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2001/03/05
森内閣不信任決議案に対する賛成討論
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衆議院本会議

森内閣不信任決議案に対する賛成討論

民主党・無所属クラブ 中野 寛成

 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました野党四会派共同提案の森内閣不信任決議案につき、賛成の討論を行います。

 古来、イギリスのことわざに、腐った卵ではおいしいオムレツはつくれないということわざがあります。腐った政治でいい暮らしができない、これは今なお世界で最も厳しいと言われます政治腐敗防止法ができたころに、国民の皆さんの声から自然に生まれたことわざだと言われております。まさに、今の日本にそのまま当てはまることわざだと言わざるを得ません。

 森内閣に対する不信任案は、昨年秋の臨時国会でも取り上げられました。そのときの不信任理由も、数々の失政とスキャンダルのうずたかい山々にありました。今国民は、将来への展望を失い、数々の災害や事故にも見舞われ、永々として続く不況の中で塗炭の苦しみにあえいでおります。

 その中で、果てしなく続く政官財を取り巻く重大なスキャンダルの中で国民の怒りが爆発するのは当然であります。森内閣は次から次へと重大な失政を重ね、我が国の経済、財政を最悪の事態へと陥れてきました。金融機関等の不良債権問題を放置し、経済構造改革を後退させた森内閣は、ようやくプラス成長に転じつつあった日本経済を再び奈落の底へと突き落としました。

 去年4月には2万円台をつけた日経平均株価は、森総理就任以来低落の一途をたどり、今や一万円割れさえも必至の状況と言われております。失業率も五%台へと限りなく近づき、新卒者から中高年に至るまで、雇用不安が拡大しております。中小企業の倒産を初め、自殺者、経済的重大犯罪まで、その悲劇は枚挙にいとまがありません。さらに、2001年度末には、国、地方今わせた借金は666兆円に達する見込みであり、我が国はまさに国家破産寸前の状態に陥っております。


 今回の私たち野党四党の不信任決議案の提案理由も、悲しいかな、これら数々の失政に加えて、汚職を初めとするスキャンダルが理由に挙げられます。

 政敵である野党が、政治、政策路線の違いから内閣不信任案を提出し、国民にアピールすることは通常の例であります。しかし、今回の森内閣の場合、数々の失政に加えてスキャンダルの山々がうずたかく重なり、国民が森内閣を見放し、野党に対して不信任案提出を促しているのであります。

 さて、そのスキャンダルでありますが、KSD汚職は国会議員二名の逮捕と議員辞職、そして現職閣僚の辞任をもたらしました。しかし、この汚職構造の全容はいまだに解明されておりません。村上氏の参議院における証人喚問は証言拒否の連発でありました。5千万円をKSDから受け取ったのかという質問に対してさえ、刑事訴追のおそれがあるから証言を拒否するという、その回答そのものに真実が含まれているではありませんか。議員を辞職し、逮捕された村上氏と森内閣はどのよような関係にあったか。まさに、述べるまでもなく、いわゆる五人組の一人、森総理・総裁の生みの親が村上氏であり、この一点に限っても、森総理はみずからを恥じて、即刻総辞職すべきであります。

 また、額賀前大臣の政治倫理審査会における弁明も、疑惑を払拭できませんでした。むしろ嫌疑は濃くなったと言わざるを得ません。この額賀氏も、森総理・総裁を密室で誕生させたいわゆる橋本派のプリンスと言われる、いわば派閥の申し子であります。

 ちなみに、生みの親の一人でもある亀井政調会長についても、他の疑惑裁判において金銭収受の証言が飛び出しております。

 すなわち、国民から見れば、森内閣の実態というのは何ともうさん臭いのであります。自民党議員の皆さんは、こうした実態を野党の我々よりもよく御承知のはずであります。あなた方は、今、この国権の最高機関、国民の代表機関である国会において、野党の演説に対してて適当にやじを飛ばし、不信任案を葬り去ろうとしているのかもしれません。

 しかし、あなた方は本当に森総理を信任できるのでしょうか。今日以降、三月十三日の自民党大会まで森おろしが自民党内で本格化するとも報道されています。国会での不信任反対は信任したことにはならないという言葉、何というへ理屈でしょうか。

