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1999/11/05
「中小企業基本法等の一部を改正する法律案」についての質問/大畠章宏議員
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衆議院議員 大畠章宏

私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました「中小企業基本法等の一部を改正する法律案」について、通産大臣ならびに大蔵大臣に質問いたします。


法律案に対する質問に入る前に、2点申し上げなければなりません。まず第一は、先に我が党などが提出した「藤波孝生議員に対する辞職勧告決議案」についてであります。昨日の議会運営委員会において、自自公与党3党が強引に採決を行い、否決いたしました。自自公与党3党が、本会議に上程することすら、拒んだことは、政治と金にまつわる不祥事に対する小渕連立政権の姿勢を如実に示すものであり、リクルート事件以来、「清潔な政治」を求める国民の声をまったく無視する「暴挙」であるといわなければなりません。この件に関する政治家としての、両大臣のご見解をまず質問いたします。


つぎに、東海村の臨界事故についてであります。今回のJCO臨界事故は、県民にきわめて大きな衝撃を与えました。また、住民の被害も甚大であります。今回の事故に関し、原因の徹底した究明と、再発防止、及び、風評被害など住民救済の適切な対応を強く要求致します。この件に関して、通産大臣ならびに大蔵大臣のお考えをお伺い致します。


さて、法律案に対する質問に入ります。

小渕内閣は、今国会を「中小企業国会」と命名されました。それだけに、全国の中小企業関係者は、大いに期待を持ってこの国会を注目しております。しかし、先ほど大臣から法律案のご説明をいただきましたが、その内容をお伺いする限り、その実態として、経営に苦しむ全国の中小企業の方々の期待には程遠い内容ではないかと思わざるを得ません。以下、我が党の基本的な考えを述べ、質問いたします。

まず、現状でありますが、我が国の経済は、一部に改善の兆し(きざし)が見られるものの、消費や設備投資など民間需要面において本格的な回復が見られず、特にその影響は、地方都市部の商店街や中小企業などに顕著に現れており、予断を許さない状況が、続いている、という現実を厳しく直視しなければなりません。そして、小渕政権によるメリハリのない過大な公共投資の追加や異常な低金利の継続などで、やっと景気を、下支えしているというのが実態ではないでしょうか。

日本経済を元気にするには、地方都市部での中小企業を含め、中小企業が活力を取り戻し、新事業が生まれることが必要です。そして、産業、雇用の空洞化が危惧されている今日、中小企業の活力の維持、起業家精神を喚起させることこそ、日本経済の再生に求められている最重要課題ではないでしょうか。すなわち、小渕政権での「バラマキ型政策」でなく、「やる気の起こる政策」を中小企業関係者は期待しているのであります。


(中小企業政策の理念、目標について)

そこで、質問いたします。最初に、中小企業政策の基本的理念や、目標についてであります。

このたび政府が提出した改正案においては、旧来の保護主義的な政策を転換して、今後は自立した中小企業を支援するとしていますが、この基本的認識そのものが間違っているのではないでしょうか。すなわち、「政府の保護なんか受けていない、これまでも、苦労しながら自分達で努力し、自立してやってきた」というのが町の中小企業者の本音ではないでしょうか。この点について、通産大臣のご見解を伺います。

次に、中小企業の将来ビジョンについて、通産大臣にうかがいます。

私は、中小企業こそ、新時代の人間の生き方にもっともふさわしい舞台であると考えております。「どの会社に勤めているか」の視点から、「何をしているか」が問われる時代になりました。

中小企業は、個人の自己実現の場、さらに、地域を発展させる場、そして、小回りのきく新しい情報ビジネスや、女性の社会進出にふさわしい場であると考えます。そして、「ものづくり」と「情報通信技術」を結び付けて推進することにより、一層有利な立場にある中小企業戦略が生まれると考えます。

政府案には、今日の時代的背景や目指すべき中小企業の将来像が明確に示されておりません。「バラマキ型政策」から「やる気を起こす政策」に転換するためにも、明確に将来ビジョンを示すべきであると考えますが、この点について、通産大臣の答弁を求めます。


