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2002/07/11
浜岡原子力発電所事故に関する報告
民主党NC経済産業部門会議
浜岡原子力発電所事故対策委員会

1.事故概要

(1)平成13年11月7日、中部電力(株)浜岡原子力発電所1号機において、余熱除去系蒸気凝縮系配管が破断する事故が発生した。このため、同機を手動停止し、格納容器内の点検を行っていたところ、同年11月9日、原子炉制御棒駆動機構下部(CRD)からの水漏れを発見した。

(2)平成14年5月24日、上記1号機の事故に関し、同型機であり点検のため自主的に停止していた2号機の原子炉を起動したところ、余熱除去系配管のドレン配管部から漏水を発見し、直ちに手動停止した。

(3)なお、上記(1)(2)の事故に対する国際的評価尺度は次のとおりであり、外部環境への影響はなかった。
     1号機 余熱除去系蒸気凝縮系配管破断・・・レベル1
         原子炉制御棒駆動機構下部漏水・・・レベル0+
     2号機 余熱除去系配管ドレン配管漏水・・・レベル0+

  <参考>
     原子力施設事故に対する国際的評価尺度はレベル0〜レベル7まであり、
    ちなみに  ・チェルノブイリ発電所事故・・・レベル7
          ・スリーマイル発電所事故 ・・・レベル5
          ・JCO事故       ・・・レベル4  等である。

2.事故の受けとめ方

 <1号機>
(1)余熱除去系蒸気凝縮系配管の破断について
 上記配管の破断によって、ECCS(非常用炉心冷却装置)のうち、高圧注入系が動作しない状態となった。ECCSは5系列の多重防護となっており、今回の破断がすぐさま重大な事態につながるものではないとはいえ、安全系に連なる事故として重大に受けとめる。

(2)原子炉制御棒駆動機構下部漏水について
 漏洩量そのものは極めて微量であることから、外部に及ぼす影響は全くなかったが、炉本体の一部である制御棒駆動機構ハウジング貫通部からの原子炉水の漏洩は、わが国では初めてのことであり、重大な関心を持つ。

 <2号機>
(3)余熱除去系配管ドレン配管漏水について
 事故そのものは安全系に直接影響を与えるものではなかったとはいえ、同発電所においては昨年11月の1号機の事故に続くものであり、また、事前説明が不十分なままの起動直後に起こったものであるだけに、原子力発電に対する信頼性という点において、地元や関係機関に与えた影響は大きいと受けとめる。

3.報告

(1)民主党の対応経過

平成13年11月14日経済産業部門会議において、現地調査の実施を決定し、同日直ちに、大畠、鈴木、藤原、静岡県連のメンバーで、浜岡原子力発電所におもむき、中部電力(株)から事故概要の説明を受け、1号機余熱除去系蒸気凝縮系配管破断及びCRD漏れ現場の確認を行った。なお、現地視察終了後、記者会見を行い、現段階におけるものとして、次の民主党視察団としての見解を明らかにした。
イ)今回の事故は、外部環境に影響はなかったとはいえ、重大な事象として受けとめ、中部電力(株)は事故原因の徹底解明と再発防止に万全を期すこと。
ロ)事故情報の公開に万全を期すとともに、地域住民、関係機関に対し、可及的速やかに丁寧な説明を行うこと。


同年11月16日事故調査団報告会を開催するとともに、浜岡原子力発電所事故対策委員会の設置を決め、11月29日以降2回委員会を開催して、12月6日にNCに中間報告を行った。その後、数回にわたり役員会を開き、中部電力(株)、原子力安全・保安院、原子力安全委員会の原因究明や今後の防止対策等について注視してきた。


平成14年5月23日に委員会を開催し、中部電力(株)、原子力安全・保安院、原子力安全委員会から1号機事故の最終報告書についての説明を受けるとともに、同年6月27日にも委員会を開催し、2号機事故についての説明を受けた。


(2)原子力安全委員会、原子力安全・保安院報告について

中部電力株式会社浜岡原子力発電所1号機における事故・故障に関する調査報告書
・・・・・別添1

中部電力(株)浜岡原子力発電所2号機の手動停止について     ・・・・・別添2


4.事故対策委員会の見解

(1)再発防止対策について
 政府および中部電力(株)は、他の電気事業者やメーカー等関係者に対し、今回の事故の原因調査、検討を通じて得た知見、対策等についてその共有化を図り、同種事故の再発防止に万全を期すべきである。我が党としても、再発防止対策が確実に行われることを注視し続けなければならない。


(2)情報公開について
 今回の事故の原因や対策等について、政府および中部電力(株)は、関係自治体、住民等に対し可及的速やかに丁寧な説明を行うとともに、今次の教訓を踏まえ、事故時の即応を始め、原子力発電全般にわたる情報公開、広報活動の一層の充実に努めるべきである。特に今回、2号機起動に際しての事前説明が不十分であった。原子力発電は、関係自治体や住民等の理解や信頼関係なくして進めることはできないことを改めて認識し、1、2号機の再起動にあたっては、事前に十分な説明を行うべきである。


(3)経年劣化対策および地震対策について
 原子力発電所の経年劣化や昨年末中央防災会議から出された東海地震想定震源域の見直し報告に伴う耐震性への不安を指摘する意見がある。これらの指摘に対して、政府の早急な対応を求めるとともに、我が党においても、特に原子力発電所の経年劣化対策のあり方について、ワーキングチームを新たに設置するなど議論をする必要がある。


(4)原子力安全対策の強化について
 今回の事故を機に、政府は原子力発電の安全確保対策に一層の努力を傾注すべきである。また、国家行政組織法8条に基づく原子力安全委員会には実効性が欠落していること等に鑑み、国家行政組織法3条に基づく独立行政機関である原子力安全規制委員会の創設による原子力安全チェック機能の充実・強化を、引き続き強く求めていく。

以上
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