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2002/04/19
「健康保険法等改正案」に対する質問
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民主党 衆議院議員 釘宮 磐

(はじめに)

 民主党・無所属クラブを代表して、健康保険法案など政府提出2法案、並びに山井君ほか提出によるいわゆる「患者の権利法案」について質問します。

 小泉総理、私は5年前にタイムスリップした思いがします。
 当時、私は参議院での国会論戦の中で、あなたの厚生大臣としての医療制度抜本改革実現への強い決意を感じ取り、「この人ならやるのでは」という期待感から、野党に身を置きながらも97年の健保法改正法に賛成をいたしました。
 しかし、その期待は見事に裏切られました。

 今にして思えば、自民党をぶっ壊してでも構造改革を実現すると国民に強烈なアピールを送り、大きな期待を持たせたあなたが、未だもってみるべき成果もなく国民に失望感を与えている姿を見るにつけ、それが小泉総理、あなたの常套手段だったのかと人間不信に陥ってしまいそうであります。

 あなたは総理就任後、遅々として進まない構造改革に対し、「まだ就任して数ヶ月しか経っていない」と弁明していました。そして1年を経過した今日では、英国のサッチャー元首相を引き合いに出し、彼女の改革は5年かかったと言い出す始末であります。結局あなたは、「ノーアクション、トークオンリー」の総理大臣ではありませんか。

 あなたは、これまで自民党の抵抗勢力と実に上手に妥協を繰り返しながら一方で野党や国民を手玉に取って来ました。今、あなたの正体がまさに露見したのです。もはや国民は小泉改革の中身の無さを十二分に知っています。
その証拠にあなたが唯一頼りにしていた支持率は、坂道を転げ落ちるように下がり続けているではありませんか。

 総理は、今回の健保法案を医療制度改革の関連法案として提出されましたが、与党内ですらいまだに異論・反論がくすぶっている本法案が、本当に21世紀にふさわしい医療保険制度になるとお思いですか。将来とも安心できる医療保険改革だと国民に向かって胸が張れますか。

3割負担にすれば抜本改革が進むという論理もまた、「変人」といわれた総理ならではの論理ですが、我々には到底理解できません。法案の附則に羅列された抜本改革の努力目標など、誰も実現できないと思っています。

 5年前は厚生大臣だから出来なかったけれども、今度は総理大臣だからやれると、あなた独特の論理を持ち出し、強がって見せていますが、誰が信用するでしょうか。

 総理、今あなたに課せられた責務は、政治不信を招いたこれまでの経過を猛省するとともに、5年前と同様、今回もまた同じ愚行を繰り返そうとする本法案の即時撤回を決断すべきだということをまず申し上げ、以下質問に入ります。


(総理発言の矛盾について)

 まず、総理の発言の矛盾について伺います。
 あなたは、5年前、厚生大臣として抜本改革を2000年までに実施することを条件に2割負担を提示しておきながら、改革をすべて先送りにして来ました。にもかかわらず、今度は総理として、3割負担にしないと抜本改革はできないとおっしゃっておられる。これでは、場当たり的な方便をくり返し国民を騙していると言われても仕方がないのではありませんか。

 総理、この5年間抜本改革が先送られて来たことは、国民に対する公約違反ではありませんか。この責任は一体誰がどのようにとったと言うのですか。せめて、国民に当時の責任者の一人として謝罪すべきではありませんか。
また、あなたは3割にしないと抜本改革ができない、改革が遅れると答弁していますが、それはどういう意味ですか。
ここは非常に重要な点ですので、明確にお答えいただきたい。


(総理が3割にこだわる理由)

 なぜ総理がこれほどまでに3割負担にこだわるのか。私は、国民に改革後退のイメージを見せないため、たったそれだけの理由で、頑固なまでに3割と言い続けたのではないかと思うのです。
 
 総理は就任以来、自分の言葉にこだわりを見せて来ました。組閣では「派閥の論理を持ち込まない」「一内閣、一閣僚」、さらには「国債発行30兆円枠の堅持」、こうした発言を頑なに守って来たあなただから国民は大きな期待を抱いたのです。信用できると思ったのです。

 ところが、今年はじめ、総理は外務省問題とくに田中元外務大臣をめぐる問題に振り回され、田中元外相を更迭した結果、内閣支持率は大暴落してしまった。これ以上、支持率を下げたくない総理は、公言していた3割負担導入を自民党族議員の反発で撤回してしまうと支持率低下に拍車がかかると判断、3割負担こそが改革の象徴のように振る舞ったのではありませんか。

