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2001/03/02
平成13年度政府予算組み替え動議主旨説明/原口 一博議員
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平成13年度一般会計予算、
平成13年度特別会計予算及び平成13年度政府関係機関予算につき
撤回のうえ編成替えを求めるの動議についての趣旨弁明

民主党・無所属クラブ 原口 一博

 私は、ただいま議題となりました平成13年度一般会計予算、平成13年度特別会計予算及び平成13年度政府関係機関予算につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議について、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の野党四会派を代表して、その趣旨の弁明を行います。

 まず、私たち野党四会派が平成13年度政府予算案の組替えを求める理由を申し上げます。
 私たちが予算の編成替えを求める第一の理由は、外務省元室長の横領事件をきっかけに次々に明らかとなって来ている政府機密費をめぐる不明朗な会計処理、不正流用疑惑等を踏まえ、国民の常識と情報公開の視点及び国益にかなう情報収集体制の整備の視点で政府機密費の抜本的な改革と大幅な削減が不可欠であるということであります。

 予算審議の過程で、政府側は、外務省元室長一個人の犯罪であるという説明に終始していますが、外務省から内閣官房への機密費の上納の仕組みを示す内部文書の存在等、政府ぐるみの不正流用等の疑惑が次々と暴露されています。このような市民感覚からも財政法・会計法の規定からもかけ離れた税金・公費の濫用支出は到底許されるものではありません。

 政府機密費は、国民の安全や国の重大な利害にかかわる情報収集活動に限定して適正に支出されていてこそ、その存在が辛うじて容認され得るものであり、その使途の限定、国会議員等への餞別や職員同士の内部飲食等への支出の禁止、内部監査や会計検査の適正化、国会によるチェック体制の確立が求められます。このような観点に立って政府機密費の仕組みを抜本的に改革するとともに、これまでの不正支出等の実態も踏まえた大幅な減額を行うことなくして予算を政府案通り成立させることは国会の予算審議権の放棄と言うほかありません。

 第二の理由は、危機的な水準に達している財政状況をかえりみない旧態依然の公共事業中心バラマキ予算に終止符を打つと同時に、国民生活の不安を解消するための雇用・福祉関係施策や教育施策、立ち遅れている大都市圏の交通・防災・環境関係施策などに歳出の重点を移す必要があるということであります。

 平成13年度政府予算案により、来年度末の国債残高は389兆円、国・地方合わせた長期債務残高は666兆円に達することとなりました。90年代なかば以降、欧米諸国が財政健全化を着実に進めている中、ただわが国だけが財政悪化を続け、財政赤字や債務残高の対GDP比は、いずれも先進国中最悪となっています。

 これだけの財政赤字を垂れ流しながら、政府が行っている「景気対策」は何ら効果を上げておりません。思い切った構造改革に踏み込まず、大幅な赤字が確実視される整備新幹線のフル規格化など利益誘導型・従来型の公共事業の大盤振る舞いをいくら続けても、景気下支え効果は短期の限定的なものにとどまり、民需主導の景気回復につながるものとはいえません。利益誘導型・従来型の公共事業を大幅に削減するとともに、個別補助金を整理し、地方公共団体に一括して交付することなどの思い切った改革が必要です。

 来年度予算におけるバラマキのもう一つの典型は、児童手当の所得制限緩和であります。児童手当の抜本的拡充が必要であることは言うを待ちません。しかし、今回の政府案は、支給対象年齢を義務教育就学前児童に限定したまま所得制限のみ緩和することで支給対象児童を拡大するものであり、支給対象年齢を超える児童のいる低所得世帯との不公平を拡大するものと言わざるを得ません。また、その240億円の追加支出額について、恒久的な財源手当てを欠いております。このような拡充案は、国民の求めている児童手当の抜本的拡充とはおよそ似て非なるものであり、削除すべきであります。

 ODA及び防衛費については、厳しい財政状況も勘案し、それぞれ一定の削減及び前年度並額への据え置きが適当であります。

 他方、今日の景気低迷の大きな要因の一つである個人消費の冷え込みが雇用不安や今後の社会保障・福祉への不安に起因していることは明らかであり、こうした国民生活上の不安を解消するため、非自発的離職者の職業訓練期間中の失業保険の延長給付の拡充や介護サービス分野での人材育成支援などの雇用対策、育児・介護休業制度の適用対象労働者の拡大など仕事と家庭の両立支援策の拡充、無年金障害者への救済措置や介護基盤整備の前倒しなどの社会保障・福祉施策の拡充などを行うことが必要であります。

 また、公共事業関係では、旧来型の事業を大幅に削減する一方で、大都市部における道路の立体交差事業等の交通円滑化対策、「緑のダム」すなわち森林の保水力向上のための間伐事業など、住民の必要とする事業についてはむしろいっそうの拡充が必要であります。

 この他、先般の三宅島や有珠山噴火、愛知水害などの自然災害、有明のり漁業被害、JR新大久保駅でのホーム転落事故、米国海軍潜水艦による「えひめ丸」衝突・沈没事故などの痛ましいできごとも踏まえ、避難島民の就職支援、被災者生活再建支援策の大幅拡充、主要駅へのホーム転落事故防止設備の早急な整備、世界最高水準の海難救助技術を備えるための調査・研究などに予算上も組替えによって迅速適切に対応すべきであります。

 以上のように、来年度予算については、政府機密費疑惑への適切な対応、財政健全化への方向づけ、国民生活の安心の向上のため、抜本的な組替えが必要であると考えます。野党四会派は、このような見地から、平成13年度年度政府予算案を別途お配りしております重点事項に沿って組み替えるよう要求するものであります。何とぞご賛同下さいますようお願い申し上げ、趣旨の弁明といたします。

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