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2000/05/23
英語の第二公用語化についての提言(中間まとめ)
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民主党英語第二公用語化検討プロジェクトチーム
座長 松沢成文(衆)
事務局長 小宮山洋子(参)

1.「目指せ!バイリンガル社会」


近年では、企業の海外進出、国際間取引の増大など経済のグローバル化が進展し、インターネットの普及により瞬時に海外と交流がもてるようになりました。日本においても、海外旅行や海外留学も活発になり、個人の生活からビジネスの幅広い分野で日本人と海外との交流は日常化、密接化しています。

国際化、情報化の中で、英語は一外国語の枠を超え世界共通の言語としてその重要性が飛躍的に増しています。しかし日本の英語能力はアジア諸国の中でも最低レベルにあります。それだけでなく未だ英語に対するコンプレックスや外国人に対する偏見など日本人の閉鎖的な体質も残っていると言えます。

人材立国を標榜する日本は、海外とコミュニケーションをとる能力つまり英語を使いこなす能力、他文化、他言語に対する柔軟な姿勢を身につけることが必須です。

 この視点に立ち民主党の「英語第二公用語化検討PT」では、英語の第二公用語化について勉強会、意見交換を進めてきました。これは、単なる英語力だけの問題ではなく、日本の文化や歴史、日本人の精神、意識に関わる根本的な問題です。ですから、すぐに答えの出る問題ではありません。今後も腰を据えて議論を継続していきますが、その第一歩として今回「目指せ!バイリンガル社会」と題して、英語教育の充実、コミュニティーの国際化支援、政治・行政の国際化を提言します。

私たちが目指す将来の日本社会は日本語も英語も同時に使用されるバイリンガル社会です。日本国内が他言語を公に受け入れる中で、真の意味で日本人の国際化が実現すると考えます。



2.政策提言


英語によるコミュニケーション能力を向上させるには文化、教育、政治、行政分野等あらゆる面で環境を整える必要があります。


【英語教育の強化】
− 即戦力になる英語力の習得 −


初中等教育では、英語によるコミュニケーション能力、高等教育では英語を使って専門分野の討論ができる能力を習得します。今までのように、使えない英語を学校で習い、それ以外に英会話学校に通う、さらに企業で社員の英語教育に多大な投資をする無駄な二重投資の必要がなくなります。


英語教師派遣研修センター設置(推進)法をつくります。
英語教師の育成、研修を充実させます。英語教師は語学教育の特殊性ゆえに、他学科の教員とは別に徹底した専門教育をこのセンターで受け、ここから、公・私立学校、コミュニティースクール等に派遣する形をとります。
このセンターは、各都道府県に設置することを目指します。

習熟度別小人数クラスで効果的な英語教育を実現します。

英語を母国語とする英語教師の採用を増員します。

ホームスティや交換留学制度を促進します。

インターナショナルスクールや在日外国系大学に日本の学校と同等の法的地
位を付与します。

大学入試では英語を廃止し、受験資格としてTOEFLかTOEICのスコアー
 を用います。



【コミュニティーの国際化支援】
− 生活の中からの国際化 −


コミュニティー内での国際交流を支援し、日常生活での国際化を推進します。外国人や外国人家庭が生活をするうえで不自由のない生活環境を整備します。


英語教師派遣研修センターから各コミュニティーへ英語教師を派遣し、住民
 の英語によるコミュニケーション能力を育成します。

英語による多重放送の拡充を促進し、ラジオでの英語専門放送チャンネルの
 設置を支援します。

英語による文化活動や国際イベントを奨励・支援します。

英語による公共図書サービスの充実に努めます。



【政治・行政の国際化】
− 受信型から発信型の日本へ −


日本は今までのような受信型から、積極的に自分の国について発言し説明していく発信型の国へ転換していくべきです。


衆議院・参議院両院の本会議録の英語版を作成します。

G8に参加する主要閣僚は、最低コミュニケーションができる英語力を持っていることを条件とします。

国会議員の英語力のアップをはかります。

官公庁白書の英語版の作成を義務付けます。

公務員試験ではTOEFLかTOEICを義務付けます。



3.今後の方向性 −10年後に英語公用語化−


英語を第二公用語として法制化するには、検討すべき事項がたくさんあります。英語を「公用語」と規定している国は、植民地であった等の理由により、既に英語が国内で相当程度普及していた、あるいは多言語国家であるために、国内の異なる言語集団間のコミュニケーションに英語を用いるのが都合がよかったといった共通点があります。

日本にはこのような事情が存しないのに、なぜ英語を公用語にするのか。その必要性、その法的な効果などまだまだ議論が山積みです。それでも、あえて「英語の第二公用語化」を主張するのは、世界中を覆う、国際化、IT化の波の中で、日本が生き残るためには、どうしても英語を使いこなす能力が必要とされ、国として英語を公用語として位置付けるくらいの意識改革が必要だからです。十年後をめどに「公用語法」の制定を目指し、諸種の論点を話し合い、国民の間での活発な議論を経て、コンセンサスが得られるように努力していきます。

こうした目標を目指して、社会全体、国民全体で英語力アップのために努力しようというのが、この提言の趣旨です。

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