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2001/06/08
仕事と家庭の両立支援法案<本会議趣旨説明>
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衆議院本会議・山花郁夫議員

ただいま議題となりました職業生活と家庭生活との両立を支援するための育児介護休業法の改正案の趣旨を御説明申し上げます。

本法律案は、ただいま厚生労働大臣から趣旨説明がございました政府提案の育児・介護休業法の改正法案では、仕事と家庭の両立支援策としてはなお不充分との思いから提案させていただくものであります。

 平成4年に育児休業等に関する法律が制定されて以来、介護休業の制定、育児休業給付、介護休業給付の創設など、男女労働者が仕事と家庭を両立できる環境整備が一歩一歩進んではおります。平成11年には出産した女性労働者に占める育児休業取得者の割合は56.4%と、実に半数以上となっており、子どもを持つ女性が職場復帰できるチャンスが広がっているといえるでしょう。

しかしながら、男性の育児休業取得者はどうでしょうか。配偶者が出産した男性労働者に占める育児休業取得者の割合は0.42%にすぎません。男女共同参画社会基本法の前文には「男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付け、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図っていくことが重要である」と謳われております。しかし、実際に育児・介護といった家庭責任の多くを担っているのが女性であり、働く女性が増える中、その負担感がいっそう重く感じられていることに変わりはないのであります。

子育ては一歳で終わるわけではありません。働く親を支援する制度とは、単に育児休業のみならず、子どもの看護休暇や短時間勤務制度の制度化といったきめ細やかな施策があってこそ、前進といえるのであります。

子が急に熱を出したから医者に連れて行かなければならない、看病をしなければならない、あるいは怪我をしたから迎えに行かなければならないというときに、だれもが祖父母やベビーシッターに頼めるわけではありません。諸外国において家族のための看護休暇を認めている国はたくさんあります。多くの働く親たちは有給休暇を使用することによって対処しております。また、幼い子どもの親はまだ若いのが通例であり、有給休暇の取得日数も必ずしも多くはありません。これを使いきってしまうと、この度の政府案によっても、緊急の際には欠勤扱いを甘受するほかはありません。

小泉総理は最近、「両立支援」であるとか、「男も女も仕事と育児」といった言葉をよくお使いになられます。これを単にキャッチフレーズに終わらせないためにも、小泉総理を支える与党の議員の方々、森内閣の下で提出されていた政府案からさらに踏み込んだ施作を内容とする、民主党案に耳を傾けて頂きたいと思います。


次に本法案の内容を簡単に御説明いたします。

第1に、育児休業制度を改正し、男親も取得しやすい制度に変更します。現行は子が1歳になるまでの連続した期間、育児休業ができるとなっておりますが、子が小学校就学の始期に達するまで分割して取得できるものといたします。育児休業の期間は労働者一人につき原則7ヶ月としますが、両親とも働いている場合には、パートナーに6ヵ月譲ることができるものといたします。つまり、1ヵ月は譲りわたすことができませんが、両親とも育児休業を取得すれば最長14ヵ月、片方の親しか取得しなければ最長13ヵ月となる仕組みであります。

さらに現行法の下では、労使協定によって制限されている、配偶者が専業主婦であるケースなど、子を養育できると認められる場合についても、育児休業の取得ができるものといたします。

第2に、小学校就学の始期に達するまでの子を看護するための休暇を創設いたします。日数は原則、子一人につき年間10日、上限を15日とするものといたします。

第3に、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、1日の所定労働時間の4分の1以下の範囲内で勤務時間の短縮をしなければならないものといたします。

第4に、育児・介護休業、看護休暇、勤務時間の短縮等の措置を請求、受けたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものといたします。この「不利益な取扱い」は、政府案においても目玉となっているようでありますが、民主党案ではたとえば育児・介護休業から復帰したときに原職または原職相当職に復帰させること、短時間勤務に際しての賃金その他の労働条件について、請求前の賃金その他の労働条件との均衡を保つようにすることも含むものといたします。

第5に、期間を定めて雇用される労働者のうち実質上期間の定めなく雇用されているものとして厚生労働省令で定める要件に該当するものについては、育児休業及び介護休業の取得ができるものといたします。

その他、時間外労働・休日労働の制限、深夜業の制限、就業場所の配慮等、所要の規定に関する整備を行うこととしております。

今日においても、育児、介護は女の仕事であると考えている人々が男性、女性を問わず少なくないことは、決してこれは否定はいたしません。しかし、性に基づく役割分担に疑問を持ちながら、仕事と家庭を両立させようと歯を食いしばって頑張っている多くの人々のためにも、法整備は急務であります。私たちは、価値観の多様化した現代社会において、特定の価値観を他人に押しつけることなく、異なった価値観を持つ人々が、意見の違いはあってもお互いに理解し合い、そして、尊重し合える社会を築いていかなければいけないと考えます。
 男女ともに、仕事も育児も介護も、ともに助け合いながら両立していくことのできる、二十一世紀の新しい日本の社会を築いていくため、全会派の御賛同により本法案を成立させていただきますようお願い申し上げまして、趣旨の説明といたします。

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