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1999/08/13
1999年民主党の障害者政策(中間まとめ)
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民主党障害者政策PT


まち(Hard)・情報(Soft)・こころ(Heart)の100%バリアフリー社会をめざそう!!


 1981年からの「国連・国際障害者の10年」は、世界中に「ノーマライゼーション」の理念を広めました。障害者の社会参加と平等、自立した生活支援をすすめ、すべての人々がともに暮らせるバリアフリー社会を創ろうという目標を私たちに示した時代でした。これからの21世紀、私たちはその理念・目標を私たちの社会に結実させてゆかなければなりません。障害者(高齢者・病者・子ども)がいきいきと暮らせる社会は、すべての人がいきいきと暮らせる社会です。
 わたしたち民主党は、障害者の参加による政策づくりとその政策の実現に全力で取り組むとともに、国連が進めるノーマライゼーションの基本指針=「障害者の機会均等化に関する標準規則」の国際条約化を国内外でサポートします。



【バリアフリーを「点」から「面」へ】

 21世紀日本の超高齢社会は少なくとも体の不自由な人が増えるということ、これまで当たり前とされてきたスタンダードを見なおす視点がなにより求められています。街の中で自由に暮らせる、バリアフリーの地域コミュニティーづくりは21世紀にむけた欠かせないインフラストラクチャー整備です。ひとつひとつの建物のバリアフリー(点)から、道路・歩道や公園なども含めたまち全体のバリアフリー(面)を進めて行かなければなりません。

 福祉のまちづくりは、現在、自治体主導の条例や要綱を基本に進められています。民主党は、「福祉のまちづくり整備法(仮称)」を定め国の果たすべき役割も明確に示します。また、「ハートビル法」の機能強化をはかるとともに、「建築基準法」を改正して、目的の「安全」「防災」「衛生」に「バリアフリー」を加え明記することで基本ルールとしてのバリアフリーを進めます。

また、高齢者・障害者の住まいの不安解消のために公営住宅の役割を一層進めます。


【アクセスフリーの公共交通システム】

だれでも、いつでも、安全に利用できる公共交通システムの整備は社会参加の前提条件のひとつ、障害者・高齢者はもとより子どもを連れた家族までアクセスに問題を抱えるすべての人にやさしい交通システムを創っていかなければなりません。

民主党は、すべての人がアクセスしやすい公共交通実現のために、事業者の計画的な設備改善と公的な補助、利用者を交えた協議会の設置などを骨子とする法律「交通アクセス法(仮称)」を新たにつくります。またマイカー時代の反面、路線バスの廃止などマイカーを持たない・持てない人たちの地域内の移動の交通手段が新たな問題となっています。特に障害者・高齢者にとってはユニバーサルタクシーやハンディキャブなどドア・ツー・ドアのスペシャルトランスポートシステム(ST)の充実も必要。民主党は、法律の改正も含めて関係省庁と自治体においての早急な対策を進めるとともに、1人では外出が難しい人のためのガイドヘルプサービスや盲導犬・介助犬などの整備を進めます。


【考えよう情報バリアフリー】

私たちの生活にとって情報はますます欠かせない必需となりました。どんどん進む情報化社会、情報バリアフリーも進めなければなりません。たとえばパソコン、ウィンドウズの普及でパソコンは一気に身近になりました。けれど見てわかりやすいウィンドウズの標準化は、視覚障害者にとっては逆にパソコンを使いにくいものとしてしまいました。

民主党は、技術や情報化が高齢者や障害者をとり残して進む社会ではなく、技術や情報化がノーマライゼーション社会の土台としてその役割を果たす社会をめざします。高齢者・障害者の情報アクセシビリティーを重視した情報バリアフリーを積極的に進めるとともに、家電製品から自動販売機、ATM、電子マネーサービスに至るまで、障害者や高齢者が利用しやすい・利用できる「ユニバーサルデザイン」を技術標準とするための基盤整備やルールづくりに取り組みます。また、利用しやすい福祉用具や補装具など社会参加支援機器の開発を推進します。


