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1999/08/11
千葉景子参議院議員の「荒木清寛法務委員長解任決議案賛成討論」
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参議院本会議議事速報から

○議長(斎藤十朗君)千葉景子君。〔千葉景子君登壇、拍手〕

○千葉景子君

 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました荒木法務委員長解任決議案に賛成の討論をいたします。

 まず冒頭、先ほど円より子提案者より発言があった際、不規則発言により、大変この本会議場が侮辱を受けました。極めて遺憾なことでございます。

 聞くところによれば、その発言は、女性の人権を侵害するばかりでなく、全会一致で合意をした男女共同参画社会基本法、この精神をも踏みにじり、そしてさらに私が指摘したいことは、御本人がみずからを卑しめたということにほかならないのではないでしょうか。このような大変真摯な議論が行われている中での不規則な発言を私は断固として許すわけにはまいりません。

 まず、冒頭、その点について明確に申し上げておきたいと思います。

 さて、今、二〇〇〇年を目前にして、いわゆるコンピューター二〇〇〇年間題が議論をされています。私は、これも大変重要な問題ではございますが、それにも増して深刻なのは、今我が国に民主主義の二〇〇〇年間題が起きようとしていることではないでしょうか。

 コンピューターの二〇〇〇年問題は、二〇〇〇年を迎える際に、コンピューターの誤作動により二〇〇〇年が一九〇〇年に逆戻りをするという問題でございます。現在、盗聴法を含む組織犯罪対策三法案が強行されようとし、国民総背番号制につながる住民基本台帳法の改正がこれまた強硬に進められ、そして我が国の戦争責任などを棚上げにしたまま国旗・国歌の法制化が突然持ち出され強制される、まさにこれは国民主権から国家管理への動きだと言って過言ではありません。

 私たちが、そして多くの人々が、汗をし、血を流し、困難を乗り越えて営々と刻み続けてきた二十世紀の民主主義の足跡を根底から揺るがし、二〇〇〇年をまるで一九〇〇年に逆戻りさせる、歴史の歯車を逆転させる、まさに民主主義の二〇〇〇年問題と言えるのではないでしょうか。私は、このような民主主義を揺るがし、歴史を逆行させる自白公の画策に手をかす結果となった荒木委員長の責任は極めて重大であり、委員長御自身、そのことをまず十分御認識していただかなければならないと思います。

 組織犯罪対策関連三法案は、衆議院法務委員会においては、十分な審議を尽くすこともなく、また公聴会を開会して国民の意見を聞くこともないまま、去る五月二十八日、衆議院で強行採決され、六月一日、衆議院本会議の採決を経て参議院に送付をされてまいりました。

 参議院では、六月九日、本会議において趣旨説明を聴取した後、質疑を行い、同法案は法務委員会に付託され、六月十日、法

 組織犯罪対策関連三法案は、衆議院法務委員会においては、十分な審議を尽くすこともなく、また公聴会を開会して国民の意見を聞くこともないまま、去る五月二十八日、衆議院で強行採決され、六月一日、衆議院本会議の採決を経て参議院に送付をされてまいりました。

 参議院では、六月九日、本会議において趣旨説明を聴取した後、質疑を行い、同法案は法務委員会に付託され、六月十日、法務委員会において趣旨説明を聴取いたしましたが、三法案のうち、特に、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案は、憲法で保障された重要な基本的人権である通信の秘密を侵害するものであるとともに、刑事訴訟法の基本理念にかかわる多くの問題を含んでおり、法務委員会では慎重かつ十分な審議を必要とするため、理事懇談会が重ねられ、審議日程について協議が続けられてまいりました。

 その結果、六月二十九日から各会派の合意のもとに政府に対する質疑を行い、その後もさまざまな問題点について慎重な審議を尽くすため、各会派の合意により政府に対する質疑をさらに続行るとともに、参考人からの意見聴取、公聴会の開会、NTT施設の視察も行ってまいりました。これは、この盗聴法案に重大な人権侵害の危険性、警察による乱用のおそれ、我が国を監視社会という不気味な社会に陥れていく結果を招くなど、極めて多くの問題が含まれているからでありす。

 そもそも通信傍受とは憲法で保障されている人間の尊厳に最も深くかかわる基本的人権である内心の自由、プライバシー、そして通信の秘密を制約するものであります。仮に、捜査のためであるとの目的で制約を許すとしても、その制約は目的の正当性が十分認められ、制約を必要最小限度にとどめ、適正な手続のもとに行われなければならないのは当然のことであります。

 通信傍受とは、電話などを利用しての会話の特徴をよくつかむということになります。会話というのは、互いに意見を交換することにその本質があるわけですから、人と人との自由な交流をもたらし、社会を形成する基礎ともなる基本的な私たちの持てる権利です。特に、電話等の通信による会話は、自由闊達そしてさまざまな変化を含み、個人の内心、思考の内容までもがもろにそこに出てくるものナはないでしょうか。プライバシーの塊と言ってもよいものだと思います。盗聴は、このような特徴のある会話を盗み聞きするものです。盗聴は、プライバシーを甚だしく侵害するものです。こうした電話等による会話の盗聴を直ちに制限なく認めることは、極めて大きい危険性があることをまず認識する必要があるでしょう。

