第一 検察官への送致に関する規定の修正
一 検察官への送致のとき16歳に満たない少年の事件についても、検察官への送致(逆送)を認めるものとするが、その決定ができる場合を、罪質が重大で、かつ、刑事処分以外の措置によっては矯正の目的を達することが著しく困難であると認められる場合に限定するものとすること。
二 家庭裁判所は、一の決定をするには、少年に弁護士である付添人を付さなければならないものとすること。
三 16歳以上の少年に係る事件についても、一定の罪について原則逆送とすることはしないが、殺人の故意がある場合には、刑事処分以外の措置を相当と認めるときを除き、逆送できるものとして、逆送の範囲を拡大するものとすること。
第二 16歳未満の受刑者の処遇に関する改正規定の修正
16歳未満の少年に対し、少年院において刑を執行できる旨の改正規定を削除し、16歳未満の受刑者に対しては、少年刑務所において、所定の作業に代えて、必要な教育を授けるものとすること。
第三 保護事件における事実認定手続の創設
一 家庭裁判所は、非行事実の認定のため必要があると認めるときは、当該非行事実につき、決定をもって、保護事件の審判に関与した裁判官以外の裁判官によって構成される家庭裁判所(事実認定裁判所)による事実認定手続を行うことができるものとすること。
二 事実認定手続は、非公開とし、検察官が非行事実の立証を行うなど、刑事訴訟手続に準じたものとすること。
三 非行事実の有無及び内容について認定する決定は、事実認定手続の開始決定の日から50日以内にこれをするよう努めなければならないものとすること。
四 事実認定手続において確定した決定により認定した事実は、保護事件の係属する家庭裁判所を拘束するものとすること。
第四 検察官の関与に関する改正規定の削除
事実認定の適正化は第三の措置によって図るものとし、保護事件の審判手続に対する検察官の関与に関する改正規定及び検察官による抗告受理申立制度に関する改正規定を削除するものとすること。
第五 一人制による審判手続
与党案において採用した裁定合議制度を採らず、家庭裁判所が裁判を行うときは、観護措置決定に対する異議の申立てに関する裁判及び第三の事実認定手続を除き、一人の裁判官で事件を取り扱うものとすること。
第六 観護措置期間の延長に関する改正規定の削除
与党案における少年鑑別所に収容できる期間の延長に関する改正規定を削除し、現行法のとおりとすること。
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