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1999/03/30
小学校、中学校及び高等学校の学級規模の適正化の推進等に関する法律(案)
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法律案要綱

第一 目的

この法律は、児童及び生徒の個性に応じた多様な教育の実施と、きめ細かな教育指導の一層の充実を図るため、小学校、中学校及び高等学校の学級規模の適正化の推進等に関し必要な事項を定めることを目的とすること。(第一条関係)


第二 定義

一 この法律にいう「中学校」には、中等教育学校の前期課程を含み、三及び第六の一の場合には、盲学校、ろう聾学校及び養護学校の中学部も含むものとすること。(第二条第一項関係)
二 この法律にいう「高等学校」には、中等教育学校の後期課程を含み、三及び第七の一の場合には、盲学校、ろう聾学校及び養護学校の高等部も含むものとすること。(第二条第二項関係)
三 この法律において「教職員」とは、校長、教頭、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師、寮母及び事務職員をいい、小学校(盲学校、ろう聾学校及び養護学校の小学部を含む。第五の一において同じ。)及び中学校にあっては学校栄養職員を含み、高等学校にあっては実習助手を含むものとすること。(第二条第三項関係)


第三 国及び地方公共団体の責務

国及び地方公共団体は、小学校及び中学校の同学年の児童又は生徒で編制する一学級の児童又は生徒の数並びに高等学校の全日制の課程及び定時制の課程における一学級の生徒の数が、それぞれ三十人以下となるよう学級規模の適正化の推進に関し必要な施策を講ずるものとすること。(第三条関係)


第四 小学校等の設置者の責務

小学校若しくは中学校の設置者又は高等学校の設置者は、その設置する小学校若しくは中学校の同学年の児童若しくは生徒で編制する一学級の児童若しくは生徒の数又はその設置する高等学校の全日制の課程若しくは定時制の課程における一学級の生徒の数が、それぞれ三十人以下となるよう学級規模の適正化に努めなければならないものとすること。(第四条関係)


第五 公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画の策定

一 政府は、平成十三年度以降の六箇年間に実施すべき公立の小学校の学級編制及び教職員の配置に関する改善計画(以下「公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画」という。)を定めなければならないものとすること。(第五条第一項関係)
二 公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画は、次に掲げる事項について定めるものとすること。(第五条第二項関係)
  1. 改善の基本方針
  2. 学級編制の改善に関する事項
  3. 教職員の配置の改善に関する事項
三 二の2に掲げる事項には、公立の小学校の同学年の児童で編制する一学級の児童の数の標準となる数を、平成十三年度を初年度として六箇年で、学年の区分に応じて第一学年から順次三十人に引き下げることが含まれていなければならないものとすること。(第五条第三項関係)
四 二の3に掲げる事項には、三の標準となる数を引き下げることに伴い必要となる教職員の数の改善に関する事項のほか、次に掲げる事項が含まれていなければならないものとすること。(第五条第四項関係)
  1. 教諭、助教諭及び講師(講師にあっては、常時勤務の者に限る。以下「教諭等」という。)の担当する授業時数の軽減並びにこれに伴い必要となる教諭等の数の改善に関する事項
  2. 児童の心身の発達に配慮し個性に応じた教育を行うために複数の教頭及び教諭等の協力による指導が行われる場合の教頭及び教諭等の数の加算措置の改善に関する事項
  3. 養護教諭、学校栄養職員及び事務職員の数の改善に関する事項
  4. 1から3までに掲げるもののほか、教育上特別の配慮を必要とする場合において、これらと併せて行う教職員の数の加算措置の改善に関する事項
五 政府は、公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画を定めたときは、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないものとすること。これを変更したときも、同様とすること。(第五条第五項関係)


第六 公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画の策定

一 政府は、平成十三年度以降の三箇年間に実施すべき公立の中学校の学級編制及び教職員の配置に関する改善計画(以下「公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画」という。)を定めなければならないものとすること。(第六条第一項関係)
二 第五の二から五までについては、公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画について準用するものとすること。(第六条第二項関係)


第七 公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画の策定

一 政府は、平成十三年度以降の三箇年間に実施すべき公立の高等学校の学級編制及び教職員の配置に関する改善計画(以下「公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画」という。)を定めなければならないものとすること。(第七条第一項関係)
二 第五の二から五までについては、公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画について準用するものとすること。(第七条第二項関係)


