民主党は19日、東京のホテル・オークラで2002年度民主党定期大会を開催した。会場には党所属国会議員、全国からの代議員、特別代議員、来賓や傍聴者など約800人が集まった。
武正公一総務局次長の司会で、まず大会実行委員長の江田五月参議院議員が、「日本は試練どころか、もう大変な危機的状況だ。こういうときに大会を開く民主党は、国民に対して、歴史に対して負っている責任は重いものがある。わが党をより強く、よりたくましく、そして政権交代を担い得る政党へと成長させていく、これは我々の共同責任だ」と大会への協力を呼びかけた。
続いて、土肥隆一衆議院議員と小宮山洋子参議院議員が議長に選任され、出席した大会代議員数を確認し、定期大会の成立を宣言、議事を進めた。
●鳩山代表あいさつ
「政権交代目指す政党の歴史的使命自覚しよう」
まず、鳩山由紀夫代表が登壇し、「小泉政権を打倒しなければこの国の未来を見いだすことはできない。政権交代あるのみだ」と力強く小泉政権打倒への意気込みを語った。【写真】
鳩山代表は会場に事前に配布された原稿には一瞥もくれず、まず、結党からの4年間を振り返り、「民主党は、自民党政権では果たし得ないこの国の再生に向けての力を結集するために、自民党政権を終焉させる目的で二大政党政治の実現から、政権交代をめざして立ち上がった政党だ」として、「大きな歴史的な使命を負うていると自覚をしなければならない」と強調。
西郷隆盛の遺訓「命もいらず、名もいらず、官位も金も望まざる者ほど御しがたきものはなし。しかれども、この御しがたきものにあらざれば、国家の大業を計るべからず」を引用しながら、「鳩山は国民のために命を捨てろと言われるなら、喜んで命を捨てる。名もポストもいらない。与えられた9月までの任期を、自らそのときまでと区切りながら、全力を果たしていきたい」と、日本の再生と党の一体化へ全力を尽くす自らの決意を強い口調で語った。
続いて、鳩山代表は、年末から年始にかけてのアフガニスタン、パキスタン、インド歴訪の成果を紹介しながら、「野党外交の限界はあるが、“野党だからできない”のではなく、むしろ“野党の私たちならばできる”外交もあるのだと自覚すべきだ。できる限り行動する民主党の姿を、外交・内政、ともに考えながら見つけていきたい」と宣言。
また、アジア歴訪によって、「友愛」が世界のキーワードになりつつあると指摘。「人と人が、人と自然が、また日本と世界が、それぞれ自立を求めながら共生をしていく“友愛”の理想の姿を、あらためて新しい価値として創造し、定着させていきたい」と語り、その理想を柱にすえた「教育・環境・介護」などの政策の事例を示しながら、「新しい価値観を政治家が訴え続けることによって、新しい産業、日本の経済を大きく動かすことすらできる」と参加者に語りかけた。
●政権交代なくしてこの国の未来はない
挨拶の後半で鳩山代表は、「昨年、小泉氏が首相になって、私たちが主張していた構造改革を小泉総理がやるという、その言葉を信じようとした。8か月たったが、すべての指標はその当時よりもさらに悪くなっている」と指摘。
そして、小泉改革の欠陥として、「自民党の後ろだてがある限り、あらゆるものが後退を余儀なくされる」「小泉改革は冷たい構造改革。既得権をもつ者よりも、一般国民が先に痛みを味わっている」「経済政策がなく、不良債権処理はスローペースでタイミングも悪い。どのような日本をつくろうとしているのか姿すら見えない」と数え上げ、「大きな欠陥を持った内閣を、民主党の総意で、小泉内閣を打倒しなければこの国の未来は見出すことはできない。政権交代なくして、この国の未来をつかむことはできない」とひときわ言葉に力を込めた。
鳩山代表は、そのための方策として、まず国会での野党共闘をあげ、「BSE(狂牛病)問題やスキャンダルなどに対する厳しい姿勢を野党共闘の中で実現したい」と述べた。
また、民主党自体の力をつけるために、衆議院の300小選挙区すべてに候補者を擁立する方針や、従来の支持者からの一層の党支持層の拡大を重ねて強調した。
最後に鳩山代表は、「小泉首相は江戸末期の15代将軍徳川慶喜とそっくりだ。本人は改革の意思を持って、古い殻を破らなければならないと努力をしたが、徳川家が実権を握っている限り、大きな古い体制は変わらない。だから倒幕しかないと西郷隆盛は決起した」と述べ、古い体制を存続させるだけの小泉自民党内閣を選挙によって倒すため最善の努力と共に闘うことを誓って、スピーチを締めくくった。
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