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1998/07/31
金融再生法案の概要
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民主党金融安定化対策PT

1 金融再生委員会設置法案

  1. 国家行政組織法第3条の規定に基き、総理府の外局として金融再生委員会を置く。
  2. 委員長は国務大臣とし、委員4名は経済・金融・法律に関して優れた識見を有する民間人を登用する。
  3. 金融再生委員会は破綻銀行の公的管理等に関する権限等を有する。
  4. 金融再生委員会の下に金融監督庁を置き、金融企画立案機能を大蔵省から金融再生委員会に移すとともに、預金保険機構の監督等を金融再生委員会の所掌とする。
  5. 金融再生委員会は2001年3月末に廃止する。

2 金融機関の再生のための緊急措置に関する法律案

  1. 我が国の金融の安定及びその機能の再生を図るため、次の原則により、金融機関の破綻処理を2001年3月末までに集中的に実施する。

      1. 金融機関の不良債権等の経営実態を全面的に開示する。
      2. 経営の健全性の確保が困難な金融機関は存続させない。
      3. 破綻金融機関の経営者等の責任を明確にする。
      4. 預金者は保護する。 
      5. 金融機関の金融仲介機能は維持する。
      6. 金融機関の破綻処理に係る費用は最小化する。

  2. 政府は、破綻銀行の処理内容等について国会に報告しなければならない。
  3. 金融機関は、資産の自己査定の結果をできる限り公表するように努めるものとする。
  4. 金融再生委員会は、次のとおり破綻銀行の公的管理を行う。

      1. 破綻銀行の民間受皿銀行がなく、破綻銀行の業務地域・分野に大きな支障が生ずるおそれがある場合、金融再生委員会は預金保険機構による破綻銀行株式の取得を決定できる。
      2. 金融再生委員会は、公的管理銀行の新役員を指名する。
      3. 金融再生委員会は、善意かつ健全な借り手に対する融資業務の基準を定めるほか、経営合理化計画を策定させ、その経営状況等について報告させることができる。
      4. 公的管理銀行は、旧経営者の民事上及び刑事上の責任を追及するため、告発等の必要な措置をとらなければならない。
      5. 金融再生委員会は、公的管理銀行の合併等の承認も行うことができる。
      6. 公的管理銀行は、株式の売却等により、2001年3月までに公的管理を廃止する。

  ※ 破綻銀行の公的管理の手順

      1. 金融再生委員会は、1の当該銀行の破綻が明らかになった時点で、公的管理に入ることを決め、公表する。
          1. 国が全株式を取得する。
           金融再生委員会は、当該破綻銀行の株式の取得の手続きに入る。
          2. 金融再生委員会は、破綻銀行の経営者を全員退陣させるとともに、新経営者を指名する。
      2. 新経営者は金融再生委員会との協議に基づき、監督当局の検査結果等を踏まえて厳密な資産査定を行ったうえ、不良債権を整理回収機構(日本版RTC)に時価で売却する。正常債権はそのまま承継する。
      3. 新経営者は金融再生委員会が承認した経営合理化計画に基づいて、民間銀行と同じ手法で再建を図る。
      4. 新経営者は、再建した銀行を2001年3月末までに市場価格で民間に売却する。  これにより、1.経営責任を追及するばかりでなく、2.株主にも損失を負担させて責任を明確化することができる。また、3.融資先と銀行の融資担当者との関係も断ち切られることなく継続される。さらに、4.破綻銀行の再生後の市場価格による売却価格により、売却益が発生することになる。

  5. 金融再生委員会は、破綻銀行の財務内容の検査にあたり、民間監査法人等に委託できるものとする。
  6. 金融再生委員会は、預金保険機構を通じて、公的管理銀行に対して資金の貸付けまたは業務により生じた損失の補填を行うことができる。
  7. 預金保険機構は、政府の保証により、日銀から資金の借入れをすることができる。
  8. 金融安定化特別措置法は廃止し、預金保険機構が金融機関の自己資本充実のために出資することはしない。ただし、破綻銀行の民間受皿銀行に対しては、預金保険法の改正により預金保険機構の出資を可能とする(下記3-2-1)。

3 預金保険法改正案

  1. 整理回収機構の創設

    1. 預金保険機構の出資により整理回収機構(日本版RTC)を設立する。
    2. 整理回収機構は、金融機関の破綻処理のため、次の業務を行う。
      A 破綻銀行からの営業の譲受け及びその整理。
      B 破綻銀行の資産の買取り及びその管理・処分。
      C 金融機関の更生事件における管財人。
    3. 整理回収機構は、債務者が所有する不動産への立入調査権などを持つ。
    4. 役員は理事長1名、副理事長1名、理事10名、監事3名とする。
    5. 金融機関の役職員、大蔵省の職員、日銀の役職員(経験者も含む)は理事長・副理事長になることができない。
    6. 整理回収機構は、破綻銀行から取得した債権の債務者などに対し、民事上の責任を追及するため、必要な措置をとらなければならない。
    7. 整理回収機構は、役職員が犯罪の告発に必要な措置をとらなかったときは、懲戒処分にしなければならない。
    8. 整理回収銀行は整理回収機構に統合する。

  2. 預金保険機構に係る改正

    1. 預金保険機構は、破綻銀行を引き継ぐ民間受皿銀行の財務が健全な場合に限り、受皿銀行に対して出資ができるものとすること。
    2. 特例業務勘定に欠損金が生じた場合、金融機関から特別保険料を徴収できるとともに、残額を一般会計で負担することができる。
    3. 特定合併に係る資金援助は行わない。

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