第八 法制上の措置等

政府は、公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画、公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画及び公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画を実施するため、必要な法制上及び財政上の措置その他の措置を講じなければならないものとすること。(第八条関係)


第九 学校法人への助成措置

国は、小学校、中学校又は高等学校を設置する学校法人に対し、第四に規定する学級規模の適正化に伴う教職員の配置の改善及び学校施設の整備に必要な助成措置を講ずるものとすること。(第九条関係)


第十 附則

 この法律は、公布の日から施行するものとすること。


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小学校、中学校及び高等学校の学級規模の適正化の推進等に関する法律(案)

(目的)
第一条
  この法律は、児童及び生徒の個性に応じた多様な教育の実施と、きめ細かな教育指導の一層の充実を図るため、小学校、中学校及び高等学校の学級規模の適正化の推進等に関し必要な事項を定めることを目的とする。


(定義)
第二条
  この法律にいう「中学校」には、中等教育学校の前期課程を含み、第三項及び第六条第一項の場合には、盲学校、ろう聾学校及び養護学校の中学部も含むものとする。

2. この法律にいう「高等学校」には、中等教育学校の後期課程を含み、次項及び第七条第一項の場合には、盲学校、ろう聾学校及び養護学校の高等部も含むものとする。

3. この法律において「教職員」とは、校長、教頭、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、講師、寮母及び事務職員をいい、小学校(盲学校、ろう聾学校及び養護学校の小学部を含む。第五条第一項において同じ。)及び中学校にあっては学校栄養職員(学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)第五条の三に規定する職員をいう。第五条第四項第三号(第六条第二項において準用する場合を含む。)において同じ。)を含み、高等学校にあっては実習助手を含むものとする。


(国及び地方公共団体の責務)
第三条
  国及び地方公共団体は、小学校及び中学校の同学年の児童又は生徒で編制する学級に係る一学級の児童又は生徒の数並びに高等学校の全日制の課程及び定時制の課程における一学級の生徒の数が、それぞれ三十人以下となるよう学級規模の適正化の推進に関し必要な施策を講ずるものとする。


(小学校等の設置者の責務)
第四条
  小学校若しくは中学校の設置者又は高等学校の設置者は、その設置する小学校若しくは中学校の同学年の児童若しくは生徒で編制する学級に係る一学級の児童若しくは生徒の数又はその設置する高等学校の全日制の課程若しくは定時制の課程における一学級の生徒の数が、それぞれ三十人以下となるよう学級規模の適正化に努めなければならない。


(公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画の策定)
第五条
  政府は、平成十三年度以降の六箇年間に実施すべき公立の小学校の学級編制及び教職員の配置に関する改善計画(以下「公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画」という。)を定めなければならない。

2. 公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 改善の基本方針
二 学級編制の改善に関する事項
三 教職員の配置の改善に関する事項

3. 前項第二号に掲げる事項には、公立の小学校の同学年の児童で編制する学級に係る一学級の児童の数の標準となる数を、平成十三年度を初年度として六箇年で、学年の区分に応じて第一学年から順次三十人に引き下げることが含まれていなければならない。

4. 第二項第三号に掲げる事項には、前項の標準となる数を引き下げることに伴い必要となる教職員の数の改善に関する事項のほか、次に掲げる事項が含まれていなければならない。
一 教諭、助教諭及び講師(講師にあっては、常時勤務の者に限る。以下「教諭等」という。)の担当する授業時数の軽減並びにこれに伴い必要となる教諭等の数の改善に関する事項
二 児童の心身の発達に配慮し個性に応じた教育を行うために複数の教頭及び教諭等の協力による指導が行われる場合の教頭及び教諭等の数の加算措置の改善に関する事項
三 養護教諭、学校栄養職員及び事務職員(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)第二条第三項に規定する事務職員をいう。)の数の改善に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、教育上特別の配慮を必要とする場合において、これらと併せて行う教職員の数の加算措置の改善に関する事項

5. 政府は、公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画を定めたときは、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。


(公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画の策定)
第六条
  政府は、平成十三年度以降の三箇年間に実施すべき公立の中学校の学級編制及び教職員の配置に関する改善計画(以下「公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画」という。)を定めなければならない。

