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2001/11/19
農林漁業再生策/ネクストキャビネットで出された議論
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○は他のNC大臣からの意見

●はNC農水大臣の回答


【所得補償について】

○多面的機能維持の対価とするには、その根拠を明確にする必要がある。
○低所得であるから補填をするという考えには、農業者自身も賛成していない。労働の対価として位置付けることが必要である。
○現在の農林水産業は、他の産業分野に比べ合理化がすすんでいないのではないか。所得補償導入が現在の非合理的な状態を固定化し、その競争力をさらに減退させるものではないのか。
○都市には農家の優遇だという意見がある一方で、農村では耕作放棄・棄農という現実を見ない対応への不満がある。実際に農業がなくなったとすれば、日本が成り立ちうるのかについて議論をする必要がある。
○価格は市場、所得は政策という位置付けは理解できるが、所得補償総額(1兆円)をどのように割り振ることを想定しているのかを明確にする必要がある。
○農家の平均貯蓄率、兼業農家における収入がサラリーマン平均を上回る現実を置いて、補助金をつけることに十分な説明が必要。

●所得補償には、モラルハザードの防止が必要である。少なくとも実際に継続的に農林業経営を行っていることが条件である。しかし副業農家だからといって対象外にするのではなく協業化によって一定規模(3.7ha)以上になれば対象とする。循環型経営 については2割増しで支給して、その促進を図る必要がある。
●所得補償1兆円規模を考えているが、現在の農林予算総額3兆4千億円を根本的に再編成することによって行う。現在の農業公共事業予算やWTOルールにより削減義務を負っている農業保護助成金等を振り向ける。


【農林水産物の自給率向上】

○木材自給率の向上をはかること(木を伐採すること)と、温暖化ガス吸収機能の向上を図ることは両立するのか。
○価格等での国際競争力に遅れをとる国産木材の供給機能に注目すべきなのか。環境面(温暖化ガス吸収機能・水資源涵養機能)に着目した政策に重点を置くべきではないのか。
○天然繊維利用の比率を高めることについて、具体的な施策はあるのか。選択は消費者が行うもので、政策的な位置付けは出来ないのではないか。

●成長が終わった森林はあまり温暖化ガスを吸収せず、成長過程の樹木がたくさん吸収する。温暖化ガス吸収には森林の更新が必要なので、国産木材の自給率向上とは両立でき、国産木材の積極的利用促進も必要となる。
●技術革新(バイオテクノロジー活用)により、天然繊維を大量、低コストで生産する方法を開発したり、天然繊維に含まれる物質で新素材を製造する方向を開発する必要がある。


【減反廃止・未利用耕地】

○減反廃止における余剰米対策を消費拡大と備蓄としているが、予算等の面も検討が必要。余剰見込みとともに、価格の劇的な低下が及ぼす影響も検討する必要がある。
○余剰米対策として国際備蓄の推進があげられているが、価格が高い(国産)
○余剰米の使い道はあるのか。ODA予算で賄うとするが、同じ予算で他国産米を使用したほうが効率・需要の両面から適切でないか。
○条件不利かつ耕作の行われていない農地などは、再度森に戻す再生策が必要ではないのか。必要な農地面積をどのように考えるのか。

●食糧庁の試算によると減反廃止により33万haが復田し、コメ生産量が170万tと増加し、コメ価格は短期的には8千円/60k程度、長期的に1万2千円(現在1万6千円)になる。減反廃止は所得補償―国際備蓄―消費拡大とセットで実行しなければならない。
●WTO農業交渉で日本政府が国際備蓄制度を提案している。特にASEANコメ備蓄機構は現在9万t程度しか備蓄していない。これを早急に大幅に拡充すべき。
●協業化、規模拡大や機械化(ロボット化)等により、コストを下げる努力は必要である。
●必要農地総面積は従来の民主党方針どおり500万ha(現在479万ha)を基準と考える。個別的事例として経営が継続できていない農地の森林への再生があり得ることには反対しない。



【輸入自由化】

○自由貿易協定を結ぶ要請が高まっている中で、農業分野がそのネックになっている。国際競争力をつける方策・期間などのビジョンを明らかにする必要がある。
○食料安全保障の確立が必要という議論も詳細を明らかにする必要がある。自国で全食料を賄うような議論では現実性を持たない。

●シンガポールとは農業問題が争点とならないのにようやく自由貿易協定が締結されようとしている。これが遅れた原因に政府のGATTやWTO一本やりの政策にあるのであって農業のせいではない。食料安全保障とは、基幹食料品にすべての国民が物理的経済的にアクセスできるという意味であり、すべての食料の安全自給を主張しているわけではない。



【担い手】

○「現在の担い手の中でも大きな役割を占めている女性について、位置付けを明確にするべき。

●女性の役割については、さらに充実をはかり強調する。家族経営の場合も協業経営の場合も役割分担を明確に文書化する協定化を勧め、農協等農業団体の役員等政策決定の場に女性を登用する方向を強めていきたい。

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