 憲法二十一条が通信の秘密を規定しているのは、このような内心の自由そして人間の根源にかかわるからでもございます。

 法案の賛成論には、盗聴した通信は加工の加えられていないクリーンな証拠になという意見があります。逆説的ではありますけれども、まさにそれは本質を示しているものと言えるのではないでしょうか。人間の生の姿がそこにあらわれる、これをまさにこの賛成論は示しているのではないかと思います。

 また、憲法三十一条、三上二条、三十六条といった憲法の規定をしっかり守ることも、私たちの基本的人権を守る基本的なルールです。日本国憲法の刑事人権規定は、刑事手続に関する国民の権利がきちんと守られない限り、それは私たちにまた恐怖と暗黒の社会をもたらす、こういう歴史の苦い経験からもつくられてきた規定でもございます。民主的社会を守る、その基礎を形づくる規定、この規定を尊重しないで盗聴などを認めることは、まさに私たちに暗黒の社会をまたもたらすことにつながる、私はそう確信をいたします。

 さて、いわゆる盗聴法を含む組織的犯罪対策三法は、その名のとおり組織的犯罪に対処するためというのがその立法の根拠だと言われています。しかし、それならば、現在日本の組織的犯罪の実情がどのようなものであるのか、そしてその犯罪の発生の原因は一体どういうところに存在するのか、そしてその対処にはどのようなことが必要なのか、これをそれぞれの犯罪類型、結果を緻密に検証して、それに対する対策を立てることが必要です。

 日本の犯罪情勢はここ数決して悪化している傾向にはございません。凶悪犯罪を考えてみても、十万人当たりの発生率が、日本はアメリカの殺人では九分の一、強盗では百上二分の一です。暴力団関係の事件を見ると、対立抗争事件、この発生件数は減っています。また、銃器の使用犯罪あるいは銃器の発砲回数も減少しています。覚せい剤犯罪が増加をしていること、これは多くの人が憂慮をしています。しかし、その他の薬物犯罪が増加をしているわけではない。

 薬物が青少年や家庭にいる主婦あるいは多くの市民の中に蔓延をし始めていること、それには多くの人々が胸を痛め、そしてそれに対する対策を講ずるべし、これはだれもが合意するところではないでしょうか。しかし、それが通信傍受、あるいは捜査を強化する、刑罰を強化する、このような対策で本当に減らすことができるのでしょうか。あるいはそれに対応することができるのでしょうか。

 まさに教育であり、また若い皆さんが安心して、将来に夢を持ち、公平で公正に生きられる社会なくして、このような薬物の蔓延を私は減らすことは不可能である。決して重罰化や盗聴でそれを防ぐことはできない。これは多くの皆さんにも納得いただけることではないでしょうか。

 また、組織犯罪というその目的の中でオウム事件などが取り上げられています。しかし、オウム事件は盗聴があったら防げたと本当に断言できるのでしょうか。坂本弁護士事件。坂本弁士は私も大変身近に仕事をしていた弁護士でもございました。

 松本サリン事件など、これらの捜査について警察は情報をきちっと開示し、そしてその捜査の問題点、これをまずきちっと総括することからこそ、オウム事件などへの対処の道が切り開かれてくるのではないでしょうか。

 また、組織的かつ悪質化した組織犯罪を取り締まるためには犯罪捜査手段としての盗聴が必要だ、そう言われてまいりましたけれども、本当でしょうか。政府は、暴力団による薬物、銃器などの犯罪、オウム真理教事件、今市し上げました、また、詐欺商法などの対策のための法案だとこの立法趣旨で述べています。しかし、今市し上げましたように、オウム真理教事件の捜査の問題点は盗聴できなかったことにあるわけではありません。初動捜査の手落ちなど、捜査活動そのものに問題があったと言われています。

 また、暴力団による薬物事犯、これまで検証令状による盗聴が五件行われました。しかし、これで大物が捕まったとは聞いておりません。犯罪捜査のための盗聴が認められれば、暴力団の大物は電話を利用しなくなる、あるいは携帯電話を次々に取りかえていく、あるいはさらに別の抜け道を考えていくでしょう。

 後ほど申し上げたいと思いますが、警察は当初、携帯電話を盗聴できることがの立法の大変大きな効果だと述べておりました。しかし、審議を重ねるうちに、現在の技術では携帯電話の盗聴は不可能である、困難であることが判明したのです。だとすれば、このような暴力団の犯罪などに対して、この法律が、そして通信傍受という手法が効果ェないこと、それが明らかになったと言わざるを得ません。仮に、もっと効率のよい捜査手段が必要だということになれば、次第にその盗聴の幅は広がり、場合によっては室内の会話の盗聴や、あるいはその範囲が拡大していく、予想されることでございます。

 また、この立法の根拠として挙げられるもう一つのポイントは、国際的な要請だということでございます。国際的な要請とはどういうものであるのか。確かに、アルシュ・サミットやバーミンガム・サミットなどの国際犯罪特別声明などで、国際的犯罪に対し各国で対策をとるようにとの国際的要請がなされていることは私も承知しています。しかし、国際的要請があるからといってすべて盗聴しなければいけない、あるいは通信傍受が求められているのか、決してそうではないことを改めて皆さんにも御承知をいただきたいと思います。

