トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2002/01/24
金融再生ファイナルプラン
記事を印刷する

NC金融担当大臣  五十嵐 文彦

1. はじめに

 またしても金融危機が叫ばれている。98年から99年にかけての2度にわたる資本注入を含め、これまでに総額33兆円の公的資金が投入されたにもかかわらず、金融不安は一向に解消しなかった。政府は、大手行の自己資本比率は10%以上であり金融不安はないと、相変わらずの大本営発表を続けているが、それが単なるフィクションであることは誰の目にも明らかである。140兆円にのぼるとも言われる不良債権の実態を明らかにし、金融システムの過少資本問題を早期に解決しなければ、わが国経済の再生はあり得ない。
 こうした事態を招いた政府・与党の責任は極めて重大である。政府・与党には、これまでの金融失政を総括し、自らの責任を明らかにすることなくして、安易に公的資金の再投入を論じる資格はない。
 民主党は、ここに「金融再生ファイナルプラン」を提案し、一刻も早く金融システムを健全化させるとともに、必要な分野に効果的な資金供給がなされるよう、間接金融システムの構造改革に取り組む。

2. 基本的姿勢

1. 可及的速やかにシステミック・リスクを解消する。すなわち、間接償却を完了させ、債務超過銀行は特別公的管理(一時国有化)に移行、過少資本銀行は公的資本増強を実施して健全銀行にする。

2. 大企業と中小企業は明確に区別する。大企業については直接償却を急ぐが、中小企業については直接償却を急がず、自力再建の機会を与える。

3. 特別公的管理銀行を健全な銀行と比較的リスクの高い中小企業向け融資に特化した銀行に分離し、それらの再編を通じて、金融システムの健全化、業態の多様化を図る。

4. 株主・経営者等の責任の明確化によりモラル・ハザードを防ぐ。

5. 地域金融円滑化法(金融アセスメント法)を制定し、中小企業等に対する必要かつ効果的な資金供給を通じた地域金融の円滑化を図る。

3. 具体的手順(1〜3は可及的速やかに実施)

1. 間接償却の完了
 緊急一斉検査を実施し、厳格な資産査定と十分な引き当てを行わせる。

2. 債務超過銀行等の破綻処理
 債務超過銀行または著しい過少資本銀行(自己資本比率0%以上2%未満(国内基準0%以上1%未満))であって自力増資が困難な銀行については、特別公的管理(一時国有化)に移行する。要注意先以下の大企業は整理回収機構(RCC)に、正常先は新銀行に分離し、要注意先以下の中小企業及び株式・債券等のリスク資産は親銀行にそのまま残す。

3. 過少資本銀行への公的資本増強
 過少資本銀行(自己資本比率2%以上8%未満(国内基準1%以上4%未満))については、自力増資により自己資本比率8%(国内基準4%)達成が困難な場合、減資及び経営者に対する刑事・民事上の責任の明確化、給与引き下げ等のリストラを条件として、普通株式による公的資本増強を実施する。要注意先以下の大企業については、RCCへの分離を可能とする。

4. 特別公的管理銀行の再編
 正常先を抱える新銀行及び要注意先以下の中小企業及び株式・債権等のリスク資産を残す旧銀行をそれぞれ地域毎に適宜再編する。

5. 不良債権の直接償却
 RCCに分離した要注意先以下の大企業のうち、破綻懸念先以下については1年以内に直接償却を完了させ、要注意先については1年以内に自力再建の可能性を見極める。旧銀行に残す要注意先以下の中小企業については、自力再建の可能性を見極め、その可能性が乏しいものについては3年以内に直接償却を完了させる。

6. 新銀行の民営化
 新銀行の株式を速やかに上場し、できる限り早期かつ段階的に株式を売却する。この際生じた売却益は親銀行の不良債権処理費用等に充当する。

7. 親銀行の民営化
 親銀行を比較的リスクの高い中小企業向け融資に特化した銀行に再生させ、株式を売却する。株式再上場が可能であれば、新銀行と同様の手法により売却する。

4. 必要な法整備

1. 金融再生法の復活

2. 早期健全化法案(民主党版)の再提出

3. 地域金融円滑化法(金融アセスメント法)案の再提出

ダウンロード
PDF →参考図
記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.