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2000/02/17
東京都の外形標準課税導入について
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財政・金融ネクスト大臣
岡 田 克 也

1. 都道府県が法人事業税の課税にあたり、本則で定める法人の所得ではなく、資本金額、売上金額等の外形標準を課税ベースとし、または所得とこれらの課税ベースを併用することは、地方税法により当初から認められている(第72条の19)。その際、同法は、税負担が所得課税による場合の負担と著しく均衡を失することのないように 税率を定めることを求めている(第72条の22第9項)。

 東京都の案は、銀行の業務粗利益を課税ベースとし、過去15年程度の主要行の税収実績の平均額から3%という税率を定めたとしている。これは、地方税法の上記の規定によって許された都道府県の政策的裁量の範囲内にあり、都の課税自主権の正当な行使であると考える。法律に根拠なく国が東京都に対して執拗に再考を求めることは 妥当ではなく、都及び都議会の判断に委ねるべきである。


2. ただし、適用対象を資金量5兆円以上の銀行等に限定し、5年間の時限措置とした点などについては、税の公平・中立等の観点からみて議論の余地があることも事実であり、都及び都議会が議論を十分に行ない、以下の点について国民や全国の関係者に 対する説明責任を果すことを期待する。

1. みだりに課税されないことは、国民にとって基本的な権利であり、民主主義の基 本である。特定業界を対象とすることが、将来への先例となり、都民の利益を損なう ことはないか。

2. 地方行政サービスの受益に対して広く薄く負担を求めるという外形標準課税本来 の考え方に沿うものといえるか。

3. 他の道府県の法人関係税収や地方交付税等への影響をどう考えるか。
 
3. 今回の事態は、政府・与党が地方財政危機を放置し、国から地方への抜本的な税源移譲等の改革を先送りし続けてきたことにこそ真の原因がある。民主党がかねて主張しているように、所得税の一定部分を住民税に移譲するなどにより、地方分権を支 える自主財源の抜本的な拡充を図ることが急務である。

 また、政府税調で検討が続いている全国的な外形標準課税の導入については、すべて全国一律とするのではなく、小委員会報告で示された4つの外形基準及び従来の所得課税との組み合わせの具体的選択、税率の決定等を一定の範囲で都道府県に委ねることをはじめ、都道府県の課税自主権をより尊重する方法ですみやかに結論を得るべ きである。
(なお、外形標準課税導入についての民主党の見解を別紙として添付する)。



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1999年12月16日

2000年度税制改正について(抄)
――自民党税制改正大綱への見解を中心に――

民主党税制調査会

10. 地方税関係

 本来、地方公共団体による行政サービスに対する応益的負担としての性格を持っている地方税については、景気対策の道具として時々の経済状況によって減税するような取り扱いをすべきではない。国の景気対策によって近年の地方公共団体の財政状況は著しく悪化しており、国から地方への抜本的な税源移譲を進め、地方分権を強力に 推進すべきである。

(2) 外形標準課税の検討

 赤字法人への課税につながり、現在の不況下では実施は難しいとする意見が大勢を 占め、自民党案でも来年度導入は見送られたが、自治体は税収安定化のために必要と の立場をとっている。

 法人事業税は、都道府県税収の中で大きなウェイトを占める反面、その税収が景気の影響を強く受けるため、都道府県財政の不安定化を招いている。外形標準課税の導入は、地域における応益課税という意味での税負担の公平に資するだけでなく、都道府県財政の安定化という面でも有力な選択肢の一つであるという観点に立って、引き 続きその詳細のあり方について検討すべきである。

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