 金融活動作業部会が要求しているのはマネーロンダリングだけであること、国際組織犯罪防止条約の起草のための委員会でも現在議論されているのがマネーロンダリングであり、通信傍受などはまだまだ先の議論であると言われています。また、国際化というの由の中でも示されておりましたけれども、犯罪捜査だけではなく、むしろ私たち、そして日本社会の人権の貧しさ、あるいは人権問題のおくれ、こういうところにこそ、国際的な指摘に真撃にまず耳を傾けるべきではないでしょうか。

 これまで、たび重ねて国際機関からも日本の人権問題については指摘がなされてまいりました。しかし、法務省はそれには極めて消極的な姿勢しか見せることなく、それに引きかえ、今回の通信傍受、盗聴については、まさに何でものみ込む、何でも捜査の中に取り込む、このような態度でこの法案を提案してきたものでございます。

 また、片方で、捜査の手法というのであれば、日本の捜査のありよう、あるいは捜査の体系、これを無視して語るわけにはまいりません。

 日本の捜査は、まず長い期間の勾留期間が特徴です。また、世界に悪名高い代用監獄での取り調べ、まさにこの代用監獄問題はこの参議院でもたび重ねて議論になってきたところでもございます。また、冤罪の温床とも言われ、常に国際機関から、あるいは国際人権機関の議論の中でも指摘をされてきたところでございます。さらには、起訴前の保釈の制度がない、あるいは被疑者の国選あるいは公選弁護制度がないこと、また取り調べに対して立ち会うこともできず、またテープなどでの録音も禁じられています。それによって、長い勾留、代用監獄、その間に行われる捜査、その適法性はなかなか外部には見えてこない。そこに我が国の捜査体系の大変重要な問題点があるのではないでしようか。

 これを全く無視したまま、一方で通信傍受、盗聴という手法を捜査権限として与えること、これが私たちの生活あるいは人権にとって危惧でなくて何でありましょうか。ぜひそこをもう一度考え直してみる必要がございます。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、千葉君……

○千葉景子君(続)また、裁判の中でも問題はございます。

 日本の司法の中では違法収集証拠の排除原則が徹底しておりません。また、証拠開示、これも不徹底です。いわば防御する側に極めて不平等なこのような司法のシステム、あるいは構造、それが存在をしている。これも十分認識をした上でこの通信傍受という捜査手法を考えていかなければいけないと、改めて指摘をしておきたいと思います。そして……

○議長(斎藤十朗君)千葉景子君、千葉君、千葉君、時間が大分経過しておりますので、そろそろまとめに入ってください。

○千葉景子君(続)まだ続けます。まだ大分ありますので。

 そして、忘れてはならないことは、この法案の運用を担う警察当局に対する国民の信頼が不可欠であること、これを忘れることはできません。しかし、残念ながら、参議院の審議を通じても国民の警察に対する不信感はぬぐい去ることはできませんでした。

 捜査手法として通信傍受が不可欠であると言うなら、先ほども指摘があった、まず、神奈川県警による共産党幹部宅盗聴事件、今その緒方さんが議席に座っておられますが、その真相を明らかにして謝罪する、それが法律制定の前提ではないでしょうか。私も、委員会の中でたび重ねてその指摘をさせていただきました。しかし、警察は一切みずからの責任を明.らかにしようとはせず、私の問いには何ら明確なお答えはもらうことができませんでした。この、いまだに未解決のまま、通信傍受、この捜査手法を警察に与えるなどということは、到底許されることではございません。

 さて、審議を続けるに従って、傍受記録を作成しない場合には本人に対する通知義務がないことによるプライバシーの侵害や人権侵害の危険性、通信内容を聞くこともできず、また切断権もない立会人の無意味さ、インターネットや携帯電話は傍受することは不可能であり、盗聴法案に組織犯罪に対する実効性が極めて少ないこと、マスコミに対する通信傍受は取材の秘密を侵害するのではないかなど、ますます多くの問題点が浮かび上がってまいりました。法務委員会はさらに慎重な審議を継続していく必要性を全員が痛感していたのであります。

 ところが、法務委員長荒木清寛さんは、NTT施設の視察を終えた八月六日の法務委員会理事懇談会において、我が党の理事や野党委員の強い反対にもかか由の中でも示されておりましたけれども、犯罪捜査だけではなく、むしろ私たち、そして日本社会の人権の貧しさ、あるいは人権問題のおくれ、こういうところにこそ、国際的な指摘に真撃にまず耳を傾けるべきではないでしょうか。

 これまで、たび重ねて国際機関からも日本の人権問題については指摘がなされてまいりました。しかし、法務省はそれには極めて消極的な姿勢しか見せることなく、それに引きかえ、今回の通信傍受、盗聴については、まさに何でものみ込む、何でも捜査の中に取り込む、このような態度でこの法案を提案してきたものでございます。

