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2001/06/20
地域金融の円滑化に関する法律案要綱
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第一 総則
一 目的

   この法律は、地域金融の円滑化に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及び金融機関の責務を明らかにするとともに、地域金融の円滑化に対する個々の銀行等の寄与の程度に関する評価の制度を設けること等により、その推進を図り、もって地域経済及び国民経済の健全な発展並びに国民生活の向上に資することを目的とすること。

(第一条関係)


二 定義

   この法律において「銀行等」とは、次に掲げる者(この法律の施行地外に本店を有するものその他政令で定めるものを除く。)をいうこと。

1. 銀行法第二条第一項に規定する銀行(第二の一において「銀行」という。)
2. 長期信用銀行法第二条に規定する長期信用銀行(第二の一において「長期信用銀行」という。)
3. 信用金庫
4. 信用協同組合
5. 労働金庫

(第二条関係)

三 基本理念

1. 地域金融については、地域経済及び地域住民の生活におけるその果たすべき役割の重要性にかんがみ、中小企業者の事業活動、地域住民の生活その他の当該地域において社会的に要請されている望ましい分野に必要な資金が十分に供給されることを旨として、その円滑化が図られなければならないこと。

2. 地域金融の円滑化を図るに当たっては、地域経済における中小企業者の事業活動の活性化の必要性にかんがみ、この分野に効果的に資金が供給されるよう特に配慮されなければならないこと。

3. 地域金融の円滑化を図るためには利用者が個々の金融機関の特性及び実態を簡易に知ることができる環境の整備が重要であることにかんがみ、金融機関に関する情報の開示が図られなければならないこと。

(第三条関係)


四 国の責務

   国は、基本理念にのっとり、地域金融の円滑化に関し必要な施策を策定し、及び実施する責務を有すること。

(第四条関係)


五 地方公共団体の責務

   地方公共団体は、基本理念にのっとり、地域金融の円滑化に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有すること。

(第五条関係)


六 金融機関の責務

1. 預金又は貯金の受入れを業として行う金融機関は、金融業務の公共性にかんがみ、基本理念にのっとり、その業務を行うに当たっては、当該金融機関が業務を行っている地域における資金の円滑な需給に資するとともに、信用の供与に当たっての均等な機会の保障、融資に係る苦情の適切な処理その他利用者の利便の向上を図るように努めなければならないこと。

2. 1に定めるもののほか、1の金融機関は、基本理念にのっとり、その業務を行うに際し、国又は地方公共団体が実施する地域金融の円滑化に関する施策に協力する責務を有すること。

(第六条関係)


七 年次報告等

1. 政府は、毎年、国会に、地域金融の円滑化の状況及び政府が地域金融の円滑化に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならないこと。

2. 政府は、毎年、1の報告に係る地域金融の円滑化の状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならないこと。

(第七条関係)


第二 地域金融の円滑化に対する寄与の程度に関する評価
一 地域金融の円滑化に対する寄与の程度に関する評価

1. 地域金融円滑化評価委員会は、個々の銀行等の業務の運営に関する次に掲げる事項について調査を行い、その結果に基づき、個々の銀行等について、おおむね二年(政令で定める銀行及び長期信用銀行にあっては、一年)に一回、地域金融の円滑化に対する寄与の程度に関する評価を行うものとすること。

(1)融資の状況に関する事項
(2)融資の手続に関する事項
(3)その他地域金融の円滑化に関し必要な事項

2. 1の評価の基準及び方法は、政令で定めること。

3. 2の政令を定めるに当たっては、あらかじめ、広く国民の意見を聴かなければならないこと。

(第八条関係)


二 意見の聴取

   委員会は、一1の評価を行おうとするときは、あらかじめ、当該銀行等から意見を聴かなければならないこと。

(第九条関係)


三 通知

   委員会は、一1の評価を行ったときは、その理由を付して、政令で定めるところにより、遅滞なく、当該銀行等に書面で通知しなければならないこと。

(第十条関係)


四 国会に対する報告等

   委員会は、毎年、一1の調査の結果及び評価を記載した報告書を作成し、これを内閣総理大臣を経由して国会に提出するとともに、政令で定めるところにより、一般に公表しなければならないこと。

(第十一条関係)


五 報告書の提出

   銀行等は、事業年度ごとに、政令で定めるところにより、地域金融の円滑化に関する事項で政令で定めるものを記載した報告書を作成し、委員会に提出しなければならないこと。

(第十二条関係)


六 報告又は資料の提出

1. 委員会は、一1の調査を行うため必要があると認めるときは、銀行等に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができること。

2. 委員会は、一1の調査を行うため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該銀行等の子会社に対し、当該銀行等の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができること。

(第十三条関係)


七 立入検査

1. 委員会は、一1の調査を行うため必要があると認めるときは、当該職員に銀行等の事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができること。

2. 委員会は、1の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該銀行等の子会社の施設に立ち入らせ、当該銀行等に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができること。

(第十四条関係)


八 権限の委任

1. 委員会は、政令で定めるところにより、この章の規定による権限(一1の評価を除く。)の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができること。

2. 1の規定により財務局長又は財務支局長に委任された権限に係る事務に関しては、委員会が財務局長又は財務支局長を指揮監督すること。

(第十六条関係)


第三 地域金融円滑化評価委員会
一 設置

   内閣府設置法第四十九条第三項の規定に基づいて、内閣府の外局として、地域金融円滑化評価委員会を設置すること。

(第十八条関係)


二 所掌事務

   委員会は、第二の一1の調査及び評価に関する事務をつかさどること。

(第二十条関係)


三 職権の行使

   委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行うこと。

(第二十一条関係)


四 組織

   委員会は、委員長及び委員四人をもって組織するものとし、委員長及び委員は、地域金融及び地域経済に関し優れた識見及び経験を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命すること。委員長及び委員の任期は、三年とすること。

(第二十二条から第二十四条まで関係)


五 事務局

   委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置くこと。

(第三十条関係)


六 資料提出の要求等

1. 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、日本銀行、預金保険機構又は銀行等に対し、資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができること。

2. 委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、1に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができること。

(第三十一条関係)


七 意見の申出

   委員会は、内閣総理大臣又は関係行政機関の長に対し、その所掌事務の遂行を通じて得られた地域金融の円滑化に関する施策についての意見を述べることができること。 

(第三十二条関係)


第四 銀行法等の一部改正
   内閣総理大臣は、銀行の合併、分割、営業の譲渡若しくは譲受け、廃業若しくは解散又は異種の金融機関相互の合併若しくは転換が認可基準に適合するかどうかを審査するに当たっては、公聴会を開き、利害関係人の意見を聴かなければならないものとすること。

(第三十六条及び第三十七条関係)


第五 その他

1. この法律は、平成十三年十月一日から施行すること。ただし、第三の四中両議院の同意を得ることに関する部分は、公布の日から施行すること。

(附則第一条関係)


2. 罰則、経過措置その他の所要の規定を整備すること。

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