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2001/11/08
「民主党―総合雇用政策」1人ひとりに温かい雇用対策の強化推進を
―規制改革、新産業育成、公共サービス改革の推進により雇用積極創出―
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民主党


1.民主党雇用政策の4原則―自公保政権の失業対策政策の誤り

歴代内閣が次々と打ち出してきた緊急雇用対策と称するものは、従来型公共事業と短期失業対策事業の繰り返しにより、いずれも雇用状況の根本的な改善に結びついてこなかったばかりか、不良債権処理と構造改革の先送りにより、不況をさらに深刻化させ、雇用不安の拡大すら招いている。その結果、失業率は史上最悪の5.3%に達している。
こうした自公保政権の限界は、既得権益擁護体質によるものであり、多くの新規ビジネスの芽がつまれ、弱者と脱落者が拡大生産され、社会的不公正がさらに助長されている。
このような経済・雇用政策の誤りが繰り返されれば、わが国の経済社会は長期に立ち直り難い状況に追い込まれ、さらに多数の勤労者が失業を余儀なくされ、チャレンジの機会を剥奪されることとなる。
民主党は、規制改革により雇用を創出し、新たな産業分野を育成する。万一失業を余儀なくされても、必ず新しい適職を見出すことのできる能力開発をすすめ、その間の生活支援について1人ひとりの勤労者に温かい施策を行う。既得権益、官優先思想を抜本的に打破し、官から民へ、チャレンジする人と地域への投資を積極的に行い、構造転換につなげる二十一世紀型総合雇用政策の推進をめざす。
民主党の総合雇用政策は、以下の4原則に立脚する。

 1. 規制改革等により、21世紀型成長産業を開拓する
 2. 失業しても必ず新しい適職を見出せる能力開発と生活支援を行う
 3. 弱者を切り捨てず、チャレンジする人と地域を大切にする
 4. サービス優先の市民・民間活力の増進を基本とする


2.規制改革と社会合意で21世紀型雇用の飛躍的拡大

1) 雇用のための社会合意―日本版雇用創出型ワークシェアリングを支援

「短時間勤務の正社員」など雇用形態の拡充や、サービス残業と時間外労働の削減、労働時間短縮による雇用機会創出、雇用創出のためのワークシェアリングに対する助成策を講ずるとともに、先の日経連・連合の合意をさらに政労使一体での「雇用のための社会合意」への形成へと高め、公的部門も含め、日本版雇用創出型ワークシェアリング推進のための環境整備を行う。
具体的には労使合意のもとでワークシェアリング・ガイドラインを定め、その中で時短計画や雇用の人員増を計画した事業主に対する税制・金融等の優遇措置を検討する。

 
2)21世紀型の成長産業の育成

―「環境・緑・リサイクル」「介護・福祉・医療」「教育・子育て支援」「暮らしの安全」「高度情報化・バリアフリー」「国際協力・人材育成」の産業積極育成―

 従来型の公共事業とは異なり、これからの成長と雇用増が望める産業は生活に密着した身近なところにある。しかも、この多くは公的サービスとしてニーズがあるものの充足されず、マンパワーが必要な分野に多岐にわたっている。したがって、ナショナル・ミニマムの観点から、公共の役割の達成を図りつつ、国民サービス向上につながる分野を産業として積極的に育成するため、公から民へ、役所から民間企業、NPO、ベンチャー企業などへの委託を推進し、新たな創業支援・雇用の積極創出を図る。

・環境・緑・リサイクル―河川の環境復元など自然復元型公共事業の実施、公共施設の屋上緑化・太陽光発電の義務づけ、緑のダム(森林間伐の実施)、有機・特別栽培農業推進、自然公園における自然解説員、化学物質に汚染された土壌浄化の義務づけ、リサイクル対象品目の拡大など

・介護・福祉・医療―介護施設の個室化・ユニット化促進による人員増、痴呆性老人グループホーム増、ヘルパーの報酬引上げ、三交代制によるワークシェアリング、配食・移送など介護サービスの充実、在宅医療・看護体制の充実に伴う医療従事者の増員、カルテの診療記録の電子化、それに伴う医療情報の事務処理員の増員など

