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2001/05/17
司法制度改革への意見
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司法制度改革審議会が、2年間の審議期間にわたり、終始熱心な議論を重ね、まもなく最終答申を迎えます。
私たち民主党は、司法制度改革につき、国民主権の下で「市民が主役」の司法を実現するため、折にふれ問題提起と具体的提案をしてきました。
ここに、これまでの議論を踏まえ、いくつかの論点に絞って、最終答申に向けた提案をし、また同時に政府に対しても要請をします。ぜひ、司法制度改革実現に向けてご努力をいただきますよう、お願い申し上げます。


はじめに――理念と目標

(1)私たち民主党は、昨年7月12日、「市民が主役の司法へ――新・民主主義確立の時代の司法改革」と題して、司法改革の包括的提案をしました。
その際私たちが強調したのは、今回の司法改革が、単に1.事件数の増加や質の変化に、司法サービスが応じ切れていないことや、2.国民から見て司法が縁遠いものになっていることという、現実的課題の解決だけでなく、3.司法改革の理念と目標を問うところから、始めようということでした。
そして私たちが求めたのは、戦後半世紀を経て、さらに一層民主主義を開花させるため、「新・民主主義」時代の「市民が主役の司法」の実現を目指そうということです。

(2)戦後改革の原理の一つに、行政に対する司法の優位、すなわち「法の支配」の確立があります。しかし現実には、違憲立法審査権を含め、この原理は機能していません。それは1.司法が民主主義の基礎を欠いていることと、2.司法の容量が過小であることが原因です。さらに3.国民の意識改革も必要です。

(3)しかし今、国民の中にもこれまでの司法に対する批判や不満の声が強くなっており、改革の機運は熟しつつあります。国際的にもそのことを指摘されています。そこで私たち民主党は、1.法曹人口の飛躍的拡大、2.法曹一元、3.国民の司法参加、4.行政訴訟改革、5.家庭裁判所改革、6.司法アクセスの改善、7.被害者救済、8.裁判の適正・迅速化、9.ADR、10.最高裁のジェンダーバランスの提案をし、その後も11.法科大学院、12.隣接士業その他について随時提案してきました。

(4)ここに最終の提案をまとめるに当たり、再度、司法制度改革審議会が、今回の司法制度改革の重要性に鑑み、国民主権の下における司法を実現するという原点に立ち返って、これがすべての項目にわたって貫かれているよう、最終報告をまとめられるよう要請します。


1.国民の司法参加

(1) 裁判手続きへの参加

 1. 市民から選ばれる裁判員も評決権を有するものとし、併せて、裁判員の数は職業裁判官の数の2倍以上とすること(例えば、仏では、職業裁判官3人と市民裁判員9人)(注;専門家による参審制は、別の観点で要検討)
 2. 裁判員は広く国民一般から選出する制度とすること
 3. 「裁判員制度」を採用する訴訟の範囲は、次の通りとし、「裁判員制度」による裁判をするか否かは、訴訟の当事者(一方の当事者で可)の選択によることとすること
   ・ 刑事事件訴訟(一定の重罪犯罪に限定する。)
   ・ 行政事件訴訟(一定の重要事件に限定する。)
   ・ 民事訴訟(国家賠償事件など公的機関を相手方とするものなどに限定する。)
 4. 次のような犯罪について「裁判員制度」による裁判をする場合には、法律専門家による助言を前提として、裁判員のみが事実認定(有罪か無罪か)に関して評決する制度とすること
   ・ 政治犯罪
   ・ 公務員の犯罪
   ・ 表現の自由に関する犯罪


(2)裁判官選任過程等への参加

 1. 最高裁判所裁判官の選任と国民審査のあり方については、次のことを実現すること
   ア 最高裁判所裁判官を内閣が任命するに際しては、その選任のために任命諮問委員会(仮称)を設ける。
   イ 最高裁判所裁判官の国民審査については、最高裁判所裁判官の任命の是非が判定し難いとする者は容易に棄権ができることとするなど、国民の意思が的確に反映される方式をとる。また、国民審査の対象となる裁判官については、国民に直接的かつ積極的に信任を訴えさせる「信任放送」を行わせる。
 2. 下級裁判所裁判官の任用(新任、再任)については、高裁ブロック単位で裁判官推薦委員会(仮称)を設ける。


