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1999/01/20
第145国会における小渕内閣総理大臣施政方針演説に対する代表質問/羽田 孜
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民主党 羽田 孜

 私は、民主党を代表して総理の施政方針演説に関連し、総理並びに関係大臣に質問いたします。

 かって共に汗を流した小渕さんが橋本さんに続いて重責を負われたこと、宮沢大蔵大臣はじめお世話になった方々が閣僚につかれたことに私情から慰労と成功を願いたいと申し上げます。しかし我が国の再生か、沈没かを占う大転換の時、国民と国家に思いを致し、私事を離れて自民党政治について厳しく申し上げます。

 まず、最初に総理の施政方針演説を聞いての感想を一言で申し上げると、国民に対する呼びかけは平易で、その言葉は美しく、勇ましく聞こえましたが、しかし、自民党政治の「判断の誤り」、「小手先」、「小出し」、「なし崩し」、「先送りの対応」が、今日の危機的状況を作り出したことへの説明と反省がなく、悲観主義からの脱却、建設的な楽観主義を説かれても、多くの国民の耳に虚しく響いたものと思われます。

(自自連立について)

 質問の冒頭に、先ず情報公開法案に対する姿勢について質問致します。
 自自連立の政策協議の過程で、政府自民党の不熱心さにより4国会目となった情報公開法案の取り扱いについては、ほとんど議論されなかったように見受けられます。談合政治によって政権を維持してきた自民党が、情報公開制度の確立に消極的であるのは当然としても、基本理念として「オープン」を掲げる自由党が、情報公開制度の確立を強く主張されなかったことは、全く理解できないところであります。情報公開は、日本の民主主義を高めるためにも行財政改革を進めるためにも、極めて重要な基盤です。

 継続協議される政府提出の情報公開法案に対する自由党を含む全野党の修正要求にどのように臨まれるのか、総理並びに野田自治大臣の見解をお示しください。

 私は93年、自民党を離党し日本に二大勢力による緊張感のある政治を実現しようと立ち上がりました。その時の同士が自由党の小沢党首でした。その結果、自民党は九三年以降の国政選挙の得票率が38%から25%へと落ち込み、国民はもはや自民党政権から離れつつあります。小沢自由党党首ご自身が昨年の臨時国会において、「衆議院の解散総選挙を断行し、国民の信を得た正当な政権に変わるのが憲政の常道だ」と述べられました。自民党政権の延命に手を貸すことは政治空白を更に深めると考えます。野田自治大臣の所見をお聞かせ下さい。

また、自民党と自由党とはこの間厳しく対峙してきました。これまで国民に述べてきたことは何だったのか、国民は戸惑っています。

 構造改革を阻む利益誘導政治とは断固決別し、政治・経済・行政・社会の構造改革を断行し得る政権担当能力をもったもう一つの勢力を定着させようという「志」はどうなさったのか、私は自民党政権の迷走ぶりを見るにつけても代わるべき勢力の構築は今こそ、大切な価値であり大義であるとさえ確信いたします。また昨年11月、和歌山県の参議院補欠選挙で我々に応援を求め非自民で共闘したのは何だったんでしょうか、我々のみならず、県民と、国民を欺いたことになりませんか。野田自治大臣の真意をお聞かせ下さい。

(自自連立・安保について)

 自民党と自由党は連立のための政策協議で、国連決議に基づく多国籍軍には、武力行使と一体化しない形で後方支援に参加・協力すること、国連平和維持軍の本体業務への参加凍結は基本的には解除することに合意しています。いずれも、わが国の外交・安全保障のあり方や憲法問題に直結する重要な問題です。PKO本体業務は停戦監視や武装解除、国境での検問など、8年前に成立したPKO法案が当面実施を見合わせることとした任務のことです。これらの業務はその性格上、任務遂行のために武器使用することもあるのではないか。その場合、武器使用は「隊員の自己防衛のための最小限度に限定される」から憲法には抵触しないという従来の憲法解釈を変更しなければなりません。今回の連立合意は、こうした任務遂行のための武器使用を含むのか、もしも含むのであれば、武器使用にかかわる憲法解釈を変更するということなのか、また除外しているということであれば、それで本当にPKO本体業務の遂行が可能なのか、総理にお尋ねします。