・教育・子育て支援―小中学校における少人数学級の推進、IT教育推進のための相談員配置、心理カウンセラー・職業進路カウンセラーの配置、学校図書館の専任司書教諭の配置、公共文化ホールのアートマネージャーの配置など
公設民営保育園の増設、学童保育の充実、保育ママ制度の普及、病時保育、延長保育、低年齢児保育、育児アドバイザーなど保育サービスの充実、保育士の養成など

・暮らしの安全―空港保安体制の強化(手荷物検査機器の更新等)、地域の派出所の拡充、警官常駐体制の整備など国民生活の安全確保に資する警察機能の強化増員など

・高度情報化・バリアフリー―公共建築物・住宅におけるバリアフリーの推進、駅舎改造、情報教育の推進、障害者用IT機器開発、行政の電子化推進など

・国際協力・人材育成―技術支援を目的としたシニアボランティアの増員、国際NPO・NGOへの積極支援、人材育成・能力開発・職業紹介事業への民間活力の積極的活用など

3)中小企業とNPO、起業家を強力に育成支援

・起業家融資―開業、創業を少なくとも倍増(現在18万社/年)することを目指し、5年間で200万法人が新規に市場参入する環境を整備する。創造的中小企業の円滑な資金調達を促進するため、無担保・無保証融資制度の拡充とともに、間接金融に偏重した金融構造を改め、私募債による資金調達など透明なリスクキャピタルの市場育成に努める。
新規事業・ベンチャー企業の創業を支援するため、創業5年以内の中小ベンチャー企業について法人課税を免除する。さらに、中小ベンチャー企業に投資する個人投資家を優遇するエンジェル税制、大胆な成功報酬を可能にするストックオプション税制等を拡充する。
また、ハイテク中小企業に対する補助金制度(SBIR)を質・量ともに拡充し、製造業における新規分野の成長を促進する環境を整備する。
サラリーマンが自営業へ転換する際、立ち上がり時の健康保険料、国民年金、過年度課税の住民税などの負担軽減のため、抜本的な支払い猶予制度を設ける。

・NPO育成―新しい雇用の受け皿になるNPOについては、税のみならず、立ち上げに必要な資金の円滑な供給、公共サービス委託の優先発注などを図る。

・女性起業家支援―公共調達の女性起業家への優先的発注、公的金融機関の融資における「女性起業家優先枠」の創設など、女性起業家育成策を強化する。

・起業家を輩出する大学への積極支援―大学等における起業家教育の推進は当然であるが、さらに踏み込んで、「良い大学:学生が安定した職場に就く」→「良い大学:学生が業を起こす」という流れをつくることもチャレンジ精神の向上にとって有効である。大学の研究室からベンチャー企業が生まれた、卒業生から起業家が多数出ている等で、大学の優劣をも競わせる環境を整備する。3年で2000社のベンチャー企業が創出されるよう、地域の特性を生かし、産学官の共同研究支援策を柱とした振興策を講じる。

4)障害者・高齢者雇用の確保と学卒者、若年者に対する就職支援

不況下において、真っ先に雇用の場を脅かされるのが障害者であり高齢者である。「障害者の雇用の促進等に関する法律」にもとづく法定雇用率の達成に向け、さらに強力な行政指導を実施する。また、障害者に対する職場適応援助者(ジョブコーチ)によるマッチングのための支援事業を抜本的に拡充する。
高齢者の雇用安定のため、年齢による差別の禁止、官公需発注の際の障害者・高齢者雇用率の入札資料への添付などをすすめる。
若年者に対する就職支援策として、学校での職業訓練の支援、インターン制度、試行雇用制度の創設・拡充などを積極的にすすめ、若年層の成長産業への流入を積極的に支援する。


3.再チャレンジ保障と生活支援

1)失業給付の延長

 全国延長給付(一律90日の雇用保険の給付日数の延長)の発動要件を完全失業率5%相当に緩和する(現行5・6%相当)。


2)最長2年の職業訓練と能力開発手当の支給=「求職者能力開発支援制度」の創設

史上最悪の完全失業率5・3%のうち、需要不足による失業は1・1%にすぎず、失業全体の8割は雇用のミスマッチによるものと指摘されている。公共職業訓練施設における職業訓練コースは費用がかからないなど、受講者にとってのメリットがある一方、3ヶ月、6ヶ月といった短期の訓練コースが多い、人気の高いコースは倍率が高い、実践的な訓練コースが少ないなどの不備が多々指摘されており、抜本的な改革を実施する。

