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2000/01/31
民主党「もうひとつの国会」議事録
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議長開会の挨拶(吉田之久両院議員総会長)

あいさつ(枝野ネクスト官房副長官)

代表演説
(1)鳩山由紀夫ネクスト総理大臣
(2)本岡昭次参議院議員会長
(3)岡田克也ネクスト財政・金融担当大臣
(4)朝日俊弘ネクスト社会保障担当副大臣

質疑応答

集約(仙谷由人企画局長・ネクスト官房副長官)

閉会




【開会】

■議長(吉田之久両院議員総会長)

ただいまから全国民が注目いたしております「もう一つの国会」を開催いたします。私、党の両院議員総会長を務めさせていただいております吉田之久でございますが、本日の国会の議長を承ることになりました。大変重要な責任を痛感しいたしております。どうか皆さん方のご協力を賜りまして、この国会がきわめて成果あるものにしていただくために、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
それではただいまから、本来ならば菅ネクスト官房長官にあいさつをお願いするところでございますが、残念ながら今風邪を引かれているようでございまして、枝野幸男副長官からあいさつを受けます。

【ネクスト官房副長官あいさつ】

■枝野幸男ネクスト官房副長官(政調会長代理)

お集まりの皆様、そしてインターネットを通じて、あるいは国会テレビを通じてごらんの全国の皆様、お疲れさまでございます。本日こうした形で、「もう一つの国会」を開催させていただくことになりました。

ここに至った経緯については、この後、鳩山ネクスト総理の演説などにも含まれていると思いますので、私のほうからは繰り返しませんが、我々は本来国会の場で小渕政権の問題点をしっかりと国民の皆様の前で明らかにするべく準備を重ねてまいりました。残念ながらしっかりとした議論をさせていただくような環境がつくられていないということで、「もう一つの国会」という形で本日こうして代表演説のまず第1回の場をつくらせていただきました。

本日、民主党の鳩山ネクスト総理をはじめとして、わが党の予算に対する、あるいはことし1年間の施政方針に対する演説を皆様方にお訴えさせていただきたいと思っております。そして本日を第1回としまして、国会が我々がきちんと議論をさせていただける状況に回復しない限り、これから順次「もう一つの予算委員会」、あるいは「もう一つの公聴会」、あるいは地方の現場に我々が出向きましての地方での「もう一つの公聴会」というような形で、順次我々は国民の皆さんと双方向で、国民の皆さんの声をしっかりと反映した予算づくり、そして政策づくりを進めていく、その姿勢を皆様にお示しするとともに、つくり上げてまいりたいと考えております。

その第1回でございますので、ぜひわが党の姿勢、私どもの考え方というものを、お集まりの皆様、そしてインターネット等を通じてごらんの全国の皆様にご理解をいただければというふうに思いますし、また、インターネットを通じてごらんの皆様には電子メール等を通じまして私どものホームページにご質問等をお寄せいただけますならば、本日の質疑応答の時間等も利用いたしまして、そうしたご質問にきょうの4人の弁士からお答えさせていただくというつもりでおります。ぜひ多くの民様、インターネット、メール等を通じて民主党のホームページへご質問、ご意見等をお寄せいただきますようお願いいたします。

それでは、わが党の4人の弁士よりお訴えをさせていただきますので、よろしくご清聴をお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

【代表演説】

■鳩山由紀夫ネクスト総理大臣(代表)

新しい千年紀の幕あけとなります西暦2000年は、20世紀の影を光に、また混迷を希望へと変える、21世紀につなぐ大きな節目の年であります。

しかし、わが国においては自自公という妖怪が国会を占拠し、昨年以来4度目の強行採決という問答無用の数の暴力を行使しています。小渕総理は、憲政史上初の全野党抜きの施政方針演説において、「五つの挑戦」を掲げられましたが、小渕・自自公政権が行っているのは民主主義と国民に対する挑戦、いや、背信行為そのものであります。民主主義はまさに死のうとしています。

小渕・自自公政権が続く限り、この国は滅びます。国会内では圧倒的多数を誇る自自公も、圧倒的多数の国民がNOの声を上げているではありませんか。お互いに誹謗中傷合戦を繰り返してきた自由党や公明党が連立を組み、国民の信を問うことなくほうかぶりを続けること自体が民意に対する裏切りであります。

小渕総理は解散は総理の専権だと居直っておられますが、権利の対極には義務があります。小渕・自自公政権という正当性のない政権が行き詰まりを見せている今、小渕総理には解散権を行使する義務があります。

私たちは民主党として、小渕・自自公政権によって私物化された国会にかわり、国民のための国会、「もう一つの国会」を開催するものであります。国ッの皆さんと連帯し、解散・総選挙へと追い込んでいこうではありませんか。(拍手)

私はまず、小渕・自自公政権の「八つの大罪」を厳しく問わなければなりません。第1は、小渕・自自公政権は、政治倫理や社会正義を完全に喪失させた「モラル破壊内閣」だということです。リクルート事件で有罪判決が確定した藤波孝生元官房長官に対する野党の議員辞職勧告決議案を握りつぶし、政治家としての品性に欠ける発言を平気で繰り返す西村真悟氏を防衛政務次官に任命して世間を騒がせたばかりか、小野寺五典氏に至っては、選挙区内で金品を配って書類送検されるありさまであります。

また、小渕総理の秘書官が、死亡した地元秘書が所有していたNTTドコモ株をだまし取り、23億円もの巨額の利益を上げているという疑惑について、総理からはいまだ何も説明がありません。民主党が中心となって提出した、政治家の地位利用収賄罪処罰法案をたなざらしにし、政治家個人に対する企業・団体献金を禁止するという5年前の約束をほごにしようとさえ企てたのでございます。自民党とカネにまつわる話は枚挙にいとまがなく、公的資金を投入した銀行に献金をせびったという報道については、もはや何をか言わんやでございます。

第2に、小渕・自自公政権は、露骨なまでの利権政治、利益誘導政治を進める「山分け内閣」であります。景気対策と称して、みずからの支持基盤に対する利益誘導のみに腐心し、政・官・業の癒着構造をますます強固なものにしています。自民党の大スポンサーであるいわゆるゼネコンに対して、むだな公共事業をばらまき、銀行業界には経営の失敗の責任を問うこともなく巨額の税金を投入し、医師会には国民感情から見てまさに理不尽きわまりない診療報酬の引き上げを認めました。私たち民主党が15%まで引き下げようとした商工ローンの金利も、29.2%にしか引き下げられませんでした。銀行業に参入しようという事業会社にも冷たく、自民党内では規制緩和に反対する動きさえ出ているじゃありませんか。既得権益を持つ者だけが甘い汁を吸う、それが小渕・自自公政権の本質であります。