 また、今回の連立合意によれば、国連決議に基づく多国籍軍への後方支援の内容について、「内閣の責任で、憲法の理念に基づき、諸般の動静を総合的に勘案し、ケース・バイ・ケースで対応する」としております。これではその時々の内閣が可能と判断すれば何でもできるという、なし崩しの憲法解釈変更につながるのではありませんか。合意に基づいて新規立法を検討するつもりか、明確に総理お答え下さい。

 ガイドライン関連の法整備について質問します。
 連立合意でも周辺事態安全確保法案の基本計画は、国会承認を必要とせず、国会への報告とすることとなったようですが、これは看過できません。そもそも、「周辺事態は日本への直接攻撃を伴うという意味で有事ではない。国民の権利・義務関係への直接的影響も小さい。だから国会承認は必要ない。」という政府の説明はまったくのまやかしであります。例えば、朝鮮半島有事が起こった際に「日本が米軍に後方支援をすれば、日本をミサイル攻撃する」との脅しを受けるケースを想定した場合には、周辺事態が日本有事に代わることもあることは明らかであります。もちろん、今述べたような事態が起きた時、わが国の平和と安全を守るために米国との共同行動が必要であることは言を待ちません。私は、「周辺事態という事態は政府の説明してきたような軽い事態ではありません」ということを申し上げたいのであります。

 我々は、シビリアン・コントロールの観点からも周辺事態安全確保法案の基本計画を国会承認事項とすることを強く要求してまいります。なお、政府は、国会承認が日本の迅速な行動を妨げかねないとの懸念を表明していますが、基本計画の国会承認に関して、総理の見解をお伺いします。

(自自・定数削減問題について)

 衆議院議員の定数削減問題についてお伺いします。
 定数削減については私も同感であります。今回の自自の合意である衆院比例区定数二百名から五十人を削減するという案は、政治改革の理念哲学を無視したもので定数を減らすという国民受けを狙った、あまりにも安易・安直な独善的行為であり党利党略の最たるものと指摘せざるを得ません。定数削減の議論の背景には、中選挙区制への回帰を模索する動きすら透けてみえます。民主党は、これらの策動には組みせず、現行選挙制度の根幹の上にたって、定数是正と併せ、定数削減問題に積極的に取組むべきと考えます。総理如何ですか。

 当面、実現を急ぐべき課題として、在外邦人の選挙区における投票機会の保障や、船員の方々の洋上投票制度と永住外国人の地方選挙権については、いまだ検討課題のままです。総理のご決意をお聞かせ下さい。

(平成十一年度予算・景気対策について)

 次に、平成十一年度予算及び景気対策についてお尋ねいたします。
 未だ、日本経済は長期の不況から脱却できず、正月開けから証券市場は低迷し、職安には多くの人が押し寄せています。更に多くの企業にあって含み益を失うなかで本格的な人員整理が始まっており、失業者の増加も憂慮されます。昨年12月から長期金利も上昇基調に転じ、今後の経済に対する不安がますます高まっています。
こうした事態を更に悪化させている最大の原因は、平成11年度の政府予算が「欠陥予算」であったからに他なりません。政府予算案は、将来へのビジョンや哲学・理念を欠き、行政改革や経済構造改革を先送りした、従来型の既得権を守ることに徹した予算であります。

 政府予算案では現下の不況を打開するのは到底不可能です。政府は「メリハリのある積極財政」を「なりふりかまわぬバラマキ」にすり替えています。最高税率だけの引き下げと上限付きの定率減税、土木事業を中心とした旧来型の公共事業など効果も少ないその場しのぎの対策が中心となっています。バブル崩壊後、100兆円を超える景気対策を講じながら十分な効果がなかったことについて何の反省も見られません。来年度の政府経済見通しも実質で0.5%の成長を見込んでいますが、民間のシンクタンクのほとんどはマイナス成長と予想しています。