☆職業訓練制度の拡充
対象:雇用保険給付中の失業者、雇用保険の給付が終了した非自発的失業者および自営業廃業者(原則65歳未満)
期間:最長2年間
費用負担:民間委託の場合、年間60万円まで国庫負担。不足分については融資制度を今後整備

構造転換につながり、かつ労働市場のニーズにあわせた最新かつ実践的な職業訓練コースを充実させるため、民間教育機関、大学・大学院、NPOなどに教育訓練機関を拡充し、雇用保険受給者のみならず、雇用保険の給付が終了した失業者、求職中の自営業廃業者に対象を広げ、職種転換など新領域での就業チャンスの可能性を広げ、個人の自主的なキャリア形成を積極的に支援する。
同時に、多数の失業者が見込まれる業種からの転職については、同職種内での再就職が難しくても、できる限り転職容易な職業訓練コースを充実させる。

☆能力開発手当の支給

対象:上記の職業訓練を受講している雇用保険給付が終了した非自発的失業者、非自発的自営業廃業者、一年以上の長期失業者(自発的失業者を含む)(原則65歳未満)
期間:上記の職業訓練受講期間(最長2年)
給付内容:1ヶ月10万円程度

失業給付期間が終了してもなお就職できない人に対しては、「能力開発手当」を給付し、生活の困窮を防ぐ(3年間の時限措置)。
 

3)住宅ローン対策、教育費支援

失業やリストラ等により年収が大幅に減少し、住宅ローン返済が困難となっている勤労者への施策を実施する。
民間住宅ローン債権者が政府系機関の住宅ローン返済特例措置(14年度予算要求水準での措置)に準じた措置を講じた場合には、それにともなう利差補給金等を国が民間住宅ローン債権者に支給する。なお、この措置は政府系機関と同様、中小自営業者の業績不振による倒産・廃業、受注減や売上減による減収の場合にも適用するものとする。
元本据置期間中の上限金利5%については、直近の基準金利を考慮して、3%に引き下げる(住宅金融公庫の現在の基準金利は2.60%)。
また、借入時期等の個々の条件によっては返済額の引き下げ効果が薄い場合もないとはいえないので、月々の返済額の上限を収入(失業保険給付)の1/5に抑える措置を新たに設ける。
なお、公団賃貸住宅等についても、世帯主が失業保険給付を受給している期間の家賃を減免・猶予するなどの措置を講じる。
さらに、親のリストラなどによる就学困難な生徒(高校、大学、専門学校)に対して、現行の減免制度、奨学金制度を大幅に拡充する。

4)未払賃金立替制度の上限額を2倍以上引き上げ

 企業が倒産して賃金・退職金の未払いが生じたときに、「賃金の支払いの確保等に関する法律」に基づき、国(労働福祉事業団)によって立替払いされる賃金について、現行の上限額(45歳以上=170万円の8割・136万円)を2倍以上に引き上げる。

5)自治体主導の地域活性化中期雇用創出事業の展開

雇用期間が最長6ヶ月に限定され、更新が不可とされている「緊急雇用対策特別交付金」を2年間の臨時特例措置とし、民間委託中心へと切り替え、チェック機能を働かせ、抜本改革を行う。
交付金の交付は都道府県から「雇用創出計画」(仮称)が提出された後とする。「雇用創出計画」には事業内容、委託事業の場合は委託先、事業費、人件費、従事する新規労働者の数のほか、雇用期間、雇用形態、賃金等を明記することとする。
各事業に占める人件費の割合は8割以上とし、そのすべてを失業者にあてるものとする。研修事業については、失業者を対象とする職業訓練に限るものとする。
都道府県はこの「雇用創出計画」の遂行状況を国に報告し、公表する。こうした条件に違反した場合、もしくは計画を達成できなかった場合には、交付金の一部または全部を返還するものとする。
また、事業計画の認定、報告等にかかわるチェック機能をもたせるため、各都道府県に既存の「地域雇用推進会議」などを活用し、公労使による第三者機関をつくらなければならないものとする。都道府県が作成した雇用創出計画が適当であるか、また、実際に遂行されたかを検証し、事業認定の取り消しも含むフォローアップ体制を整える。
こうして緊急地域雇用特別交付金をバラまき的緊急失業対策事業的性格から中期的に雇用創出を可能とする事業へと切り替え、各地域が雇用創出のアイディアづくりを競い、起業活動やNPOの育成に資するとともに、行政コストの削減、官から民への流れの促進にもつなげる。
特に公的サービスに対するニーズが高まっている分野(例えば、求人開拓、不法投棄一掃プロジェクト、廃棄物焼却炉のダイオキシン対策、駐車違反取締り業務、土日の校庭開放の管理人、学童保育支援、部活動指導員、学校安全管理員、小規模雑居ビルの火災防止のためのパトロールなど)において、有効活用が図られるようにする。専門的知識や技術を要する事業については、失業給付受給期間中に職業訓練を行い、自治体による中期雇用→民間による事業立ち上げという能力開発と再就職、さらに起業支援へと一連の流れを加速させる。
さらに、介護・福祉・子育てなど、先導的かつ生活密着型のサービスについては、地域の実態に応じ、緊急的対応、実施が必要であり、特にこうしたサービスを立ち上げようというNPOへの委託、起業支援につながることが期待される。


