トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2003/05/30
読売新聞の報道に対する法務省の過剰反応に抗議する
記事を印刷する

民主党政策調査会長 枝野幸男

 読売新聞が、5月29日付朝刊で報じた北朝鮮元工作員の難民認定に関する記事について、法務省入国管理局長が読売新聞東京本社編集局長に対し、文書で抗議をしたことが明らかになった。

 この抗議文は、単に「可能性が強い」と報じた部分を引用して「事実に反し、かつ、読者に謝った印象を与える憶測記事」と断ずるのみで、記事のどの部分がどのように事実に反するのか、具体的な指摘はない。

 公権力といえども、誤った報道があれば、これに抗議し、訂正を求める必要があることは当然であるが、同時に、報道機関に対して萎縮的効果をもたらし、表現の自由を脅かすおそれがあることに配慮する必要がある。

 今回の抗議文は、具体的な事実誤認についての指摘もないまま「すみやかに同記事の訂正と謝罪を求めるとともに(中略)今後このような誤った記事を掲載することのないよう、厳重に抗議する」としている。難民認定の「可能性が強い」という部分が誤りであるならば、報道機関としての見通しの問題であり、訂正や謝罪を求める性格のものではない。見通しが誤ったものとして、社会的に評価されるべきものである。一方、万一、こうした見通しの前提となった元工作員による難民認定申請がなされている事実、東京入管局が調査報告書をまとめた事実などに誤りがあるならば、記者会見などの機会をもち、こうした点を具体的に指摘して、訂正を求めれば足りると思われる。いきなり今回のような抗議文を送付することは、きわめて異常な過剰反応であり、結果的に、表現の自由を脅かすものと言わざるを得ない。

 今回のケースは、法務省の表現の自由に対する配慮のなさを如実に示すものと言える。現在、国会にはメディア規制の側面を有する人権擁護法案が付託されている。民主党はこの法案で設置が記されている人権委員会については法務省外局におくべきでなく、内閣府の下に置くべきことを再三にわたり指摘してきた。今回の法務省の姿勢を見るならば、こうした主張の正当性が改めて裏付けられたものと考える。

 行政の表現の自由に対する市井のあり方と配慮を考えるとき、今回の法務省の過剰反応に強く抗議し、姿勢を改めるよう、強く求める。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.