 また、片方で、捜査の手法というのであれば、日本の捜査のありよう、あるいは捜査の体系、これを無視して語るわけにはまいりません。

 日本の捜査は、まず長い期間の勾留期間が特徴です。また、世界に悪名高い代用監獄での取り調べ、まさにこの代用監獄問題はこの参議院でもたび重ねて議論になってきたところでもございます。また、冤罪の温床とも言われ、常に国際機関から、あるいは国際人権機関の議論の中でも指摘をされてきたところでございます。さらには、起訴前の保釈の制度がない、あるいは被疑者の国選あるいは公選弁護制度がないこと、また取り調べに対して立ち会うこともできず、またテープなどでの録音も禁じられています。それによって、長い勾留、代用監獄、その間に行われる捜査、その適法性はなかなか外部には見えてこない。そこにが国の捜査体系の大変重要な問題点があるのではないでしようか。

 これを全く無視したまま、一方で通信傍受、盗聴という手法を捜査権限として与えること、これが私たちの生活あるいは人権にとって危惧でなくて何でありましょうか。ぜひそこをもう一度考え直してみる必要がございます。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、千葉君……

○千葉景子君(続)また、裁判の中でも問題はございます。

 日本の司法の中では違法収集証拠の排除原則が徹底しておりません。また、証拠開示、これも不徹底です。いわば防御する側に極めて不平等なこのような司法のシステム、あるいは構造、それが存在をしている。これも十分認識をした上でこの通信傍受という捜査手法を考えていかなければいけないと、改めて指摘をしておきたいと思います。そして……

○議長(斎藤十朗君)千葉景子君、千葉君、千葉君、時間が大分経過しておりますので、そろそろまとめに入ってください。

○千葉景子君(続)まだ続けます。まだ大分ありますので。

 そして、忘れてはならないことは、この法案の運用を担う警察当局に対する国民の信頼が不可欠であること、これを忘れることはできません。しかし、残念ながら、参議院の議を通じても国民の警察に対する不信感はぬぐい去ることはできませんでした。

 捜査手法として通信傍受が不可欠であると言うなら、先ほども指摘があった、まず、神奈川県警による共産党幹部宅盗聴事件、今その緒方さんが議席に座っておられますが、その真相を明らかにして謝罪する、それが法律制定の前提ではないでしょうか。私も、委員会の中でたび重ねてその指摘をさせていただきました。しかし、警察は一切みずからの責任を明.らかにしようとはせず、私の問いには何ら明確なお答えはもらうことができませんでした。この、いまだに未解決のまま、通信傍受、この捜査手法を警察に与えるなどということは、到底許されることではございません。

 さて、審議を続けるに従って、傍受記録を作成しない場合には本人に対する通知義務がないことによるプライバシーの侵害や人権侵害の危険性、通信内容を聞くこともできず、また切断権もない立会人の無意味さ、インターネットや携帯電話は傍受することは不可能であり、盗聴法案に組織犯罪に対する実効性が極めて少ないこと、マスコミに対する通信傍受は取材の秘密を侵害するのではないかなど、ますます多くの問題点が浮かび上がってまいりました。法務委員会はさらに慎重な審議を継続していく必要性を全員が痛感していたのであります。

 ところが、法務委員長荒木清寛さんは、NTT施設の視察を終えた八月六日の法務委員会理事懇談会において、我が党の理事や野党委員の強い反対にもかかわらず、八月九日の委員会を職権でセットしたのであります。そして、八月九日、本会議後、法務委員長は、理事会を我が党の理事や野党委員の出席を待たずして開会し、連合審査の請求や総理大臣に対する質疑の必要性を訴える私たちの訴え、すなわち国民全体の声を無視して委員会の開会を強行することを決定したのであります。

 委員キの職務は、委員会の運営を中立を旨として円満かつ公平に行うことです。特に、法務委員長は法秩序の維持と人権を初めとした国民の権利の擁護を所管する委員長であり、規範遵守に対する責務は極めて重いものがあるはずです。その法務委員長が、事もあろうに、円満かっ公平な委員会の運営を求める私たちの声に耳をかすこともないばかりか、今さら何を言っているんですかと一喝されたと私は聞いております。

 委員長の職権を乱用して委員会の開会を強行したことに、私はまず強く憤りを感ずるところです。

 そして、強行開会された法務委員会における我が党の円理事が質疑を行っているその最中に、突如として荒木委員長は、自民党の鈴木理事が緊急動議を提出したとしてこの三法案の質疑を打ち切り、採決を強行したと称していらっしゃいます。

 このとき、私は委員長席のかなり近くにおりました。しかし、自民、自由、公明のそれぞれの議員の怒号などが飛び交い、大混乱が生じている中で、緊急動議が提出されたことも、質疑が終局したことも、まして採決が行われたことも確認することはできませんでした。事実、質疑の終局も、そして採決も行われていないのです。それは先ほどの提案理由でもるる説明があり、皆さんも十分御承知のところではないでしようか。

 にもかかわらず、質疑の終局を求める緊急動議が提出され、これを採決した結果、質疑は終局し、続いて三法案の採決を行い、三法案はいずれも可決されたなどと何の根拠も証拠もなく称していらっしやる荒木委員長の言動は、どのように理解すればよいのでしょうか。

