五月八日午後、貴国遼寧省瀋陽市の日本総領事館に、亡命目的の北朝鮮住民と見られる五人が駆け込んだ際、貴国武装警官は、わが国外交使節の許可なく総領事館の域内に入り、これらの五人を強制的に連行した。これは、ウィーン条約の趣旨を逸脱し、わが国の主権をないがしろにする行為であるとともに、人道的立場から極めて重大な問題であり、中国政府に対し強く抗議する。また、貴国政府からは、わが国政府に対して、一方的な回答が示されているに過ぎず、極めて遺憾である。
私たち民主党は、相互の信頼に基づく良好な日中関係を心から望むものであり、そのためにも貴国政府が、その良識と人道的配慮に基づき、以下の事項について、誠意をもって真摯に取り組まれるよう強く申し入れるものである。
一、 貴国がわが国総領事館の領域内から連行した亡命希望者五名の安全を確保し、速やかに日本側へ引渡すこと。
一、 今回の事件に関する詳細な調査と報告、わが国の主権侵害に関する陳謝を行うとともに、再発防止のための対策を取ること。
一、 亡命希望者に対して、難民条約等の趣旨に基づき、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等と連携して行う対応について協力すること。
平成十四年五月十三日
民主党代表 鳩山由紀夫
中華人民共和国
駐日本国特命全権大使 武 大 偉 殿
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