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2001/11/13
平成13年度補正予算3案 反対討論(松本議員)
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民主党・無所属クラブ 松本 剛明

民主党の松本剛明です。私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の平成13年度補正予算3案に反対する立場から討論をいたします。

「改革なくして成長なし」、改革の目的は日本経済に生命力を蘇らせることです。一刻も早く不良債権の抜本処理を行い、財政・経済の構造改革を断行することが、景気低迷とデフレから脱却する唯一の方法なのです。
ところが、課題の不良債権処理も3年以内に終わらせるとかけ声だけは勇ましいのですが、責任逃れに終始して要注意債権に対する厳格な資産査定というポイントを欠いているために、マーケットに疑念をもたれている有様です。

医療については1997年の自己負担引き上げ時の国会審議で、当時の厚生大臣であった総理が2000年までに抜本改革を行うと公約されました。しかし、9 月に発表された医療制度改革試案は、来年から自己負担をアップした上に、その翌年には保険料率の引き上げが必要としており、要はツケを国民にまわすだけの現行制度の延命策でとても抜本改革といえません。政府内の財務省や所管の厚生労働大臣からも厳しい評価を受ける代物です。

特殊法人改革も最初は勢いがよかったのですが、族議員の抵抗に遭って、どんどんトーン  ダウンし、ついには「見直す」としか言わなくなりました。道路特定財源の一般財源化は何時の間にか本体の揮発油税を外した自動車重量税の見直しにすりかわってしまいました。目玉の 道路公団改革では、本質的な問題である高速道路整備計画の見直しに踏み込めるのでしょうか。

結局「小泉改革」は今のところ、見出しこそ民主党が結党以来主張してきたことが大幅に取り入れられていますが、実質を伴っていません。
同僚の原口一博議員が昨日の予算委員会で、恰も花火のようだと申し上げました。打ち上げても、天空の総理ばかりが光り輝き、地上の私たちは闇に包まれたまま、その内花火も空しく消えてしまうのです。

次に、本補正予算について申し上げます。
国債発行30兆円枠をぎりぎり守ったことは、最低限の線とは言え財政規律の必要性を認識している点で肯けます。自民党の先生が予算委員会で示したグラフからも読み取れるように、国の赤字が拡大している今、財政出動は景気刺激に効かないばかりか、むしろマイナスに作用する虞すらあり、公共事業等のバラマキを増やさなかったことは一定の評価に値します。

しかし、多くの問題があります。
第一に本案の柱である雇用対策です。今になってやっと雇用問題が取り上げられましたが、私たちは3月の当初予算組換要求の際にもっと雇用に重きを置くようにと提案しました。その時によくお聞きいただければ、もっと早くから取り組めたのに、この間にどれほど事態が悪化したかと思うと残念でなりません。
加えて繰り返されてきた政府の雇用対策の問題点がクリアされていません。仙谷由人議員が本会議で効果の割にコストが嵩む、必ずしも失業者が対象となっていない、安定的な雇用機会の提供となっていない、そして失業率が上がっていくと指摘しました。総括がないから従来の失敗をまた積み重ねることになります。
民主党が提案する効果と未来を考えた雇用対策では、真の雇用創出につながるワークシェアリングや、成長型の産業、企業、NPOの育成支援に取り組み、高齢者・若年者・障害者の就職支援を進めるとともに、再就職に実際に有効な「求職者能力開発支援制度」の創設、住宅ローン対策・教育費の支援等の生活のサポートも行います。地域においては公労使の連携の上で知恵を競いながら中期雇用創出事業を展開し、ミスマッチ解消のため民間の力を活かして職業紹介機能の充実させる等、功罪差し引きするとマイナスかもしれない政府案とは大きく異なります。

第二に経費節減が不充分です。既定経費を1兆1千億円節減と謳っていますが、低金利に  よる国債の利払い減少が相当部分を占め、節約によるものはその内の16百億円だけ、それももともと慣例で15%多目に確保された経費を削っただけです。限られた財源だからこそ、その使途は充分に吟味されなくてはなりません。当初予算の中身も改革の対象であるべきです。
外務省関連だけでも大臣が言及されたように見直すべきものが、当初予算で報償費56億円、諸謝金137億円、渡切費79億円と計272億円ありますが、今回は私たちが当初予算から大幅な削減を求めてきた報償費が他の経費並に15%削減されただけです。外務省所管経費は昨年度12月末までに5割余しか使われていません。来年度から見直す旨の答弁がありましたが、国民の税金なのですから速やかに変えるべきです。年度変わりまで待つのが霞ヶ関の常識かもしれませんが、直ぐに実行するのが普通の常識です。
公共事業は11月末時点で未契約の事業が2兆円程度と推計されています。無駄なものを  止めて、少しでも雇用や中小企業対策等緊急の課題に回す努力が必要です。

第三は、公債発行の抑制を優先するためとして前年度剰余金を本来公債の償還に充てるべき部分まで補正予算の財源とし、財政法の趣旨を捻じ曲げている点です。これは、実質新規発行に等しく、30兆円に抑えたといっても小手先の手段を使って見かけだけ繕ったにすぎません。

また責任が意識されていない点も認められません。牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病対策費として今回265億円計上されています。国の失政により被害を受けた、関係の生産・流通・食品・外食等の方々に対しては手厚い支援が必要です。しかし、このような事態発生に責任を有する部署の経費を切り詰めず、ツケを全て国民にまわすような対応には反対です。

改革にはスピードが求められます。遅ければ国民の痛みが大きくなるからです。半年経っても「見直す、検討する」ばかりでは何もやっていないのも同然です。「まだ半年」ではなく、もう半年です。2〜3年待ってくれと仰りますが、もう10年待ちました。本気でやればできるの  です。薬害エイズ問題に取り組んだ菅直人厚生大臣は就任から10日余でプロジェクトチームを立ち上げ、3ヵ月で内容のある報告をまとめています。できることがあるのに先送りする、そのような本補正予算案は、改革に充てられるべき時間を徒に費やすものと言わざるを得ません。私たち民主党・無所属クラブは国民のために反対することを申し上げて、私の討論を終わります。

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