(3)検察審査会

 検察審査会の一定の議決に対し法的拘束力を付与することとし、その具体的な仕組みについては、中間報告における指摘に沿って、国民の司法参加の趣旨を最大限実現する仕組みとするべきである。


2.裁判官制度
 
 裁判官制度についてわが党は、かねてから法曹一元を主張してきた。審議会の中間報告等によると、審議会の方向としては、裁判官の給源の多様化・多元化ということにとどまり、特例判事補制度の早期廃止についてすら合意に至っていないのは残念である。また、本年、最高裁判所から裁判官改革として審議会に提案された内容は、従来の姿勢からみると前進であると評価しているが、我々はより一層の改革が必要であると認識している。


(1) 裁判官制度改革と法曹一元

 最高裁判所意見にある、給源の多様化・多元化、判事補制度の改革、人事の透明性・客観性の確保は、いずれも我々が望んでいたものであり、その意味では前向きの提案と評価したい。しかし、我々の言う法曹一元とは、具体的には他の法曹経験者等しか裁判官に任用しないとのことだが、その理念は、裁判所を市民と密着した存在にするために官主導のシステムを打破することにある。したがって、現在の審議会あるいは最高裁判所の方向が、官から民への司法制度改革の流れを作るものであれば我々も歓迎するものであり、裁判官制度改革が今回の審議会での議論に終わらず、引き続き行われることを強く要求する。もちろん今後とも「市民による推薦・選任制度」の実現を目指していきたい。

(2)司法行政のあり方

 官から民への司法制度改革を行い、かつ憲法に示されている裁判官の独立を完全に実現するためには、現在、最高裁判所事務総局が持っている司法行政上の権限を制限し、最高裁判所及び下級裁判所の裁判官会議を実質化し、任用、転勤の人事の透明化とともに、下級裁判所長等の任用の適正化、具体的には裁判官会議の選任によって裁判所長等を決定する制度に改めることが必要と考えている。

(3)ジェンダーバランス

 最高裁判所裁判官選任の問題については司法参加の項目でも述べたところだが、特に男女共同参画社会確立の視点から女性最高裁判所裁判官の相当数任用に向けた努力をすべきである。


3.法曹養成・法曹人口
 わが党は昨年11月、法曹養成に関する提言をし、そのなかで法科大学院構想について、原則賛成の立場で議論している。法曹養成制度の構築は今回の司法制度改革のなかでも、最も大きな意義を持っているし、そのために最も実効性が要求されているとの認識のもと、速やかな実現を期待しているところである。


(1) 法科大学院

 紛争の予防と解決を司法が担うにふさわしい質を有する法曹、「市民が主役の司法」を担う法曹を養成するため、体系的な実務教育の場としての法科大学院を創設し、これまでの法学部教育の内容・方法を前提とせず、法律専門職業人の養成に特化した機関としての教育内容・方法とする。また、学生が法学部出身者に偏らないようにするため、法科大学院の入学者選抜は適性試験、学部成績、社会人としての活動実績等を総合的に評価して行う。
設置認可等については、通常の学校法人と異なった手続を考慮すべきであり、設置認可・監督・評価などは文部省とは独立した第三者機関で実施する。第三者機関は法科大学院、新司法試験、新司法修習という法曹要請のプロセスが相互に関連し、有機的に結合されるようそれらを統括するものとする。また、教員組織については、現在の大学教員に偏することなく、実務家教員を確保し、かつ実務家が法科大学院の運営に参画するようにすべきである。
法曹の偏在を解消し、司法の地方分権を促進するため、全国各地に法科大学院が配置されるよう努める。また、夜間・通信制・単位制法科大学院などを設置し、また奨学金・政府または自治体保証学資ローンなどの制度を充実させ、資力の不十分な者、勤労者にも法科大学院の過程を経て法曹になる道を広く開く。