 国会で信任しておいて、その直後の党大会で引きずりおろそうとしているあなた方の姿こそ、自民党全体が密室談合の構造に陥っていることの何よりの証拠ではないでしょうか。

 そして、連立与党たる公明党、保守党の皆さん。まず予算がある、予算関連法案があると弁解されますが、では、予算関連法案が全部成立するまで、有権者に言いわけもせず、立派に森総理と心中する責任感があるんでしょうか。公明党幹部の皆さんの森おろし発言がテレビや新聞でよく報道され、目立っております。保守党党首も、何やら体裁のよいことをおっしゃっているようであります。しかし、公明党も保守党もこの国会では、みずからはこの議案においても反対討論をなさらず、できるだけ国民に目立たぬように気をつけながら、森総理を信任しようとしていられる。皆さん方の裏表のある言動を国民が知らないとお思いでしょうか。

 この失政とスキャンダルにまみれた森内閣を国会の場で不信任もせず、総辞職もさせないというなら、皆さんの政治に対する理念が疑われるのではないでしょうか。

 森内閣不信任の理由は、KSDだけではありません。いや、まだあるのか、KSD一つで十分ではないか、国民の声が聞こえそうです。確かにKSD汚職は、当時の参議院自民党幹事長本人が金で議席を買い、自民党員そのものも金で売り買いする幽霊がほとんどだったという実態を暴露したものです。議席と党員が金と幽霊であるなら、自民党という政党から政官業の黒い癒着と汚職にまみれた金を除くと、何が残るんでしょうか。その疑問に答えなければなりません。

 ところが、さらに内閣の実態を露呈させたのが機密費疑惑です。一外務省職員が内閣の機密費を何億円も使い込んで競馬馬を買っていた。しかし、その実態を解明しようとしたら、官房長官も外務大臣もまともに疑問に答えようとしない。そして、何億もの機密費が何年にもわたって使い込まれていても気がつかないようなむだな予算は、その分だけでも予算から減額したらどうかと野党が提案すると、いやいや、丸々そのまま必要だと強弁しているのが実態です。機密費不正流用の実態を隠し、機密費を守ろうとする政府の姿勢を見るなら、国民に税金を納めることがばかばかしいと思わせるように政府みずからが宣伝しているようなものです。

 民主党は既にこの疑惑に満ちた予算の抜本改革.案を提案し、野党四党は大幅な削減を要求しております。それに耳をかさない森内閣は、まさに万死に値し、国民に不信任されるのは当然であります。

 第三に、この機密費を含む政府予算全体の問題が挙げられます。
 株価が低迷し、3月には深刻な大穴に落ち込むのではないかという危倶の声がささやかれています。この深刻な景気停滞と雇用不安に対するカンフル剤が森内閣の総辞職であるということは、大多数の、しかも内外のエコノミストが指摘するところであります。そして、相も変わらぬ従来型の公共事業と借金の垂れ流しを柱とする政府予算では、だれも日本経済に対する信頼を示しません。

 野党四党は、こうした政府予算に対して構造改革を求め、組み替えを要求してきましたが、それに対しても一切耳を傾けないのが森内閣であります。森総理が野党の主張を全く入れないとするなら、みずから退陣して景気回復の一助に資するくらいの責任感があってもよいではありませんか。すなわち、あなたの退陣こそ、株価を少なくとも2、3千円は引き上げることになるのではないでしょうか。

 最後に、森総理個人のことに触れざるを得ません。前国会でも、総理個人の資質に対する疑問がたくさん提起されました。

 えひめ丸衝突沈没事故に関する森総理の対応は目を覆うばかりです。米国原子力潜水艦による事故と聞いただけで、これは日米安保条約、ひいては日米関係に重大なダメージを与えるぞ、直ちに官邸へとなぜ思わなかったのでしょうか。危機管理か事故対策かという前に、我が国国民が、それも高校生が生死の危機に瀕しているときに、心配する風情もなくかけゴルフに興じていたという一事をもっても、あなたは既に総理の資格はありません。どこの国でも、そのような冷血漢で無責任な人を総理の座に着けておくような国はありません。

 しかも、ゴルフ場会員権をめぐっては、脱税をしているのか、はたまた不正に金品を収受したのか、どちらに転んでも絶体絶命のスキャンダルをみずから引き起こしています。ばれたら返すでは済みません。あなたの財産、あなたの政治資金、みんな裏があり、届け出は信用できないと国民みんなが思っているのではないのでしょうか。内閣総理大臣の地位を汚しているとしか言いようがありりません。

 森総理が国会で不信任されることが日本の民主主義を守ることであり、自民党大会でうやむやのうちに葬り去られることが民主主義を冒涜するのであります。

 森喜期内閣総理大臣、今あなたに一片の良心と謙虚さがありせば、ここに潔く退陣されんことを切望いたします。

 与党の諸君、あなた方に今一片の使命感と良識がありせば、何とぞこの不信任案に御賛同あらんことをこいねがいます。賛成討論を終わります。

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