ニュース
ニュース
2000/10/20
少年法等の一部を改正する法律案に対する修正案
少年法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。

 第一条のうち少年法第二章第一節中第五条の次に二条を加える改正規定の前に次のように加える。
                  「第二節 調査及び審判
  目次中「第二節 調査及び審判」を              に改める。
                   第二節の二 事実認定手続」

  第三条の次に次の一条を加える。


(一人制)
 第三条の二 家庭裁判所は、裁判(第十七条の二に規定する異議の申立てに関する裁判及び第二節の二に規定する事実認定手続を除く。)を行うときは、一人の裁判官でその事件を取り扱う。


 第一条のうち少年法第二章第一節中第五条の次に二条を加える改正規定のうち第五条の二第一項中「限る。」の下に「第二十二条の二第三項において同じ。」を加える。

 第一条のうち少年法第十二条に一項を加える改正規定、第十三条に一項を加える改正規定、第十七条第三項の改正規定、同条第六項ただし書を削り、同項を同条第八項とし、同条第五項を同条第七項とし、同条第四項を同条第六項とし、同条第三項の次に二項を加える改正規定及び同条に二項を加える改正規定を削る。

 第一条のうち少年法第十七条の二の改正規定及び同条を第十七条の四とする改正規定中「、同条第三項を同条第四項とし」、「「前項」を「第一項」に、」及び「、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加え」を削り、第二項を削る。

 第一条のうち少年法第十七条の次に二条を加える改正規定のうち第十七条の二第一項中「第三項ただし書」を「第三項」に改める。

 第一条のうち少年法第二十条の改正規定、同条ただし書を削る改正規定及び同条に一項を加える改正規定を次のように改める。

 第二十条中「あたる」を「当たる」に、「照して」を「照らして」に改め、同条ただし書中「但し」を「ただし」に改め、「ついては」の下に「、調査の結果、罪質が重大で、かつ、刑事処分以外の措置によつては矯正の目的を達することが著しく困難であると認められる場合でなければ」を加え、同条に次の四項を加える。


2 家庭裁判所は、人を殺した罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、前項の規定によるほか、調査の結果、保護処分その他の刑事処分以外の措置を相当と認めるときを除き、決定をもつて、同項の検察官に送致することができる。
3 家庭裁判所は、第一項ただし書の場合において同項の決定をするには、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
4 前項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人は、最高裁判所規則の定めるところにより、選任するものとする。
5 前項の規定により選任された付添人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。


 第一条のうち少年法第二十二条第一項の改正規定及び同条に一項を加える改正規定中「改め、同条に次の一項を加える」を「改める」に改め、第三項を削る。

 第一条のうち少年法第二十二条の次に二条を加える改正規定を次のように改める。

  第二十二条の次に次の一条を加える。

(事実認定手続)
第二十二条の二 家庭裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る保護事件について、非行事実の認定のため必要があると認めるときは、当該非行事実につき、決定をもつて、次節に定める事実認定手続を開始することができる。同項第二号に掲げる少年に係る保護事件についても、同様とする。

2 家庭裁判所は、前項の決定(以下「事実認定手続開始決定」という。)をするには、検察官の申出がある場合を除き、あらかじめ、検察官の意見を聴かなければならない。
3 家庭裁判所は、事実認定手続開始決定をしたときは、速やかに、決定書の謄本を第三十一条の三第一項に規定する事実認定裁判所に送付するほか、これを検察官及び少年に送達しなければならない。この場合において、家庭裁判所は、当該保護事件の記録を速やかに検察官に送付しなければならない。
4 前項の決定書の記載事項については、刑事訴訟法第二百五十六条第二項から第六項までの規定を準用する。
5 家庭裁判所は、事実認定手続開始決定をしたときは、第三十一条の十又は第三十一条の十一第一項若しくは第三項の規定による決定が確定するまでの間は、当該事実認定手続の対象となつている非行事実に関し、審判を行うことができない。