第3に、小渕・自自公政権は、国民の安全を守るという最低限の仕事さえ放棄した「安全軽視内閣」であります。東海村で発生したJCOの臨界事故は、国のずさんきわまりない安全管理体制が根本原因であり、事故発生にもかかわらず、対策をそっちのけにして組閣にうつつを抜かしていたことは、小渕・自自公政権に国民の安全を守るという意識がまったく欠けていたからにほかなりません。警察に対する国民の信頼を完全に失墜させた神奈川県警の不祥事についても、防衛庁の不正事件についても、小渕・自自公政権はみずから問題解決に乗り出そうとしません。一体だれが国民の安全を守るのか。国民は今、みずからの身はただみずからで守るしかないと、あきらめるほかない状況ではございませんか。

第4に、小渕・自自公政権は、わが国の財政を破綻寸前のところまで追いやるとともに、社会保障制度の根幹を揺るがし、国民の将来不安を著しく増幅させた「国民泣かせ内閣」であります。国と地方の借金は645兆円、国民1人当たり512万円という途方もない金額に膨れ上がりました。そのうち、小渕総理自身がふやした国債の金額だけで83兆円にも上っています。今や、国民の多くが財政再建を望んでいます。にもかかわらず、財政構造改革はそっちのけで、ばらまきに突っ走る小渕・自自公政権の姿に、国民は大きな不安を抱き、介護保険をめぐる迷走や、年金制度の改悪、医療制度の抜本改革見送り、無責任なリストラ促進法の施行などに国民は泣かされているのです。

第5に、小渕・自自公政権は、対米追随外交に安住し、日本と日本人の主体性をますます失わせる「米国任せ内閣」であります。外交・安全保障上の多くの判断を米国に頼り、米国にばかり顔を向ける一方で、地位協定や思いやり予算、そして沖縄米軍基地縮小問題などの難問には挑んでいません。パフォーマンス外交には熱心でも、対露外交の破綻、対北朝鮮外交の停滞に代表されるように、アジアをはじめとする各国との関係強化についてリーダーシップがいまだ発揮されていません。核兵器や人権問題をめぐっても、わが国が主体的役割を果たしていこうという姿勢がなく、国際社会からの信頼を残念ながら失ってしまっています。

第6に、小渕・自自公政権は、むだな公共事業を乱発し、国土破壊・財政破綻に向かって邁進する「ばらまき内閣」であります。景気対策と称し、むだな公共事業を孫の代までツケとして回して大盤振る舞いをするのは、自民党の大スポンサーであるゼネコンを潤すことしか考えていないからだと言わざるを得ないではありませんか。いくらむだを指摘され住民が中止を叫んでも、一たん決めた整備計画を盾に、道路、空港、港湾整備を強引に続けるばらまき体質は、数にものを言わせてますますひどくなっています。悪名高き7700億円の地域振興券については、理念も政策論議もない単なるばらまきであり、公明党のご機嫌をとるための政策にすぎません。このようなばらまきの結晶が2000年度予算であり、いくら早期に成立しようと、経済の本格回復にはつながらないことを厳しく指摘しておきます。

第7に、小渕・自自公政権は、国家管理強化路線に突き進む、歴史に逆行する「権力押しつけ内閣」であります。教育現場に日の丸・君が代を強制するため、十分な論議を欠いたまま国旗国歌法を制定したばかりか、国民の信用が丸つぶれになった警察が盗聴を行う盗聴法を制定し、国民のプライバシーを侵害する国民総背番号制にもつながりかねない住民基本台帳法の改正も強行したではありませんか。このような国権主義的色彩の強い政権に、安全保障や教育の議論をさせてしまえば、国民にとって不幸な結論しか出ないことは火を見るより明らかであります。

そして最後に、小渕・自自公政権の正体は、民主主義を否定し国民の声をないがしろにする「反国民内閣」にほかなりません。数にものを言わせた強引な国会運営を行い、年金改革や衆院定数問題などの重要法案を十分な審議もせずに次々と成立させるばかりか、議員辞職勧告決議案のような都合の悪い議案は闇に葬り去る。まさに国会の私物化以外の何ものでもありません。

吉野川第十堰の可動堰計画をめぐっても、徳島市が議会できちんと手順を踏んで実施した住民投票を、中山建設大臣は「民主主義の誤作動だ」と吐き捨て、住民投票の結果をまったく無視しています。既得権益に守られた一部の国民の声は聞いても、それ以外の国民の声には聞く耳を持たない。「政教分離」の原則を理由に激しい公明批判を行って選挙の洗礼を受けておきながら、選挙が終われば権力維持のために公明党と政権を組むなど、国民への約束を平気で無視する小渕・自自公政権こそ、民主主義の誤作動ではありませんか。(拍手)

次に、民主党ネクストキャビネットの所信を申し述べます。

小渕・自自公政権は、保身と守旧の政治、すなわち総保守化の政治を展開しています。21世紀を目前にして改革・革新が必要とされているときに、政・官・業の癒着構造の上に立った、既得権益を死守するだけの総保守化の政治は、もはや時代遅れの遺物でしかありません。

私たち民主党は、改革・刷新を断行することを、国民に声を大にして申し上げます。そしてそのために健全な選択肢を国民の皆様方に提示します。それが今この時代に私たち民主党が存在する意義であり、民主党の使命だと考えます。私たち民主党は、三つの政策思想をここで主張します。

第1に、私たち民主党は、現在世界の潮流となっているニュー・リベラルと連携します。ニュー・リベラルは「結果の平等」ではなく、「機会の平等」を保障し、自立した個人が公正・透明な市場経済を行う社会、すなわち「がんばる人が報われる社会」をめざします。同時に、病気や年齢、性別など本人が責任を問われる必要のない部分で苦しむ不条理については、政府の公的な責任でセーフティ・ネットを用意します。市場経済のもとでの社会政策の重視、これが私達のめざすニュー・リベラルであります。

第2に、私たち民主党は、都会のサラリーマンなど中間層を育てる政治をめざします。市場競争至上主義は、強い者はより強く、弱い者はより弱くという社会的ひずみをもたらしました。今や米国では経営者と従業員の所得格差は400倍にも広がっていると言われています。このような、社会を不安定化する新しい不条理に対して、私たちは立ち向かっていきます。経済を市場にゆだねる「市場経済」は大いに認めながら、社会をも市場にゆだねる「市場社会」は決してつくってはならないと考えます。これが「友愛の市場経済」であります。

第3に、私たち民主党は、自立と自尊の外交を取り戻します。ニュー・リベラルは、グローバリズムと調和した「しなやかな愛国心」を日本人が持つべきだと主張します。それは、偏狭な民族主義でも反米・反安保でもありません。日米安全保障条約が調印されてから40年がたちました。日米安全保障体制は、わが国の安全保障政策の最も重要な柱であることは間違いありません。しかし、日米相互の信頼と敬意を欠いたものとなりつつあることも、また事実であります。私たちは日米の同盟関係を再設計し、地位協定や思いやり予算の見直し、米軍基地の段階的縮小のための交渉を進めます。私はそれを「平成の条約改正」と名付けます。

