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2001/09/08
民主党の今後のあり方(試案)
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民主党幹事長 菅 直人

 民主党結党から3年半が経過した今日までの間、3度の国政選挙を通じて厳しいながらも議席を伸ばし、野党第一党としての基盤を着実に拡大してきた。先の参院選後には、地域ブロック懇談会などを精力的に開催し、熱心な議論を議員間で、各地域で積み重ねてきた。その中では多くの意見が交わされたが、共通する意思は選挙による政権交代を実現するため、民主党をどのように強くたくましいものとし、国民の信頼を勝ちとるかということである。

 そこで党幹事長職として、ここに民主党強化の視点と重点的に取り組むべきと思われるポイントを試案として提起し、新しい執行体制の下で迅速な審議をすすめ、順次成案を得て党本部機構・運営については速やかに、財政や都道府県連にかかわる事項は遅くとも年内に結論を出し、全党を挙げて実践に取り組むことを提案する。

1. ―党組織の強化
1.これまで民主党は、各地で党員の拡大に取り組むとともに、代表選挙への党員・サポーターの参加を制度化(県別ポイント式)するなどの取り組みをすすめてきた。しかし、党員としての政党への参加に抵抗感が強まっている今日、党員数はおよそ3万人にとどまっている。その上、党員名簿は各都道府県連において管理されており、党本部には代表選挙時伝達されるものとされ、現在は報告されていない。

 民主党が地域で活動するためには、党員、サポーターの存在は不可欠である。そのため、より幅広い国民各層の参加をめざし、これからの党員、サポーターのあり方について、あらためて検討をすすめる。

2.民主党の地域基盤確立・強化のために、都道府県連の機能と財源の強化をめざす。現状では、党員、サポーター数の管理は都道府県連に委ねられているが、党勢の拡大を戦略的にすすめるためには、党本部もその実態と推移を把握し分析するとともに、都道府県連と党本部の関係を明確化する必要がある。したがって、党員・サポーターの拡大と地域組織の財政基盤確立を図るため、都道府県連から党本部への党費の納入と、党員・サポーター数に応じた都道府県連への交付金交付を制度化する。あわせて、組織運営のノウハウや情報の提供を行うための態勢を整備する。

3.全議員および地域の意見を党運営に迅速に反映させるとともに、決まった方針を迅速に徹底するため、新たに常任幹事のブロック担当制を導入し、ブロック担当を中心にブロック会議を設け、定常的な協議機関とする。ブロックの区分は衆院比例区ブロックを基本とするが、党勢の現状に鑑み、当面は7ブロックとする。

4.党本部の機構を整理して選挙対策、組織、広報・宣伝、男女共同参画などの委員会と必要な局を設けることとし、全議員に参加希望アンケート調査を行い、全国会議員で党務を分担する。また、民主党内における政治倫理の徹底、党外意見の採用のため、倫理委員会に党外委員を任用する。

5.民主党の地域の顔は国会議員であるとともに、地方自治体議員である。しかし、現在の自治体議員数は2000名弱であり、必ずしも十分とは言えない。自治体議員がより積極的に民主党に参加し、改革の共同活動に参加するよう、2年後の統一地方選挙を展望し、地方自治体議員フォーラムの活性化、自治体議会活動の情報交換とマニュアルの共有など、自治体議員の民主党への参加の条件整備をすすめる。また、地方自治体議員の代表選挙への参加のあり方を含めて、態勢整備と制度充実に全力を挙げる。

6.民主党は、当面の目標として10万人以上の党員・サポーター、3000人の地方自治体議員の形成に全力を傾注する。

2. ―財政基盤の確立・強化
1.現在、民主党の財政は党費、寄付、政党助成金を中心にまかなわれ、支出は総支部および都道府県連への交付金、選挙資金、党本部経費に振り向けられている。そのような現状を踏まえた上で、地域組織の財政基盤を強化するため、地域組織に対する交付金を増額する方向で検討する。
 その代替として、選挙時の宣伝、党本部の組織・政治活動費の抑制に努めるとともに、党員・サポーター登録における登録料の徴収、党刊行物の採算性の確保など徹底した経費抑制と収入増を図る。

3. ―候補の擁立
1.様々な分野から、志をもち有能な候補者を発掘して国政の場に送り込むことは、わが国の民主政治の質の向上のためにも、また民主党の強化・拡大のためにも極めて重要である。現状においても、民主党の候補者はその質においては他党に負けてはいない。しかしながら、選挙を通じた政権交代を実現するためには、国政選挙のすべての選挙区に候補者を擁立することが不可欠である。幸いにして、自民党は旧い世代の現職・元職で選挙区が占められているのに対し、民主党は新人候補の擁立が可能である。今後様々な取り組みをすすめ、民主党らしい候補者の発掘・擁立に全力を傾注する。

