負担軽減措置
  民主党議員立法「農業経営再建特別措置法案」関連
* 環境循環型農業への移行を図る農家への支援措置
  民主党議員立法「持続農業促進法改正案」関連
* 間伐等森林整備による治水対策の実施
  民主党議員立法「緑のダム法案」関連

(7)その他(1200億程度)

* 国内テロ対策
  国内全空港に手荷物検査用X線検査装置配備
* 沖縄関係
  テロ以降の観光産業低迷を踏まえ、関連予算の前年度水準並み維持
* 温暖化対策
  太陽光発電パネル設置、再生可能エネルギー設置への補助枠拡大
* バリアフリー対策
  公共交通機関のバリアフリー化促進のため、関係政府予算を3倍増
* 駅転落事故防止対策
  駅におけるホーム柵・ドアの整備推進
* テレビ放送字幕義務づけ
  原則として全てのテレビ放送について字幕の付与を義務づけ、これに係る費用の一部を補助

【歳出削減を求める項目】

(1)公共事業の抜本的見直し(▲1兆5000億程度)

公共事業関係経費については平成14年度予算において対前年度比▲10.7%(約1兆円減)となっているものの、既に第2次補正予算で約2.5兆円の追加を行っているところである。事業の内容についてもムダの目立つ従来型事業を、旧来の省庁別シェアのまま計上していることから、平成14年度予算において一層の節減が可能と考える。
 
対象事業
道路整備事業、ダム事業、海岸事業、港湾整備事業、空港整備事業、整備新幹線、
農業関係公共事業の見直し、住宅金融公庫補助金削減等

* 道路特定財源については、複雑な自動車関連税制のあり方を含めて全面的に見直し、環境税の導入、二重課税の見直しなど抜本的改革を2年後に実現するものとし、その間の時限措置として一般財源化を図る。

(2)報償費の更なる削減と制度の抜本的見直し
官房報償費及び外務省報償費は、昨年度当初予算に比して見かけ上は減額をしているものの、実態は費目の振替等であり、この点でも小泉予算は粉飾を行っている。国民の厳しい批判を考えれば、同予算は一層の削減をすることが当然であり、同時に透明性の確保、監査制度の充実等制度の抜本的改革が求められる。

(3)行政経費(庁費等)の節減(▲1600億程度)
平成13年度においては、各省庁に対し財務省通達(8月10日)によって一般旅費20%、物件費15%の留保要請を行ったところ、1600億円の節約が可能となり、これが第1次補正予算の財源となった。
 民間が極めて厳しい経済状況にある中、行政においても一層の節減が求められることは当然であり、よって13年度並みの節減を求めることとする。

(4)特殊法人向け歳出の見直し(▲5000億程度)
 一般会計の対特殊法人補助金等を、民主党の特殊法人改革案に沿った形で見直し

対象となる特殊法人
 都市基盤整備公団、水資源開発公団、地域振興整備公団、日本鉄道建設公団、
緑資源公団、環境事業団、核燃料サイクル開発機構、NEDO、金属鉱業事業団
農畜産業振興事業団、日本原子力研究所、宇宙開発事業団、科学技術振興事業団、
 日本体育・学校健康センター、社会福祉・医療事業団、日本貿易振興会、
国際協力事業団、国際交流基金、国際観光振興会等

2.予算を伴わない(あるいは予算執行上の工夫による)景気・雇用対策の推進

 従来型の予算配分と既得権益維持型の予算執行を改善し、予算を増額せずとも景気・雇用対策の推進に資するよう事務事業の改革を推進すること。以下はその例示である。

* 「官製談合防止法」の早期制定
* 公共事業における下請代金の直接受取等下請け企業の正当な代金収受策の確立
* 官公需の中小企業に対する分離・分割発注
* 新緊急地域雇用創出特別交付金交付のための公労使第三者委員会の設置促進
* ワークシェアリングの推進
* 採用における年齢差別の禁止
* 医療機関に対する第三者機関評価制度の確立(評価ビジネスの立ち上げ)
* 「信書」の範囲を明確化・限定化→新市場、新規参入の促進
* 農業の参入規制緩和(非農業者の農地取得の容易化)
* 酒類販売業免許における人口基準の早期廃止、人的要件の運用緩和
* 「シックハウス対策法」の早期制定
   →健康配慮型住宅産業の育成、同技術研究の促進
* NPO認証基準の緩和によるNPO法人設立促進

3.政策減税等

消費の拡大、市民社会の実現促進等効果の高い分野に絞った政策減税を実施する。

* ローン利子控除制度の創設(3700億程度)
  個人の不動産(住宅等)、特定の耐久消費財(自動車等)、教育ローン等に係る
ローンの支払利子相当額を所得から控除する制度を創設する。

* NPO支援税制の拡充(100億程度)
NPOに対する個人(法人)の寄付金を、一定程度まで所得控除(損金算入)の対象とする。またNPOの収益事業による所得を、一定程度まで非課税化、税率軽減を行う

* 連結付加税の導入中止(700億程度)
  連結納税制度導入に伴い、政府が導入を検討している連結付加税の導入は中止する。

* その他
・沖縄関連の租税特別措置拡充、沖縄離発着航空機の燃料税軽減等
・中小企業の同族会社への留保金課税の廃止

以上

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