(2)司法試験等

 司法試験の受験資格は原則として法科大学院卒業者とする。さらに、経済的理由等により、法科大学院卒業者以外に司法試験の受験資格を与えることについて、予備試験を導入するとの審議会の議論は検討に値する。その際、予備試験によって法科大学院の存在が空洞化することのないよう、試験内容、受験資格について細心の考慮を払うことが必要である。試験内容については、法曹としての適性を問う内容と、法科大学院で当然履修すべき内容を含めること、受験資格については、年齢、社会経験を加えるなど、法科大学院設立の趣旨に沿ったものとすべきである。
新しい司法試験の制度設計、例えば約7〜8割の合格率を目安とし、法科大学院の課程を十分に習得している者であれば合格できるといった諸点については概ね審議会の議論の方向を支持するが、早期に年間3,000人の新規法曹養成を実現するためにも、法整備等の準備を直ちに開始する必要がある。

(3)司法修習

 新司法修習は、法科大学院での習得内容との重複を避け、将来的には集合修習は法科大学院に移行することとする。実務修習も、法科大学院でのクリニック等の臨床実習科目の実施状況を考慮し、適切な見直しをする。

(4)法曹人口

 わが党は法曹人口について10年後で5万人、将来は10万人体制を、早急に年間3,000人規模の法曹養成を提案しており、現段階の審議会の議論はこの趣旨に沿ったものと理解している。ただし、10年後5万人を実現するためには、年間3,000人を上限ととらえず、さらに多くの司法試験合格者を確保する必要がある。
 また、裁判官、検察官等の増員については、すでに最高裁判所及び法務省から意見が出されているが最低限その数を実現し、さらに大幅な増員をはかるとともに、現在の待遇を確保するべきである。


4.制度的基盤の整備


(1)隣接法律専門職種の活用と裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充

隣接専門職種については、審議会の審議の過程でも、「法の担い手として、総合的に人的基盤の強化について検討する必要がある」との論点整理のもとに、議論がなされ、その活用にあたっては能力担保の問題等があり確定的な結論は出せないとしながらも、各隣接専門職種の業務拡大について、一定の提案が行われている。しかしながら、審議会の議論もこの分野では大きな改革に踏み込んでいるとは言えず、隣接法律専門職種の大幅な業務拡大によって、司法、あるいはその周辺業務へのアクセスをより容易にし、国民の利便を向上させる、との視点が希薄であると言わざるをえない。さらに言えば、法曹人口増大の影響が隣接職種にも及ぶのは明らかであり、規制緩和の流れとも相まって競争の激化が予想されるのであれば、隣接職種の能力を向上させること、及び業種団体の自治権の拡大を前提に、より公平な競争条件が与えられるような環境整備が欠かせないものと考える。
 他方、裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化についてはだれもが原則的に一致しているものの、具体化に至る道はまだ遠い。ADRに関する制度的基盤の整備とともに、隣接法律専門職種の活用といった人的基盤の整備を早急に進めなければならない。特に、法整備については、基本法を策定し、時効中断効の付与やADRの結果に基づき強制執行の申立てをなしうることについても早期に実現すべきである。

 1. 隣接法律専門職種について

   ア.司法書士
   能力担保措置を前提に簡易裁判所における民事訴訟、調停・即決和解の代理権を与えることについては、具体的範囲について議論は残っているものの、既に大筋で合意ができている。さらに一般的法律相談業務、家事審判・調停事件の代理、民事執行事件の代理権の付与についても検討すべきである。
   イ.弁理士
   弁護士が訴訟代理人となっている侵害訴訟事件の訴訟代理権については審議会での議論のとおり、付与すべきである。また、知的財産権の紛争処理にあたるADR機関の充実にあわせ、活用をはかる必要がある。
   ウ.税理士
   今国会における改正案で出廷陳述権が付与されるが、今後税務関係訴訟における代理権の付与も検討すべきである。
   エ.社会保険労務士
   個別的労働紛争処理機関での調停、仲裁、和解及びこれらの代理についてはADR機関設立とともに付与されるべき。また、労働紛争解決のための制度論を踏まえ、労働委員会や裁判所において出廷陳述権の付与等についても検討すべきである。
   オ.行政書士
   今国会で行政書士法の改正が行われ、提出手続、契約等書類の作成の代理が規定される予定。また、ADR機関における活用はもちろん、行政手続法における聴聞代理、行政不服審査法の不服申立代理等についても検討すべきである。