 第一条のうち少年法第二十六条第一項及び第二項の改正規定並びに同条に一項を加える改正規定中「改め、同条に次の一項を加える」を「改める」に改め、第六項を削る。

 第一条のうち少年法第三十条に一項を加える改正規定のうち同条第四項中「第二十二条の三第三項」を「第二十条第五項」に改める。

 第一条のうち少年法第三十一条第一項の改正規定中「第二十二条の三第二項」を「第二十条第四項」に改める。

 第一条のうち少年法第二章第二節中第三十一条の次に一条を加える改正規定中「第二章第二節中」を削り、「次の一条」の下に「及び一節」を加え、第三十一条の二の次に次のように加える。


     第二節の二 事実認定手続

(事実認定裁判所)
第三十一条の三 保護事件の係属する家庭裁判所(以下この節において「保護事件裁判所」という。)が事実認定手続開始決定をしたときは、当該保護事件の審判に関与した裁判官以外の裁判官によつて構成される家庭裁判所(以下この節において「事実認定裁判所」という。)が事実認定手続を行う。
2 事実認定手続の指揮は、事実認定裁判所の裁判長が行う。

(事実認定手続における国選付添人)
第三十一条の四 事実認定裁判所は、事実認定手続開始決定があつた場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
2 第二十条第四項及び第五項の規定は、前項の付添人について準用する。

(事実認定手続の非公開)
第三十一条の五 事実認定手続は、これを公開しない。

(事実認定手続中の少年の勾留)
第三十一条の六 事実認定裁判所は、少年が刑罰法令に触れる行為をしたことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、次の各号のいずれかに当たるときは、五十日以内の期間を定めて、これを勾留することができる。
 一 少年が定まつた住居を有しないとき。
 二 少年が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 三 少年が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
2 前項の勾留は、勾留状を発してこれをしなければならない。
3 前項の勾留状が発せられたときに第十七条第一項の措置がとられていた場合には、当該措置は、当該勾留状が発せられたときに取り消されたものとみなす。
4 勾留の期間は、事実認定手続開始決定があつた日から起算するものとし、特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を付した決定で、これを更新することができる。この場合において、勾留の期間の更新は、一回ごとに、二週間以内の期間を定めてこれを行わなければならない。
5 前項の規定にかかわらず、勾留の期間の更新は、次の各号に掲げる場合を除いては、一回に限るものとする。
 一 少年が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
 二 少年の氏名又は住居が判らないとき。
6 保護事件裁判所は、第一項の規定により勾留されている少年に対し、第十七条第一項に規定する観護の措置をとることができない。ただし、第三十一条の十一第一項の規定による決定が確定した後は、この限りでない。
7 前各項に規定するもののほか、刑事訴訟法第五十七条から第五十九条まで、第六十一条から第八十七条まで、第九十一条、第九十二条及び第九十五条から第九十八条までの規定(保釈に係る部分を除く。)は、事実認定手続における少年の召喚、勾引及び勾留について準用する。

(第一回の事実認定手続期日までの少年の勾留に関する処分)
第三十一条の七 事実認定手続開始決定があつた後第一回の事実認定手続の期日までは、前条に規定する勾留に関する処分は、保護事件裁判所がこれを行う。

(事実認定手続)
第三十一条の八 事実認定手続の席には、裁判官及び裁判所書記官が列席し、かつ、検察官が出席する。
2 少年が事実認定手続の期日に出頭しないときは、手続を行うことができない。
3 弁護士である付添人が事実認定手続の期日に出頭しないとき、又は弁護士である付添人がないときは、裁判長は、職権で弁護士である付添人を付さなければならない。
4 検察官は、まず、事実認定手続開始決定の決定書を朗読しなければならない。
5 裁判長は、事実認定手続開始決定の決定書の朗読が終わつた後、少年に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める少年の権利を保護するため必要な事項を告げた上、少年及び弁護士である付添人に対し、非行事実について陳述する機会を与えなければならない。
6 証拠調べは、前二項の手続が終わつた後、これを行う。
7 証拠調べのはじめに、検察官は、証拠により証明すべき事実を明らかにしなければならない。ただし、証拠とすることができず、又は証拠としてその取調べを請求する意思のない資料に基づいて、事実認定裁判所に非行事実について偏見又は予断を生ぜしめるおそれのある事項を述べることはできない。
8 検察官、少年又は弁護士である付添人は、証拠調べを請求することができる。
9 裁判所は、必要と認めるときは、職権で証拠調べをすることができる。