  前条第二項から第五項までの規定は、公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画について準用する。この場合において、同条第三項中「小学校」とあるのは「中学校」と、「児童」とあるのは「生徒」と、「六箇年」とあるのは「三箇年」と、同条第四項第二号中「児童」とあるのは「生徒」と、「教頭」とあるのは「教頭(中等教育学校の前期課程にあっては、当該課程の属する中等教育学校の教頭)」と、「行われる場合」とあるのは「行われ、又は教育課程の編成において多様な選択教科が開設される場合」と読み替えるものとする。


(公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画の策定)
第七条
  政府は、平成十三年度以降の三箇年間に実施すべき公立の高等学校の学級編制及び教職員の配置に関する改善計画(以下「公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画」という。)を定めなければならない。

第五条第二項から第五項までの規定は、公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画について準用する。この場合において、同条第三項中「小学校の同学年の児童で編制する学級に係る一学級の児童」とあるのは「高等学校の全日制の課程又は定時制の課程における一学級の生徒」と、「六箇年で、学年の区分に応じて第一学年から順次」とあるのは「三箇年で、」と、同条第四項第二号中「児童の心身の発達に配慮し個性に応じた教育を行うために複数の教頭及び教諭等の協力による指導」とあるのは「全日制の課程又は定時制の課程に置かれる普通教育を主とする学科において、教科又は科目の特質に応じた教育を行うため少数の生徒に対する指導」と、同項第三号中「養護教諭、学校栄養職員及び事務職員(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(昭和三十三年法律第百十六号)第二条第三項」とあるのは「養護教諭及び事務職員(公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十八号)第二条第一項」と読み替えるものとする。


(法制上の措置等)
第八条
  政府は、公立小学校学級編制及び教職員配置改善計画、公立中学校学級編制及び教職員配置改善計画及び公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画を実施するため、必要な法制上及び財政上の措置その他の措置を講じなければならない。


(学校法人への助成措置)
第九条
  国は、小学校、中学校又は高等学校を設置する学校法人(私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人をいう。)に対し、第四条に規定する学級規模の適正化に伴う教職員の配置の改善及び学校施設の整備に必要な助成措置を講ずるものとする。


附 則  
この法律は、公布の日から施行する。




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30人学級法案の解説

1. 目的
  この法律は、初等中等教育諸学校に関し、子どもたちそれぞれの個性を大切にしたゆきとどいた教育とゆとりある教育を一層充実させることなどにより、より良い教育環境の実現を図るため、学級編制の標準や教職員の配置基準の改善に関する施策の推進について必要な事項を定める。

2. 小中学校等の30人以下学級
  設置者は、小中学校(中等教育学校の前期課程を含む。以下同じ。)の同学年の一学級の児童または生徒の数を30人以下とするよう努める。

3. 高等学校等の30人以下学級
  設置者は、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。以下同じ。)の一学級の生徒の数を30人以下とするよう努める。

4. 公立小中高等学校の学級編制の改善に係る措置
  国は、公立小中高等学校について30人以下学級を計画的に実現するため「学級編制改善計画」を策定する。

  公立小学校は、平成13年度を初年度とし、一学年から順に六ヶ年で達成する。
公立中学校は、平成13年度を初年度とし、一学年から順に三ヶ年で達成する。
公立高等学校は、平成13年度を初年度とし、一学年から順に三ヶ年で達成する。

5. 私立小中高等学校の学級編制に係る措置
  国は、30人以下学級を推進する学校法人に対し、必要な財政上の措置を講じる。


6. 公立小中高等学校の教職員配置の改善に係る国の措置
  国は、学級編制改善計画と併せて、各公立小中高等学校が児童・生徒の「いきる力」や「個性」を育み、特色ある教育を展開できるよう、以下に挙げる措置を含め、必要な教職員配置の改善を計画的に行うため、「教職員配置改善計画」を策定する。
(1)教員の週当り持ち時間の軽減措置
(2)ティームティーチング等の加配措置の拡充
(3)教育上特別の配慮が必要な場合の加配措置の拡充
(4)養護教諭、事務職員及び学校栄養職員の配置の拡大に係る措置


7. 計画期間
  教職員配置改善計画は、平成13年度を初年度とし、公立小学校は六ヶ年、公立中学校は三ヶ年、公立高等学校は三ヶ年で達成する。


8. 国会報告等
  政府は、「学級編制改善計画及び教職員配置改善計画」について国会に報告するとともに、その実施のために法制上、財政上、その他必要な措置を講じる。

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