 第二の問題は、政府予算案がかってないほどの放漫財政に陥り、国家破産寸前の状態にまで来ていることです。国債発行高は当初予算では最高で三十一兆円を上回り、国債依存度は37.9%となります。国と地方の債務残高は来年度末で、GDPの1.2倍にあたる600兆円にのぼる見通しです。OECD(経済協力開発機構)の99年予想でも、債務残高ではサミット参加先進国において日本はイタリアと肩を並べ、財政収支ではワーストワンとなっています。このような状態で果たして、来年度は予算を組めるのでしょうか。国民の多くは近い将来の大増税を懸念しているのではないでしょうか。

 国債増発に伴って長期金利が上昇に向かっていますが、設備投資や住宅建設に冷水を浴びせ、景気対策の効果を減殺してしまいます。これでは経済再建にも財政再建にもブレーキをかけるという最悪の結果になります。

 何の見通しもなく財政構造改革法の凍結を行いましたが、今後五年間の経済成長見通しと財政展望を明確にし、凍結期間にこれまでの硬直的かつ固定的な手法に変わる新しい財政規律のあり方、財政再建策をとりまとめるべきと考えますが、総理のご所見を求めます。

 民主党は、所得税率の一律引き下げ、西欧水準並みの「子ども手当」創設、国庫負担率引き上げによる年金保険料引き下げを図り国民負担を軽減し、少子高齢化時代の要請に応えるセーフティーネットを確立することこそが健全な個人消費を促す景気対策の基本であると考えます。さらに、都市型公共事業、医療・福祉や情報通信インフラなどに集中して公共事業を進めるとともに、一括補助金を交付し地方が自主的に社会資本整備に取り組める仕組みをつくるなど、新産業創出や構造改革につながる新しい対策を講じるべきであります。

 政府は無節操なばらまき政策を徹回して、私たち民主党が主張する予算に編成し直し、日本経済をプラス成長の軌道に乗せるべきと考えます。小渕総理の見解をお伺いします。

 あわせて自由党にお尋ねします。自由党は昨年12月、「平成11年度予算編成・税制改正に関する重点事項」において、「消費税を一年間凍結する」「所得税・住民税については、すべての税率を引下げる」等の提言を行っていますが、これらの要求は実現しませんでした。にもかかわらず、予算案を認め、自民党との連立に参加したのはなぜか。自由党の野田大臣に明快なる答弁を求めます。

(コンピュータ2000年問題について)

 次に、「コンピューター西暦2000年問題」についてお尋ねいたします。
 米国は大統領直属の「2000年問題対策委員会」を設置し、特別法を制定して情報公開を促進するなど万全の態勢を整えています。わが国政府においても、高度情報通信社会推進本部や関係省庁連絡会議で対応策が講じられていますが、その実態は「各省庁が関係するとこだけ個別にやればいい」「誰かが何とかしてくれるだろう」という不完全なものです。

 2000年問題は、対応が十分でないとき大事故も予測されます。総理は施政方針の中では、2000年問題を一行だけ触れられただけですが、この問題を危機管理として認識されているのか、具体的にどのような対応が現在なされているのか、私は使える予算、人員、技術を総動員して、官民一体で危機を克服すべきと考えますが、総理の見解をお聞かせ下さい。

(政府・与党税制改正案の問題点と民主党の考え方)

 次に、私は、政府・与党の税制改正案について、その問題点を指摘し、民主党の考えを述べたいと思います。

 政府・与党の改正案は、個人所得課税の減税を除いては、まさに民主党が昨年2月以来主張してきた内容をなぞったものとなっており、政府・与党がようやくわが国経済の深刻な状況と民主党案の正しさを認識し、重い腰を上げたといえましょう。 