 2. 弁護士法72条について
   非弁護士の法律事務取扱等を禁止する弁護士法72条については、隣接法律専門職種がADRにあって、あるいは一部の訴訟事件等の法律事件にあって、その専門性にふさわしい活動を保証するうえで、法律事務を取扱うことのできるような見直しを行うべきである。


(2)民事司法、刑事司法

 1. 裁判の迅速化
   民事、刑事を問わず、裁判の迅速化は国民の総意と言ってよい。裁判の迅速化には弁護士のみならず、裁判官、検察官を大幅に増員し、また、隣接法律専門職種の活用をはかる一方、ADR機関によって裁判外の紛争処理を充実させなければならない。さらに、ディスカバリー制度の導入など証拠開示の徹底を前提として、計画審理、集中審理を可能にする方策が必要だが、過度な訴訟指揮権の強化により、適正な審理を阻害したり、あるいは被告人等の権利を侵害したりしないよう、十分配慮しなければならない。そのうえで、裁判の合理的期間の設定も含め、法整備を進めるべきである。
なお、弁護士報酬の敗訴者負担制度の導入については慎重にすべきである。

 2. 犯罪被害者の救済
   犯罪被害者の被害の回復と社会復帰に対する視点について、わが国は大変遅れた状況にある。ここ数年で法改正を伴う改革を通じ、刑事手続の面などで前進はみられるものの、いまだ十分な対応には至っていない。この点で審議会の議論が少ないのは残念である。わが党は、国会に犯罪被害者基本法案を提出し、総合的対策の必要性を訴えており、同時に刑事訴訟法における被害者の地位の明確化、通知制度等情報開示の体系的整備等、少年事件の審理のなかで被害者が事件手続に関与する方策など、刑事司法等における犯罪被害者対策について、提言しているところである。さらに、今後の検討課題ではあるが、附帯私訴の導入についても議論すべきである。民事と刑事を同時に取り扱うというこの種の制度は外国には多く存在している。わが国に附帯私訴を導入するためには多くの制度面の変更が必要であるが、被害者の人権を守るため、また、裁判の迅速化をはかるうえでも検討に値するものと考える。

 3. 知的財産権事件、労働関係事件
   知的財産権関係事件に対する対応については、現在の専門部を充実させ実質的な「特許裁判所」の機能を持たせる、あるいはADRである工業所有権仲裁センターを拡充させ、一層の紛争処理能力を付与するなど、すでに中間報告を含め、一定の合意が形成されているところである。
   労働関係事件については、現在の問題点の所在については一致がみられるが、具体論については個別的紛争処理機関の創設など一部を除き合意形成に至っていない。労働関係事件でも、その専門性、さらには労使問題の持つ特殊性、つまり労働者が使用者に比べ一段と弱い立場に置かれているとの点に鑑み、新しい制度的基盤が必要である。ADRの必要性はもとより、訴訟手続においては簡易・迅速・低廉な手続が要請され、民事裁判とは異なる枠組みをつくらなくてはならない。また、労働事件裁判には、人事管理や労使関係に関する理解が不可欠であり、それらの知識と経験を備えた労使実務家の参加を得て行われることが検討されるべきである。さらに、5審制と批判される労働委員会命令の取消訴訟の問題については、中央労働委員会による再審査を経由した事件に対する審級の省略を一刻も早く実現しなければならない。

