トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2000/03/03
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律案骨子(案)の概要
記事を印刷する

女性に対する暴力に関するプロジェクトチーム

この法律案は、配偶者からの暴力が、犯罪となる行為であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかったこと、配偶者からの暴力の被害者の多くが女性であり、個人の尊厳及び男女平等を侵害する行為であること等にかんがみ、配偶者からの暴力の防止並びに被害者の保護及び自立支援を図るために制定するものであり、その概要は次のとおりである。


一 定義

 1. 「配偶者からの暴力」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいうものとする。
 2. 「被害者」とは、配偶者からの暴力を受けた者(配偶者からの暴力を受けた後婚姻を解消した者であって、当該配偶者であった者から引き続き生命又は身体に危害を加えられるおそれがあるものを含む。)をいうものとする。


二 国及び地方公共団体の責務

 国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護する責務を有するものとする。


三 配偶者暴力相談支援センター等

 1. 都道府県は、婦人相談所その他の適切な施設において、当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとする。
 2. 同センターでは、被害者(被害者に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けた者を含む。)に対し、相談、カウンセリング、一時保護、自立して生活することを促進するための情報提供、シェルター(被害者等を居住させ、その配偶者から生命・身体に危害を加えられることを防止する施設)の利用についての情報提供等を行うものとする。
 3. 2の一時保護は婦人相談所が自ら行い又は一定の者に委託して行うものとする。
 4. 婦人相談員は、被害者の相談に応じ、必要な指導を行うよう努めるものとする。


四 被害者の保護

 1. 通報等
   (1) 配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、配偶者暴力相談支援センター・警察官に通報するよう努めるものとする。医師等については、配偶者からの暴力による傷病者を発見した場合に、その者の意思を尊重しつつ、通報できることを明らかにする。
   (2) 医師等は、配偶者からの暴力による傷病者に対し、配偶者暴力相談支援センター等の利用について、その有する情報を提供するよう努めるものとする。

 2. 配偶者暴力相談支援センターによる保護
  配偶者暴力相談支援センターは、通報・相談を受けた場合には、被害者に対し、同センターの業務の内容について説明・助言を行い、必要な保護を受けるように勧奨するものとする。

 3. 警察官による保護
  警察官は、通報等より配偶者からの暴力が行われていると認めるときは、法令の定めるところにより、暴力の制止等配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。


五 保護命令

(1) 被害者が更なる配偶者からの暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、6月間の被害者への接近禁止又は2週間の住居からの退去(被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。)の一方又は両方を命ずることができるものとする。

(2) (1)の申立ては、一定の事項を記載した申立書を、被害者又は配偶者の住所等を管轄する地方裁判所に提出して行うものとする。

(3) 裁判所は、被害者が配偶者暴力相談支援センター・警察に保護等を求めた事実があるときは、当該機関に対し、保護等を求めた際の状況及び当該機関が執った措置の内容を記載した書面の提出・説明を求めることができるものとする。

(4) (3)に掲げる事実がないときは、申立書に、公証人の面前で宣誓の上で認証を受けた配偶者からの暴力に関して作成された供述書を添付するものとする。

(5) 裁判所は、保護命令事件については、速やかに裁判をするものとする。

(6) 保護命令は、口頭弁論又は相手方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、発することができないものとする。その期日を経ることにより、申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでないものとする。

(7) 接近禁止命令は、被害者の申立て又は加害者の申立て(命令の効力が生じた日から3か月を経過した場合において、被害者に異議がないときに限る。)により、取り消すことができるものとする。

(8) 保護命令が発令された後に新たに配偶者からの暴力を受けていない場合であっても、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、接近禁止命令に限り、再度の申立てをすることができるものとする。

(9) 保護命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するものとする。


六 その他

 1. 民間シェルター等に対する必要な援助についての規定を置くものとする。
 2. 職務関係者の配慮及び研修、教育及び啓発、加害者の更生指導の方法等の調査研究の推進等に係る規定を置くものとする。
 3.この法律の施行後3年を目途とする検討規定を置くものとする。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.