また、アジア近隣諸国との基礎的信頼関係を構築し、中長期的にはアジア太平洋における地域的な安全保障の枠組みを構築いたします。吉野川第十堰の可動堰計画では、公共事業のあり方だけでなく、民主主義そのものが問われているのです。住民投票は「地域のことは地域で決める」ための仕組みとして、積極的な位置づけをしていくべきと考えます。代議制と住民投票は対立するものではなく、相互に補完するものであります。特に今のように小コ・自自公政権という国民の信任を受けていない政権が誤作動をしている状況では、住民投票が明確な意思表示をすることには大きな意義があります。私たちは民主主義のバージョンアップを実現するため、住民投票の法制化に取り組んでまいります。

私たち民主党は、今国会を「公共事業見直し国会」と名づけてまいります。吉野川第十堰の可動堰計画に象徴されるように、住民の意思に反する公共事業や必要性の乏しい公共事業は、全国至るところに見られます。これらのむだな公共事業は一方では財政破綻の危機をもたらし、一方では環境破壊をもたらしています。その流れにストップをかけるには、いますぐ公共事業改革を断行しなければならないのです。私たちは公共事業コントロール法案を提出するつもりです。その上で、少なくとも5年間で2割、10年間で合計3割削減という数値目標を定め、公共事業の削減をめざします。同時に、環境破壊をやめて美しい自然を回復するため、循環型社会をめざす法案を提出してまいります。

小渕総理は「二兎を追う者は一兎をも得ず」として、景気回復と財政再建を二律背反のものとお考えのようです。しかし私たち民主党は、「景気回復なくして財政再建なし、財政規律なくして景気回復なし」と考えています。財政規律を重視しながら、経済構造改革を進めることが、わが国経済が生き延びる唯一の道であり、予算編成に当たってもこのような理念が根底になければなりません。同時に、財政健全化のビジョンを明確に示すことが今この時代に生きる政治家の大きな責任です。

私たちは国や地方の役割を見直し、「地方へ、市場へ、市民へ」の三つの分権を進め、公共事業の大幅削減や国の事業の民営化をはじめとして、フロー・ストック両面において徹底的な財政構造改革を断行してまいります。

私たち民主党は、国際的な人権の確立に向けた動きを積極的に評価し、わが国は率先してその課題に取り組んでいくべきだと考えています。また、男女共同参画社会の実現や、永住外国人の地方参政権付与について引き続き努力をしてまいります。

世界の歴史に例を見ないほどのスピードで高齢化が進んでいます。先日まことに残念なことに、107歳の長寿のふた子姉妹のお姉さん、成田きんさんがお亡くなりになりました。きんさんぎんさん姉妹は天真爛漫とも言える笑顔で、老後の一つの理想の姿をお示しくださいました。しかし、多くの国民は将来不安の高まりを抑えられないのが厳しい現実の姿であります。

安心できる社会の構築のため、社会保障の3本柱である年金・医療・介護の諸制度について、抜本改革や基盤整備を進めます。年金については、空洞化が進む現行の基礎年金制度を改革し、消費税を財源として全国民に一律定額の年金を給付する国民基本年金に再編します。医療については、高齢者を対象とした新しい医療保険制度を創設するなど、質が高く効率的な医療制度を実現します。介護保険は、制度のスタートを待ち望んでいる方々のために予定どおり実施し、「保険あって介護なし」という悲惨な状況に陥らないよう、遅れている基盤整備を集中的に進めてまいります。

国民の多くが望んでいることは、強い経済の再生です。そのカギとなるのがIT、すなわち情報技術革命と規制改革であります。私たち民主党は、小渕総理のようにIT革命の進行にすがりつくのが精いっぱいといった状況ではなく、積極的にIT革命をリードし強い経済の再生に取り組みます。サービス化が進むであろうこれからのわが国経済の主人公は、大企業ではなく、中小・零細事業者です。廃業率が開業率を上回る現状を変え、やる気のある人がどんどん新規事業を起こすことができるような税制・金融改革を行うとともに、競争促進・消費者重視の立場に立って一層の規制改革を進めてまいります。ペイオフ凍結解除さえ先送りせざるを得ないような小渕・自自公政権のいつまでたっても変わらない金融行政と決別し、金融再生関連法を駆使して金融不安を一気に解消していきます。

変化のスピードが劇的に速まった今日、わが国は変革のできない国として歴史の中に埋もれてしまうでしょう。時代は今、ダイナミックな改革・刷新を断行する民主党のファースト・ワールド(Fastworld)を求めているのです。

戦後わが国は奇跡的な復興を遂げました。しかし、世紀末の今、わが国はさまざまな問題を一挙に抱えることになりました。日本人が本来持ち合わせているモラルが破壊され、民主主義が否定され、645兆円という巨額の借金ばかりか、規制、談合、天下りなどの遺物も21世紀に持ち込まれようとしています。こうした負の遺産を整理し、21世紀につないでいくのが私たちの使命ではありませんか。

先日、「憲政の神様」といわれた尾崎咢堂、尾崎行雄先生による「身閑かにして夢亦画く」という書をいただいたばかりであります。「大きな夢や計画をなすには、まず自分の心を安らかにし清める」というその意味するところは、中国の「修身斉家治国平天下」にも通じます。

私の夢は、新しい政権の樹立です。私、鳩山由紀夫と民主党は、私心や邪心を捨てて、国民と国のために尽くすことをお誓い申し上げます。

尾崎行雄先生の別の言葉に「国よりは党を重んじ党よりはわが身を思う人の群かな」、このような言葉があります。残念ながらこれが今の政治の実態ではないでしょうか。私たち民主党の1人1人は我が身を捨てながら、党というよりも当然国を、そして国民を大事にする、そんな1人1人でなければなりません。

その思いを最後に申し上げながら、皆様のさらなるご支援を心からお願い申し上げて、私の演説を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)



吉田議長■次に、参議院議員会長、本岡昭次君。

■本岡昭次(参議院議員会長)

ただいまご紹介いただきました民主党参議院議員会長を務めております本岡昭次でございます。

先ほど鳩山代表が、国会を私物化した自自公政権を厳しく糾弾されました。私もまったく同感であります。今、参議院では、衆議院から送られてきました衆議院の定数削減法案の取り扱いをめぐって大変なことが起ころうとしております。野党抜きの議院運営委員会が開かれまして、地方行政委員会に付託されました。その地方行政委員会の委員長は、私ども民主党の和田さんであります。

そこで、今、自自公は頭から、どうせこの委員会では審議されないだろう、というよりも審議してもらいたくないわけであります。そして、一方的に本会議で中間報告を求めて、そして自民党と自由党が昨年来約束をしていた国会の冒頭成立とは2月2日である、このことを彼らは強行採決をもって実現しようとしているのであります。まさに問答無用というほかはありません。このように、国会の民主的なルールを踏みにじる巨大与党のこのおごりを、私たちはこのまま放置するわけにはまいらないのであります。徹底的に参議院も衆議院の皆さんと一緒になって闘ってまいります。(拍手)

