第一 目的
この法律は、中小企業者に対する金融の円滑を図る観点から銀行等の資金の貸付けが果たす役割の重要性にかんがみ、中小企業者に対する資金の貸付けに関する銀行等の説明義務及び書面の交付義務並びに貸付方針の策定義務を定めること等により、中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営を確保し、もって中小企業者の経営の安定及びその事業の成長発展に資することを目的とすること(第一条関係)。
第二 定義
一 この法律において「中小企業者」とは、中小企業基本法第二条第一項各号に掲げる者をいうものとすること(第二条第一項関係)。
二 この法律において「銀行等」とは、銀行及び長期信用銀行をいうものとすること(同条第二項関係)。
三 この法律において「貸付契約」とは、中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けに係る契約をいうものとすること(同条第三項関係)。
四 この法律において「貸付契約等」とは、貸付契約又は当該貸付契約に係る保証契約をいうものとすること(同条第四項関係)。
第三 貸付条件等の説明
一 銀行等は、貸付契約を締結しようとするときは、その契約の相手方となろうとする者に対し、1.貸付けの利率及び遅延損害金の割合、2.返済期間及び返済回数、3.担保、4.その他内閣府令で定める事項について説明をしなければならないものとすること(第三条第一項関係)。
二 銀行等は、貸付契約に係る保証契約を締結しようとするときは、その契約の相手方となろうとする者に対し、1.保証期間、2.保証金額、3.保証の範囲、4.その他内閣府令で定める事項について説明をしなければならないものとすること(同条第二項関係)。
第四 書面の交付
一 銀行等は、貸付契約を締結したときは、遅滞なく、1.契約年月日、2.貸付金額、3.貸付けの利率及び遅延損害金の割合、4.返済期間及び返済回数、5.担保があるときは、その内容、6.その他内閣府令で定める事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその契約の相手方に交付しなければならないものとすること(第四条第一項関係)。
二 銀行等は、貸付契約に係る保証契約を締結したときは、遅滞なく、1.保証期間、2.保証金額、3.保証の範囲、4.その他内閣府令で定める事項についてその契約の内容を明らかにする書面をその契約の相手方に交付しなければならないものとすること(同条第二項関係)。
三 銀行等は、貸付契約に係る保証契約を締結したときは、遅滞なく、一の1から6に掲げる事項について当該貸付契約の内容を明らかにする書面を当該保証契約の相手方に交付しなければならないものとすること。銀行等が、貸付契約で保証契約に係るものを締結したときにおいても、同様とするものとすること(同条第三項関係)。
第五 貸付契約等の締結に際しての配慮
銀行等は、貸付契約等の締結をするに際し、中小企業者の経営の安定及びその事業の成長発展に資するよう配慮しなければならないものとすること(第五条関係)。
第六 貸付方針の策定等
一 銀行等は、貸付契約等の締結に関する方針(以下「貸付方針」という。)を定めなければならないものとすること(第六条第一項関係)。
二 貸付方針においては、1.貸付条件を定めるに当たっては、中小企業者の経営状況並びにその事業の性質及び成長発展の可能性に照らし配慮すべき事項、2.財産を担保として提供させるに当たっては、その使用形態に照らし配慮すべき事項、3.保証期間、保証金額及び保証の範囲を定めるに当たっては、保証人となろうとする者の経済状況その他の事情に照らし配慮すべき事項、4.その他貸付契約等の締結に際し配慮すべき事項について定めるものとすること(同条第二項関係)。
三 銀行等は、貸付方針を定めたときは、内閣府令で定める方法により、これを公表しなければならないものとすること。これを変更したときも、同様とするものとすること(同条第三項関係)。
第七 施行期日等
この法律の施行の日を公布の日から起算して三月を超えない範囲内で政令で定める日とし、及び経過措置について所要の規定を設けるものとすること(附則第一条及び第二条関係)。
→中小企業者に対する銀行等の資金の貸付けの適正な運営の確保に関する法律案(全文)
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