 この一年間、政府・自民党は、自ら強行成立させた財政構造改革法に縛られ、一時しのぎの特別減税の繰り返しなどの失政を続けてきました。自民党が今回打ち出した内容のほとんどは、本来一年前に実施されているべきものであり、その対応の遅れが景気低迷の長期化を招いたことの責任は重いといわなければなりません。何故、今まで税制改革を先延ばしにしてきたのか、そのことによる景気低迷が長期化した政治責任をどう考えるのか、総理のご所見を求めます。

 改正案の最大の問題点は、何よりもまず、個人所得課税について、「高額所得者優遇減税」との強い批判を浴びている所得税・個人住民税の最高税率のみの引き下げを基本にすえ、中・低所得層については一時的な定率減税のみでお茶を濁しているという点であります。民主党の主張してきた総合課税化による不公平是正などの抜本改革は、今度もまた先送りされております。今回の所得減税規模の大半を占める定率減税部分は、いずれ廃止され、大多数の勤労者世帯に大幅な負担増がもたらされることは明らかであります。このような負担増の予告付き減税では、国民の将来への不安の解消には何らつながるものとはなりません。また、個人住民税減税についても、破綻の淵に立っている地方財政の危機的状況を無視するものであり、民主党は強く反対いたします。

 また、最終段階で「子育て減税」と称して扶養控除の10万円引き上げ、特定扶養控除の5万円引き上げが追加されましたが、これまで政府・与党自身が表明してきた方向に反して所得税の課税最低限をさらに20万円近く引き上げることになりますが、このことは課税ベースの縮小につながるものであり、まさに理念・哲学を欠いた愚策と指摘をせざるを得ません。

 このように、自民党の所得税減税案は、所得課税の抜本的改革を先送りしただけではなく、橋本内閣時代の場当たり的特別減税と同様に税制をゆがめる内容であり、到底国民の理解を得られるものとはいえないのであります。

 特に個人所得課税について、なぜ最高税率のみの引き下げに固執されるのでしょうか。先進国並みの課税に、またやる気を起こす税をの考えは私も同感でありますが、今、必要なのは、併せて中堅の皆さんの消費を促す税制が大切で、その意味でも、各段階すべての税率を引き下げる制度減税を実施すべきではないでしょうか。特に自由党は、これまで民主党と同様、所得税のすべての税率の引き下げを主張してきたのではなかったでしょうか。また、今回の課税最低限の引き上げについて、税制のあるべき姿に照らしてどのようにお考えなのでしょうか。このような愚策が、ますます今後の抜本的な改革を困難にするとはお考えにならないのでしょうか。

 民主党は、国民の将来不安解消につながる税制の抜本的な構造改革をできる限り前倒しで実現するという観点こそが重要であると考えております。個人所得課税については、税制の公平性確保と低・中所得層も含めた負担軽減を実現すべきであり、その具体策として、納税者番号制度と総合課税化の三年以内の実施を明確にした上での所得税のすべての税率の引き下げを提案いたしております。中・低所得層の負担増を緩和するとともに、税制の簡素化を図る方策としては、所得税の扶養控除の見直しと組み合わせて児童手当の抜本的な拡充による「子ども手当」の創設を提案しております。また、基礎年金財源の全額税方式導入に向けた消費税の福祉目的税化についてもただちに実現すべき課題として提案しております。私たちは、今国会にこれらの法案を政府の関連法案への対案として提出する予定であります。

 最近、自民党の中からも、民主党の主張する児童手当の抜本的拡充に共鳴する動きが出てきていると聞いております。この点について、民主党としては、児童手当のたんなる拡充ではなく、これを所得税の人的控除のあり方の見直し等の改革とセットで進めることが、今後の税制を考える上でも不可欠であり、同じ悩みを持つ欧州諸国等の趨勢であると考えております。総理及び自由党の野田大臣は、これらの点についてどのようにお考えでしょうか。

(金融システム不安の解消について)