さて、総理の施政方針演説でありますが、21世紀を迎えたことを意識し、日本の国家像として「教育立国」「科学技術創造立国」を掲げ、「創造」「安心」など五つの課題に挑戦するとしておりますが、どれも具体性がなく、問題の先送りばかりであります。「人任せ・問題先送り小渕政権」をそのままあらわした施政方針演説となっております。

そこで、この際私は教育に絞って、小渕総理の「教育立国」と論争してみたいと思います。

まず、総理の示す「教育立国」でありますが、総理自身の理念や哲学がまったくなく、具体的な教育改革の中身も青写真もありません。あるのはただ「教育改革国民会議」、有識者会議にお任せをしますというのであります。これは総理お得意のまる投げであります。

それに比べて、米国クリントン大統領の一般教書演説も同じ時期に行われましたが、クリントン大統領は教員の採用増や大学進学優遇税制など具体的な数字を挙げて教育改革を力説したと聞いております。21世紀はグローバリゼーションの大波が押し寄せて、これまで想像もできなかった新しい世界が生まれようとしております。情報技術革命によって世界が一つになり、個人が大変な力を発揮できる時代がやってまいります。日本も個人の能力を最大限に生かす社会への転換を図っていかなければならないと考えます。

そのためには、リスクをとることを恐れず、チャレンジをする。苦しいことに耐える勇気を持つ。お互いに助け合う共生の社会をつくり上げ、真の能力主義と真の公平を推進していくという難事業に取りかからなければなりません。同時に、あらゆる差別をなくして、人間の尊厳を確立し、教育、雇用、福祉、環境など基本的なものに可能な限りのセーフティ・ネットを張りめぐらすことができるかどうか、これがきわめて重要な課題になってきていると考えております。

民主党は、こうした新しい時代への転換を成功させる力は教育にあると認識し、具体的な教育改革を進めてまいらなければならないと思います。

昨年ドイツのケルンサミットで出された「生涯学習の目的と希望」という「ケルン憲章」もこう述べております。「教育への投資は、雇用、経済成長、社会的・地域的不平等を縮小していくカギと位置づけ、教育こそが社会を改革する力の源泉であり、変化の激しい、流動的な社会を切り開いていく力である」としております。これはまさに民主党と同じ考えであると私は思います。

私は、このケルン憲章をもとに、わが国の教育改革の課題を若干提示したいと思います。

1996年と99年にわが国も参加した国際教育到達度評価学会の数学・理科教育調査が行われました。テストの成績は、小中学校段階ではトップクラスを占めましたが、数学や理科が「嫌いだ」と答えた子どもも最も多かったようであります。また、数学や理科の学習が「生活にとって大切である」とか「将来そのような職業につきたい」と考えている子どももきわめて少ないのであります。たしかにまだ日本が高度経済成長を達成していく途上にあっては、受験というこのハードルは、学びにもインセンティブを与え得たでしょう。テストの結果がよければいい大学にも入れたし、いい企業にも就職できた。そうすれば生涯豊かで安定した生活が得られました。子どもが受験競争に勝ち残れば、親が中学校だけの卒業という状態であっても、上位の所得階層に進むというようなことも可能であった。「勉強すれば生活が保障される」という社会も存在をしておりました。

しかし、現在の子どもたち・青年が直面している社会は違います。学校を卒業しても就職できるかどうかわからない。親が大企業の幹部であっても、リストラのあらしから逃げることはできない。社会的に安定していた米屋や酒屋、そういった小売店、中小企業が、流通経済のこの革命の中で次々と倒産をしていく。安定したものが揺れ動き、あっという間に奈落の底に突き落とされるかもしれないという社会なんであります。

その結果、文部省の学校基本調査をもとにした推計によると、子どもや青年の4人に1人が無業、不明、中退と推計をされております。簡単にいえば、一つの世代の4人に1人がドロップアウトをしているというのであります。私は既に子どもや青年が学びからの逃避や、職業への忌避を始め、それがドロップアウトを加速させていると思います。これでは日本の社会の将来に展望は生まれてきません。未曾有の超高齢化社会に入りつつある今日、この高齢社会を支える力、社会的な合意も形成できないと考えます。早急に今子どもたちの中に起こっているこの状況の実態調査が必要です。そして追跡調査が必要です。そして学びからの逃避や職業への忌避の主要な原因である「お受験」といわれ、幼児までに浸透してしまったこの受験準備教育から、学校教育を解放する諸政策を推進することが喫緊の課題となっております。

また、ケルン憲章が描いていることは、「これからの新しい世紀の社会では、知識と技能が重要となり、しかもそれは不断に革新されていく課題である。その知識、技能を身につける不断の努力を政治が支援していくことにより、雇用、経済成長、社会的・地域的不平等を縮小していくことができる」という明快な認識が示されています。

わが国も、欧米諸国のように初等教育の段階から独創性、創造性を重視する教育を実施し、できれば小中高等学校の子どもたちを対象にしたベンチャー企業家教育を推進するというふうなことも考えていく必要があると考えます。そして、社会的セーフティ・ネットワークとして学校教育と職業との接続を積極的に図っていかなければならんと考えます。

さらにケルン憲章は、すべての子どもにとって読み書き、算数、情報通信技術の十分な能力を達成するとともに、社会的技能の発展を可能とする初等教育が必要であると、初等教育の重要性を掲げています。この質の高い初等教育を担保するのが、子どもたちが存在する地域社会づくりと、学校の施設設備の高度化、教職員増と小規模学級編成であると私は思います。そのために、これから大規模改造ないしは改築される70%近い学校を高度化をし、そして学校を地域の文化の拠点として複合施設として、そして今後の公共事業の重点とすべきではないかと考えます。

また、教職員定数法を今国会で成立させて、教職員増と30人学級の実現によって、来年の4月1日より教職員定数改善計画第7次をスタートをさせる。このことが大事であります。民主党は既に参議院に法案を提出しております。

さらに受験という鉄鎖から子どもを解放し、一人ひとりの子どもが自分の学びの「何のために勉強しているのか」という目的をはっきりとつくり上げる。このことであります。民主党は、この問題についてもすべての学校を中高一貫学校にして、高校入試を廃止する法案を衆議院に提出しております。

私は、地方の教育委員会を活性化し、一つ一つの学校や地域を再生することなしには、教育改革など絵そらごとにすぎないと考えております。教育基本法を変えてというふうな、そんな簡単なことではございません。民主党は、次の時代に生きる子どもたちを何よりも大切にし、教育を政治の最優先課題として取り組んでいかねばならないと考えます。

