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1999/03/09
民主党の〈地域介護力〉パワーアップ作戦
〜 生きがいと安心の高齢社会の構築をめざして 〜
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民主党地域介護サポートチーム

[  2000年4月から施行が予定されている「介護保険制度」は、これまでもっぱら家族に依存してきた高齢者の介護問題を、世代間および地域間の社会的連帯で支えていくことをめざしています。もちろん高齢者の介護は家庭における家族介護が、多くの場合そのスタートとなり、またそのベースとなることは言うまでもありません。しかし一方で家族の介護力が著しく低下してきたため、かえって悲惨な実態が報告されるなど、その限界も明らかとなってきています。今後、少子・高齢社会がますます進行することが確実視される状況の中で、「介護保険制度」は新たな共同社会の構築を求める実践的な試みのひとつであります。

 また21世紀は〈地方分権の時代〉です。市町村を保険者とする「介護保険制度」は、地方分権の時代を先取りして、それぞれの市町村が個性的な介護保険事業計画を策定・推進することを通じて、特色ある〈福祉のまちづくり〉へと導くとともに、地域経済に対して介護サービスに係わる需要を創出し、かつ介護サービスに必要な雇用機会を飛躍的に増大させます。「介護保険制度」は21世紀のまちづくりの重要な基軸のひとつとなるものでもあります。

 民主党はこのような考え方の下に、サービスの利用者たる市民の皆さんを中心に据えながら、都道府県および市町村の関係者の皆さん、そして医療・福祉サービス提供側や多様なNPO(非営利組織)の皆さんとも連携を図りつつ、積極的な取り組みを進めていきたいと考えています。]


1. 制度の施行を一年後に控えた今日に至って、なお一部に介護保険制度の実施を延期すべきであるとの主張がなされていますが、民主党は予定通り来春=2000年4月から施行することが是非とも必要であると考えています。

 確かに全く新しい制度に基づいて全国一斉に始めるわけですから、その準備作業は大変ですし、関連する現場は期待と不安が入り交じった言わば混乱状態にあるのかもしれません。しかも地域によってかなりの違いはありますが、介護サービス提供体制の基盤整備も決して十分ではありません。

 そうした状況を克服するべく、多くの市町村は制度の実施に向けた準備に懸命に取り組んで来ています。この段階で実施の延期を求めることは、事実上、介護基盤整備等の準備を放棄することにもつながりかねないことだと思います。

 民主党は、すべての都道府県と市町村が協力して、まずは来春の実施に向けて全力を挙げて取り組むことを支援するとともに、そうした活動の中から明らかとなってくる課題の解決に向けて、共に取り組んでいきます。


2. 介護サービス提供体制の整備は、これまで新ゴールドプランに基づいて進められて来ており、一部についてはその目標を上回り、あるいは前倒し実施を図るなどの努力が続けられていますが、それでもなお決して十分とは言えない状況です。従って制度がスタートする来年度以降も、例えば「ポスト新ゴールドプラン」(仮称)を策定し、計画的な基盤整備が図られる必要があります。

 民主党は、住み慣れた地域での暮らしを支援するため、地域介護力のパワーアップが重要だと考えます。そのため今後の基盤整備プランの中では、特に在宅介護サービスの整備を重視するとともに、小規模かつ地域密着型の活動に取り組むグループホームやデイサービス等の拡充とそれらのネットワーク化をめざします。

 また施設サービスについては、特養・老健・療養型の三類型が、それぞれの地域ごとにバランス良く配置されることが必要です。とりわけ療養型病床群に偏りすぎることは、そのこと自体が形を変えた社会的入院を追認することになるだけでなく、総介護費用を押し上げ、高齢者が負担する保険料の額が相対的に高いものとなるため、慎重な対応が必要だと考えています。


3. 介護保険の保険者となる市町村にとって最大の不安は、制度の実施にともなって結果的に相当な財政負担を押し付けられることになるのではないかという点です。もちろん制度設計の段階からその点は再々指摘・検討されてきており、現制度の中でも高齢化率や所得分布率あるいは保険料収納率等の格差に着目して、主として公費による財政調整の仕組みがビルトインされています。

 民主党は、制度の導入によって市町村に過大な負担を強いることがないよう、国および都道府県が市町村を重層的に支援する仕組みをフルに活用するとともに、適切な規模の広域化による共同事業の展開を図るなど、より効率的な実施体制の構築をめざします。


4. 介護保険は高齢者のために、すべての保健福祉サービスを網羅したものではありません。例えば、寝たきりにさせない予防活動や、独り暮し高齢者の支援等の生きがい支援事業などは、介護保険の給付対象とはなりません。しかしこれらの介護周辺サービスも欠くことの出来ない重要なサービスです。

 民主党は、介護保険制度の導入にともなって、これまで老人保健事業として展開されてきた予防活動や、配食や移送サービス等の老人福祉サービスのレベルを低下させようとする動きには反対します。むしろこれら周辺サービスの積極的な展開によって、介護保険制度に盛り込まれている中核的なサービスを、より有効に活用する体制をつくり上げることが大切だと思います。


5. 介護保険制度の運用に当たっては、積極的な市民参加と情報公開が原則とされるべきです。介護サービスに関する情報の提供は、利用者が自己選択するための最低の条件ですが、同時に介護サービス内容を適切に評価することや、サービス提供にともなう様々な苦情に適切に対応すること、さらに利用者の立場に立って権利を擁護する機能も重要です。

 民主党は、可能なかぎり市町村などに必要な仕組みを設けることを求めるとともに、こうした多様な領域の活動を担うNPO(非営利組織)を積極的に支援します。そうすることによって、制度スタート後に生ずることが予想される様々な問題を適切にフィードバックし、その後のより良い展開につなげていくことができるものと確信します。

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