さらに、今回の改正案が依然として中央集権的な枠組みにとどまっていることは問題です。地方分権法が成立した今、産業政策、中小企業政策こそ、各地方自治体独自で、様々な地方の特色を生かした施策を実行できる環境を整備することこそ、今求められているのではないでしょうか。中央政府が画一的な理念、政策体系を地方に押しつける手法は、地方分権法の理念にも反し、もう時代遅れの政策です。通産大臣のお考えを伺います。


(中小企業の範囲拡大について)

次に、中小企業の定義について伺います。

今回の改正案では、中小企業の定義を、製造業では資本金一億円以下を三億円以下に、卸売業では三千万円以下を一億円以下に、小売業・サービス業では一〇〇〇万円以下を五〇〇〇万円以下に拡大しています。

これらの改正に対して、対象範囲が広がることによって旧来の政策が手薄になるのではないかとの指摘もあります。すなわち、対象企業の数が九九・四%から九九・七%に拡大するとうかがっておりますが、これではほとんどの企業が適用となり、薄く広くとなります。本当に支援を求めている中小企業に、焦点を当てた対策が取れるのか、疑問視する声が上がっています。


国が重点的に、取り組むべきは、技術的には最高水準の技能を持ちながら、あるいは、街の中で、お年寄や庶民のため堅実な経営をしていますが、自由化、規制緩和策等で、経営危機に瀕している、いわゆる小規模企業政策ではないでしょうか。

今回の改正案では、わずか数行で「小規模企業への配慮」に触れられているだけでありますが、これでは、今国会に期待した中小企業関係者から不満が出るのは当たり前であります。大企業に近い中堅企業まで対象を拡大することは、小さい企業への切り捨てにつながるのではないかと懸念する声も上がっています。この点について通産大臣の答弁をもとめます。

さらに、従業員数については原則動かしていませんが、サービス業のみ、五〇人以下を一〇〇人以下に拡大しています。小売業についても同様に一〇〇人以下とすべきではないかとの声を聞きますが、この点に関して、通産大臣のご見解をうかがいます。


(新規事業・ベンチャー企業育成について)

次に、新事業、すなわち、ベンチャー企業育成に関して質問いたします。

民主党は、国民にビジネスチャンスが十分与えられ、容易に新事業を起こすことのできる社会の建設こそが、政治に課せられた最重要任務の一つであると確信しております。

但し、既存の中小企業に対する施策と新事業・ベンチャー企業育成策は、はっきりと分けるべきであります。何でもかんでも中小企業基本法に書くのではなく、新事業・ベンチャー企業については、別途基本法をつくるべきではないかと考えますが、この点に関する、通産大臣のご見解を伺います。

さらに、今回、政府が打ち出そうとしている新事業・ベンチャー企業育成策は全くお粗末であるといわなければなりません。それは、最大の目玉である、いわゆる「エンジェル税制」に関してであります。すなわち、「株式会社の株式の譲渡損失を他の所得からも、繰り越して、控除ができるようにしてほしい」との要求を、取り入れていません。まさに、これから、ベンチャー企業に資金を提供しようとする人や起業家の期待を裏切るものであります。世界の市場が、日本政府には新事業を育てる気がないと判断することは必至ではないでしょうか。この点について、大蔵大臣及び通産大臣のご見解をお伺い致します。


(事業承継税制について)

次に、事業継承税制について質問いたします。

民主党は、昨年の参議院選挙、今年の統一地方選挙で、「実効ある承継税制の確立」を公約に掲げました。中小企業経営者から強く求められている、この課題に対して、政府は、「中小企業国会」と称する今国会においても、まったく触れていないことは、極めて遺憾であります。この点においても、小渕政権は、現実の中で、苦しんでいる小規模企業者の本当の期待に応えていないと指摘せざるを得ません。

深谷通産大臣、あなたは九六年の総選挙の選挙公報で、「固定資産税や相続税に苦しむ人々のために、これらの軽減に向けて働きます」と公約されました。通産大臣に就任された今、そして、今国会を「中小企業国会」と言うのであれば、選挙時の公約に掲げられた「事業承継税制」の具体案を、なぜ、提案されないのか選挙民によく分かるようにご答弁をいただきたいと考えます。さらに、大蔵大臣からも、中小企業承継税制について、どのようなご見解を持っておられるかお伺いいたします。


最後に、私たち民主党は、中小企業政策を、従来型の「バラマキ型政策」から、「やる気を起こす自立型政策」に大きく転換することを、強く求め、質問を終わります。

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