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2003/10/28
菅直人代表総選挙第一声(福岡・天神)
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民主党代表 菅 直人

ダイエーホークスの皆さん、本当に日本一おめでとうございます。そして中には阪神タイガースのファンの皆さんもおられると思います。大変残念でしたが、しかしリーグ優勝、そして7戦にわたるすばらしい日本シリーズ、そういった意味では大変いい闘いではなかったか。そのこともあわせてお礼を申し上げたいと思います。タイガースのファンの皆さんもおめでとうございます。
 
そしてこのダイエーと阪神タイガースのエネルギーを、私たち民主党、ぜひともいただいて、私たちも、おれたちも、どげんしても勝ちたかぁー、この気持ちで福岡にやってまいりました。(拍手)
 
今回の選挙は、まさに政権交代、政権選択の選挙になりました。私たち民主党は、小沢党首率いる自由党と合併をして、これまでは東の横綱はいたけれども、西には小結とか関脇はいたが、横綱はいなかった。ここに新たな西の横綱を新たな民主党としてスタートをしたわけであります。

どうか博多の皆さん、福岡の皆さん、私たちに勝ちたかぁーという思いをぜひとも実現させていただきたい。このことを冒頭に心からお願い申し上げます。皆さん、よろしくお願いします。(「がんばれー!」という声あり)

ありがとうございます。
さて皆さん、それではこの政権選択の選挙、何が問われているのでしょうか。私は3つの目標をこの場で明確に全国の皆さんに申し上げたいと思います。第1は「脱官僚政治」、第2は「脱集権政治」、それに加えて第3は「脱腐敗政治」ということであります。
 
実はこの「脱官僚」「脱集権」「脱腐敗」政治はきわめて密接に絡み合っているのです。あの藤井道路公団総裁の問題をめぐっても、12兆円にも上る道路の財源をだれがどこに使うことを決めているのか。まさに道路公団総裁は元建設省事務次官、中央の官僚が中心になり族議員とともに決めている。官僚中心、中央集権であります。

先日もある人に聞きました。「菅さん、道路の工事なんていうのは見積もりはいろいろにできるんですよ。たとえば1兆円の工事でできるところでも、いや、これは地盤が悪いからといって2兆円。いやいや、いろいろと買収にエネルギーがかかるからといって3兆円、そんな見積もり簡単なんですよ」。つまりは12兆円の税金を、あるいは通行料を手にした道路族・道路官僚は、その中で自分たちの王国をつくり上げました。天下り王国、ピンハネによる族議員王国をつくり上げたんです。その結果、皆さん方に何が残ったでしょうか。皆さん方の背中になんと1人当たり700万円、全国で国・地方合わせて700兆円という借金を残したのは、まさに官僚中心、集権国家、そして腐敗のこの3つの原因がそれをもたらして、しかも景気はよくならない。中小企業はつぶれ、毎年3万人を超す自殺者が減らないじゃあないですか。
 
かつてイタリアにおいてタンジェントポリーといわれた大疑獄事件がありました。国会議員400人ぐらいが捜査を受け、5人の元総理が逮捕され、大きな政党が2つ、3つぶっ飛んだんですね。その結果何が起きたか。イタリアの財政が立て直ったんですよ。つぶれたんじゃないんですよ。立て直ったんです。

なぜ立て直ったのか。イタリアの財政は、シシリーはマフィアの本拠地ですから、そういうところと手を組んで、つまりは腐敗によって国民の税金の多くはむだなところに使われて大借金王国だった。日本よりももっと借金が多い、当時の日本よりももっと財政の悪かったイタリアが、なんとどんどん財政がよくなって、あのユーロという通貨統合に参加することができたのも、この腐敗との決別なんです。

腐敗との決別をするにはどうしたらいいですか。まず徹底的にこれまでの事実を調査することです。あの藤井総裁の話したAさん、Bさん、Cさん、全部徹底的に調査することです。私が厚生大臣のときにやったただ一つのことは、調査なんですよ。あのミドリ十字の社長が元の薬務局長で、そのミドリ十字がエイズ感染の薬を発売したのをとめられなかった。調査したらだれの目にも明らかじゃないですか。しかし、調査をさせない。だれがさせないか。官僚はもとより、自民党が、与党がさせないんですよ。政権交代がなくしてはその腐敗の根を絶つことができない。調査すらできないということは、今度の石原大臣の言動を見ていても、どうですか皆さん、明らかじゃないですか。

どうか「脱官僚」「脱中央集権」「脱腐敗」、この3つの原則に基づく私たち民主党中心の政権を、必ず皆さんの力でつくっていただきたい。このことをまず私たちの考える政権の原則として申し上げたいと思います。

そして今回の選挙は「政権公約/マニフェスト選挙」と多くの皆さんに言っていただいております。「菅さん、なんでそんな横文字を使うの」と言われるのですが、本当は「公約」でいいんです。しかし、公約と言うと、どうもあの議論が思い出されてくる。「公約なんていうのは守らなくたって大したことはない」。そんなことを言うものですから、イギリスで国民との契約、国民の皆さんとの約束という意味の「マニフェスト」という言葉をあえて使わせていただきました。

