1.持続可能な社会をめざして
1.はじめに
○ 地球レベルで環境が悪化し、それに伴う脅威が増大
○ 環境問題を解決するために、日本が果たすべき役割は大きい
○ 政治がリーダーシップを発揮し、環境と調和した持続可能な社会をめざす
2.持続可能な社会の条件=「環境面」と「社会面」での持続可能性
「環境面」での持続可能性
(1) 地下資源による環境汚染を防止するため、地殻から掘り出した物質の濃度が十分に低いレベルで安定していること
(2) 人工的に生産された物質を環境中に蓄積させないため、人工的に製造した物質の濃度が自然界で十分に低いこと
(3) 自然の復元力・物質循環システムを傷つけないため、自然の循環と多様性を支える物理的基盤が守られていること
(4) 効率的な資源利用と公正な資源配分が行われていること
「社会面」での持続可能性
(1) 雇用が安定的・持続的に確保されること
(2) 福祉面でのセーフティーネットが十分に整備されていること
(3) 民主的な意思決定過程が十分に機能していること
3.環境と経済の統合・環境と雇用の両立
○ 環境問題への対応を、「環境革命」として肯定的に捉え、環境技術・省エネ技術等の開発・普及により安定的な雇用を確保
○ 「経済」の質を環境の視点から見直し、経済と環境の統合を図る
4.ライフスタイルの転換と意識変革
○ 持続可能な社会を目指すためには、市民の意識の変革が必要
○ 市民意識の変革を図るためにも、環境教育の充実が重要
5.持続可能な社会に向けて〜基本的な考え方
○ 目標となる「持続可能な社会」を想定して政策を組み立てる
○ 安全性について「予防原則」を基準とするなど未然防止を徹底する
○ 環境と経済を統合した社会の実現を図る
○ 未来への責任を果たす
○ 生態系を損なわない
○ 国際的な取り組みの中で日本の環境問題を考える
○ 民主的な意思決定過程、市民参加を重視する
6.持続可能な社会をめざして
○ 今の生活を続ければ、環境破壊によって人類の生存は困難に
○ 持続可能な社会への扉を開くことが日本とりわけ日本の政治の責任
2.環境政策の具体的な提案(抜粋)
1.環境権の憲法への明記
○ 人間の生存に不可欠の良好な環境を享受する権利を実体的な権利として確立
○ 将来の世代へと良好な自然環境を引き継ぐ責務(環境保全義務)を明記
2.持続可能な社会への基礎的条件の整備
○ 市民参加と合意形成に関する基本原則を確立するための「市民参加法」を検討
○ 企業を含めた環境情報を広く公開するための「環境情報公開法」を検討
○ 環境負荷のコストを市場に組み込み(=経済的措置)、公正な市場を構築
炭素・エネルギー税、フロン税、焼却税・埋立税、飲料容器デポジットなど
○ 政府の役割を見直し、事業や開発を行う政策・法律を環境重視へと転換
3.調査・研究、環境保全制度の充実
○ 環境影響評価法(環境アセス法)を改正し環境配慮を徹底
対象の拡大・追加、市民参加の拡充、第三者機関による評価の実施
○ 計画立案の初期段階から環境配慮を行うための「戦略的環境アセスメント」の法制化を検討
○ ライフスタイルの転換のために「環境教育法」を制定
環境教育の基本原則を明記、国による環境教育基本計画の策定、国・地方自治体による環境教育プログラムの整備、教員研修の計画的実施
4.地球温暖化・エネルギー対策
○ 京都議定書の目標達成は、国内の人為的な温室効果ガス排出削減が原則
○ 温室効果ガス排出削減のため、2004年度中に「炭素税・エネルギー税」を導入
導入時の炭素税は3000円/tC程度、政府との協定により減免
○ ビルの断熱構造義務化、計画的なモーダルシフトの法制化などによる省エネルギーの徹底
○ 再生可能エネルギーの公的施設への導入義務化、導入補助率の大幅拡大、商業的発電への補助
○ オゾン層を破壊し、強力な温暖化物質であるフロン使用を抑制するため「フロン税」を導入
5.地球環境問題への対応
○ 森林減少を防ぐため、国内での木材使用量を削減
住宅の耐用年数の向上(100年住宅)、紙の古紙混入率を法定(「資源有効利用促進法」改正)
○ 環境保全への国際貢献をさらに進めるため、ODAを抜本的に改革
人材育成を中心としたODA、ODA環境配慮ガイドラインの世界標準化、「ODA基本法」の制定(基本理念の明確化、情報公開の徹底、住民参加、環境配慮)
6.循環型社会の構築
○ 化学物質の環境リスク低減対策を総合的に講じるための「化学物質法」の制定
予防原則の確立、情報公開の徹底、化学物質の有害性に応じた分類と適切な規制、環境リスクの計画的削減、既存化学物質についての知見の充実
○ シックハウス・化学物質過敏症対策の充実
実態調査、診療体制の整備、療養所の整備、新築時の有害化学物質濃度測定(「シックハウス対策法」)、大規模公共建築物の定期的測定(「ビル管法」改正)
○ 水循環を一体的に捉え、自然の保水力を重視した「水法」を検討
流域全体の健全な水循環を確保、縦割りではない水利用に関する調整
○ 廃棄物・リサイクルを一体化した「資源循環・廃棄物管理法」の制定
未然防止の徹底、優先順位の確立、情報公開の徹底、廃棄物の定義の見直し、廃棄物の区分(一廃・産廃)の見直し、排出者責任の徹底、回収率の引き上げを行う製品の指定(特定製品廃棄物)、「焼却税・埋立税」の創設
○ 飲料容器の再使用を促進するために「容器包装リサイクル法」を改正
再使用すべき容器を指定、一定割合以上の再使用容器使用義務、義務違反の場合に強制デポジット制度導入
○ 製造事業者によるリサイクル支援のための税制の創設
将来のリサイクル費用に充てる費用についての引当金制度
○ 公共事業の抜本的改革(「公共事業コントロール法」、「緑のダム法」)
国の公共事業の限定と国会承認、時のアセス・事業評価の徹底、ダム事業を2年間凍結し再評価、ダムに頼らない治水の支援
7.地域の環境保全
○ 残された貴重な湿地を保全するために「湿地保全法」を検討
保全すべき湿地の指定、回復すべき湿地の指定と回復のための事業実施
○ 野生生物と人間との共存をはかるための「野生生物保護法」の制定
貴重な生物の生息地の指定と保全、科学的知見に基づいた野生生物保護計画の策定、野生生物生息に関するモニタリング、農業被害への補償
○ 外来種によって破壊された生態系を回復するための法律を制定
生態系を破壊する外来種の指定、生態系回復計画の策定と実施、モニタリングの実施、輸入規制・繁殖禁止などの規制強化
○ 里地・里山の保全、循環型農業の推進、森林整備への支援拡大
○ 残された自然海岸を保全するための法制度を検討
○ 循環と共生のまちづくりを行うため、「建築基準法」と「都市計画法」を改正
まちづくりでの環境負荷を低減、地域の伝統や文化の尊重、情報公開と市民参加の徹底
○ 都市のヒートアイランドを解消するために「都市緑化法」を検討
屋上緑化・壁面緑化の義務化、雨水利用の義務化、生垣への助成強化
以 上
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