 この夜の荒木法務委員長の行為は、議会人として最も大切にしなければならない議会制民主主義の理念を踏みにじり、良識の府である参議院の歴史に大きな汚点を残すとともに、全国民と全世界の人々に我が国の議会における多数の横暴の実態をさらけ出した行為でもありました。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、時間が大分経過しておりますので、そろそろまとめていただけませんか。

○千葉景子君(続)この際、委員長の職を解任して、責任の所在を明白にすることは、参議院が良識の府であることのみずからあかしを立てるために当然必要なことでありましょう。

 以下、本解任決議案に賛成の理由を具体的に申し上げます。賛成の理由は多々ございます。

 私が特に取り上げますのは、法秩序の維持という観点から、去る八月九日の法務委員会における荒木委員長の一連の行為がまさしく暴挙であるということであります。

 言うまでもありませんが、現代社会はルールを基本として成り立っており、社会の構成員がそれを遵守することによって社会の安定した発展があるのです。特に、権力を行使する立場にある者は、ルールを守ることにはとりわけ重い責任があることはあえて強調するまでもないでしょう。(拍手)

 私は、賛成討論に制限時間をいただいているとは聞いておりません。

 ところが、荒木法務委員長は、二つの点でルール違反を犯しております。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、千葉君、千葉君、一千葉君……

○千葉景子君(続)私は、これをあえて暴挙と呼ぶのであります。

○議長(斎藤十朗君)千葉君……

○千葉景子君(続)第一は、そのルール違反が憲法という法体系の基本となる秩序を侵害したことです。

 我が国の憲法は、国民の基本的人権の尊重を最高の基本理念としています。今回の法務委員会で荒木委員長が可決したと称している組織的犯罪対策関連三法案は、いずれもこの国民の重要な基本的人権を侵害するものであります。特に、三法案の中でも傍受に関する法律案、いわゆる盗聴法案が重大な私どもの基本的人権を侵すおそれがあるからです。

 この法案は、憲法で保障されている通信の秘密や令状主義を侵害する内容を含む重大な人権侵害の危険性があるものです。これは、荒木委員長も法曹人として、そして司法に携わってこられた人として、十分御承知のところだったのではないでしようか。

 また、私たち民主党・新緑風会の同僚議員は、この点を含めて、盗聴立法の必要性、妥当性あるいは乱用防止とプライバシーの保障、組織的犯罪に対する実効性等について、政府を待っていたわけではありません。納得のいく答弁は何一つありませんでした。審議を続ければ続けるほど、問題点は増大するばかりです。審議を重ねる中で改めてわかってきたことは、薬物依存者を支援する市民団体や報道機関は原則として傍受対象にしない。しかし、これは当初からはっきりしていたことではございません。審議を重ね、そして参議院らしい深い緻密な議論を重ねたことからこそ判明してきた事実ではないでしょうか。

 また、傍受の実施状況に関する国会報告はアメリカなどに倣ってできるだけ詳細に行う。これも、真筆な議論と、そして私どもの質問によって明らかになってきたところでもありました。(拍手)

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、千葉景子君……

○千葉景子君(続)また、傍受さた人に対する事後の通知の必要性、これは運用実態を踏まえて見直しをする。

○議長(斎藤十朗君)千葉景子君、時間の制限はありませんけれども、常識の範囲内におさめてください。

○千葉景子君(続)これも審議の中から明らかになりました。

 やはり、参議院らしく、真撃に審議を続けるということは、いかに内容が明らかになり、問題点が判明し、そして危険なところに歯どめを加える、こういう議論ができること。まさに参議院の真骨頂ではなかったかと思います。(拍手)

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君……

○千葉景子君(続)しかし、残念ながら、実効性を十分に担保するためにどうするのか。法案に盛り込むのか、あるいは問題点は削除をしてまたしっかりと議論するのか。これらについては、まだこれから詰めなければいけないところがたくさん残されておりました。

 また、小規模の電気通信事業者、いわゆるプロバイダーと言われる皆さんなどですが、これらの皆さんとの十分な協議、これもこれからの問題であることがはっきりいたしました。このような協議も詰めぬままに、この審議を打ち切るわけにはいきません。そこからまた新たな問題や、あるいは法案に対するさまざまな見直し、こういうものが出てくるのではないでしようか。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉景子君、千葉君、千葉景子君……

○千葉景子君(続)そればかりではなく、携帯電話の傍受に必要な技術開発とそのための予算措置など、不透明な部分が数多く残されているのです。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、千葉君……

○千葉景子君(続)さらに問題なのは、通信傍受という犯罪手法が……

○議長(斎藤十朗君)千葉君、時間の制限はありませんけれども、常識の範囲内でやってください。

○千葉景子君(続)急速に進展する国際的な高度情報社会にいかなる影響を及ぼすかという点については、これまで全く議論がなされておらず、ようやく問題の指摘が始まったところでもございます。

 これからのインターネットなど情報通信、このような分野では、データ通信だけでなくデジタル技術が生かされたサービスが中心に発展をしてまいります。こうなれば、当然その秘密を保持する、あるいは電子商取引などでもその信頼性を確保するなどの手段が必要になってまいります。インターネットなどでは、暗号技術あるいは認証技術などが不可欠な条件です。しかし、参議院法務委員会の審議の中で、政府は、インターネットなど暗号に対しては、設備、器材、専門家を動員して何としても解読をする、このような姿勢を示しました。

