民主党雇用・社会保障ネクスト大臣 今井 澄
本日の衆議院本会議において、健康保険法等改正案及び医療法等改正案が、与党などの賛成多数により可決、参議院へ送付された。民主党は、政府案が「抜本改革なき患者・国民負担増」を求める内容であることから強く反対するとともに、昨日の厚生委員会における与党のゴリ押し強行採決に対し強く抗議する。
もともと政府案は、通常国会で審議すべき予算関連法案で、政府自ら重要法案と位置付けたものだった。しかし自民党が総選挙を前に、負担増に対する国民の批判を恐れ両案の国会審議を先送りしたのである。そして選挙が終わるや、今度は与党だけで法案審議を強行し、民主党など野党が徹底した慎重審議を求めるのも無視して、早期成立に向けたゴリ押し国会運営を行ったのである。国会審議を形骸化する自民党の姿勢は、国民の政治不信を一層強くするものと言わざるを得ない。猛省すべきである。
健康保険法改正案の問題点は、政府・与党が高齢者医療制度の改革をはじめ「医療保険制度の抜本改革」の実施時期・プロセスを明示せず、増加する医療費を国民負担増だけで賄うことである。前回97年の健保法改正時、政府は抜本改革の2000年実施を公約していた。にもかかわらず、今回また2年先送りを決め込み、当面の財政対策として国民に負担増を押し付けたのである。政府・自民党には「抜本改革」へのやる気が全く見えない。
患者の負担方法にも多くの問題がある。抜本改革先送りのまま老人の薬剤一部負担だけを単純に廃止する点や、原則定率一割負担としながら受診する医療機関によって負担上限額が異なる点、高額療養費における患者負担増や、保険料率上限の見直しなど、場当たり的で理念なき改革である。
また、医療法改正案では、総じて医療提供サイドの意見ばかりが反映され、患者・国民の立場からの医療制度改革となっていない。カルテ開示の法制化も見送られ、患者・国民を無視した制度改革案といわざるを得ない。
民主党は、参議院において両案の徹底審議を求めるとともに、カルテや診療明細書などの医療情報開示や広告規制の緩和を進める法律案を提出して、国民の立場からの医療制度改革に取組む決意である。
以上
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