4月には小渕総理提唱のG8教育大臣会合が東京、沖縄で開催されます。40人学級という大規模校をいまだに温存し、具体的な教育改革を何ら示すことのできない小渕総理が、G8の教育大臣を呼んで日本で何を語ろうとしているんですか。まったく開催国日本として恥ずかしい限りであります。

人類の歴史の転換期である21世紀を前にしたこの重要な国会に、「政権離脱か、自自合流か」という自由党の政治ゲームを持ち込み国会を私物化した小渕総理は、総理として失格であります。小渕総理はただちに国会を解散して、総選挙によって国民の信を問うべきであります。
終わります。(拍手)

吉田議長ありがとうございました。次に、ネクスト財政・金融担当大臣岡田克也君。

■岡田克也(ネクスト財政・金融担当大臣)私は、財政・経済問題を中心に、小渕政権の問題点を指摘したいと思います。

今、国民は長い不況のトンネルの中で、いつ見えるともしれないその出口を求めて大変苦しんでおります。この不況を招いた直接の原因は何か。それはいうまでもなく平成9年の橋本前政権時代の9兆円の負担増であります。橋本前総理は、その9兆円の負担増の責任をとって、この世紀の大失政の責任をとって退陣をいたしましたけれども、もう1人責任をとらなければいけない人がいる。それは、その橋本政権において外務大臣として重責を担ってきた小渕総理その人であります。小渕総理は、現在の景気の現状についてみずから責任をとらなければいけない立場にある。そのことをまず指摘をしたいと思います。

さて、国民はそういった現在の不況に単に苦しんでいるだけではなくて、将来の日本が見えない。そのことに対して大変な不安を抱いているわけであります。21世紀の日本が今よりも希望に満ちた国であるのか、私たちの子どもや孫の時代が今よりも豊かで平和な時代であるのか、そのことについて大きな不安を持っております。そしてその不安は、小渕総理が総理に就任されたこの1年半で大きく増幅されたわけであります。小渕総理は、この1年半の間に、第1に、日本の財政を破綻の直前まで追いやり、そして第2に、橋本政権時代にまがりなりにも手がけた構造改革を次々に先送りし、中身をがらんどうにしてしまったわけであります。

小渕総理は、施政方針演説の中で「景気の本格回復を待って構造改革を考える、着手する」と言っております。しかし、この小渕総理の「二兎を追うものは一兎をも得ず」、したがって一兎、つまり景気回復のみを求めることが本当の景気回復につながる、この考え方は根本的に間違っていると私は考えます。以下、その理由を三つ述べたいと思います。

第1は、ここで総理の言う財政の構造改革というのは一体何かという問題です。もしそれが、橋本前政権が行ったような安易な増税であったり、あるいは歳出の一律のカットであるのであれば、もちろんそれは景気に大きな影響を及ぼします。そのことは平成9年に実証済みであります。

しかし、財政の構造改革というのは、その言葉どおり財政の歳出のそれぞれの構造に切り込んで本質的な改革を行う。それが私は財政の構造改革だと思います。公共事業を例にとれば、これからわが国が迎える本格的な少子・高齢化社会、あるいは将来の人口減少時代、そういったものを踏まえて、現在固定化した各省庁の予算のシェアを崩したり、あるいは特定財源を見直したり、あるいは今地方が単に国から補助金が来るというだけで必要度の薄い公共事業に手を染めている。それを改めるために公共事業の地方分権を進めること。そういったことこそが財政の構造改革、公共事業の構造改革であり、そのことは決して景気の足を引っ張るものではなく、むしろ効率的な公共事業の実施を通じて景気の回復に資するものだ、そういうふうに私は考えます。

第2に、総理のおっしゃるように景気の回復を待って財政の構造改革に着手をするということになりますと、これはおそらく永遠に財政の構造改革はできないということになると思います。財政の構造改革は、一朝一夕にできるものではありません。国会や政府の中における真剣な議論、立法作業、そういうことを通じて何年かかかって初めてできるものもたくさんあります。そういう状況の中で、景気の回復を待って議論を始めたのでは、実際にやるころにはまた景気が悪くなっておって、結局永遠に構造改革ができない。どんどん財政の悪化に歯どめがかからないということになることは、私は火を見るより明らかだと思います。

第3に、現在の85兆円の予算案の中で33兆円を国債に頼るという財政の現状。あるいは大蔵省の試算でも、機械的に試算しても毎年30兆円以上の国債の発行が必要だという現状。そういった今の財政の将来見通しが、国民に対して、将来この国には大インフレか大増税しかないという不安を抱かせている。そしてそのことが景気の足を引っ張っているわけであります。今必要なことは、きちんとした財政改革ビジョンを示して、そしてそういった不安が杞憂であることを示すこと、そのことが景気回復への唯一の道である。私はそういうふうに考えます。
以上、3点申し上げました。

小渕総理は「二兎を追うものは一兎をも得ず」と言われましたが、私にいわせれば小渕総理のように景気回復のみの一兎を追うものは、一兎をも得ずであります。そして構造改革と景気回復の二兎を追うものは二兎を得るであります。そういう基本的な考え方に立って、財政の構造改革と景気回復を車の両輪として進めていかなければいけない。そういうふうに思います。
(「そのとおり!」と呼ぶ者あり)

もし総理が今のような「二兎を追うものは一兎をも得ず」で、景気回復のみを追求していけば、おそらく後世小渕総理は、日本の財政を破綻に追いやり日本を没落に追いやった総理として歴史に名前が残るであろうと考えます。さて、次に構造改革について二、三触れたいと思います。橋本総理は「六つの改革」を言われました。その六つがすべて小渕政権のもとで先送りになっているということは先ほど申し上げました。具体的に幾つか申し上げたいと思います。

第1は、行政改革であります。行政改革で中央省庁の再編成が行われ、2001年から新たな体制がスタートします。しかし、この行政改革の根本は、小渕総理が就任演説の中で述べておられるように、そのコストをいかに減らすかということであります。小渕総理は、最初の所信表明演説の中で「公務員の定員を2割減らし、コストは3割減らす」と言われました。自自合意の中でその2割は25%に上がりました。しかし、むなしく数字だけは上がりますけれども、現実はどうか。単に独立行政法人に移管をする。そしてその給与は結局は一般会計から払うということでは、実際の削減に何もなっていないわけであります。そういう状況の中で25%という数字だけがむなしくひとり歩きをしております。

そして驚くべきことは、少なくとも国の行政機関の職員の定員については10%削減するということが中央省庁改革基本法に定められておりますが、その10%ですら、一方で10%削減し、他方でほかの理由で10%ふやすことも構わないんだと。つまり純減ではなくて形式的に10%減らせばこの法律で減らしたことになるんだ、という議論がまかり通っていることであります。小渕総理はそういったことはないんだ、コストを減らすためにきちんと法律で定められただけの10%削減は断固やり抜くんだ、そういう決意を国民に示すべきだと思います。