証拠調べが終わつた後、検察官は、事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない。

少年及び弁護士である付添人は、意見を陳述することができる。

刑事訴訟法第二百七十三条から第二百七十九条まで、第二百八十一条、第二百八十一条の二、第二百八十六条の二から第二百八十八条まで、第二百九十二条の二、第二百九十五条、第二百九十七条、第二百九十九条から第三百七条まで及び第三百八条から第三百十五条までの規定は、事実認定手続について準用する。


(事実認定手続における証拠)
第三十一条の九 非行事実の認定は、証拠による。
2 証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。
3 刑事訴訟法第三百十九条から第三百二十八条までの規定は、事実認定手続における証拠について準用する。

(事実認定手続を終結する旨の決定)
第三十一条の十 事実認定裁判所は、証拠調べの結果、事実認定手続ができないと認めるときは、事実認定手続を終結する旨の決定をしなければならない。本人が二十歳以上であることが判明したときも、同様とする。

(事実認定決定)
第三十一条の十一 非行事実の証明があつたときは、事実認定裁判所は、決定をもつて、非行事実の認定をしなければならない。
2 前項の決定をするには、認定する非行事実及び適用すべき法令を示さなければならない。
3 非行事実の証明がないときは、事実認定裁判所は、決定をもつて、非行事実が認められない旨の認定をしなければならない。

(決定の告知)
第三十一条の十二 前二条の決定を告知するには、事実認定手続の期日において言い渡さなければならない。

(事実認定手続の処理)
第三十一条の十三 第三十一条の十一第一項及び第三項の決定(以下「事実認定決定」という。)は、事実認定手続開始決定の日から五十日以内にこれをするように努めなければならない。

(事実認定決定後の手続等)
第三十一条の十四 事実認定決定又は第三十一条の十の決定が確定したときは、事実認定裁判所は、速やかに、決定書の謄本及び事実認定手続の記録を保護事件裁判所に送付しなければならない。
2 保護事件裁判所が行う審判については、事実認定手続において確定した決定により認定した事実は、保護事件裁判所を拘束する。
 (勾留状の失効)
第三十一条の十五 第三十一条の十前段又は第三十一条の十一第三項の決定の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。
2 第三十一条の十一第一項の決定が確定したときは、勾留状は、当該決定が確定した時から二十四時間を経過したときに、その効力を失う。
3 第三十一条の十後段の決定が確定したときも、前項と同様とする。ただし、当該決定が確定した時から二十四時間以内に第十九条第二項(第二十三条第三項において準用する場合を含む。)の決定の告知がされたときは、この限りでない。
4 前項の決定の告知がされたときは、第三十一条の六の規定による勾留は、これを裁判官のした勾留とみなし、その期間は、検察官が事件の送致を受けた日から、これを起算する。

(刑事訴訟手続の例)
第三十一条の十六 第三十一条の三から前条までに定めるもののほか、事実認定手続については、その性質に反しない限り、刑事訴訟の例による。
2 前節の規定は、事実認定手続には適用しない。

(事実認定決定等に対する抗告)
第三十一条の十七 事実認定決定及び第三十一条の十の決定に対しては、少年、その法定代理人若しくは付添人又は検察官は、決定に影響を及ぼすおそれのある法令の違反又は重大な事実の誤認を理由とするときに限り、決定が告知された日から起算して二週間以内に抗告をすることができる。
2 少年は、書面による法定代理人の同意を得て、抗告(前項の抗告をいう。以下この節において同じ。)の放棄又は取下げをすることができる。
3 検察官は、抗告の放棄又は取下げをすることができる。
4 抗告裁判所(第一項の抗告に係る抗告裁判所をいう。次条において同じ。)は、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
5 前各項に定めるもののほか、抗告については、その性質に反しない限り、刑事訴訟法中控訴に関する規定を準用する。