【ともに学び、ともに育つ教育の場を】

いま、障害をもつ子どもの学校教育は、「特殊教育」呼ばれる「盲学校・聾学校・養護学校」、「特殊学級」など分離教育が原則とされています。私たちの社会をともに生きることが「当たり前」の社会にするのであれば、社会のあり方を学ぶ学校教育の場もともに生きることが「当たり前」でなければならないでしょう。

民主党は、障害を持つ子も持たない子も、ともに学び、成長していく統合保育・統合教育制度を原則とすべきと考えます。障害はなにも「特殊」なことではない、障害もひとつの個性としてお互いを認め合う、それは障害を持つ子にとっても持たない子にとってもとても大切なことだと考えるからです。


【資格制度へのアクセスを見直す】

たとえば自動車運転免許や医師免許をはじめ法律に基づく各種の資格制度では、現在、その法律自体に障害を理由とした様々な制限(欠格条項)が設けられています。

民主党は、この障害を理由にした欠格条項は障害者の社会参加への大きな「制度の障壁」だと考えます。人は障害の有無にかかわらずチャレンジする権利があるはずです。見直しの基本は入り口のところで門を閉ざしてはならないということ、門前払いの「欠格条項」は廃止して、あくまでひとりひとりの能力にあわせて受験や資格内容を決定するシステムに改めます。


【進めよう!障害者の政治参加】

バリアフリー社会実現のためには政策や計画の作成について当事者の参加を得ることが重要。行政の設置するバリアフリー施策を進めるための協議会や審議会に障害者や障害者団体からの代表委員を増やしていくことも必要です。選挙を通じての政治参加の保障も重要です。投票所となる学校などの段差解消をはじめ選挙情報の提供や投票補助など選挙参加のための条件整備が求められています。

民主党は、これら政治参加のバリアフリー化を進めるとともに、選挙活動や選挙運営の改革などを通して障害者の議会へのチャレンジを応援します。



キーワードは安心・安定、地域と参加、つくろう参加型・価値創造型の福祉社会!!


 私たちが21世紀の福祉を考えていく土台は大きく変わりました。 ノーマライゼーション理念で施設中心から地域生活サポートへと福祉のめざす方向性は大きく変わりました。高齢者介護と子育て支援を中心に福祉サービスへのニーズは広く大きくなり、利用しやすさとサービスの質が問われてきました。また、国や自治体の財政悪化で福祉や医療・年金への風当たりは強さを増す一方で、お荷物扱いされてきた保健・医療・福祉が新しい産業分野として、また特に新たな雇用を創り出す分野として積極的に評価されてきています。
私たち民主党は、1.サービスを必要とする人が必要なサービスを受けることができる、2.利用者の選択と提供者の競争でサービスの質の向上と効率化めざす、3.国や自治体、民間事業者、NPOやボランティアが特色を活かしながら公私協同の役割を担う、安心・安定の参加型・価値創造型福祉社会をめざします。


【いますぐ「新・障害者プラン」づくりをはじめよう!】

1995年策定の「障害者プラン〜ノーマライゼーション7カ年戦略〜」は、2002年の計画最終年に向け施設整備を中心に着実に進んではいます。しかし在宅サービスや精神障害者社会復帰施設の整備については非常に心配な状況です。

民主党は、1.「措置制度」から「利用契約型」へ福祉サービスの流れ、2.障害者の実体構造の変化、これら2つのポイントからいますぐ障害者プランを見直し「新・障害者プラン」を策定することが必要と考えます。


【「新・障害者プラン」で安心できるサービスの質と量】

 障害者福祉サービスをこれまでの「措置制度」から「利用契約制度」とする社会福祉事業法等の改正が予定されています。利用者選択という視点はとても大切。利用しにくい、供給側・施設中心の措置制度を、利用しやすい・利用者の視点に立った制度・サービスに変えることは積極的に進めていかなければなりません。しかしこれまでも問題とされてきた申請権・受給権など権利性の問題やサービスの質・量など実効性の問題などクリアすべきハードルも依然高いと言えます。