第2は、社会保障の改革であります。これは後に朝日先生がいろいろおっしゃると思いますので一言だけ申し上げますと、健康保険法の改正をしたときに、本人の負担が1割から2割になったときに、本来そのときに構造改革をしろ、こういう話がありました。しかし、当時の小泉厚生大臣は「時間をいただきたい。2000年度からは必ず構造改革、抜本改革をやる」という約束をされました。その約束が簡単にほごになってしまいました。結局は、今回の改正でも、単に高齢者の負担増が決まっただけであります。何の抜本改革もなされませんでした。当時の橋本総理や小泉厚生大臣の約束は見事に先送りされたわけであります。

そして第3は、金融システム改革であります。「日本版ビッグバン」の一つの目安は、2001年4月からのペイオフ解禁でありました。これを目標に改革が進められてきました。宮沢大蔵大臣は年末に記者会見の中で何度も「ペイオフの解禁は予定どおり行うべきである」ということを主張されました。しかし、与党3党の政策責任者会議で1年間延期が決まりますと、宮沢大蔵大臣は、その3党の調整の中身について自分がとやかく言うことはないということで、一言の反論もなくその結果を認めてしまったわけであります。与党3党が一致して延期を言ったのであればともかく、与党3党の中でも、延期をすべきでないという意見もあったにもかかわらず、大蔵大臣としてその与党3党の議論に一言の注文もつけず、その結果を認めてしまう。これでは大蔵大臣というのは一体何なんでしょうか。政府というのは一体何なんでしょうか。

特に私が問題だと思うのは、大蔵大臣もそうでありますが、小渕総理であります。このペイオフについて私は小渕総理が発言したことを一度も見たことがありません。この重要な問題についてまったくお任せであります。先般亀井政調会長が小渕総理はペイオフについても、あるいは介護保険の保険料についても、全部任せてくれる、まる投げだ、大変ありがたいと言っておられましたが、これほどの皮肉はないと私は思います。こんな「真空総理」では、はたしてこの国は一体どこに行くのか、我々のめざす改革は一体どうなるのか、あらためてそのことを主張しておきたいと思います。

そのほかの「六つの改革」の中の教育改革や経済構造改革、財政構造改革は、それにも増してまったく何も進んでおりません。

そういう中でもう一つだけ申し上げたいと思います。それは小渕総理自身が提唱された経済戦略会議であります。この経済戦略会議が意欲的な提言を行いました。もちろん内容にはいろいろあるでしょう。しかし、その提言を受けて小渕総理がそれをしっかりと実現をしていくというふうに多くの国民は期待したと思いますし、私もそのことを期待をいたしました。しかし、各省庁からいろいろな反論が出るに及んで、まさしく君子豹変して、この経済戦略会議の提言は事実上棚上げされてしまいました。これでは何のために提言を得たのか、まったくわからないじゃありませんか。

この経済戦略会議の取りまとめの中心人物の1人であった竹中平蔵さんは、最近新聞に、せっかくの提言を放置するというなら、会議という名の器をつくるだけという意味で「箱もの政治」と呼ばれるであろう、と言っております。経済戦略会議、21世紀日本の構想懇談会、少子化への対応を推進する国民会議、ものづくり懇談会、社会保障構造のあり方について考える有識者会議、教育改革国民会議など、次々に箱ものをつくりながら、その提言をつくるに当たって何ら方向性を示さずにまる投げし、そして出てきた結論はそのままほったらかしにするという、まさしく無責任で無内容な内閣が小渕内閣の本質であります。(拍手)

今こそ民主党は、こういった小渕内閣がはたしてこの国の未来にとってどうネのか、我々民主党と自民党のどちらがこの国の未来にとって本当に責任を果たしていく政党なのか、そのことを解散・総選挙によって問うべきであります。終わります。(拍手)

吉田議長最後に、ネクスト社会保障担当副大臣であります朝日俊弘君。

朝日俊弘(ネクスト社会保障担当副大臣)

社会保障を担当させていただいております参議院の朝日でございます。既に多くの弁士の方から指摘がございました。私は今国会は、本来であれば社会保障制度改革国会、こうあるべきだというふうに常々考えていました。昨年から引き続きの年金制度改正の法案が継続になっています。加えて、この国会では健康保険法の改正、医療法の改正、社会福祉事業法の改正等々、社会保障の大きな柱にかかわる法制度改正の提出準備がされております。それだけに私たちも大いに21世紀の社会保障のあり方をめぐってきっちりと論陣を張るべく準備を進めてまいりました。

しかし、先に結論を言います。もうこれ以上、今の3党連立で社会保障制度をいじってほしくない。ただちに新しい国会をつくって、その中でお互いに新しい21世紀の社会保障制度のあり方を模索しようではないか、このことを結論的に申し上げたいと思います(拍手)。

社会保障制度についていえば、私はいまの3党連立政権は非常にゆがんだ形の「やじろべえ政権」であると思っています。一方に、どちらがどちらとは言いませんが、一方に非常に社会保障の水準を切り下げて救貧対策におとしめようとする勢力これあり、もう一方で、ずいぶんと身勝手にあれやこれやばらまいて、ばらまき福祉で、「これが福祉だ」と言いたい党がこれあり。その真ん中にいる党は、裏に日本医師会等各団体を控えて、その利益をどう守るか、このことにきゅうきゅうとし、つい先日も総選挙が近いので某団体の選挙担当者を集めて、「診療報酬引き上げをちゃんと約束するから、選挙のことはぜひよろしく」と頼んだ党がある。こんな3党連立政権のもとでこれからの21世紀の社会保障のあり方を論じてほしくない。ぜひ一刻も早く解散・総選挙を行うべきだ。このことを繰り返し訴えたいと思います。

以上が結論ですからこれで終わってもいいんですが、あと一、二追加しておきたいと思います。

先ほどもお話がありましたけれども、まずこの年金制度であります。前回の財政再計算のときといいますから1994年、6年前、そのときから基礎年金についての国庫負担のあり方をちゃんと考えましょうと約束をしていた。だから今度の改正では、まずは何をおいても基礎年金についての国庫負担をどうするかの結論を持ってこなければ改正案になりません。そのことを先送りしておいて、出てきた中身はなんと給付水準を5%切り下げる、賃金スライドを廃止する、支給年齢を引き上げる、トータルで約20%の給付の削減を行うという中身であります。これではとうてい納得できません。ところが、今度の国会にまた新しい年金制度改正案が提出されているのをご存じでしょうか。物価スライドは、マイナスの場合にはマイナスでスライドします。この1年間マイナス0.3%の物価上昇でした。したがって、本来であれば物価スライドはことしは0.3削減しなければならない。ここはあえて凍結をして現状のまま維持しましょうという法案がくっつけて出された。やっていることがまったくちぐはぐであります。20%全体を削減しておいて、いやあ物価スライドの0.3%分は何とかしてあげましょう、これでは制度はゆがんでしまいます。