3割負担に固執する総理と、医師会へのアリバイ作りとして負担増先送りを画策する自民党族議員。この両者の妥協の産物が、今回の健保法案ではありませんか。どこが21世紀を見据えた制度改正ですか。国民にとって全く迷惑な話ではありませんか。
総理、反論があればお聞かせ下さい。


(総理の責任について)

 このような法案について、総理は、3割負担は将来とも堅持するし、抜本改革も今年度中に基本方針をつくり来年の通常国会に法案を提出すると答弁しています。
それではお聞きしますが、小泉総理、仮にこれらが実現できなかった場合、政府・与党として責任はどのようにとるおつもりですか。国民だけに痛みを強要し政治家は何も責任をとらない。これでは、政治不信はますます募るばかりではありませんか。
 断固、改革実行と言うのなら、当然、実現出来なかった場合、総理自ら責任をとるぐらいの覚悟が必要だと考えますが、総理いかがですか、お答え下さい。


(三方一両損、政管健保の民営化について)

 「三方一両損」という言葉も総理は繰り返しお使いになったておられます。私は、抜本改革の先送りで国民だけに負担が押しつけられる「一方三両損」だと思いますが・・・・。
ともかく政府は、当初、患者・保険者・医療機関の三者が等しく痛みを分かち合うとしていましたが、途中から国が入っていないと気づき、政府自ら政府管掌健保の民営化構想を持ち出してきました。
 ところが、連立与党内で拙速とされ、その後の政府・与党合意では立ち消えになっている始末です。

 坂口大臣、あなたは、この間の国会審議で政管健保の都道府県単位分割論を披露され、民営化構想にも触れておられた。今、この話はどうなっていますか。構想の具体的なイメージとあわせ、明快な答弁を求めます。



(高齢者医療制度など抜本改革の方針について)

次に、抜本改革の方針についてお伺い致します。
まず、高齢者医療制度について、政府は、法案の本則で、老人医療の対象年齢を2006年度までに75歳へ引き上げることを打ち出しています。
ところが、法案の附則では、2002年度中に基本方針を示した上で、2004年をめどに所要の措置を講ずるとしています。ということは、今後の基本方針策定では、75才以上公費5割を前提にしないと、同じ法案の本則と附則とで整合性がとれないのではないでしようか。
この点、坂口大臣に明確な答弁を求めたいと思います。

 また、被用者健保が過重な負担にあえぐ老人保健拠出金制度について、総理は廃止するお考えをお持ちかどうか、答弁を求めます。

 新たな高齢者医療制度については、年内にも基本方針を策定するとのこと。
今後の国会審議の叩き台にしたいので、ぜひ総理のお考えをご披露下さい。くれぐれも「国会に於てご審議を」とか、「与党内で議論を」等の逃げの答弁はなさらないで下さい。国民があなたに期待したのは、3割負担のゴリ押し的なリーダーシップではなく、真のリーダーシップなのですから。

また、診療報酬体系及び薬価制度については、どのような見直しをお考えか、総理の見解を求めます。

 さらに、医療保険制度の在り方について、総理は、厚生大臣当時の答弁で「分かりやすい医療保険制度」いわゆる一元化の方向を示唆していますが、基本方針では一元化に向けた検討を行うのかどうかもお聞かせ下さい。


(「情報公開」と「国民の主体的参加」が抜本改革の鍵)

 さて、ここで民主党の法案提案者に伺います。
 まず民主党提案者は、そもそも医療制度改革はどうあるべきと考えているのか、そしてどのような理由から今回の法案を対案として提出されたのか、その背景を詳しくご説明下さい。
 私は、民主党案の提案理由説明にもあったように、21世紀のキーワードは「情報公開」と「国民の主体的参加」だと考えます。患者は医療サービスの消費者です。私は、民主党案で示されている医療に関する情報公開と第三者評価を行うことによって、医療の質を向上させ、患者が選択できるようなシステムへの改革がまず必要ではないかと考えます。

 総理、民主党のこうした提案にどのような見解をお持ちか。いいものは例え野党の提案でもどんどん取り入れると度々おっしゃっる、あなたですから、当然賛同いただけるものと思いますが、お考えをお聞かせ下さい。


(最後に)

 最後に、小泉総理、本法案は国民注視の中、21世紀にこの国の医療制度が、国民合意のもとに制度維持ができるのか否かが問われています。
 党利党略を超えた、真に国民が納得できる結論が見い出せるまで、徹底した議論を尽くすべきであります。
 内閣のメンツで早期成立させることだけが目的であるかのような、拙速な国会審議は絶対に避けるべきであるとの意見を申し上げ、私の質問を終わります。

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