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1999/03/30
「シンクネット21研究所」の設立について
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 民主党は、4月に「シンクネット21研究所(仮称)」を設立し、第一線の研究者や内外のシンクタンクとネットワークを構築しつつ、市民や地方自治体関係者とも連携して、「未来からの視点」に立った政策提言や調査研究を行っていく。


研究所設立の目的は
 
  中長期的政策課題を専門的かつ科学的に研究し、またそのために内外の的確な情報を収集する機関を設け、政権政党にふさわしい政策立案能力の向上にむけてサポートしていく。

《これまでのシンクタンクにない研究所の特徴は》

* 第一線の若手中堅研究者の協力を得るとともに、既存のシンクタンクとも連携した研究体制を整え、ネットワーク型の研究所をめざす。
* 中央官僚への依存から脱却し、生活者、消費者、女性の立場に立った政策研究をすすめ、そのために市民や地方自治体首長と深く連携する。
* 外交安全保障政策の立案に必要な的確な海外情報を独自に収集するネットワークを構築する。

  
研究所の組織概要は

○事務所
千代田区永田町
○人 事
研究所の初代所長は宇沢弘文氏(東京大学名誉教授日本学士院会員)にお願いすることとする。
○法人格
NPO法人、または社団法人による法人格を取得する。なお、法人の理事長専務理事は党幹部が就任する。
○予 算
運営経費は、党からの交付金、諸団体の寄付賛助金等で賄う。


研究内容方法は

* 日本の進路など基本的課題に関する月例研究会を開催する。(菅代表をはじめとする党幹部、学識者、文化人、知事、女性代表などで構成する)

* 学識者の協力を得た個別政策研究プロジェクトによる研究。テーマは次のとおり。

経済財政政策〜経済システムの改革、財政再建、税制、金融改革問題など
外交安保政策〜国の基本政策課題の一つとして積極的に議論
政治改革分権〜進取の精神を有する知事らとも連携
社会保障政策〜医療年金を中心に、総合的視点に立つ制度の改革

* 既存のシンクタンクに研究を委託する。(雇用政策、環境エネルギー政策など)

* 世界の主要都市(ワシントン、ロンドン、ベルリン、北京など)に在住する現地専門家より、外交、国際金融問題、政党の動向などに関する情報を定期的に提供してもらう。

* インターネット等を利用し、市民の政策参加を拡大するシステムを構築する。



- シンクタンクネットワーク構想 -


1999年3月

はじめに

 昨年7月の参議院選挙後、政局の流れは大きく変わり、野党第一党としての民主党の役割が増大している。とりわけ昨年秋の臨時国会では、「金融安定化法案」をめぐる与野党の折衝過程で、政府案が否定され野党の共同案が修正の上成立した。この前代未聞の国会運営は、参議院での与野党逆転を背景にしたものであるが、これにより自民党政権の力と権威は大きく失墜し、一方で民主党の政権獲得の可能性が一気に高まってきた。
 民主党としては、今後、衆議院の解散総選挙を視野に入れながら、政権担当政党としての基盤整備を急がなければならない。その基本課題の一つが、政策立案能力の充実である。具体的には、政策調査会の機能を強化すると同時に、リベラルな学識者、研究者、研究機関や研究グループの英知と研究成果を結集し、自民党や中央官僚に対抗できる実現性のある政策体系を構築することである。
 併せて、内外の情勢変化に的確に対応できる独自の情報収集能力を持つとともに、市民の党として、国民の政策ニーズを的確かつ迅速に把握し、これを党の政策に生かしていく“市民政策参加システム”をつくることが重要である。
 これらの緊急課題に応えるものとして、「シンクタンクネットワーク構想(以下、「シンクネット」と略す)」を以下のとおり具体化していく。


1、政党シンクタンクの必要性

  今日、国の政策づくりにおいては、より国際的、専門的かつ客観的視点に立った調査研究が求められており、国の政策決定に直接関与する政党にとっては、主要政策課題に関する政策立案と状況の変化による継続的な洗い直し作業が必要となっている。
  しかし、現在の党の政策調査会は、国会に提出される個々の法案の対応に追われ、中長期的視点に立った政策立案作業に深く踏み込めない状況にある。また、議員個人や議員グループによる政策研究では、事前の調査活動や政策の掘り下げにおいて自ずと限界があり、さらにそれぞれの専門領域で特定の利害が絡んでくるという問題点もある。
 したがって、政党にとっては、中長期的政策課題を客観的かつ専門的に研究する独自または連携するシンクタンクが必要となってくる。現にアメリカにおいては、政党が複数の独立したシンクタンクと連携をとり、調査や政策立案に関して協力を得ながら一定の成果をあげている。
  民主党としても、選挙公約を実現していくためにも、また政権政党へと大きく飛躍するためにも、早急にシンクタンクとそのネットワークをつくり、そこでの研究成果を有効に活用する体制をつくる必要がある。
 
