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1998/10/16
第143臨時国会を振り返って
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民主党国会対策委員長 石 井 一

 今国会は、参議院選挙で自民党の敗北、橋本内閣総辞職、参議院で野党多数という状況で開かれた。結果的には小渕恵三氏が首班に指名され、小渕内閣が発足したが、参議院ではわが党の菅直人代表が首班に指名された直近の民意は、自民党政治にノーであり、とくに小渕内閣は自民党の派閥次元で生まれた内閣で、国民の信を受けたものではなく、前途多難なスタートとなった。
 わが党は、野党第1党として国民の期待に応えるべく改革の先頭に立って論戦を展開した。その結果

(1) 自民党政治の行き詰まり、小渕内閣の限界を国民の前に明らかにすることができた。

(2) とくに、野党の協力なしにはいかなる法律も成立できないことになり、主要な法律案がすべて修正されたことは画期的なことであった。

(3) 野党が結束していれば野党の主張は実現するが、自民党の野党分断工作も活発に行われ、修正される法案ごとに、賛成する政党の組み合わせが異なるという現象が見られ、いわゆる自民党の「部分連合」への思惑もあり、野党共闘のあり方、政策協議のあり方など、今後に課題と教訓を残した。

(4) その中でわが党は、野党第1党として、政策本位で筋を通し、小渕内閣・自民党と対峙し、自民党に代わる政権担当能力のあることを示すことができた。

(5) とくに、金融再生法案ではこのことを証明した。また、この法案成立をめぐる与野党協議を通じ、官僚に依存してきた自民党の政策立案と調整機能の後れが、協議を長引かせ、成立を遅らせた。

(6) 金融健全化法案の取扱いにおいては、自民党と一部野党の政策協議合意によって、全く異例な短時間で、しかも国会審議を殆ど行わないで成立させるという悪例を残したことは誠に残念であった。

(7) 金融関連法案の処理だけが優先され、自民党の反対もあって、われわれが要求した最も重要な景気対策、減税問題、雇用対策、さらには、懸案の情報公開法の議了、防衛庁汚職の解明などが十分審議できなかった。

(8) しかし、会期最終日の10月16日に至り、参議院において民主、公明、自由の3党共同提案による額賀防衛庁長官に対する問責決議案が可決されたことは、新憲法下で初めてのケースであり、癒着構造に無反省な自民党・小渕内閣に大きな打撃を与えてた。まさに逆転参議院の力を示したものといえよう。

(9) 国会の責任として、これらの重要課題のほか、小渕内閣の政治姿勢や内閣自体の是非についても徹底的に議論し、必要な対策を講じていく必要がある。

この意味からも、できるだけ早期に臨時国会を改めて開催する必要がある。


[重要法案等への対応]

 今臨時国会は、最大課題である金融再生法案をはじめ国鉄・林野の長期債務処理法案、情報公開法案等多数の法案審議、防衛庁汚職問題の追及等に取り組んだ。

1. 金融再生関連4法案は、わが党を はじめとした野党案を事実上政府・自民党に丸のみさせたかたちで成立させることができた。
 これはわが党の結束力、優れた政策能力に加え、改革を求める野党3党の協力体制の成果であるといえる。
 関連する早期健全化スキーム法案については、内外金融市場の激動、与野党の攻防が激しさを加える中で前半戦のように野党共闘を持続することができず、自民、平和、自由の共同修正案に対し、わが党は単独の修正案で対抗することになり、否決された。
 この様な前半戦と後半戦の戦いは様相を異にし、野党共闘の面において教訓を残すところとなったが、わが党としては終始一貫改革路線の筋を通すと共に、内外に政権担当能力を示すことができたと考える。

2. 国鉄・林野の長期債務処理法案については野党共闘を重視し、時間とエネルギーをかけて共同修正案の成立に取り組んできたが、最終局面に至り、自民党は自由、社民両党とJR負担部分を半減化させる修正案を可決成立させた。
 わが党と平和が一貫して主張した民営化後のJRに再負担を求める不合理性は今後に新たな問題を残すものであり、政府・与党の責任は重大である。

3. 情報公開法については、継続案件でもあり、早期成立を望む世論を背景に、内容の前進的決着を求め、衆・参が一体となって取り組んだ。
 しかし、参議院の逆転状況を意識する政府・自民党は党利党略の立場から衆議院での会期内議了を阻み、最終局面においてわが党などの新たな修正要求を了解したうえで継続扱いとなった。
以上の経過のとおり、衆議院において成立しなかったが、事実上その道を担保することができた。

4. 防衛庁の汚職事件については、わが党は衆・参両院が一体となり関係委員会において粘り強く事件の真相究明と関係者の政治責任を追及してきた。
 また、司法の手によって背任容疑、証拠隠滅の組織犯罪容疑が強まる中で、防衛庁が14日公表した内部調査に基づく中間報告は一貫して事件の真相を隠蔽しようとするものであった。国家的重大事件の政治責任を問う立場からわが党は参議院において、公明、自由との共同提案による額賀防衛庁長官に対する問責決議案を提出し、会期最終日の16日野党各会派による賛成多数で可決された。
 今まさに防衛庁長官の即刻辞任が求められており、小渕総理が窮地に立たされることは免れない。
 逆転参議院の力をいかんなく示した結果であり、われわれは今後の国会活動に一段と継承発展させていかなければならない。


以上

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