 次に、金融問題についてお伺いします。
 民主党がつくった金融再生法と自民党がつくった早期健全化法は、金融システム不安解消のための「車の両輪」と表現した方がおられました。しかし、後輪である金融再生法はよく機能しているのに対し、前輪である早期健全化法は、その役割を果たしていません。なぜなら、自民党の早期健全化法は、銀行の責任を極力問わないようにするため、甘い資産査定を許しており、健全な銀行に再生するために十分な額の資本増強を行うことができないからです。市場もそれを見抜いているからこそ、金融システム不安は一向に払拭されないのです。われわれの早期健全化法は、厳格な資産査定により銀行の真の経営内容を明らかにし、存続可能な銀行には思いきった資本注入を実施するものです。もちろん、経営責任は厳正に追及し、モラル・ハザードを許すことはありません。小渕総理が真剣に金融システムの早期健全化を考えられるなら、直ちに民主党案を受け入れる勇気を持たれることです。総理の見解をお尋ねします。

 また、先の金融国会において、自由民主党、民主党及び当時の平和・改革は、10月1日付覚書をもって、財政と金融の分離について合意しております。すなわち、「金融再生委員会の設置に伴う財政・金融の分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに必要な法整備を行い、平成12年1月1日までに施行する」。つまり、期限は今国会中であります。そこで小渕総理にお聞きしますが、財政と金融の分離に係る法整備について、どのような形で実施しようとお考えなのか、財政と金融の分離を見送った中央省庁等改革基本法の取扱いも含めてお聞かせください。

(中村法相発言について)

 次に、中村法務大臣の発言についてお伺い致します。
 中村正三郎法務大臣は法務省の1月4日の賀詞交換会で「連合軍からいただいた国の交戦権は認めない、自衛もできない、軍隊も持てないような憲法を作られて、それが改正できないという中でもがいている」といった憲法批判やオウム事件、和歌山毒入りカレー事件を例に出し、弁護士批判の発言をしていますが、憲法解釈についての重大な誤認も含まれており、法相として不適切な発言で、翌日の閣僚懇談会では発言を取り消し、陳謝されたそうですが、それで済むものではありません。

 我が党は、結党の基本理念においても憲法の基本精神を尊重しながらも、議論をしていくことにしていますが、閣僚の不用意、不適切な発言は、国の内外の不信を招き、健全な憲法論議に冷水を浴びせるものであります。総理は、法務大臣発言をどのように考えておられるのか、改めて御見解を承りたい。

(北朝鮮情勢について)

 昨年8月31日のテポドン発射以来、朝鮮民主主義人民共和国の姿勢がわが国や北東アジア地域の安全保障に緊張をもたらしていることは遺憾であります。私は、わが国の平和と安全を守るためには日米同盟を含めた軍事的備えと、緊張を除去する予防的外交が車の両輪であると考えます。日米安保条約に基づく米軍との協力体制を十分に機能させることが重要で、米国に対し主体性を持ちながら日米の緊密な協力体制をより充実させることを希望します。

 安全保障政策において特に重要な課題が、外交です。日本は既にKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)へ10億ドルの拠出を決めており、これは日本の果たした役割として評価します。また、北朝鮮の頑な姿勢や発言は、国際社会に対し、誤った不信を持っているところにあると考えます。私は北朝鮮が世界に向け門戸を開くことこそ、北朝鮮国民の為にも大切なことと信じます。この為には、韓国、米国、中国、ロシア、カンボジア等とも連携し、門戸開放を真剣に呼びかけるべきと心得、我々もその為の努力をする覚悟を申し上げます。
 総理に北朝鮮情勢とそれに対するわが国の対処方針についてお伺いします。

 (沖縄問題に対する基本認識について)

 橋本内閣以来、政府は沖縄問題を内閣の最重要課題であると公約してこられましたが、経済振興面である程度の改善策が取られてきているものの、根本課題である「米軍基地の整理縮小」は全く進展せず膠着状態にあります。

 普天間飛行場の返還を目玉とするSACOの合意は、基地の県内移設に反対する県民の強い声によって暗礁に乗り上げていると申し上げても過言ではありません。SACO合意を見直す勇断がなければ、県政は変わっても、沖縄問題を県民の期待に応える方向での解決策は出てこないと思われます。