(3)行政訴訟手続について

 この点については、本年4月わが党の見解を示したとおりであり、主な項目を再掲する。

 1. 改革のポイント
   ア.処分性要件の排除
     行政行為は、処分によってはじめて争いうるとされる結果、処分前にかけた準備費用が無駄になることを回避しようと思えば、行政の指示に従わざるを得なくなる。これは、市民を行政に従属させる制度であり、国民主権と相容れない。行政立法の段階でも訴訟提起を認めた方が合理的である。
   イ.不当処分に対する司法審査の導入
     国民主権の下では、司法と行政が対等なのではなく、少なくとも市民と行政を対等とし、危険負担は行政が負うこととすべきである。そこで、行政訴訟をこのような制度として見直し、訴訟提起に執行遮断効を認め、さらに義務づけ訴訟(prohibition, mandamus)の類型を認めるべきである。
   ウ.管轄
     既に情報公開法は、高裁所在地の地方裁判所に管轄を認めている。被告住所地だけでなく、民事訴訟法の管轄の定めを参考にしながら、処分の名宛人の所在地などに管轄を拡大すべきである。
   エ.訴えの利益、当事者適格等
     これらの点についても、国民に訴訟の機会を広く提供するよう、制度改革をしなければならない。

 2. 改革の方法
   行政法の基本構造は行政の優位を大前提とした「行政法総論」に依るのではなく、市民が行政と対等の立場に立つことを大前提とし、これを基礎とした制度を設計する。そのうえで、上記のポイントに沿って行政訴訟事件法の改正に取り組む。

(4)家庭裁判所の充実

 昨年わが党でまとめた「新・民主主義確立の時代の司法改革」においても、少年事件処理、家事問題両面にわたり、家庭裁判所の充実・強化を提言してきた。また、中間報告においても、一般的な相談窓口の拡充とともに、人事訴訟の家庭裁判所への移管についての合意がなされている。今後は、その他家庭紛争事件の家庭裁判所への移管、家庭裁判所書記官の倍増等、人的基盤の拡充、少年育成機関の拡充などを進め、家庭裁判所がその独立した地位を高め、市民にとって身近で信頼の置ける機関としてより充実したものとなるよう期待したい。


5.司法制度改革の推進体制


(1) 審議会の意見の尊重

 司法制度改革審議会は、司法制度の改革に向けて国民的見地に立って検討を行うため、同審議会設置法第2条に定めているとおり、21世紀のわが国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民が利用しやすい司法制度の実現等に必要な基本的施策について調査審議するものであり、審議会から出される意見については、政府、法務省はもちろんのこと、法曹三者は互いに協力し実現しなければならない。
 法務大臣は、同法案審議に臨み、内閣が審議会の意見をできる限り尊重すべきは当然とし、審議会の意見は政府の施策に最大限反映させていく必要があり、速やかに具体的施策を策定する、と答弁している。
 審議会自らも、審議会の意見を具体的に実現するために、これに必要な施策の進め方について特に意見を述べることが予定されている。

(2) 推進体制

 審議会の意見を実現するための体制については、制度の改革が、行政、司法全体に及ぶことから、政策の実施は法務省内の組織体制によるのではなく、内閣直轄の司法制度改革推進チームを編成し、その委員には、学識経験者、弁護士、経営者団体、労働団体、消費者団体等、民間から広く参加を求め、事務局員についても各省庁及び裁判所の代表といった官界のみならず、広く民間からの参加を得て行うべきである。

(3)推進にあたって

 最高裁判所、日本弁護士連合会、大学その他の関係機関との協議にあたっては、審議会の意見の趣旨が没却されないよう特に配慮すべきであり、そのためには司法制度改革推進チームの編成にあたっては、強力なバックアップ体制を構築し、また、一部に偏らないよう公平・公正そして公開の原則によって作業が進められるようにすべきである。さらに、推進にあたっては、裁判官、検察官及び関連職員の増員と、それに伴う予算措置が欠かせない。したがって、行政改革推進関係部門、予算編成機関等についても十分な協力が担保されるだけの強い権限を持った推進体制としなければならない。

 できる限りわが党の意見が反映され、その答申に基づく改革が早急に推進されるよう強く望んでいる。

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