 アメリカの産業界では、国家規模で暗号を解読、規制しようとする政府の動きに強く反発し、そしてクリッパーチップ制やあるいはキーリカバリーなどという暗号規制、これなどを……

○議長(斎藤十朗君)

 御静粛に願います。

○千葉景子君(続)

 法律を強く批判し、そして暗号の解読に国家が取り組もうという姿勢を許さない、このような動きを続けてまいりました。盗聴法案はデータ通信も対象とし、法務省の現在の見解では……

○議長(斎藤十朗君)御静粛に願います。

○千葉景子君(続)犯罪とは全く無関係な一般企業のメールボックス等も盗聴の対象となる可能性も否定できません。

 組織としての警察が緻密な情報管理をしていたとしても、傍受担当の警察官個人から情報が漏れるおそれも否定することはできません。これまでの警察があの神奈川県警の盗聴事件すら明確に肯定をしていない、あるいは謝罪をしていない、こういうことから考えても、いつ何どき情報が警察から遺漏する、こういうおそれを否定することは私は到底できない。

 このような捜査機関に漏れる可能性があるとの疑いを例えば外国企業が抱けば、日本企業は世界から相手にされなくなる、こういうことが言えるのではないでしょうか。取引上の信頼関係を損なうことになれば、これからいよいよ発展していくであろう電子商取引などで日本企業はこれからの国際競争力を発揮できないことになる、これを私は大変危倶するものです。

 また、法案は、国家の管理、規制を緩和して新たな産業を育成していこうという国際的な流れにも逆行するものです。盗聴法案が成立すれば、極めて情報通信分野に萎縮的効果を生じさせ、産業界にも新たなる負担を強いる結果になることを私は懸念いたします。

 この間、産業界からの御意見を十分聞くことはできませんでした。これからの新しい二十一世紀、日本の国の行く末、これを考えれば、この通信傍受法案を単なる捜査手段として審議するのみならず、これからの日本の産業のあり方、そして日本の将来像、これをも十分認識した上で、この通信傍受、これについての結論を出すべきではなかったでしょうか。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、千葉景子君、千葉君……

○千葉景子君(続)委員会では、これまでの審議の内容を重く受けとめ、さらに問題を解明し、国民の人権を保障するとともに、その不安を解消するための努力が求められているところでした。私は、その責任の重さを改めて痛感していたところでもございます。

 これまでの審議の経過から考えても、まだまだやり残していることはたくさんございます。例えば、連合審査、薬物犯罪、青少年に対する影響なども議論をされました。あるいは、これからの情報通信産業に与える影響、これも極めて重要な問題です。捜査機関が新たな権限を持つわけですから、警察委員会などとの協議も必要でしょう。あるいは、先ほど申し上げましたように、新たな産業への影響、これも無視することはできません。たとすれば、例えば交通・情報通信委員会、地方行政・警察委員会、経済・産業委員会、あるいは薬物問題については文教・科学委員会などとの連合審査も当然必要なことではなかったでしょうか。これについては全く無視されたままこの盗聴法案の審議は進められました。

 また、法務委員会は大変特徴のある委員会でもございます。会派によってはこの法務委員会に委員を有しない、こういう皆さんもいらっしやいます。だとすれば、委員外発言をさらに保障し、そして多くの議員のコンセンサスを得ること、これが不可欠ではないでしょうか。これも一部しか実現をされませんでした。しかも、採決が強行されようとした当日には、委員外発言を委員長がみずから職権で決定をされ、委員外発言を認めていらっしゃった日でもございます。そのみずからの決定をみずからが破棄される、到底許されることではございません。

 また、この法案は、組織犯罪関た。

 アメリカの産業界では、国家規模で暗号を解読、規制しようとする政府の動きに強く反発し、そしてクリッパーチップ制やあるいはキーリカバリーなどという暗号規制、これなどを……

○議長(斎藤十朗君)

 御静粛に願います。

○千葉景子君(続)

 法律を強く批判し、そして暗号の解読に国家が取り組もうという姿勢を許さない、このような動きを続けてまいりました。盗聴法案はデータ通信も対象とし、法務省の現在の見解では……

○議長(斎藤十朗君)御静粛に願います。

○千葉景子君(続)犯罪とは全く無関係な一般企業のメールボックス等も盗聴の対象となる可能性も否定できません。

 組織としての警察が緻密な情報管理をしていたとしても、傍受担当の警察官個人から情報が漏れるおそれも否定することはできません。これまでの警察があの神奈川県警の盗聴事件すら明確に肯定をしていない、あるいは謝罪をしていない、こういうことから考えても、いつ何どき情報が警察から遺漏する、こういうおそれを否定することは私は到底できない。

 このような捜査機関に漏れる可能性があるとの疑いを例えば外国企業が抱けば、日本企業は世界から相手にされなくなる、こういうことが言えるのではないでしょうか。取引上の信頼関係を損なうことになれば、これからいよよ発展していくであろう電子商取引などで日本企業はこれからの国際競争力を発揮できないことになる、これを私は大変危倶するものです。