もう1点、給付水準について。これからは介護保険の保険料も高齢者の皆さんからいただこうという制度になっています。どういうわけか半年間は徴収しないということに去年なりましたが、さらに医療保険についても高齢者自身の皆さんからのご負担をいただこうと、こういう仕組みにつくり変えていかざるを得ません。とすれば、その原資となる年金の水準はきっちりと維持すべきであります。その意味で、給付水準をまずは基礎年金のあり方について、国庫負担のあり方についてきちんと結論を出した上で、当然私どもは全額を税法式で行うべきだということを提案しておりますが、まずは2分の1でもいい、ちゃんとすることをしておいて、その上で給付水準をどのように負担との関係で組み立て直したらいいのか、そこを明らかにすべきであります。

このような内容を持った今度の年金制度改正案、成立しないうちにぜひ解散・総選挙に持ち込みたいものだと思っています。

申し上げたい点はまだ残っていますが、もう一度申し上げます。今の3党連立でこれ以上社会保障制度の姿をわかりにくく、グジャグジャにしてほしくない。あらためて正々堂々私どもも21世紀の社会保障ビジョンを提示しつつ、新しい国会で論戦をし、結論をまとめたい、このことを訴えて私の話を終わります。ありがとうございました。(拍手)

質疑

■吉田議長以上をもって4演説は終わりました。これからご発言をいただく時間でございますが、実は今、国民の方々からたくさんのファックスや電話などで質問が届いておりますので、まずそれを披露し、それに対するご答弁からお願いしたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

■吉田議長それでは、その辺の質問などにつきまして枝野君からよろしくお願いします。

■枝野幸男ネクスト官房副長官

全国から、あるいは1件ワシントンからも、メールを多数いただいております。すべてにこの場でお答えすることができませんので、幾つかピックアップさせていただきまして、ご質問として各弁士にお答えをいただきたいと思っています。

まず1問目。フルネームはプライバシーの問題がありますので失礼をさせていただきます。ジュンジさんとおっしゃる方からメールをいただいております。「現在の国会こそ、どこかの大臣が言っていた『民主主義の誤作動』の状態です。一部の人間だけで、議論もなしに政治が動くなんてふざけています。与党3党は、民主党が折れるだろうと軽く見ています。ここは突っ張るべきです。そして現在の状況こそが政治空白そのものなのだと強くアピールするべきです」。鳩山代表からこのコメントに対するご意見をいただければと思います。

次に、片山様という方からご質問をいただいております。「政府・与党が提案した少子化対策の一つとして児童手当の拡充について民主党としてはどうお考えなのか、お聞かせ願えませんでしょうか。また、少子化対策は民主党としてどう思っておられるのか、お考えをお聞かせくださいませんでしょうか」。これは朝日社会保障担当副大臣からお願いできればと思います。

もう1問、「夫と子ども2人の4人家族のパートの主婦」という方からいただいております。「パートタイマーの非課税限度額(103万円)、これをオーバーすべきか、限度内で抑えておくか悩んでいます。家計を考えるともっと働きたいと思いますが、保育園の保育料が上がったり税金の支出もふえるので、悩んでいます。夫の収入も当てになりません。パートの皆さんはみんなこの問題で困っていると思います。この非課税限度額を期間を決めて月々2.5万円ぐらいアップできないでしょうか」。岡田財政担当大臣にお願いを申し上げます。

もう1点、「『もう一つの国会』の企画は、速やかなアクションですばらしいと思います。しかし、我々会社員は平日の昼間、インターネットに接続する余裕などございません。どうかこのあたりの事情もご理解いただいて、ぜひ土日か、平日の8時以降に設定いただきますようお願い申し上げる次第です」というメールもいただいておりますが、このメールには、本日の生中継をしております映像はそのままそっくり録画状態でわが党のホームページに載せさせていただきますので、繰り返し、あるいはきょうごらんになれなかった方に声をかけていただきまして、見ていただければというふうに申し上げたいと思います。
以上でございます。

■吉田議長それでは逐次ご答弁をお願いいたします。鳩山由紀夫君。

■鳩山ネクスト総理大臣

なにかサクラのような質問で、申しわけないなという思いがあります(笑)。まさに現在が「民主主義の誤作動」である、言うまでもありません。私は国会というものが何のためにあるのかを問いたい。もし国会がすべて多数決の原理で成り立つのであれば、野党はいらない。今の自自公連立政権は、衆議院で7割、参議院で6割を占めているということだけをもって、野党の我々に、論議をする必要はないと時間を与えてくれない。これは完全に民主主義を誤作動させている考え方であります。

実はきのう、某NHKテレビ(笑)、日曜討論に出たときに、別々でありましたが森自民党幹事長がこうおっしゃっていた。「私ども頭が、なんでしっぽに振り回されなければならないのだ」と。何ですか、この言い方は。自分たちが頭で、我々野党には頭がない、単なるしっぽだと。しっぽだから常に切り捨てていればいいと、そんな発想ではないか。この考え方が自自公全体に充満しているのではないか。だから自自公だけで議論をすれば、それがもうすべてなんだというばかりのこんな議会の運営、あったものではない。

まさに今こそ政治空白。私どもは決して議論がしたくないと言っているわけではない。現実に小渕首相、まさにその周辺に大変なスキャンダルが発覚をしている中で、本来ならば一刻も早く予算委員会など国会の中で論戦を挑んで、この不正を追及していきたい。

しかし、残念ながら今、議会が完全に乗っ取られている中で、数の横暴がまかり通っていく中で、私たちは中に入って審議をすることはできない。辛くとも私どもはここは我慢比べ、耐えなければならない。そして国民に向かって堂々と、どちらが正しいのか、問いただしていこうではありませんか。ご協力お願いします。(拍手)

■吉田議長次に、岡田ネクスト財政・金融担当大臣。

■岡田ネクスト財政・金融担当大臣今のご質問はパートの限度額の問題です。この問題は私もよく聞かれるんですね。特に11月、12月になると働く時間を減らして調整しないと税金がかかっちゃう、だからもう少し限度額を上げてくださいというお話はよく聞きます。二つ申し上げます。

一つは、この問題は基本的には課税を一つの家計単位でやっていくのか、それともご主人と奥さんで別々にやっていくのかという根本論があります。その根本論は、今民主党でも議論していますけれども、しかし、実はここで提案されているのは、それは横に置いて、今の景気対策として暫時期間を決めて毎月2.5万円ずつ枠を広げてくれませんかという、大変よく考えられたご提案であると私は思います。(「名答弁!」という者あり)

ありがとうございます。名答弁というより、質問がいいわけですが。この質問の中にはこういうくだりもあります。今読まれませんでしたので紹介いたしますと、「こういうやり方でやれば毎月2.5万円ぐらいの収入がふえれば、その収入を外食や家族レジャーにお金を使うようになり、それが2000年の景気回復のベースになるのではないでしょうか。去年やった商品券より効果はあるし、(拍手)予算もいらないし、決めればすぐにできるし」と。これはおっしゃるとおりでありまして、私はこの考え方に賛成であります。ぜひ民主党税調の中で前向きに議論をして、民主党の政策として検討したいと思います。貴重なご提案ありがとうございました。(拍手)