2、シンクタンクネットワークの取り組み内容

 シンクタンクネットワークは、財政基盤の確立、研究スタッフの確保など、これより数年をかけて体制を充実させていかなければならないが、当面は次の3つを柱にした研究活動や情報収集活動を展開していくこととする。

(1)シンクタンクのネットワーク(シンクネット)化による政策研究政策研究は、独自の研究プロジェクトを組むとともに、複数の民間公益シンクタンクと連携した「シンクタンクネットワーク」を組むこととする。この2つの研究体制を運営するために、研究所としての一般管理と研究実務を統括する「シンクネットセンター」を設置する。
  このネットワーク方式による政策研究は、幅広く学識者や既存のシンクタンクと連携して共同研究や情報交換をすすめることにより、政策により客観性や説得性をもたせることができ、さらに効率的な研究所運営をすることができる。なお、連携するシンクタンクとしては、市民、消費者、勤労者の立場で研究調査活動を行なっているリベラルな公益シンクタンク、ならびに研究委託に対し中立的立場で研究活動を遂行できる民間営利シンクタンクを考慮することとする。
  一方、政治的戦略に関わる課題や、外交防衛、経済政策など党の基本方針に関わる課題については、テーマ毎に学識者やジャーナリストを指名し、担当の国会議員を含めた独自の研究プロジェクトを組んで研究することとする。とりわけ、文化文明論的なアプローチを含めた日本の進路に関わる課題、日本人のアイデンティティーの確立などに関するテーマについては、党幹部の出席のもと、広く各界(学識者評論家自治体代表労使代表女性代表など)からも参加を得て、論議を深めていくこととする。

(2)海外情報の収集 
  外交政策、防衛政策、国際金融問題などを検討する際は、当該国や国際機関等における生きた情報が必要となる。また、民主党の拡大発展に参考となる海外の政党の動向を掴むことも重要である。このため、海外の主要都市に特派員を置くなどして、海外情報の収集に力を入れる。なお、特派員は党の専任スタッフの派遣のみならず、民主党として連携がとれる在外の研究者、ジャーナリスト、国際機関スタッフ、民間組織の海外派遣者などと嘱託契約する方法も考慮する。

(3)市民との連携  
  シンクネットは、市民の党としての民主党の特色を生かすために、日常的に市民団体や個人研究者とも連携をとりながら研究をすすめ、名実共にネットワーク型シンクタンクとする。具体的には、研究テーマに関する市民団体からの情報収集や意見聴取、マイノリティーグループとの協議、研究の中間報告と意見交換など、十分な配慮をすることとする。
  また、党の政策や政府の政策評価に関する市民の生の声を聞くために、インターネットあるいはパソコン通信を活用した市民モニター制度などを検討する。(1000名〜3000名程度) 

3、シンクネットと党機関との関係

  シンクネットの研究成果を党の政策に大きく生かすために、党とシンクネットの間にの密接な関係を保つようにする。具体的には、次の点を考慮する。
 研究課題の選定と研究の方向性についての党の意見を取り入れる体制
 党の議員スタッフを交えた研究プロジェクトの推進
 党による政策課題の選択と、委嘱されたテーマに関する研究成果をいかに有効にフィードバックさせるか、そのための体制づくり。
 
4、シンクネットの研究課題

 シンクネットの研究課題としては、当面は以下の6テーマ程度とする。
  

* 国の基本政策である安全保障外交防衛政策

* 経済政策、財政、税制など経済運営、景気対策、所得分配にかかわる政策

* 構造改革が迫られている年金医療を中心にした社会保障政策

* 生活者、納税者、消費者の立場にたった雇用政策、生活関連政策

* 政治システムの改革、とくに地方分権推進政策

* 緊急の課題である環境エネルギー政策

* その他
  


  また、政策提言とともに、党内討議のための基礎資料の作成、独自の調査なども行うこととする。

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