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1998/12/11
財政構造改革法凍結法案に反対する討論/佐藤 泰介
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民主党・新緑風会 佐藤 泰介

 私は、民主党・新緑風会を代表し、内閣提出の「財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案」に反対する立場で討論を行います。

 国家財政は、国家の基礎と言えます。国家の基本方針とも言える財政方針をわずか1年の間に3回も大変更することが許されるのでしょうか?
 厳しい経済状況の中で、必死に生き抜くことの努力をしている民間企業の経営者や働く国民は許すはずはありません。

 昨年11月、急激な消費の冷え込みや、株価の低迷、日を追ごとに我が国の経済の混迷が深まりつつある中で、北海道拓殖銀行や山一証券等の大型金融機関の倒産が連続し、大不況に正に入らんとする厳しい経済状況を全く把握できないまま、橋本内閣は財政構造改革法を強行成立させました。

 本年5月には、特例公債発行枠の弾力化、財政健全化目標年度の延長を盛り込んだ内容の「政府改正法案」に対して、民主党をはじめとする野党は、「財革法を2年間停止し、その間に財政構造改革の在り方について見直す」という主旨で「停止法案」を提出しましたが、否決し。強引に「政府改正法案」を成立させました。結果として、恒久減税を望む国民の声を無視したものとなりました。

 財政構造改革法並びにその改正法の根底には、財政改革を急ぐあまり、官民の役割分担や公共事業、社会保障などの中期的な構造改革の視点を欠いており、一律的な歳出削減の手法のみで、構造改革が出来るとの誤った認識と、経済の専門家を自負する大蔵省・経済企画庁などの誤った経済状況判断は、二重の意味で国民にその負担を増大させました。

 橋本内閣のこれまでの景気対策が、何一つ景気回復に結び付いていない事に対する国民の批判は、本年7月の参議院選挙に於いて、自民党の敗北と言う形で民意を表しました。

 民意に対して小渕内閣は、財政構造改革法のもとで、日本経済にとっての貴重な時間と一律的な歳出削減による緊縮予算が、経済状況を悪化させたことの政治的責任を何等明らかにしないまま。そして、金融不安や度重なる景気対策により本年末には、298兆円に昇る公債費残高が見込まれる今、政府は、財政構造改革のための積極的手段を講ずるどころか、財革法の期限のない停止、あるいは、講ずるべき施策にも、何も言及していない言わば財政政策を放棄しているような「政府凍結案」を出しています。経済対策を最優先にと政府は言われますが、その考慮の断片すら見いだせない内閣提出の法案は、財政再建政策の放棄に等しいと言うべき内容です。
 
 繰り返し、言わせていただくならば、これまでの1年間の提案や議論に耳を傾けることもなく、自らの誤った認識で、再再度、経済の流れに逆行する法案を提出し、国民に被害を与え続けていくことは、もう決して許されません。

 現在の不況は「不安不況」とも言えるものです。年金や雇用、老後など国民の生活全般に渡ります。私たち政治家は、国民の「安心」を回復して行かなければ成りません。景気対策と同時に財政の建て直しの強い意志を国民に示し、積極的に財政再建を押し進めなければならない時が、今であると考えます。

 以上述べましたような理由から、民主党・新緑風会としては内閣提出の「財政構造改革の推進に関する特別措置法の停止に関する法律案」に強く反対し討論を終わります。

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