制度を変えても選択できるだけのサービスがなければ絵に描いた餅、また競争によるサービスの質の向上や効率化も考えられません。民主党は、障害者の安心できる生活のためにも福祉サービス利用契約制度への転換も踏まえていますぐに「新・障害者プラン」づくりを始めます。


【制度の隙間をうめる「新・障害者プラン」をつくろう】

障害も病気もそれが原因となって日々の生活や社会参加に制約・不利益が生じることでは同じです。いまの福祉サービスは、いわゆる難病などで長期療養を余儀なくされる人や色覚特性(色弱)の人などのニーズに必ずしも応えきれてはいません。医療と福祉の制度の狭間で必要なサービスを受けることができない、このような事態は改めて行かなければなりません。

 民主党は、制度の隙間で苦しむ人の無い福祉サービスシステムづくりをめざして「新・障害者プラン」づくりを進めます。


【「新・障害者プラン」で社会復帰を進めよう!】

○精神疾患はストレス社会を反映しうつ病などを中心に急増しています。一方、分裂病などの長期入院患者(34万人入院患者のうち半数が5年以上)の社会復帰も積年の課題となっています。

 民主党は、34万人の入院患者に対して5500人分と整備が極端に遅れている社会復帰施設と在宅サービスの緊急整備計画を「新・障害者プラン」に位置付け家族や地域の受入体制の整備を進めるとともに、医療と福祉サービスの連携と精神科リハビリテーションプログラムの充実をめざします。


【就労・雇用は社会参加の大前提】

長びく不況で雇用の状況は非常に悪化しています。障害者にとってはよりシビア、せっかく仕事に就けた障害者も解雇の数が増えています。民主党は、緊急雇用対策に障害者枠を追加し障害者雇用の確保に全力を挙げます。

○一日も早い法定雇用率の達成は強力に推し進めて行かなければなりません。その上でさらにきめこまかな仕組みづくりが求められています。民主党は、体験的・試行的な就業の後に雇用・

採用を決定するインターンシップ制度や在宅就労のコーディネートなど障害者と事業主をつなぐ新たな政策を強力に推進します。

○障害者が体験・ノウハウを活かした介護サービスや福祉・情報通信機器の開発などビジネスにチャレンジしています。民主党は、障害者の「起業支援」を進めます。


【雇用と生活、安心は一体の取り組みで】

障害者の保健・福祉サービスを担う厚生省、雇用・就労を担う労働省、中央省庁再編で厚生労働省として一つになります。新しい機構原案では厚生省大臣官房にある障害保健福祉部を社会・援護局に移行するとしています。しかし障害者施策を総合的・強力に推進するため3局3課にまたがっていた担当課を統合し大臣官房に障害保健福祉部を創設したこれまでの経緯や趣旨から到底賛成できません。縦割りを超えて労働行政と厚生行政との連携を大きく進めるチャンスです。

民主党は、お役所のセクショナリズムを無くし国民のニーズに応じた体制を整える中央省庁再編のモデルケースとして、新しい厚生労働省に障害者の雇用・就労と福祉サービス、自立支援を一体として担う新しいセクションを設けるべきと提案します。


【基本法改正で政治のリーダーシップを】

障害者の憲法=「障害者基本法」は、1993年、障害者を社会の一員としあらゆる分野への参加を進めようと、政治主導(議員立法)で改正されました。民主党は、基本法の理念と目標の実現に向けて政治のリーダーシップがさらに必要と考えます。

○総理府障害者施策推進本部の本部長は総理大臣、けれどもその権限は形骸化しています。

中央省庁の組織改革にあわせ、副本部長として専任の国会議員をおくとともに、中央障害者施策推進協議会の機能を内閣府に移し調整権限の強化をさらに図ることが必要です。

○民主党は政治主導で実効力ある体制をつくり、差別禁止や人権擁護のためのオンブズパーソン制度、地域基盤づくりのための市町村障害者計画策定の義務づけなど、基本法の理念と目標を具体化する施策を積極的に進めていきます。

以上

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