■吉田議長次に、朝日俊弘君。

■朝日ネクスト社会保障担当副大臣

ご質問ありがとうございました。といっても大変難しいご質問でありまして、一つは、少子化対策の一つとしての児童手当の拡充についてどうかということと、二つ目は、少子化対策について民主党はどう考えているのか、この二つでありました。

まず誤解のないようにお願いしたいことは、私たちは今日の時代、たしかに少子・高齢化社会であるという認識を持っていますが、そのことでもってただちに少子化対策、少子化対策と焦る必要はないと考えています。ましてや、そのために、「産めよふやせよ」といった時代に戻るようなことは決してやってはならないと思っています。そのことを踏まえた上で、しかし、そうはいっても働きつつ子どもを育てたい人たちが、もっと安心して子どもを産み、子どもを育てるための環境と支援はどうしてもつくっていく必要があるというふうに考えています。ここのところの基本的な考え方を踏み間違えないようにしていきたいと思います。

その上で、児童手当の問題については、既に一昨年になりますか、参議院選挙のときに民主党としての考え方をお示ししました。細かい数字は省きますが、考え方としては、現在の扶養控除を廃止をし、18歳までの子どもに対して児童手当を拡充するという考え方でつくっていきたいと思っています。しかし、これは緻密に計算をしないと、現状よりもある部分損をする人たちが出てくる可能性がありますので、そういう点をきちんと踏まえながら対応策を検討したいと思います。以上であります。(拍手)

■吉田議長以上をもちまして国民の皆さん方から直接寄せられました質問に対する答弁を終わらせていただきたいと思います。
あとはご出席いただいている皆さん方の中から特にご発言、ご意見等があれば承りたいと思いますが。

■会場発言

私は、こういう場は大変いい会合だと思います。こういうときに議員が街頭に出て、国会が開かれているのにもかかわらず、非常に適切な考え方で頭の下がる思いがしています。こういう会合であれば、民主党これから頑張って、ぜひ国民にこの真摯な態度を続けていただきたいと思います。やはり知的な活動で対抗していかなきゃ。

ある人に電話しながら「今の話というのは全然わからない。じゃあ私、これから東京に行ってきますから」。とにかく皆さんがわかるような形でやってほしいと、ただそれだけで。もし来てこの会合自体が私の感覚に合わなかったらどうしようと心配もあったんですが、その点ではある種の感動を覚えながら聞いています。国会がどういう形であれ開かれている間は、ぜひ場所を変えても、規模は縮小しても、続けていただきたい。それだけやっているのだからぜひこの場に来てやってくれという連絡があったときは、きちっと受けとめて、いつでも会の中に参加できるような体制だけはぜひ整えていただきたい。それは議運というんですか、その機能だけはぜひ向こうが切っても、こちらはきちっと、それこそバカ正直というんですか、知的な、そういう点では負けちゃいけないと思います。

暴力とか腕力とかいろんなものがあると思いますけれど、とにかくやればやるほど二律背反の世界に入り込む危険な要素がいっぱいありますけれども、先ほど経済関係においても二律背反だからやらない、一兎を追うんだと。それはやはりおかしいだろう。それと同じように議会運営にツいても非常に大事な時期だと思いますから、ここはバカ正直に、国会法にのっとってやっているなんていう話をきのう聞きましたけれども、たしかに彼らのほうにしてもそれはのっとっている面があると思います。でも、やはり細かいことじゃなくて、国民の目に見えるような、皆さんが出ていける体制をいつでもとっているんだよと。その点についてぬかりのないようにやっていただきたい。

■吉田議長大変いいご意見をいただきました。おっしゃるとおり我々そういう対処を進めてまいる覚悟でございます。ほかにございませんか。ないようでございましたら、ご発言はこの程度でとどめまして、最後に、仙谷官房副長官から集約をお願い申し上ます。

集約

■仙谷由人企画局長(ネクスト官房副長官)

僭越でございますが、菅直人官房長官が体調を崩しておりますので、ピンチヒッターの役を務めさせていただきます。本日のご議論で自自公与党3党及び小渕政権が、今の日本に緊急に必要とされております政治、経済、財政、教育、行政改革、そして社会保障改革についてまったく後ろ向き、というよりもアンシャンレジーム、反動であることが明らかになりつつあると思います。

小渕総理の所信表明を我々は聞いておりませんけれども、新聞紙上で拝見いたしますと、その表現において巧言令色。そして実態とは背反をする。先ほどまる投げの懇談会、審議会というのが出ましたけれども、まる投げをした懇談会の答申の言葉をつまみ食いをした「粉飾演説」でしかないということが明らかになりつつあると思います。

小渕さんが実施しようとする政策は、まったく危機感のない、そして日本を沈没させるばらまきそのものである。そして政権の運営の仕方は、言葉では「自立と協治」(自律?)という新しいすばらしい概念を前に出してきておるわけでありますが、その言葉とうらはらに、中央集権、権力を最大限強引に駆使して進めようとする強権政治でしかないことが明らかになりつつあると思います。

私どもは、この後2月3日に予定をしておりますが、「もう一つの予算委員会」で、きょう4議員から提起されました問題をより詳細に議論をし、そして批判をし、私たちの政権政策を練り上げて国民に提示をしたいと思っております。

なお、本日の資料の中にも入れておきましたけれども、小渕首相の政務秘書官古川俊隆さんが、NTTドコモ株を虚偽私文書を作成した上で窃盗したのではないかという重大な疑惑がきょうの報道でされております。私ども民主党は、この種の不正と腐敗を追及して、社会正義と政治の刷新を実現していく。そのためにこの「もう一つの国会」と「もう一つの予算委員会」、そして中央・地方における公聴会を私どもの知恵と熱意で成功させたいと考えておりますので、そのことを集約として皆さん方に申し上げて、ご協力とご支援をお願いをして、集約発言といたします。どうもありがとうございます。(拍手)

■吉田議長

ただいま仙谷由人さんから集約が行われました。きょうこうして私ども初めての「もう一つの国会」をここに開きました。怒りに燃えた皆さん方の結集の中に、見事なその成果を上げることができたと思うのでございます。特に国民の方々ともぴったりと呼吸の合った国会になり得たと思います。まさにそういう点できわめて充実した、迫力ある一つの国会であったとお互いに言うことができると思うのでございます。この上は、総力を挙げて津々浦々に我々の正しさを訴え、そして全国民の決起とともに必ず解散を実現させるために、さらなる前進をお願い申し上げる次第でございます。ご協力をいただきましてこの国会を終わらせていただきます。ありがとうございました。頑張りましょう。(拍手)

午後2時27分閉

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