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2000/03/17
平成12年度予算3案に対する討論
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参議院本会議

平成12年度予算3案に対する討論

民主党・新緑風会 峰崎 直樹

 私は民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となっております平成十二年度予算三案に反対の立場から討論を行います。

 小渕内閣が発足して一年七カ月が経過しましたが、単なる政権維持だけを目的とした三党連立政権は、重要問題の先送りと数を頼りにしたごり押し政治という最悪の結果を招き、内閣支持率の一貫した低下に端的に現れているように、国民の激しい拒絶反応を引き起こしているのであります。

 そのため、三党連立政権の矛盾と混乱はさまざまな形で吹き出し、国民の政治に対する失望と落胆はかつてないほどまでに高まっております。

 すなわち、小渕内閣発足後、防衛庁背任事件を発端に額賀防衛庁長官が、昨年三月には、憲法批評発言、米国映画俳優の上陸許可書の不当所持疑惑で中村法務大臣が、また十月には、我が国の核武装という暴言を吐き、かつ政治家として品性のかけらもない発言を平気で繰り返した西村防衛政務次官が、更に、今年に入ってからも、金融検査への手心発言を行い、金融行政に対する内外の信頼を失墜させた越智金融再生委員長が辞任を余儀なくされるなど、わずか一年半の間に、四人もの閣僚、政務次官が辞職に追い込まれたことは極めて異常な事態であり、任命した小渕総理の責任は極めて重いと言わざるを得ません。

 しかも、小渕政権は、昨年の組織犯罪対策三法、年金改革関連法を始め、今通常国会においては、衆議院議員定数削減法の強行採決に加え、憲政史上初めて、院の約四割を占める野党三党抜きによる施政方針演説を強行するなど、まさに巨大政権与党のおごりもはなはだしく、言語道断と言わざるを得ないのであります。その結果、参議院議長に「自分の力不足を痛感している」との議長談話まで出させたことは、議会制民主主義を危機に陥れる暴挙以外の何物でもなく、断じて許すことができません。

 さらに、一連の警察不祥事、農林水産省構造改善局を巡る汚職疑惑、茨城県東海村の核燃料加工施設の臨海事故、国防の要である自衛隊においても一等陸佐の違法射撃・部外者への小銃貸与を甘い内部処分で処理し、組織的に隠蔽するに至っては、官僚組織の隅々までも小渕内閣の傲慢さ、規律のゆるみが浸透し、公僕としての倫理を根底から麻痺させ蝕んでおると言わざるを得ません。

 とりわけ、今回の新潟県警の不祥事では、捜査の杜撰さ、処分の甘さと共に、警察組織全体の構造的な問題が次々と露呈しており、国家公安委員長の責任は極めて重大で、辞任は当然と言わなければなりません。

 また、経済面におきましても、実質経済成長率が二期連続のマイナスとなり小渕内閣の公約である〇・六%成長に赤信号がともるほか、完全失業者はいまだに三百万人を越え、失業率は四%台後半に張り付き、雇用不安に何ら改善が見られず、所得の減少、消費の低迷など、国民の肌で感じる生活実感とはおよそかけ離れています。

 小渕総理は、「二兎を追う者は一兎も得ず」と繰り返し述べておりますが、今や一兎さえ得られていないことは明らかであります。もはや、構造改革なき放漫財政では景気浮揚すら困難となっているにもかかわらず、本予算は構造改革に逆行し、予算のバラマキに終始した言語道断の欠陥予算に他ならず、到底認めることはできません。以下、本予算に反対する主な理由を申し述べます。

 反対の第一の理由は、無軌道な放漫財政を繰り返すことにより、財政赤字が大幅に拡大し、財政危機を招来していることであります。

 本予算におきましても、一般会計総額八十五兆円は、概算要求額を一兆五千億円近く上回るものであり、大蔵省の査定がほとんど機能しないバラマキ予算そのものであります。その財源を賄うための国債発行額は三十二兆六千億円にも上り、国債依存度は三十八・四%と、当初ベースでは戦後二番目の高水準となっております。

