民主党厚生労働NC大臣 山本孝史
民主党難病対策作業部会担当 谷 博之
1. 基本的な考え
・難病対策は、国民全体にとって温かい構造改革に必要なセーフティネット。
・安定した制度運用のためには、理念を明確にする法制化が必要。
・法制化による制度安定化なしの患者負担増、対象疾患の切り捨てに反対。
2. 難病対策の推進に関する法律(仮称)を制定(別紙参照)
・「難病」を初めて法的に定義。その際、「希少性」を除いて3要素とする。
・難病対策要綱に代わり、国の責務を明確に示し、社会連帯の理念を明記。
・障害者福祉、介護保険、児童福祉、精神保健など既存の制度との連携を図り、その谷間を埋める理念法。
3. 難病対策の対象疾患を整理
・新たな「難病」の定義に基づき、対象疾患の見直しを行う。
・見直しの舞台は、特定疾患対策懇談会を改革するか、新たな場を設定し、広範な患者・家族団体や自治体の参加など透明性を確保した仕組みとする。
4. 医療費公費負担の予算は現状維持
・政府の医療制度改革案(サラリーマンの自己負担増)に反対し、難病患者の自己負担も今以上には増やさない。所得制限の導入に反対。
・推進法制定により制度的補助金として位置づけ、国・自治体の適当なバランスがとれるよう、国の予算を維持。
・公費負担の目的は、長期療養等により医療費が高額となる難病患者の自己負担の軽減を図るという福祉的目的を明示し、研究と切り離す。
・研究は純粋な研究目的に特化して効率化、常に成果を検証し見直していく。
5. 長期的には障害者福祉法制の抜本改正に取り組む
・財政状況の好転を待って、来年で10年目になる障害者基本法の改正に取り組む。社会生活困難度、稼得能力の視点を加えるなど障害認定基準を抜本改正し、障害者施策の対象を大幅に拡大。
・アレルギー性皮膚疾患など難病以外の実質的障害者への施策の充実や、エイジフリーの立場から、難病対策と小児慢性特定疾患事業の統合を実現。
難病対策の推進に関する法律案大綱
1.目的
この法律は、国民の健康の保持を図る上で難病対策に積極的に取り組むことが重要であることにかんがみ、難病対策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、難病対策を総合的に推進し、もって難病患者の福祉の増進と国民保健の向上に寄与することを目的とすること。
2.定義
(1) この法律において「難病」とは、医学的に原因又は発症の機序が解明されておらず、かつ、発症を予防し、その症状の進行を阻止する等のための治療方法が確立されていない疾病であって、発症することにより長期にわたり療養が必要となり、又は障害を生じさせることになるものをいうこと。
(2) この法律において「難病患者」とは、難病にり患している者をいうこと。
3.基本理念
(1) 難病対策は、難病の原因(難病の発症の機序を含む。以下同じ。)の究明、治療方法の確立等のための調査研究を適確に推進することにより、難病患者がその成果を活用した必要かつ適切な医療を受けることができるようにするとともに、難病患者が置かれている状況を踏まえ、その福祉の向上を図るために難病患者に対し必要な援護を行うことを基本として、行われるものとすること。
(2) (1)の難病患者に対する援護に関する施策は、難病患者の心身の状況及び年齢並びに難病の種類に応じ、かつ、障害者の福祉に関する施策、児童の福祉に関する施策その他の関連施策との有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならないこと。
4.国及び地方公共団体の責務
(1) 国及び地方公共団体は、3の基本理念にのっとり、難病対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有すること。
(2) 国及び地方公共団体は、難病対策が総合的かつ効果的に実施されるよう、相互に連携を図らなければならないこと。
5.国民の責務
国民は、難病患者が置かれている状況について理解を深めるとともに、社会連帯の理念に基づき、難病患者がその難病を克服し、社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならないこと。
6.実施に関する方針
(1) 政府は、難病対策を総合的に推進するため、難病対策の実施に関する方針を定めなければならないこと。
(2) 政府は、(1)の方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。
7.年次報告
政府は、毎年、国会に、政府が講じた難病対策の実施の状況に関する報告を提出しなければならないこと。
8.財政上の措置等
(1) 政府は、難病対策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならないこと。
(2) 国は、地方公共団体が難病対策を策定し、及び実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならないこと。
9.基本的施策
(1) 調査研究の推進等
国及び地方公共団体は、難病の原因、予防及び治療に関する調査研究を推進し、並びにその成果の普及を図るため、研究体制の整備、研究者の養成、医薬品の研究開発の促進、調査研究及びその成果に関する情報の提供その他の必要な措置を講じなければならないこと。
(2) 調査の実施
国及び地方公共団体は、難病の実態に関する調査その他の難病対策の策定及び実施に必要な調査を実施するものとすること。
(3) 医療の提供体制の整備
国及び地方公共団体は、難病患者が適切な医療を受けることができるよう、難病患者の医療の確保その他の医療の提供体制の整備のために必要な措置を講じなければならないこと。
(4) 医療費負担の軽減
国及び地方公共団体は、長期の療養等により医療費が高額となる難病患者について、その医療費に関する負担の軽減を図るために必要な措置を講じなければならないこと。
(5) 相談等の支援
国及び地方公共団体は、難病患者の保健医療及び福祉に関する情報の提供、相談、指導その他の支援を行うよう必要な措置を講じなければならないこと。
(6) 日常生活に係る支援
国及び地方公共団体は、日常生活を営むのに支障のある難病患者に対し、日常生活を営むのに必要な便宜を供与し、福祉用具の給付を行う等必要な措置を講じなければならないこと。
(7) 施設の整備
国及び地方公共団体は、難病患者の保健医療及び福祉に関し必要な施設を整備するよう必要な措置を講じなければならないこと。
(8) 教育
国及び地方公共団体は、難病患者の心身の状況及び年齢並びに難病の種類に応じ、十分な教育が受けられるよう必要な環境の整備の促進に努めなければならないこと。
(9) 雇用
国及び地方公共団体は、難病患者の就業の機会が確保されるよう、情報の提供、職業指導、職業紹介その他の必要な措置を講じなければならないこと。
以上
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