 また、これらの人々を全員「民主党本部政策審議委員」(仮称)に任命し、地域の声が国政に反映できるようにするとともに、年間数回の研修・相互討論の場を設け、党員・サポーター拡大、政策集会などの企画に対して党本部役員の派遣等を行う。

2.男女共同参画推進の観点から女性候補の発掘に全党を挙げ、国政・自治体議会を含めて女性候補に対する財政支援の充実を図る。

3.全ての衆議院小選挙区への候補者擁立のためには、議員空白県・候補者空白選挙区の解消は喫緊の課題である。このため、都道府県連代表者と所属国会議員によるブロック協議体制の充実強化をめざすとともに、党本部役員のブロック担当制を導入し、候補者発掘やブロック活動を支援する。また、地域での人材発掘、候補者の公募、予備投票制度導入の検討など、多面的な取り組みをすすめる。

4.民主党は衆議院における一票の格差是正、参議院比例代表における非拘束名簿式の再改正に全力を挙げる。しかし、一方において選挙準備は整然とすすめられなければならない。とくに、参議院比例選挙においては、地域割りや全国組織ごとの縦割りなど、どのような形がより効果的であるかについて関係者の意見を聞き、1年以内をメドに結論を出す。

4. ―各種団体との友好関係の確立
1.労働団体、市民団体、経済団体等との交流と共同協力活動は政党のエネルギーの源泉である。しかし、各種団体等との連携は、一部の地域や団体との協力関係を除いて全国的には依然として不十分であり、今後の党活動の大きな課題として残されている。

 民主党は勤労者・サラリーマン組織である労働団体との連携の強化を図るとともに、個としての、市民としての組合員との相互理解、共同作業の発展充実を追求する。その方策の一つが民主党としての自前の党員、サポーターの拡大といえる。また、地域に根ざし生産し、生活している中小企業、諸団体、NPO団体等との連携を強化する。そのため、党本部に専門セクションを設ける。

5. ―広報・宣伝
1.これまで、党への支持拡大をめざし、広報・宣伝、キャンペーンなど多様な取り組みを行ってきたが、広報・宣伝物が地域において効果的に活用されるにいたっていないなど、その成果は十分に上がっているとは言い難い。そこで、広報・宣伝物等について、地域の実情にあった改善を行うとともに、党の理念・政策をより鮮明に宣伝していくための取り組みを行う。

2.党員・サポーター登録制の導入に伴い、党メディア(機関紙誌)の拡充とコスト主義の導入、インターネット・Eメールを活用した党員・サポーターと党代表、分野別担当役員との意見交換態勢の整備などをすすめる。

3.地域に根ざした民主党の地域基盤確立のためには、党本部と地域党の間において日常的に双方向で情報交換と意見交換をすすめることが大切である。このため、年に1度の大会と研修会以外に、全国幹事長会議、政策担当者会議などを定例開催する。また、Eメールを活用した双方向情報交換、広報宣伝物のモデル(版下)提供化などをすすめる。

6. ―理念・政策
1.民主党は、結党時の基本理念・基本政策を中心に多様な考え方をもつ人々が共生する政党として、国民の共同・共有政党をめざす。 民主党は、市民団体、労働団体、経済団体とそこに集う人々はもとより、地域に根ざし正当な営みをつづける市民、生活者1人ひとりと連帯し、その共同活動の中で民主主義の基本である健全な政党制を築き、政権交代を実現する。  

2.民主党は、すべての人に公正である社会を実現するため、地域主権、市民参加、男女共同参画、国際連帯を党の政治、政策活動の中で貫き体現することをめざす。
 この目標にもとづき、現在すすめている政策・理念PTにおける検討を含め、おおむね1年をめどに民主党のスタンスを明確化するための作業を続ける。

3.党の政策活動をより活性化させ、総理たる代表の政策活動を補助するため、幹事長を副総理、政策調査会長を官房長官とするネクスト・キャビネット(NC)を設置する。

 党の政策、法案の態度は全てNCで決する。NCにはときの政権と同様の大臣ポストを設ける。NCの閣僚は代表が任命することとし、副大臣を置く。

4.わが国の将来を展望することができない自民党に代わって政権交代を担うため、構造改革とセーフティーネットの整備をすすめる「改革と安心」、分権連邦型国家をめざす「中央から地方へ」、官主導から民主道への転換を図る「官から民へ」など基本政策を一層切磋琢磨し、小泉政権との建設的な対決・対峙の姿勢を鮮明にする。

以 上

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