 とりわけ、「世界一の借金王」を自認する小渕総理は、もはや、現在の我が国が置かれている財政状況を正確に判断する能力を欠いていると言わざるを得ないのであります。選挙目当てに安易なバラマキ予算を続けたあげく、将来世代に膨大なツケを残す小渕内閣の財政運営に対し、断固反対するものであります。

 反対の第二の理由は、超高齢化社会を前に喫緊の課題となっている社会保障関連の抜本的改革がいずれも見送られ、その場しのぎの対応に終わっていることであります。

 年金制度については、制度の基本的見直しが先送りされ、医療制度についても、医療効率化などの改革には何ら手が付けられておらず、老人医療負担、薬価・診療報酬の小手先の改定に終始しており、改革とは、およそほど遠い内容となっております。

 十二年度から導入される介護保険制度につきましても、昨年末、急遽保険料の凍結、軽減が決定され、導入に向けて日夜準備を進めてきた現場の努力をまったく無視した措置が講じられております。しかも、年焉A医療、介護について、政府与党内で、財源問題など制度の根幹部分で意見が大きく分かれており、社会保障制度に対する国民の不安は高まるばかりで、かかる政府の怠慢を厳しく追求するものであります。

 反対の第三の理由は、公共事業の見直しが一向に進んでいないことであります。平成十二年度予算における公共事業関係費の事業別シェアの見直しはほとんど進んでおりません。硬直的な予算配分の要因である特定財源の見直しも何ら行われておらず、旧態依然の従来型公共事業中心の予算は到底認めることはできません。

 また、公共事業の再評価についても、中止・休止等の事業数は、十二年度わずか二十三事業にとどまり、事業費削減効果もわずか二百五十億円弱と前年度の一割強に過ぎず、まったく期待外れであります。我々は、環境破壊、財政破綻の元凶ともなっている公共事業については、直ちに抜本的な改革を断行し、公共事業予算を大幅に削減するよう強く求めるものであります。

 反対の第四の理由は、公共事業等予備費五千億円を計上していることであります。本予算には、前年度に続き、公共事業等予備費が計上されておりますが、かかる予備費が単なる予算の分捕りに使われ、財政紊乱を招いていることは、昨年九月に決定された使用状況からも火を見るより明らかであります。緊要性という予備費本来の性格からかけ離れた整備新幹線、高規格幹線道路など長期的財政支出が不可避の経費に支出されるなど、財政規律なき政府の財政運営は到底認めることはできません。

 予備費は、その使途について国会の議決を経ずに予算計上するものであり、それゆえ例外的・限定的に考えるのが財政法の趣旨であるにも関わらず、その趣旨に逸脱し、安易な計上を繰り返す政府に対し猛省を促すものであります。

 反対の第五の理由は、補助金の見直しが不十分であることであります

 地方分権推進計画が、補助金の縮小と一般財源化の方向を示しているにもかかわらず、地方自治体の補助金漬けの実態が一向に改まっておりません。市町村が不要不急の事業を押しつけられ、日常業務の三割を補助金申請業務に費やされるなど、行政の浪費がますます進んでいるのが実態であります。

 構造改革を断行し、地方分権を進めるというのであれば、まず地方に対する資金の流れ、すなわち補助金のあり方を再考すべきであるにもかかわらず、補助金によって地方を支配し、お上意識を温存、助長する本予算は、行政改革に真っ向から反する予算と断ぜざるを得ず、到底認めることはできないのであります。

 最後に一言申し上げます。今や、国民の政治に対する不信不満が頂点に達しておりますが、その原因は理念なき連立を組んだ小渕内閣の政策運営が、国民の目線と意識から大きく遊離し、国民不在の政治を行っているからであります。

 さらに、自分の秘書官を始めとする不祥事についても疑惑を持たれていることや、財政改革をどうするのかという国民が一番切実に解明を求めていることを、予算委員会に積極的に出席して答弁することを忌避している姿は、一国の総理の取るべき姿であるとは言えないことは言うまでもありません。

 今や、小渕内閣は一刻も早く退陣し、構造改革を断行できる真の政権を樹立すべきだというのが、大多数の国民の声であります。政権の維持のみに汲々とし、民意を無視し続ける小渕連立内閣は即座に退陣し、速やかに国民の審判を受けるべきであることを強く要求して、反対討論を終わります。

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