私たちのマニフェスト、ぜひごらんください。「5つの約束・2つの提言」からなっております。第1の、ひも付き補助金の全面廃止。そして第2の、政治資金の全面公開。そして第3に、高速道路料金を無料にし、道路公団を廃止する。そして国会議員と公務員の人件費の1割の削減。むだな公共事業はやめていく。さらには年金制度の改革、教育のあり方の改革。こういったことをしっかりと5つの約束と2つの提言で盛り込ませていただきました。

昨日も小泉総理を含む6党首でこれらについて議論をいたしましたが、自由民主党のマニフェストはどうなっているのか。「年金については今年の暮れに案をまとめます。厚生労働省と財務省の意見が一致しないから、自民党の案は出せないんです」と言うじゃないですか。いつ自由民主党というのは厚生労働省や財務省の出先機関になったんですか。自分で考えられない政党なんですよ。あの郵政事業ですら「やります、やります」と小泉さんは言っているけど、青木幹雄参議院幹事長が何と言っているか。「衆議院でたとえ通したって、参議院では民営化法案は必ずつぶします」。そう言ったら小泉さん、何と言ったか。黙ってしまっているんじゃないですか。

そして分権の問題も「3年間で20兆のうちの4兆を見直します」。結局は16兆、8割は今のひも付きのままじゃないですか。すべては「3年間だけごまかしをさせてくれ。後のことはおれは知らないよ。後のことは消費税が上がろうが何しようが知らないけれど、3年間だけとにかくごまかしでもいいからやらせてくれ」。「先送り・ごまかしマニフェスト」が自由民主党のマニフェストと言わないで一体何と呼べばいいんでしょうか。
 
そういった意味で、しっかりとマニフェスト同士を議論をして、皆さんにそれを判断していただきたい。私が政権を担当するときには、民主党が政権を担当するときには、この5つの約束と2つの提言について、期限も切っておりますので、必ず、必ず実行してみせることを福岡の皆さん、博多の皆さんにもこの場であらためて約束をさせていただきます。どうかよろしくお願いします。(拍手)

そしてもう一つ言わなければなりません。今イラクで何が起こっているのか。34人の人が昨日も亡くなった。なんと赤十字の施設に救急車に爆弾を積んで飛び込んだというんですね。私たちは「イラクの戦争は、テロをなくすることになるのではなくて、やり方を間違ったらテロやゲリラを世界に拡散することになるのじゃないですか。それをさせないためには、国連を中心にまず大量破壊兵器を徹底的に査察しましょうよ」、こう言ったんですけれども、ブッシュ大統領のお先棒に乗った小泉純一郎さんが「やりましょう、やりましょう」、賛成をしてしまいました。「1600億円、どうぞどうぞ」、払うことを決めてしまいました。そして自衛隊を今年中にも出していくことも決めたわけであります。

はたして皆さん、本当にそれでいいのでしょうか。私たちは一切自衛隊を使っちゃいけないと言っているのではありません。カンボジアのPKOも私は自分の目で見てきました。モザンビークのPKOも見てきました。それぞれの国の人が「国連とともに日本も来て手伝ってくれ」、そういうときに出かけることはあり得る。しかし、今イラクの人たちが「アメリカ、イギリスの占領軍に日本までが加わるのか」と反発を示している中に、日本の自衛隊を送ること、そういうやり方には反対であります。この選挙によって問われるもう一つの問題がこの問題であるということを、自衛隊員のある意味では命がかかった選択を皆さんの1票がするということをぜひご理解をいただきたい、このように思うところであります。
 
さて皆さん、最後に、もう一度今回の選挙のことを申し上げてみたいんです。政権選択の選挙ということと同時に、日本の新しい民主主義をつくれるかどうかの選挙だと私は思っております。つまりこれまで日本の政治は、大きな自由民主党がいて、いろんな野党と手を組んだり、野党から引き抜いて、相も変わらず自民党の政権が続く。いってみれば「汚れた金魚鉢」でありました。しかし、汚れた金魚鉢を洗うときにはどうしますか。新しい金魚鉢に金魚を移して、きれいな水を入れて、そしてこちらの汚れたものを洗うじゃないですか。またしばらくしたらその金魚をこちらに戻すこともあるかもしれません。つまりは政権交代というのは1回でいいんじゃないんです。何年か置きに政権が交代をする。その二大政党制、本物の二大政党制が生まれるかどうかが今度の選挙にかかっている。

どうか皆さん、「そうは言ったって、やっぱりおれはね、自民党に義理があるから」、そう言われる友だちがあったら言ってください。「そうだろう、自民党もよくなってもらいたいよね。自民党をよくするためにも、今度は1回あの民主党にやらせてみようよ」、そう言って自由民主党支持者の皆さんを説得してください。どうか今度の選挙で私たち民主党に、私菅直人に政権を任せてみて、一度やらせてみてください。どうか一度やらせてみてください。そして必ずマニフェストを実行し、日本を改革していくことをこの場で重ねてお約束をし、私菅直人からの皆さんへの心を込めてのお願いとさせていただきます。

どうかよろしくお願いします。どうもありがとうございました。(拍手)

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