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2002/11/14
地域金融の円滑化に関する法律案提案理由説明(櫻井議員)
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参議院財政金融委員会

地域金融の円滑化に関する法律案提案理由説明

民主党・新緑風会 櫻井 充

ただいま議題となりました地域金融の円滑化に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成不況と呼ばれる今、一刻も早くこの閉塞感を打ち破り、日本経済を再生することが求められています。そのためには、民間企業数において九十九パーセントを占める中小企業の活性化が、日本経済再生のためには不可欠なものです。

ところが、現実を見てみると、「貸し渋り」や「貸し剥がし」に象徴されるように、中小企業に対する資金の効果的な供給、すなわち地域金融は著しく滞っています。大企業に対する貸出は増加している一方、中小企業に対する貸出は五年前と比較して四十兆円以上も減少していますし、「融資の見返りに預金を迫られる」、「理由の説明もなく融資を拒否される」など、貸し手と借り手の力関係を悪用した不公正な取引慣行によって地域金融の円滑化は妨げられています。

銀行法の第一条においては、銀行の公共性にかんがみ金融の円滑を図る旨述べられていますが、これによれば、あるべき地域金融というものは、地域社会において要請されている望ましい分野、すなわち中小企業者の事業活動に円滑に資金が供給されることと言えます。しかし、政府・銀行ともに、経営の健全性ばかり重視し、不公正な融資行為を行っており、あるべき姿とはほど遠いと言わざるを得ません。
この法律案は、金融の現状と本来あるべき姿とのギャップを埋めるため、銀行の情報公開のルールを定め、新たに設置する地域金融円滑化評価委員会が財務の健全性だけでなく、公共性の観点から銀行を評価し、利用者が必要な銀行を選択できるようにするものです。

これにより、企業再生を支援するなど、地域金融のために貢献している銀行の努力が評価される上、それを広く利用者が応援することができますし、銀行は利用者を意識した経営を行うようになることが期待できます。その結果、中小企業の事業活動に効果的に資金が提供され、地域経済が発展し、最終的に日本経済を活性化することができると考えております。

 次に、この法律案の概要について申し上げます。

 第一に、地域金融に関する基本理念として、
  一 利用者の利便の増進が図られ、地域において社会的に要請されている望ましい分野に必要な資金が十分に供給される等地域金融の円滑化が図られなければならないこと
  二 中小企業者の事業活動の分野に効果的に資金が供給されるよう特に配慮されなければならないこと
  三 個々の金融機関の特性及び実態を簡易に知ることができる環境が整備されるよう、金融機関に関する情報の開示が図られなければならないこと
を定めております。

 第二に、地域金融の円滑化に関する国、地方公共団体及び金融機関の責務について定めております。

 第三に、地域金融の円滑化に対する個々の銀行等の寄与の程度に関する評価を、内閣府の外局に設置する地域金融円滑化評価委員会が、個々の銀行等から提出される報告書に基づいて毎年一回行うこととし、その結果を各銀行等に通知するとともに、国会、一般に報告及び公表することとしております。

 第四に、金融機関の統廃合については、地域の円滑な金融に支障を生じさせることがあることにかんがみ、主務大臣が公聴会の開催等によって、利用者の意見を聴く機会を設けるものとしております。

以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 全国の中小企業家の人達が中心となって、当法案の早期制定を目指す八十万を超える署名を集め、現時点で四百十六の地方議会でも同様の意見書を採択したことをみれば、この法律の早期制定を多くの国民が望んでいることは明らかです。また、昨今では、自殺者が年三万人を超え、その内経済的理由による人の数が年々増加しており、生きるか死ぬかの瀬戸際で苦しんでいる人の命を救うことが喫緊の課題となっています。

 委員各位におかれましては、どうかこれらのことについて十分に御理解を賜り、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

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