民主党
民主党は、政府が提出した所得税・法人税減税法案への対案として、「所得税法の一部を改正する法律案」及び「児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案」を本日衆議院に提出した。
2法案の基本的な考え方
* 経済活力と国民の安心をもたらす抜本的税制改革の方向に沿った減税を行う。
* 総合課税化・課税ベース拡大による不公平是正が不可欠。
* すべての所得階層を対象とした税率引き下げの制度減税を行う。
* 所得税の5段階の累進税率構造は維持する。
* 人的控除は可能な限り社会保障制度上の歳出措置に移し、税制を簡素化する。
* 所得減税は所得税のみで行い、地方財政破綻を招く地方税減税は行わない。
(1) 所得税法の一部を改正する法律案の概要
1. 所得税率を現行の10%、20%、30%、40%、50%から一律2割ずつ引き下げ、8%、16%、24%、32%、40%とする。
2. 最低税率区分(現行10%、改正後8%)の適用上限を年間所得330万円から400万円に引き上げる。
3. 利子・配当・株式譲渡益課税等の分離課税の廃止と納税者番号制度導入のための法制を3年以内に整備する。
4. 本年3月1日に施行し、本年1月分の所得から適用する。
(2) 児童手当法及び所得税法の一部を改正する法律案の概要
1. 児童手当法の題名を「子育て支援手当法」に改める。【図1参照】
2. 児童手当支給対象を現行の3歳未満の児童を養育する父母等から18歳未満の子を養育する父母等に拡大する。
3. 所得制限額を現行の年収620.6万円から年収1,200.0万円(いずれもサラリーマン夫婦子2人の場合)に引き上げる。
4. 支給月額を現行の「第2子まで1人5千円、第3子以降1人1万円」から「第2子まで1人1万円、第3子以降1人2万円」に引き上げる。
5. 18歳以上23歳未満の子の生計を維持する父母等に「子育て継続手当」を創設する(所得制限、手当の額は児童手当に準じる)。
6. 所得税の扶養控除の対象を障害者及び年齢70歳以上の扶養親族に縮小(23歳以上70歳未満の扶養親族についても当分の間存続)する。【図2参照】
7. 児童手当法改正部分は本年10月施行、所得税法改正部分は来年1月施行。【図3参照】
(注)施行期日については、上記(1)の法案は本年3月1日(平成11年分の所得税から適用)とするが、同(2)の法案については、児童手当法改正部分の施行を本年10月1日、所得税法改正部分の施行を来年1月1日からとすることとした。これは、所得税の扶養控除の範囲縮小がそれ自体としては国民に負担増を求める内容であり、仮に本年3月1日施行とした場合、居住者が1・2月分の源泉徴収をされて2月中に死亡し年税額の確定したようなケースでは、事後法によって追加の負担を求めることになり、法律不遡及の原則に抵触すると考えられるからである(減税を1月に遡及適用することは不利益ではないので可能とされる)。これに伴い、児童手当についても、「毎年2月、6月及び10月の三期に、それぞれの前月までの分を支払う」と法定されていることに照らし、改正税率の適用される月以降最初に到来する支払い期から改正分が支給されるされるように本年10月1日施行とした(本年10月から来年1月までの4か月分を来年2 月に支払う)。
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