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2001/09/28
激しく生き生きした国会論戦で国民の皆さんを味方に
熊谷弘国会対策委員長にきく
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選挙対策から国会対策へ〜新役員人事で新たな戦場へと「転戦」した熊谷・新国対委員長に臨時国会への意気込みをきいた。

同じ船に乗っている認識で
テロ対応策にのぞむ


 議会政治で野党が存在する意味は、政権を担っている人たちの仕事ぶりを評価して、国民にわかりやすく、問題点をあぶり出し、はっきりと認識してもらうことにあります。政権が誤った場合には次の選挙で国民の民意によって交代させることが基本です。

 しかし、ここで忘れてはならないのは、外国との関係など国家の基本的な存立に関わる問題、すなわち「国益」に関わる極めて重要な問題について、国論が二分されていては、政権交代が起こりにくくなるということです。

 イギリスの元首相チャーチルは「外交安全保障政策は8割はコモンセンス、2割はニュアンスの差だ」と言いました。これは二大政党制のイギリス政治で政権交代があっても継続性が維持されることを強調した言葉です。アメリカや連立政権のドイツ、フランス、イタリアなど成熟した民主国家でも同じ事がいえます。

 その意味で、同時多発テロへの対応策は国益に関わる問題として、国際社会の協力関係をどのように築き、日本国民が関わっていくのか、「日本という同じ船に乗っているのだ」という認識で考えていかなければなりません。

 仮に、日本がこのような同時多発テロを受けた場合に、国際社会からどのように協力を取り付けるのか、逆の視点から考えると、自ずととるべき立場はわかるはずです。

 だからといって、政府の思いついたことは何でも賛成しなければならないわけではない。言うべき事はきちんと言い、批判すべき事はきちんと批判し、日本が間違った路線を歩まないような努力をするのが民主党の役割なのです。

日本の再生をどうするか
徹底的な論戦をいどむ


 本来であれば、この国会は経済、雇用問題が最大のテーマでした。

 今回のテロへの対応、米国への支援をめぐる論議も、湾岸戦争以降、日本が安全保障をきちんと考えてこなかったつけが回っているのですが、経済問題も、「失われた10年」といわれるようにずっと続いているのです。

 凶悪犯罪は増え、自殺者は3万人を超えた。自殺者の数字の向こう側には10倍の自殺未遂者がいるといわれている。失業率は5%、倒産件数は戦後最大を更新し続け、金融システムは根底から危機に瀕している。しかも日本の富を作りだす源泉だった貿易収支も赤字転落寸前という、まさにわが国は衰亡の危機に立った状況です。

 日本の真の再生をするためにはどうしたらいいのか、徹底的な論戦をやるべきだ。納税者に負担を突きつけて、誰も責任をとらないという「失われた10年」の愚かしい失敗を止めなければならない。その意味で、野党第一党の民主党の責任はきわめて重要です。

政官業の癒着が
経済の閉塞感の最大原因だ


 一方で、外務省での公金横領に近いことが省ぐるみで行われている。これほど政府機能の腐敗、機能不全を象徴的に表しているものはないと思います。また、いわゆる狂牛病問題で役所の情報隠蔽体質がまた明らかになった。情報公開をしないためにおこる消費者の不安は大変なものがある。いずれ、農業生産者にもつけが回ってくる。

 さらには、先の参院選で省ぐるみで大規模な選挙違反を摘発され、ついに議員辞職をした自民党の高祖・前参議院議員の事件も、単に特定の省庁の特定の部局の問題ではないのです。

 つまり、いわゆる構造改革をするためには、政官業の癒着の枠組み、これが日本の経済社会を閉塞感をもたらした最大の原因であるという認識をすべきです。

 小泉改革という言葉だけに酔う時期は終わりました。いよいよ本当にその中身を具体的に明らかにして、この政権が本当に日本を再生させる方向に向かっているのかどうかを、くっきりと浮かび上がらせることが民主党の野党としての役目だと思っています。

論を持って戦うことは
政治家の技能だ


 確かにここ数年来の与党側の政治手法は、きわめて乱暴なやり方だったというのは事実です。しかし、同時にわれわれは国民の目を忘れてはいけません。私たち野党は、国民に国会の激しい論戦を生き生きと伝えることで国民を味方に出来るわけです。そうなれば、与党側にも自制心が生まれるでしょう。

 最終的には数の力はありますが、それはそれとして、論を持って戦う、論議を持って問題を浮き彫りにすることは、いわば政治家の技能=Artなのです。

 ジャーナリストたちが「この質問は見逃せない」「この論戦はわくわくする」と引きつけられるように、野党も力量をより高めていかなければなりません。

 国会質疑で勉強してきたことをただ羅列的に読み上げたり、ひとりよがりに演説して陶酔しても、相手にはぐらかされるだけです。今問われている課題を浮き上がらせるようなドラマティックな演出能力、まさに論戦の技術、質問の技術が問われてくることになる。

 臨時国会前の論戦の現場を見聞きする限り、非常に頼もしい議員がわが党には多い。与党より、能力において遙かにまさる議員がいっぱいいると思っています。

 長いようで短い臨時国会ですが、難問が山積しています。攻めて、攻めて、攻め抜いて、額に汗して働く勤労者の「タフな味方」としての民主党に生まれ変わらせたいと思っています。

(2001.9.28/談)

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