 また、法案は、国家の管理、規制を緩和して新たな産業を育成していこうという国際的な流れにも逆行するものです。盗聴法案が成立すれば、極めて情報通信分野に萎縮的効果を生じさせ、産業界にも新たなる負担を強いる結果になることを私は懸念いたします。

 この間、産業界からの御意見を十分聞くことはできませんでした。これからの新しい二十一世紀、日本の国の行く末、これを考えれば、この通信傍受法案を単なる捜査手段として審議するのみならず、これからの日本の産業のあり方、そして日本の将来像、これをも十分認識した上で、この通信傍受、これについての結論を出すべきではなかったでしょうか。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、千葉景子君、千葉君……

○千葉景子君(続)委員会では、これまでの審議の内容を重く受けとめ、さらに問題を解明し、国民の人権を保障するとともに、その不安を解消するための努力が求められているところでした。私は、その責任の重さを改めて痛感していたところでもございます。

 これまでの審議の経過から考えても、まだまだやり残していることはたくさんございます。例えば、連合審査、薬物犯罪、青少年に対する影響なども議論をされました。あるいは、これからの情報通信産業に与える影響、これも極めて重要な問題です。捜査機関が新たな権限を持つわけですから、警察委員会などとの協議も必要でしょう。あるいは、先ほど申し上げましたように、新たな産業への影響、これも無視することはできません。たとすれば、例えば交通・情報通信委員会、地方行政・警察委員会、経済・産業委員会、あるいは薬物問題については文教・科学委員会などとの連合審査も当然必要なことではなかったでしょうか。これについては全く無視されたままこの盗聴法案の審議は進められました。

 また、法務委員会は大変特徴のある委員会でもございます。会派によってはこの法務委員会に委員を有しない、こういう皆さんもいらっしやいます。だとすれば、委員外発言をさらに保障し、そして多くの議員のコンセンサスを得ること、これが不可欠ではないでしょうか。これも一部しか実現をされませんでした。しかも、採決が強行されようとした当日には、委員外発言を委員長がみずから職権で決定をされ、委員外発言を認めていらっしゃった日でもございます。そのみずからの決定をみずからが破棄される、到底許されることではございません。

 また、この法案は、組織犯罪関連三法案と言われます。余りにも問題が多い。人権に関係し、そしてこれからの社会を本当に不安に陥れる、また審議をすればするほてくる。こういう中で、三法案のうち、残念ながら盗聴法案の審議でこの間は手いっぱいであったこと、これも指摘をしておかなければなりません。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉景子君、千葉景子君、千葉君…

○千葉景子君(続)マネーロンダリングにかかわる部分、あるいは組織犯罪に対する処罰の問題、これらはまた委員会ではほとんど議論がなされておりませんでした。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉景子君…

○千葉景子君(続)私も、これらの法案に対してこれからいよいよ問題点を指摘し、そしてその議論を始めさせていただこう、こう考えているやさきでもございました。残念ながら、その道を閉ざされ、そして通信傍受法案以外の二法案についてはほとんど何の議論もなく通過をさせられようとしていることに、これまた私は危惧を覚えるところでもございます。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、時間に制限はありませんけれども、常識の範囲内でやってください。

○千葉景子君(続)また、それから、NTTの視察はさせていただきました。しかし、審議の中で大変疑問が生じたのは、この法案が成立することによって影響を受け、多大なる負担を負わされ、そしてその事業の運営すらをも危うくされようとしている小規模の通信事業者の皆さんの悲痛な声でもありました。だとすれば、小規模の通信事業者の施設の実情を視察すること、これも当然委員会としての責任であったはずでございます。

 これらの問題点、まだまだこれからというときに審議が打ち切られ、そしてこれらの道が閉ざされたことに私は強く抗議をするものであります。

 このような問題点が残されているにもかかわらず、なぜこのような暴挙を冒してまで国民の基本的人権を侵害する重要法案の成立を急ぐのでしょうか。そこには憲法の理念を侵してまでも自自公による政権を維持し、権力に寄りすがろうとする姿しか浮かび上がってこないのであります。

 そのために、国民の人権に深くかかわる法案の慎重な審議を犠牲にして省みないという荒木委員長の態度を断固糾弾するものであります。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、千葉君、常識的にやってください。

○千葉景子君(続)次に、法務委員会における審査の手続に関してルール違反と著しい職権乱用があるということです。

 法務委員会は、法秩序の維持と国民の権利の擁護とを所掌する委員会であることは改めて申し上げるまでもありません。私は、法務委員会は大変これまでも地味な委員会です。普通にはなかなか日が当たらない、あるいは法務委員会の論議がどこかで脚光を浴びるなどということはほとんどない委員会でもございました。

 しかし、法務委員会は、それぞの議員が公平で公正な社会とそして国民の人権を守ろうという熱意のもとに、真筆な議論を常に展開をし、そして円満に議論をするよき伝統があったはずでございます。荒木委員長もその法務委員会のよき伝統は十分御承知のはずです。私は法務委員会に所属してそれを大変誇りに感じておりました。

