一 題名の改正
育児休業法の題名を「労働者の職業生活と家庭生活との両立の支援等のための育児休業、介護休業等に関する法律」(仮称)に改めるものとすること。
二 育児休業制度の改正
1. 労働者は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育するために、育児休業をすることができるものとすること。
2. 育児休業期間は、原則として七月間とするものとすること。ただし、次に掲げる場合には、次のように延長することができるものとすること。
イ 当該労働者の配偶者であって当該育児休業に係る子の親であるものが労働者である場合には、十三月から当該配偶者が育児休業をした期間(当該配偶者の割当分一月を除く。)を控除した期間、育児休業をすることができるものとすること。
(注) 両親がともに子を養育している労働者である場合には、父親の育児休業の取得の促進のため、両親にそれぞれ一月間を割り当てるものとする。そして、七月のうち、この割当分以外について配偶者が育児休業を取得できるものとする。したがって、両親がともに子を養育している労働者である場合には、配偶者の割当分を除いて十三月間まで育児休業をすることができる。
ロ 当該育児休業に係る子を養育している親が一人である場合であって配偶者がいないときは、十四月間まで育児休業をすることができるものとすること。
3. 当該育児休業に係る子について両親が取得することができる育児休業期間は、あわせて十四月間を超えることができないものとすること。
4. 労働者は、育児休業を二回に分割して取得することができるものとすること。また、育児休業は、一月以上の期間にわたりするものとすること。
5. 育児休業の申出は、一月前にしなければならないものとすること。
6. 労使協定によっても、配偶者が常態として育児休業に係る子を養育することができると認められる労働者の育児休業を制限できないものとすること。
7. 事業主は、子を養育する労働者に関して、育児休業の期間及び取得の回数等を拡充するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
三 子の看護休暇の制度の創設等
1. 労働者は、負傷し、又は疾病にかかった小学校就学の始期に達するまでの子を看護するための休暇を取得することができるものとすること。
2. 看護休暇の日数は、子一人につき年間十日とするものとし、年間十五日を上限とするものとすること。ただし、当該看護休暇に係る子を養育している親が一人であってその者に配偶者がいない場合は、子一人につき年間二十日とするものとし、年間三十日を上限とするものとすること。
3. 事業主は、負傷し、又は疾病にかかった子(小学校就学の始期に達するまでの子を除く。)及び配偶者の看護を行う労働者について、その看護のための休暇を与えるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
四 深夜業の制限
1. 夜業の制限の対象となる労働者の範囲を中学校就学の始期に達するまでの子(現行小学校就学の始期に達するまでの子)を養育する者まで拡げるものとすること。
2. 次に掲げる事項については、厚生労働省令を改正することにより、その実現を図るものとすること。
イ 子の養育のための深夜業の制限の適用除外要件とされている「同居の家族がいる場合」について、その年齢を十八歳以上(現行十六歳以上)に引き上げるものとすること。
ロ 介護のための深夜業の制限の適用除外要件とされている「同居の家族がいる場合」について、その年齢を十八歳以上(現行十六歳以上)に引き上げるものとすること。
五 時間外労働・休日労働の制限及び変形労働の制限
1. 小学校第四学年の始期に達するまでの子を養育する労働者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求した場合においては、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならないものとすること。
2. 変形労働制が実施されている事業場において、小学校第四学年の始期に達するまでの子を養育する労働者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者が請求したときは、一週間について四十時間、一日について八時間を超えて労働させてはならないものとすること。
3. 1及び2の請求は、一月前(介護の場合は二週間前)に、一月以上三月以内の期間を定めてしなければならないものとすること。
4. 1及び2の請求をすることができる回数について、育児の場合には制限を設けないこととし、介護の場合には要介護状態にある対象家族一人につき一回とするものとすること。
(注)労働基準法第百三十三条の育児や家族介護をする女性労働者についての時間外労働の上限に関する経過措置は、廃止されることになる。
六 勤務時間の短縮等の措置
1. 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(一日の所定労働時間が○時間に満たない者を除く。)が請求した場合においては、一日の所定労働時間を短縮しなければならないものとすること。
2. 1の請求は、一月前に、一月以上三月以内の期間を定めてしなければならないものとし、その回数については制限を設けないものとすること。
3. 事業主は、その雇用する労働者のうち、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者にあっては一日の所定労働時間の短縮以外の勤務時間の短縮の措置その他の就業しつつその子を養育することを容易にするための措置(例えば、フレックスタイム制や始終業時刻の繰上げ又は繰下げ)を、小学校就学後中学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者にあっては勤務時間の短縮の措置その他の就業しつつその子を養育することを容易にするための措置(例えば、フレックスタイム制や始終業時刻の繰上げ又は繰下げ)を講ずるよう努めなければならないものとすること。
七 不利益取扱いの禁止
育児休業、介護休業、子の看護休暇、深夜業の制限、時間外労働及び休日労働の制限、変形労働の制限又は勤務時間の短縮を請求したことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないものとすること。
八 育児休業等に係る定めの周知等の義務付け
育児休業及び介護休業中の待遇、育児休業及び介護休業後の賃金等に関する事項を周知させるための措置を義務付けるとともに、勤務時間の短縮の措置等を請求した場合の賃金その他の労働条件についても、労働者に周知させるための措置を講ずることを義務付けるものとすること。
九 復帰後の処遇についての努力等
1. 事業主は、育児休業、介護休業をした労働者が業務に復帰したときは、原職又は原職相当職に復帰させるよう努めるとともに、その賃金、配置、昇進等に関する処遇について、同一の事業所における同種の労働者との均衡を失することのないよう努めなければならないものとすること。
2. 事業主は、勤務時間の短縮の措置を請求した労働者に関し、賃金等の労働条件について、当該措置の請求前の労働条件との均衡を保つよう努めるとともに、当該措置が終了したときは、その賃金、配置、昇進等に関する処遇について、同一の事業所における同種の労働者との均衡を失することのないよう努めなければならないものとすること。
十 就業場所の配慮
事業主は、子を養育する労働者又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者の就業場所については、当該労働者が就業しつつ子の養育又は対象家族の介護を行うことが困難とならないよう適切な配慮をしなければならないものとすること。
十一 期間を定めて雇用される労働者について
期間を定めて雇用される労働者のうち実質上期間の定めなく雇用されている者として厚生労働省令で定める要件に該当するものについては、育児休業、介護休業及び子の看護休暇の取得をすることができるものとすること。
十二 育児休業等の勤続要件の緩和等
1. 労使協定による育児休業及び介護休業をすることができる労働者の勤続要件を六月(現行一年)に短縮するものとすること。
2. 深夜業の制限の請求をすることができる労働者の勤続要件を六月(現行一年)に短縮するものとすること。
3. 時間外労働及び休日労働の制限、変形労働の制限並びに勤務時間の短縮の請求をすることができる労働者の勤続要件を六月とするものとすること。
十三 職業生活と家庭生活との両立を促進するための他の施策との連携
政府は、労働者の職業生活と家庭生活との両立の促進等に資するため、育児休業制度、介護休業制度等と保育等に係る施策、介護保険制度等との連携が図られるよう総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
十四 その他
育児休業法改正に伴う関係法律の整理その他所要の規定の整備をすること。
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