4.ミスマッチ解消

1)「長期失業者就職実現プログラム」など民間活力を生かした職業紹介機能の充実

 1年以上の長期失業者は80万人を超えており、その多くは職業能力、賃金、地域、年齢といった「ミスマッチ」が原因となっている。
「長期失業者就職実現プログラム」は、前記の「新職業能力開発支援制度」と連動させ、カウンセリング→職業訓練→職業紹介→再就職という一連の流れを一貫して行う新しいシステムである。マンツーマン形式のサポート体制で、1人ひとりの経験に照らし、職業能力の向上をはかりながら、再就職に結びつけるものであり、そのモデル事業を全国的に実施する。
また、積極的な求人需要の掘り起こしのため、ハローワークだけでなく、民間職業紹介所への業務委託も積極的に行い、求職者が就職して6ヶ月たったら当該職業紹介所に報酬を支払うなど、インセンティブあるシステム開発を促進する。


2)カウンセラー制度等の充実

上記の「長期失業者就職実現プログラム」を実効性あるものにするため、現行法の運用により、職業教育、職業紹介とが結びついたカウンセラー制度を充実させる。特に、求職者に適切な助言、支援を行う「キャリアカウンセラー」は、民間職業紹介所、会社の人事部門、ハローワーク、学校での職業指導などにおいて、今後その需要が高まることが予想され、その早期養成はミスマッチ解消にとって欠かせない。
キャリアアドバイザーについては、すでに民間団体等による養成講座などが広がっているが、専門職を養成するという意味でも、統一した資格制度を設け、養成講座を大学・大学院などに整備拡充し、その普及を推進する。


3) 「雇い入れ助成」の見直し、「アウトプレースメント」費用の助成拡充

緊急雇用創出特別奨励金、新規・成長分野雇用創出特別奨励金など、多くの「雇入れ助成」の活用効果については疑問の声が大きくあがっており、民間職業紹介事業を通じた再就職についても助成対象とすることや、常用雇用だけでなく、非正規雇用に対する助成措置を導入するなど、その要件を抜本的に見直す。
また、先の国会で成立した改正雇用対策法によって、「再就職援助計画」(1ヶ月以内に30人以上のリストラを計画する事業主に義務づけられる)を策定した企業が、解雇予定従業員に対するコンサルティングや再就職先の発掘を民間の職業紹介会社などに委託した場合、その「アウトプレースメント」費用を補助する「再就職支援委託助成金制度」の運用が開始されたが、本制度のさらなる充実を図る。


4)労働行政の適正化

平日8:30から17:00のハローワークの開所時間を大幅延長し、原則年中無休とするなど、利用者の利便性向上を図るとともに、研修を徹底する。
就職を仲介する民間の職業紹介事業が求職者から手数料を徴収することができる「個人契約型職業紹介サービス」を導入するとともに、地方公共団体による無料職業紹介事業の実施を労使ですすめる。
労災病院事業、産業医科大学などの民営化を行う。


