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2003/06/12
予定利率引き下げ法案の衆議院通過にあたって
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民主党政調会長 枝野幸男

○ 本日衆議院本会議において「保険業法改正案」が可決された。保険業法は今国会において既に一度改正が行われており、姑息な政治的理由によって一国会に同じ法案の改正を2度に分けて行うことは、「国権の最高機関」たる国会の権威を地におとしめるものである。また生保予定利率の引き下げは、憲法29条「財産権の保障」違反ではないかという議論の余地がある。民主党は、このような法案を容認することはできない。

○ 生命保険とは「死亡、入院などのある一定の条件になったら保険金を支払う」という約束で成り立っている商品であり、この約束を勝手に変更することは、自動車の購入契約をした消費者に自転車を渡すようなものである。保険金減額という実質的な債務不履行を政府が認める法律は、他の先進国にはない。

○ 大手生保全社が前期決算で黒字を計上し、ソルベンシーマージン比率(生保会社の経営の健全性を示す指標。銀行の自己資本比率に相当)が健全性の目安とされる200%をはるかに超えている。政府は一貫して「現在の生保会社は全て健全であり、危機的な状況にはない」と主張し、生保各社も「利率引き下げは求めない」と公言している。このような状況で、なぜ本法案が必要なのか、誰のための仕組みなのか、全く説明がない。
また、既存の生保破綻処理のスキームである更正特例法を適用した場合、処理が裁判所関与の下ですすみ透明性が高いこと、基金が契約者保護に使われることなどから、「予定利率引き下げ」より国民全体にとって有利となる可能性があることも指摘されている。

○ 予定利率の引き下げにこだわるのは、政府のいう「契約者保護」との建前とは異なり、当該生保と密接な関係にある銀行の救済を意図しているものと言わざるを得ない。銀行に対する影響を回避するため、本来破綻会社にしか許されない債務不履行(=予定利率引き下げ)を行い、結局しわ寄せを受けるのは国民という構図である。

○ 生保予定利率引き下げ法案は、当然であるべき情報公開も行わず、経営者も政治行政も責任を明確にしないままに、国民の9割を超える生保契約者にしわ寄せを押しつけるものである。このような法案を国会に提出し、相も変わらず銀行救済に汲々とする小泉総理に改革を行う意志も能力も無いことは明らかである。民主党は参議院において引き続き本法案の廃案を強く求めていく。

以上

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