 総理は沖縄基地問題の打開、産業経済振興を、主体性をもって、いかように解決されるのか、明確な答弁を求めます。

(社会問題)

 ダイオキシンについては、各地の廃棄物焼却施設の周辺から高濃度で検出されており、多くの国民が不安を余儀なくされております。そのため、民主党は、環境や人体に重大な影響を及ぼす化学物質の対策について、製造段階でのチェックの強化をはじめ、製品の表示制度の導入、PRTR(環境汚染物質排出移動登録)の義務化、既に汚染された土壌の除去、住民の血液や母乳中のダイオキシン濃度測定など多方面にわたる対策が必要だと考えております。

 国民の不安を除去するためにも、ダイオキシン類の汚染状況についての早期に実態解明と、人体への摂取量の削減のための環境基準・排出基準の設定、汚染地域での対策などの緊急対策の措置が必要であると考えます。民主党は、ダイオキシン類緊急対策法案を提出する予定であります。政府は、ダイオキシンに対する国民の不安に対してどのように答えようとしているのか、総理の所見をお伺いいたします。

 続いて、文化振興政策についてお尋ねいたします。文化立国を目指す日本国としては、文化振興支援は、その質、内容、方法までも問われるべきです。現在、文化振興支援はもっぱら政府からの直接補助によって行われています。しかし、芸術文化は本質的に自由な土壌から生まれてくることを考えれば、民間やコミュニティーが自発的にその担い手になることが一番相応しいと考えます。事実、昨年の調査結果によると、企業メセナつまり企業による文化支援の活動費が、この経済不況にも関わらず、三年連続で増加しています。社会倫理が問われる今、メセナの精神は、企業倫理に健全化をもたらし、文化立国としての日本のあるべき姿を示すものとして歓迎されるべきものと考えます。

 政府は、民間による文化振興支援を促進する施策を積極的に打ち出していくべきです。既に特定公益増進法人に対する寄付金には優遇措置が取られています。民間からの寄付等を奨励するための税制優遇措置の抜本的な拡充について、総理のご見解を具体的にお聞かせください。

(終わりに)

 現在、日本人は、失業率がアメリカを上回るなかで自信喪失状態にあります。また、日本沈没の声も、各所から聞こえます。しかし、私は日本人の持つ潜在的能力を開花すれば、必ずや再び明るい未来が訪れると確信します。高い教育水準、勤勉な国民性、高い技術力、五年連続の世界第一位の外貨準備高、高い個人金融資産など、多くの優れた資産を今もって保持しております。つまり、現在の経済の危機・混迷は、自民党内閣が経済状況の判断を誤り、景気対策のアクセルとブレーキを踏み間違えた積年の失政により引き起こされた「政治不況」であることは自明です。現在の経済危機を引き起こした政府・自民党の責任を小渕総理はどうお考えか、ご所見を求めます。

 終わりに、自自連立政権について申し添えておきます。前回の総選挙は、自社さ政権で闘った選挙であり、自自連立政権は国民の信任を得た政権ではありません。前回の参院選挙比例代表では自民党は二五%の得票率しか得ておらず、それにも拘わらず、非自民を唱え厳しく対峙してきた自由党がたった五ヶ月で自民党政権の延命に手を貸すことは、国民に対する背信行為であります。

 選挙によって信任された政党が政権を担うことが、民主主義の正道です。国民の信任のない連立により、政権が延命したならば、民主主義の基本である国民の参加による選挙への冒涜であり、それによる政治の安定は見せかけでしかありません。日本の政党政治を高めるどころかこの国の民主主義を破壊することになると信じます。

 総理、いくら言葉は優しくてとも、信任のない政治からの発信には、国民は応えません。この国を救うためには、今こそ解散を断行することです。こん国会を総理も云われたミレニアム(千年紀)、21世紀を切り拓く歴史的な国会にするためにも、総理の決断を望みます。我々も、代わり得る真の改革勢力を結集し、正々堂々と臨むことを申し上げて、質問を終わります。

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