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2002/05/10
使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)案に対する質問
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民主党 鈴木康友


民主党の鈴木康友です。只今議題となりました使用済自動車の再資源化等に関する法律案、いわゆる自動車リサイクル法案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問させて頂きます。

私が初めて地球の有限性を強烈に意識したのは、ローマクラブの発表した「成長の限界」でした。マサチューセッツ工科大学のデニス・メドウズ助教授らが豊富なデータに基づき作成したレポートにより、それまで漠然と信頼しきっていた地球のポテンシャルが、実は想像以上に小さく、か弱いものであることを思い知らされました。

その後まもなく、エントロピー理論が話題になりました。熱力学の第二法則であるエントロピー増大の法則を援用し、野放図な大量生産、大量消費、大量廃棄を続けていけば、地球上のエントロピーが無限に増大していって、人類はやがて生きていけなくなるという警鐘を鳴らしたものでした。

こうした数々の警告は、人類が環境に配慮した循環型社会を形成していかなければならないという共通認識を生み出しました。しかし、基本的には未だ認識のレベルにとどまっているといわざるをえません。壮大な循環系を築く作業は緒についたばかりです。

日本でも2000年の循環型社会基本法の制定を皮切りに、堰を切ったように次々とリサイクルの法体系が整備され始めました。循環型社会とは、環境と経済が両立する社会だと定義をする専門家もいますが、小泉総理も今国会の施政方針演説の中で、環境と経済の両立を達成するための仕組み作りを目指すと言っています。そこで、施政方針を具現化する立場にある担当大臣として、経済産業大臣に、環境と経済が両立する仕組みとはいかなるものであるのかを、始めにご質問いたします。

使用済み製品のリサイクルの中でも自動車は、複雑な構造をもち、使用期間が長く、関連する産業部門の裾野も広く、またグローバルなマーケットを有するなどの特徴を持ち、このリサイクルシステムの確立は、リサイクル政策上非常に重要な意味を持っています。EUでもELV,すなわち使用済み自動車のEU指令に基づき、各国で自動車リサイクルシステムの整備が進んでいますが、EUにも日本にも共通しているのは、拡大生産者責任の考え方が仕組みの根底に存在することです。拡大生産者責任は、生産者が生産・使用段階だけでなく、製品が廃棄物になった時まで一定の責任を負うというものですが、この具体的責任範囲をどうするのかということは、制度によりまちまちです。そこで、本法案における拡大生産者責任とは、いかなるもので、生産者はどこまでの責任を有しているのか、経済産業大臣に具体的答弁をお願いします。

循環型社会基本法によれば、講ずべき対策は、第一にリデュース、すなわち発生抑制、第二にリユース、すなわち再利用、第三にリサイクル、すなわち再生利用の順です。つまり、リデュースが一番の上位概念であり、いかに廃棄物を少なくするかという価値が最も優先されなければなりません。自動車の場合、EU基準に合わせて2015年までには、95%以上のリサイクル率を達成するという目標が設定されており、各メーカーは設計段階で、いかにリサイクルしやすい車を作るかということにしのぎを削っています。しかし、一方においてこの問題における国の果たす役割は不明瞭です。国は一体どのような支援措置を講ずるのか、あるいは技術開発の推進にどのような役割を果たすのか、経済産業大臣にお伺いいたします。

本法案の最大のポイントは、リサイクル料金をいかに徴収、管理するかという点です。議論の末、自車充当方式で、ユーザーから徴収した料金を、第三者機関が管理するという仕組みに収斂したわけですが、引当金制度を導入し、メーカーがそれぞれ内部で管理をするという考え方もあったはずです。現にドイツなどでは、後者を採用し、引当金制度を創設してメーカーが個々に管理する方式で整備が進められています。わが国においては、現在行革が国家的課題であり、多くの特殊法人、公益法人の見直しが進む中、なぜあえて公的資金管理法人に管理を任せる方式を選んだのか。引当金制度より公益法人を選んだ政策的優越性は何であるのか、経済産業大臣にお伺いいたします。

また、新しい公益法人作るにしてもあるいは既存の公益法人を利用するにしても、一兆円以上の資金を有する、一歩間違えば巨大な利権を生み出しかねない法人が誕生することについて、行革を推進している立場としてどういう認識をお持ちになっているのか、行革担当大臣にお伺いいたします。

公的資金管理法人で資金管理をするということになれば、その法人の透明性、公正性をどう確保するかということが重要なテーマとなります。さらに特殊法人や公益法人が、主管省庁の利権の温床になっているという問題が指摘されている中、資金管理法人が経済産業省からいかに独立性を保つのかということも考慮しなければなりません。また併せてこの法人が、絶対天下り先にならないということも担保されなければなりませんが、経済産業大臣、いかがでしょうか。ここは極めて重要な部分ですので、明快な答弁を求めます。

輸出された中古車のリサイクル費用の取り扱いについては、リサイクル費用を最終ユーザーに返還するとしていた産業構造審議会の第二次報告書案に対するパブリックコメントで、費用を返還する必要はないという意見が多数を占めました。そこで費用返還については慎重に検討する必要があると報告書が修正されたにもかかわらず、本法案では、結局返還に応じることとなったのはなぜでしょうか。この費用は、資金管理法人にプールし、ユーザー全体に還元したり、不法投棄対策などに利用する方が合理的であると考えますが、経済産業大臣のご所見をお伺いいたします。

最後に与党のみなさまに一言申し上げます。小泉内閣が成立して一年が経ちました。各マスコミを含め、あちこちで「小泉内閣の一年」という総括が行われています。

しかし小泉内閣の場合、私はその劇的な成立過程を考えれば、細かな分析や政策評価よりも、国民のみなさんがこの一年を納得しているかどうか、評価の基準はこの一点にかかっていると思います。残念ながら、国民の多くは期待はずれという見方をしている点で厳しい評価を下さなければなりません。

政治は結果がすべてです。この一年の内閣の実績を見れば、結果が落第であることは火を見るより明らかです。仮に百歩譲って、まだ一年だから目立った成果が出せない、という言い訳を受け入れたとしても、ならばせめて将来へつながるような期待や希望を国民に与えたのかを問いたいと思います。残念ながらこれもない。むしろ国民から夢を奪い、大きな失望感のみを残しました。期待が大きかっただけに、その罪は重大です。

私の政治スローガンは、「こわす勇気、つくる情熱です」。昨年小泉総理が、この壇上で「自民党を壊してでも、構造改革をやり抜く」と力強く語った時には、この人は、こわす勇気とつくる情熱を持ったはじめてのリーダーだと、身震いするような感動を覚えました。一年たってみて、そんな気概は総理に微塵もないことを思い知らされました。

もはやこの国を救う残された道は、政権交代しかありません。先日、台湾を訪問いたしました。ご承知のとおり、台湾は国民党政権から劇的な政権交代を実現しました。変わる、変えられる、ということを実感した国民は、活気に満ちています。

今の日本に一番必要なものもこの変化です。国中に漂うどんよりとした閉塞感を打破するためには、政権交代によって、政治が、そして日本が、確実に変わるということを、国民のみなさんに実感してもらうことしかありません。

その意味で、「最大の構造改革は政権交代である」ということを申し上げ、最後に与党のみなさんには、政権交代をしても皆さんのリサイクルは、私たちがしっかり引き受けますので、安心してご退陣頂きますことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。

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