(事実認定決定等に対する抗告審の裁判)
第三十一条の十八 抗告の手続がその規定に違反したとき、又は抗告が理由のないときは、決定をもつて、抗告を棄却しなければならない。
2 抗告が理由のあるときは、決定をもつて、原決定を取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない。ただし、抗告裁判所は、事実認定手続の記録並びに原裁判所及び抗告裁判所において取り調べた証拠によつて直ちに決定をすることができるものと認められるときは、更に事実認定決定又は第三十一条の十の決定をすることができる。
 第一条のうち少年法第三十二条ただし書の改正規定中「改める」を「改め、同条に次の一項を加える」に改め、同改正規定に次のように加える。
2 前項の規定にかかわらず、確定した事実認定決定によつて認定された非行事実については、その誤認を理由として抗告することはできない。



 第一条のうち少年法第三十二条の次に五条を加える改正規定のうち「五条」を「三条」に改め、第三十二条の二第一項中「抗告裁判所」の下に「(第三十一条の十七第一項の抗告に係る抗告裁判所を除く。以下同じ。)」を、「、抗告」の下に「(同項の抗告を除く。以下同じ。)」を加え、第三十二条の四及び第三十二条の五を削り、第三十二条の六中「第三十二条の二、第三十二条の三及び前条」を「前二条」に改め、同条を第三十二条の四とする。

 第一条のうち少年法第三十五条第一項の改正規定中「「抗告を棄却した」を「抗告裁判所のした第三十三条の」に、」を削り、同条第二項の改正規定中「、第三十二条の三及び第三十二条の六」を削る。

 第一条のうち少年法第四十六条に二項を加える改正規定中同条第二項を次のように改める。


2 審判を開始しない旨の決定があつた場合又は保護処分に付さない旨の決定が確定した場合において、当該事件につき確定した第三十一条の十一第三項の決定があるときは、当該事実認定決定に係る非行事実についても、前項と同様とする。


 第一条のうち少年法第四十六条に二項を加える改正規定のうち同条第三項ただし書中「こととされる第二十二条の二第一項の決定がされた場合であつて、その取消しの理由が審判に付すべき事由の存在が認められないことであるとき」を「ものとされる第三十一条の十一第三項の決定(確定したものに限る。)がある場合は、当該事実認定決定に係る非行事実について」に改める。

 第一条のうち少年法第五十六条第一項の改正規定及び同条に一項を加える改正規定を次のように改める。

  第五十六条第一項中「言渡」を「言渡し」に改め、同条に次の二項を加える。

3 懲役の言渡しを受けた十六歳に満たない少年に対しては、十六歳に達するまでの間、刑法第十二条第二項の規定にかかわらず、所定の作業に代えて、必要な教育を授ける。
4 禁錮の言渡しを受けた十六歳に満たない少年に対しては、十六歳に達するまでの間、刑法第十三条第二項の規定にかかわらず、必要な教育を授ける。


 第四条を削る。

 附則第二条第一項及び第二項を削り、同条第三項中「新法第二十二条の二」を「第一条の規定による改正後の少年法(以下「新法」という。)第二十二条の二」に、「並びに」を「及び」に改め、「及び再抗告審」を削り、同項を同条第一項とし、同条第四項を同条第二項とし、同条第五項を同条第三項とする。

 附則第三条のうち刑事訴訟法第三百十六条の改正規定の次に次のように加える。


  第二編第三章第二節中第三百二十八条の次に次の一条を加える。
 第三百二十八条の二 被告事件につき、少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第二章第二節の二に規定する事実認定手続が行われていたときは、第三百二十条から前条までの規定にかかわらず、当該手続において証拠とすることができた証拠は、これを証拠とすることができる。


 附則第四条を削り、附則第五条を附則第四条とし、附則第六条を削る。
記事を印刷する