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1999/02/16
ダイオキシン対策法概要
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民主党

T ダイオキシン類汚染対策緊急措置法案

1. 趣旨
  大阪府能勢町や埼玉県所沢市など、廃棄物の焼却にともなうダイオキシン類の汚染が明らかになり、施設周辺住民の環境・健康への不安が高まっている。ダイオキシン類による汚染は、廃棄物処理施設だけでなく、過去の農薬散布や製紙工場の排水なども原因とされている。このような状況の中で、政府は場当たり的な対応にとどまっており、立法府として総合的な緊急対策のための立法措置を講じる必要がある。


2. 法律の性格・目的
この法律は、政府が恒常的な環境基準、土壌汚染防止制度など総合的な対策を定めるまでの緊急措置法と位置づける。
この法律では、(1) ダイオキシン類の摂取量などの基準を国際的な水準にそって定めること、(2) 汚染が集中している地域の実態調査をきちんと行なうこと、(3) 環境基準を超える土壌・底質などの汚染除去対策を講じることなど、健康被害の発生防止に必要な措置を定める。


3. ダイオキシン類の定義
  ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾフラン、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシンおよびコプラナーPCBをいう。


4. 一日摂取量などの基準
(1) 汚染対策の実施により達成されるべき一日摂取量の最大量の基準を1pg/kgとする。
(2) 上記の基準を踏まえて、大気・水質(底質)・土壌などの環境基準を定めることを政府に義務づける。
  (3) 政府は、大気・水へのダイオキシン類の排出基準を定めるものとする。
(4) 食品については、国・地方自治体はダイオキシン類による汚染について調査するとともに、上記の基準を踏まえて必要な措置を講ずる。(大気への排出の総量規制は大気汚染防止法の規定により行なう。)


5. 住民の申出
住民は、(1) 総量規制の実施、(2) 汚染状況調査、(3) 特別対策の実施などについて、都道府県知事または市町村長に、それらの実施・実施の方法などの意見を申し出ることができるものとする。申出の趣旨にそわない決定をしたときは、その旨および理由を通知するものとする。


6. 汚染状況調査
(1) 都道府県知事は、ダイオキシン類による汚染状況調査計画を定め、調査を行なうものとする。調査は、正確な事実を把握できるように行なうことにする。
(2) 調査の結果、汚染が著しい地域については、重点調査計画を定め、排出施設や周辺の土壌・底質、住民の健康などの調査を行なうものとする。
(3) 市町村長は、都道府県知事に対し、自らが管轄する地域を重点調査地域に指定すること、および調査の内容について要請をすることができる。
  (4) 国・地方自治体は、市民が自ら行なう調査その他の自発的活動に情報提供などの協力をするものとする。
(5) 上記の調査は、結果を公表するものとする。


7. 汚染除去の特別対策
(1) 都道府県知事は、環境基準を満たさない地域で、汚染が著しく住民の健康被害が危惧される地域を特別対策地域に指定し、特別対策計画を作成・実施する。
  (2) 特別対策地域において、土壌・底質などの覆土・除去、住民の健康管理などの対策を行なう。
  (3) 都道府県知事は、特別対策地域における営農に関して指導・助言をすることができる。また、ダイオキシン類に起因してその事業に影響を受ける農林漁業者の経営・生活の安定に配慮するものとする。


8.費用負担
国は、調査に必要な費用を助成するものとする。
特別対策に必要な費用は、「公害防止事業費事業者負担法」にしたがい、汚染原因者の負担とする。地方自治体の負担については、「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」にしたがい、1/2程度の国の助成措置を講じるとともに、起債を許可し、地方債の元利償還金を地方交付税基準財政需要に算定する。


9. その他
  (1) 政府は、ダイオキシン類発生施設に働く労働者の健康被害が発生することを防止するために必要な措置を講ずる。
  (2) 政府は、化学物質の使用・廃棄などを抑制するための法制上の措置を早期に講ずるものとする。
(3) 政府は、ダイオキシン類に関する科学的知見の充実を図り、毒性等価換算法などの技術的水準の向上に努める。




U 廃棄物の処理及び清掃に関する法律改正案の概要

1. 趣旨
  一昨年の廃掃法改正で、ダイオキシン類の対策が強化されたが、国民の不安が解消されているとは言い難い状況にある。そのために、ダイオキシン対策の一層の強化を行うこととする。


2. 内容
  (1) 廃棄物焼却施設許可対象範囲の見直し
    ・小規模施設も含め、全ての施設を許可対象とする(家庭用の小型焼却炉を除く)
(2) 廃棄物焼却施設の維持管理基準の強化
    ・煤塵ならびに焼却灰については、特別管理廃棄物とし、溶融固化等の無害化処理を行わせる
    ・排ガス中のダイオキシン濃度を、すべての焼却炉について 0.1ng/立米(既設炉については、法施行後10年間 1ng/立米)以下とする

  (3) ダイオキシン濃度が高い施設に対する許可取り消し制度の拡充
    ・排ガス中のダイオキシン濃度が 10ng/立米を超える場合、
      施設の操業を停止した上で、期限付きで改善命令
      期限内に改善できない場合には、許可を取り消し
      施設が改善された場合、都道府県が検査を行った上で、操業を再開させる

  (4) 野焼きの禁止
    ・業者の野焼きについての直罰制度を設けること

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