1月21日の2次補正予算に関する財務相の演説を受け、22日に衆議院、23日に参議院で各党の代表質問が行われた。24日からは衆議院予算委員会で激しい攻防が始まる。2002年度当初予算については、2次補正予算審議後に提出となる見通し。
衆議院本会議で各党のトップを切って質問した城島正光議員は冒頭、20日に開かれたアフガニスタン復興支援NGO会議で、外務省が有力NGO団体の出席を拒否したことを「由々しき問題だ」と批判、今後のアフガン復興についてどのようにリーダーシップを発揮していくのかを小泉首相に質した。
首相は、NGO排除問題には触れず、アフガン復興支援に今後2年半で5億ドルを供与する方針であることなどを説明するにとどまった。
続いて城島議員は、1次補正予算審議で「2次補正予算の編成は考えておりません」と断言しながら、1次補正成立直後に2次補正の編成を指示したのはどういうことかと首相を追及。
首相は、経済情勢によっては柔軟に対応すると述べたなどとし、「虚偽答弁ではない」と居直った。
●あっせん利得処罰法厳格化、武部農相罷免を
自民党の加藤紘一元幹事長の私設秘書による脱税事件については、加藤議員自身の監督責任は極めて重いと指摘し、証人喚問も含め、事実解明への姿勢を質すとともに、あっせん利得処罰法の改正問題にもからめて追及。民主党がかねて主張して来た通り私設秘書の除外が「抜け道」になることが明らかになった、と指摘し、私設秘書を対象とする法改正を厳しく迫った。
しかし首相は、「国会で充分議論してほしい」などと他人事のように答えるにとどまった。
BSE(牛海綿状脳症)問題では、関連業界で深刻な影響が出ているにもかかわらず何ら責任を取ろうとしないばかりか、退官した熊沢前農水事務次官に8874万円もの退職金を支払い、自らも「感染源・感染ルートの解明はそんなに大きな問題なのか」など問題発言を繰り返している武部農水相を「もはや国民の信頼を完全に失っている」と指弾。「即刻、大臣を更迭し新しい体制で臨む以外に、問題の解決はありえない」として、首相の決断を求めた。
首相は、「(農相が)全力で職責を果たし、信頼回復に努めるべき」などと述べ、罷免要求を拒否。むしろ自身の危機意識の乏しさをさらけ出した。
●2次補正予算案は公共事業投資削減に逆行
城島議員は次に、2次補正予算案の内容について4点にわたって質問。
まず第1に、NTT株式売払収入について、元来国債の償還にあてるべきものなのに、それを公共事業に流用するのは、負担を先送りする「隠れ借金」づくりになるのではないか、と質した。
第2に、NTT株の“収益回収型”処理について「問題を抱えた第3セクターに融資し、穴があいた部分を税金で補填しているのが現状」と批判、政府が民間金融に無利子貸付など利子補給をすれば十分ではないか、と指摘した。
第3に、補助金型は、地方自治体に裏負担を強制するものであり、ひっ迫している地方財政をさらに窮地に追い込むものだ、と批判。
第4に、首相は「14年度予算の公共事業関係費を一割カットした」と胸をはっていたが、結局この2次補正は、公共事業関係予算削減分の先取りにすぎないではないか、と喝破した。
第1の問題について塩川財務相は、政府保有資金の一部を活用したもので「隠し借金」ではない、などと弁明。30兆円枠を堅持し、国債増発に頼らず補正を組んだことは妥当だった、と強弁した。また第2について財務相は、「無利子貸付も考えられる方法だ」としながら、他方で「民間に任せて公平・公正の原則が適用されるか」と疑問を呈した。
第3について首相、財務相は、「補助金型は、地方自治体の要望に応じたもの」と反論。
第4についても、米国テロ事件後の情勢下でデフレ・スパイラルを回避するため(首相)、構造改革のための社会資本整備に重点を置いた切り口を明確にした(財務相)などと合理化した。
●新しい社会の姿を示すことこそ問われている
城島議員は雇用問題も取り上げ、失業対策の焦点となっているワークシェアリングへの対応、悪化の一途をたどる雇用保険財政などについて質した。
坂口厚労相は、雇用保険財政について、給付に必要な財政は確保しているとした。
最後に城島議員は、現在の国民が置かれた状況について「小泉流改革の成果が何ら実感できないまま不公平感、不安感、閉塞感を募らせている」と捉えた上で、「真摯に国民のくらしと向き合い、新しい日本社会の姿を具体的に示すことこそが問われている」と力強く訴え、質問を締めくくった。
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