5.地域の実状に合致した事業の育成推進―沖縄経済開発支援

過疎・中山間地における緑のダム構想、有機農業振興、医療機関整備、中小都市における高齢者対策事業、商店街振興事業、都市開発支援など、地域のニーズにあった積極的な新規事業の展開をすすめる。特に複合不況地域ともいえる沖縄の経済開発支援のため、特別の規制緩和や免税措置などを含むIT特別区構想の推進、国際・平和協力のためのNGO拠点地域づくり構想の検討、地域活性化中期雇用創出事業については、沖縄特別枠を設けるなど、地域の労使合意に基づき、実情に応じた雇用創出計画をすすめる。


6.雇用政策を支える財政政策(――要全体調整)

 雇用勘定、労災勘定のあり方にメスを入れるなど、雇用保険特別会計を全面的に見直しすることとし、補正予算に対しては次のように対応する。

1)緊急雇用対策特別交付金の増額

 現行の「緊急雇用対策特別交付金」を抜本改革し、2年間の臨時特例措置、民間委託中心・中期雇用へと切り替えることで、補正予算で4000億円を計上する。


2)中小企業とNPO、起業家への助成措置の拡充

中小企業・NPO、特に女性起業家への支援措置として、年間必要経費1000億円に対して、補正予算で250億円を計上する。


3)求職者能力開発支援制度の創設

 職業訓練制度の拡充、受講料の年間60万円までの負担、能力開発手当のための必要経費約2兆円に対して、立ち上げ費用として、補正予算で2000億円を計上する。


4)雇用保険財政安定化のための基金「失業等給付資金」の創設【労働保険特別会計法の一部改正】

雇用保険の「積立金」残高は今年度末で5800億円程度、仮に現行の失業率が継続しても、平成15年度末には底をつくことから、2兆円規模の基金「失業等給付資金」を一般財源から繰り入れて創設する。補正予算においては、当初予算として2000億円を計上する。


5)住宅ローン対策支援、教育費支援、障害者・高齢者雇用の確保など

住宅ローン対策、公団賃貸住宅支援、教育費支援、障害者・高齢者雇用の確保などのため、補正予算で100億円を計上する。


7.新しい労働形態に適合する抜本的制度改革

1)雇用保険をはじめとする社会保険制度の抜本改革

契約社員、アルバイト、パート、派遣などの雇用形態が増加しているが、こうした短時間労働者が雇用保険など各種社会保険に加入できないケースや、加入要件が就業意欲を阻害しかねない要因となっていることなどから、社会保険制度がカバーする労働者の範囲を拡大する。


2)派遣労働、有期雇用契約、裁量労働制などの規制改革

派遣期間の延長など労働者派遣制度全体について調査検討を始める。派遣期間の延長については、常用雇用の単なる代替とならない措置を組み合わせる。
有期雇用契約について、対象労働者範囲の拡大と、契約期間の上限を3年から5年に延長する調査検討を開始する。
研究職・SE等、いわゆる専門業務型裁量労働制については、対象業務を拡大するために告示改正を行う。また、いわゆる企画業務型裁量労働制については、法施行三年後の見直し規定に沿った調査検討を開始する。


3)募集・採用における年齢差別の禁止に向けた法整備

 特に中高年の求職者にとって、募集・採用における年齢制限が再就職を阻む壁となっており、必要な法整備を行う。


4)日本版NVQ(イギリスの職業資格制度)の構築

 イギリスのNVQとは、職場で実際にどんな仕事ができるかを示す、能力ベースの職業資格で、あらゆる職業のあらゆる仕事を客観的・体系化し、これに資格を対応させることで勤労者の能力を表示できるように試みたもの。1級から5級までの5段階、合計で約800、すべての職業の9割以上をカバーしており、こうした資格制度の日本版の構築を行う。


5)均等待遇確保のための各種施策の充実

 特に女性労働者の非正規化が急速に進んでおり、正社員との均等待遇確保の視点から、パートや派遣、契約労働者の労働条件整備、職業能力開発支援をする。多様な雇用形態に対応するため、同一価値労働・同一賃金の原則を進展させる。


6)労働債権の優先性確保強化のための各種法整備

民事再生法や会社更生法による法的整理が増加しており、経営者と労働組合等との事前協議を義務づけるなど、労働者の雇用と労働債権の確保をはかる。


7)解雇ルールの確立など公正労働市場原則の確立

 雇用の流動化が進むなか、不合理な解雇を禁じ、公正な労働市場原則を確立する観点から、整理解雇四原則の法制化検討をすすめる。

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