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1999/06/29
介護保険実施に向けた当面の課題と見解
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民主党介護保険推進本部

2000年4月実施を主張する

来年4月の介護保険制度実施を目前にして、与党を中心に「延期論」「一部凍結論」「保険料への国庫補助投入論」がくすぶっている。

本来、介護保険制度導入の目的は、 1.家族介護から社会的介護への転換、 2.要介護高齢者の人権の確立と高齢者の自立支援、 3.措置制度からサービス選択可能なシステムへの転換、 4.社会的入院を解消し、在宅介護を充実する、 5.民間活力を利用して、良質かつ大量のサービスを生み出すことにある。

 家族介護や社会的入院によって、十分な介護を受けられずにいる多くの国民が介護保険制度実施に強い期待を抱き、実施主体である市区町村は、介護サービス基盤の整備状況、サービス利用意向の調査をすませ、介護認定審査会の設置にはいるなど、最終の準備局面を迎えている。こういった状況のもとでの「実施延期」は、高齢者福祉行政の混乱と停滞を招くことにしかならない。

 今、為すべきことは、「問題があるから凍結する」のではなく、問題点を解決し、介護保険制度の目的が達成されるよう、また国民の不安や不満が解消されるよう、全力を上げることである。特に国は、問題解決のためにあらゆる努力をすべきである。
 以下、介護保険制度が円滑に実施できるよう、民主党としての考え方を提案する。また介護保険制度の将来にわたる改革案については、別途民主党としての見解を明らかにする。


当面する課題についての推進本部の見解

(1)要介護認定について

 痴呆性高齢者を中心に、認定の正確さに疑問が投げかけられているが、コンピュータソフトの公開や、判定方法への国民および関係者の意見反映などを通じて、調査内容や判定方法について、たえず見直しを求めていく。

 また市民参画条項を活用して、認定審査会設置条例の制定にあたっても、委員の構成や人選、事業計画策定過程での情報公開や市民参画の徹底を求めていくことが必要である。

 認定結果に対する不服申立てについては、都道府県「介護保険審査会」だけでなく、市区町村レベルでの相談窓口の設置など、受付段階での柔軟な対応が行えるよう、市区町村の体制整備を求めていく。


(2)「自立」と判定された高齢者への対策

 住み慣れた地域での在宅ケアに移行できるように、ケアハウス、グループホームなどの在宅サービス基盤や、移行プログラムを整備するなかで、移行期の問題解決をはかっていく。

 現行の老人福祉法や老人保健法で行われている在宅サービスのうち、要介護状態にならないための保健サービスや一般的な福祉サービスについては、自治体の計画に基づいて従来通り続けられるべきである。介護事業計画策定にあたり、老人保健福祉計画や地域福祉計画との一体性の確保を目指すとともに、必要な予算確保について、国をはじめ都道府県・市区町村での必要な予算措置を求めていく。


(3)保険料の地域格差について

保険料の抑制をはかるためには、介護保険適用となる療養型病床群の数に歯止めをかけるとともに、月46万円程度になるといわれる療養型病床群の介護報酬を、段階的措置を通じて介護施設の適正な料金に誘導するなどの施策の検討と推進が必要となる。

 あまりに極端な格差がでる場合や、市区町村の責任によらない特殊事情などがある場合などについては、何らかの支援措置が必要となることも想定される。広域化による保険料の平準化や、保険料低減のための諸方策の検討を求めていく。


(4)低所得者対策について

 現状の低所得対策については、保険料負担困難者の実態が十分に反映されていない恐れがあるので、地域の実情にあわせて、弾力的な軽減が行われるような制度運営が必要となる。利用者自己負担については、医療費と同様の一定額以上の負担を免除する「高額介護サービス費制度」を導入し、自己負担の上限額や低所得者への低減案が検討されている。低所得の高齢者にとって負担が過大とならないよう、「市町村民税非課税」でひとくくりせず、実状にあわせて、軽減額をさらに大きくした区分等を設けるよう求めていく。


(5)家族による介護サービスの評価について

 家族への現金給付については、当初から議論のあるところであったが、在宅介護サービスの充実を通じて家族を介護地獄から解放することをめざす制度の趣旨から、現金給付は行わない仕組みとなっている。

 ホームヘルパーの資格を有するものが、自分の家族を介護することを認めるかどうかの問題は、一定の条件を付すことが必要である。


(6)2号被保険者(40歳〜64歳まで)負担と医療保険制度改革について

 介護保険制度の導入は、社会的入院を中心とする老人医療費の無駄をなくすことにより、第2号被保険者の老人保健拠出金の負担を軽減する効果を生み出すことになる。民主党は、介護保険制度の着実な前進と合わせて、健康保険財政に対して重大な関心を払いながら、老人医療を中心とする制度改革を早急に行うことを政府に強く求めていく。

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