 そのような貴重な法務委員会の財産が今回の暴挙によってすべて失われてしまったことは極めて残念です。断腸の恩いがいたします。荒木委員長が委員会運営に関して国会法その他の法規に違反することがあってはならないこと、これは当然であり、荒木委員長には釈迦に説法を説くようなものでもございます。国会法四十八条は、「委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。」と規定しています。

 慎重審議を約束しながら途中で態度を一変し、直ちに多数の論理を受け入れるために、質疑を終局し、採決を行ったなどと称し、重要な質疑が続けられていた委員会を突如として怒号と罵声、ばり雑言が飛び交う騒然とした修羅場と化させた荒木委員長の行為は、委員会の議事を妨害し秩序を破壊した行為であり、「委員長は、委員会の議事を整理し、秩序を保持する。」とする国会法四十八条に真っ向から違反することは明らかであります。(拍手)

 また、荒木委員長の行為は、理事との協議に基づくものではなく、国会法第四十八条による委員長の権限を乱用したものに序の維持を使命とする法務委員長にあっては、委員長の職権を乱用するなどということは決してあってはならないことであり、荒木委員長は手続に関しては粛々と行い強行採決ではなかったと称していられますが、どこにそのような根拠と証拠があるのでしょうか。このことは、既にマスコミ各社の報道などによってもその事実は明らかにされておりますので、あえて繰り返すこともなかろうかと思います。

 ただ、一言だけもう一度繰り返して申し上げたいことは、八月九日の夜、なぜ採決を急がれたのか、私には今もって理解することはできません。

 荒木委員長は、八月六日の夜、九日の委員会をセットするに当たっても、我が党の理事が欠席の状態で理事懇談会を開会し、九日の委員会を職権でセットしています。それでも私たちはこの決定に従い、定例日でない月曜日の審査にも応じました。それは、この法案が大変重要な内容を持っており、審査をしてもしてもし切れることがないほど問題が多かったからです。

 そして、我が党の円理事の質疑の最中に三法案を採決したと荒木委員長は宣告をしています。しかし、我が党の後にもこの日は多数の質疑者の質疑が予定されておりました。これは委員長がみずから職権で決められたことでもございます。この質疑は委員会の前の理事会でも承認をされておりました。この理事会で委員長は質疑を行うことだけを発言し、採決のことは一切協議されいないと聞いております。

 ところが、委員会において、緊急動議が提出されたとして、理事との協議を経ることもなく、直ちにこれを採決すみことすら問題があるのに、質疑予定が組まれている中で質疑を打ち切り採決を行うなど、まさに委員長の職責を踏み外したものとしか言いようがありません。議会制民主主義に対する重大な挑戦ではないでしょうか。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、一時間を経過しています。良識的にやってください。

○千葉景子君(続)職権乱用というのは与えられた権限に基づきながらその権限の範囲を超える行為であるとすれば、今回の荒木委員長の行為は、職権乱用ではなく、職権乱用をも超越した職権を逸脱した暴挙としか言いようがないものであり、議会人として国民の信頼を裏切る行為であると言えるでしょう。

○議長(斎藤十朗君)千葉君、良識的にやってください。既に一時間を超えています。

○千葉景子君(続)私は、荒木委員長の行為は、良識の府である参議院の人権と法秩序の維持を使命とする法務委員長としては、決してあってはならない行為であり、その責任を明白にするために法務委員長の職を解任することに全面的に賛成をするものであります。(発言する者多し)

○議長(斎藤十朗君)御静粛に願います。御静粛に願います。

○千葉景子君(続)私は、先ほど申し上げましたように、法とルールに従って民主的運営のもとに審議が行われるべき国会において、しかも最もそのことに厳格であるべき法務委員会においてこのよき伝統が踏みにじられたことに、心から憤りと深い悲しみの念を禁じ得ません。(拍手)

 また私は、議員であるとともに、同じ使命と職責を持つ弁護士としても、荒木委員長の解任決議案の討論に立つことに断腸の思いを感ずるところでもございます。

 迫り来る二十一世紀に向けて、真に公平で、公正で、安心して生きることができる民主的な社会を目指すためにも、もう一度みずからそのルールをきちっと見直し、そしてそのルールに戻すことが必要なのではないでしょうか。私は、本法案、通信傍受を含む組織犯罪対策二法案、これを法務委員会で再度審議をやり直す、これを求めて皆様の御賛同をいただきたいと思います。(拍手)

 最後に、八月九日の委員会において、我が党の円理事の総理大臣に対する質疑を求める質問に対して、荒木委員長は、後刻理事会において協議することを約束されました。荒木委員長、この協議はいつなさるのでしょうか。これを見ても、まだ法務委員会の審議は終わっていない、そして客観的に見ても採決は存在しない、そのことを改めて指摘しておきたいと思います。

 三法案に潜む問題点は山積しています。まだまだ審議は尽くされていとして国民の負託にこたえること、それが参議院の私たちの良心ではないでしょうか。三法案を法務委員会において継続審議することを最後に改めて強く申し添え、荒木法務委員長解任決議案に対する私の賛成討論とさせていただきます。(拍手)

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