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1999/03/08
地方税法の一部を改正する法律案に関する質問(藤井議員)
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民主党・新緑風会 藤井 俊男

私は民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について質問致します。

本題に入る前に、全国の自治体にとって緊急の課題になっている焼却炉のダイオキシン問題について伺います。私の地元でもある埼玉県所沢市で起きた一連の事態は、皆さんご承知のことと思います。ダイオキシン汚染を報じたテレビ報道がきっかけとなり、ホウレンソウの取引が一時停止され、生産農家に甚大な被害を与えました。報道の仕方に問題があったことは事実ですが、元をただせば、ダイオキシン問題への行政の対応が鈍かったことが、今回の事態を招いたといわざるを得ません。所沢市は産業廃棄物処理施設が集中している地域で、早くから住民が不安の声をあげ、対策を求めていたにも関わらず、政府は騒動が起きてやっと調査に乗り出したというのが現状です。はじめに、総理、並びに、農林・自治大臣・環境庁長官のこの問題に対する対応の状況、政府としての今後の取組み方針についてご説明をいただきたい。

民主党は、ダイオキシン類汚染対策緊急措置法案と廃棄物処理法改正案を本院に提出しております。一刻も早い法律の制定に向け、政府の積極的な対応が求められていますが、小渕総理はどのようにお考えでしょうか。国会や政府の取組みを人々は注視しております。総理及び環境庁長官の明快な答弁を求めます。


続いて、地方税法の一部を改正する法律案について伺います。

まず、恒久的減税についてであります。政府の減税策は「まず、最高税率引下げありき」で、国・地方あわせた個人所得課税の最高税率を65%から50%に引き下げています。地方税は市町村の個人住民税が12%から10%への引下げです。この改正では、消費性向の高い所得階層は、前年度に比べると実質増税になっているわけです。これで景気対策になるのか大いに疑問であります。

わが党はこれまで、景気対策としての減税策は、中堅サラリーマンに厚い所得税減税として、税率の一律二割引き下げを国の責任と負担で実施すべきだと主張してきました。総理・大蔵大臣の見解をお聞かせ下さい。

 また、構造改革につながる緊急対策ということで基礎年金国庫負担の引上げと年金保険料引下げ、子育て支援手当の創設等を一体のものとして打ち出しております。

つまり、いまなすべきは、景気回復、少子高齢化、国際化、地方分権に対応する税制改正であります。危機とチャンスは紙一重といいます。財政危機の今、地方税の減税をしないことによって、むしろ国・地方の歪んだ税収割合を、仕事量に対応して変えていく絶好のチャンスであると思うのですが、いかがでしょうか。

政府の減税策からは、税制改革の理念が見えてきません。総理及び大蔵、自治大臣の見解をお聞かせください。


次に、法人事業税の外形標準課税について伺います。現在、政府税制調査会で検討がされているようですが、その進捗状況はいかがでありましょうか。

従来、国際競争力の強化をめざす法人税の引下げと自治体サービスに対する応益課税を実現する外形標準課税は表裏一体のものとして懸案事項になっていましたが、今回は税率引下げが先行しました。今後の方向性は明らかにしておくべきだと考えます。

 先ほど述べましたように、基礎年金の国庫負担引上げ等が実現すれば、保険料の企業負担も軽減されますし、地方税財源を充実させ、地域に張られたセーフティネットが機能するようになれば企業単位の福祉・雇用保障に係る負担も軽くなると思われます。

外形標準課税が中小零細いじめにならないように、こうした税制構造全体の改革の一環として位置づけていく必要があります。野田自治大臣はこの点について、強い関心をお持ちのようですが、見解を聞かせてください。


最後に、国から地方への税財源移譲についてお尋ね致します。今回の恒久的減税に伴う地方税の減収2兆5995億円の補てん策として、法人税の交付税率引上げ、たばこ税の一部地方移譲、地方特例交付金の創設など多少の制度改正は図られていますが、国税から地方税への移譲はたばこ税の1113億円にとどまっています。

私はこの際、思い切った税源移譲をすべきだと訴えたいと思います。

民主党は国・地方の税収割合を現行の2:1から、当面1:1にすることをめざして、国税である所得税の比例部分、すなわち10%部分を地方の固有財源とする法案を今国会に提出する予定です。10%分を都道府県分、市町村分、財政調整分に振り分け、自主財源で賄える自治体を増やすとともに、財政力の弱い自治体にも配慮した新たな財政調整制度を創設することとしております。

自主財源の確立は、これまで総理も大臣も、あるいは国会決議においても呪文のように繰り返されてきたのでありますが、もはや唱えていれば安心という時代は過ぎ去りました。地方の自主財源をどうしたら確立できるのか、その具体策を総理の言葉でお聞きしたいのであります。総理、並びに自治大臣のご答弁を願いします。

財源の裏付けなき地方分権は分権の名に値しません。いまや実行あるのみであることを強調して、私の質問を終わります。

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