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2001/07/31
参院選を終えて/菅幹事長にきく
政策論議に磨きをかけ、地域組織づくりに重点おく。
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小泉人気でむずかしい選挙だった

●21世紀に入って最初の国政選挙、しかもこれまでには経験したことのない選挙だったと思います。今回の参議院選挙の歴史的な意味は何だったのでしょうか。

■菅直人幹事長
 21世紀幕開けの選挙でしたが、「失われた10年」という暗いトンネルを今だ日本は抜け切れていません。

 そしてトンネルを抜けるための手立てを模索しているさなか、自民党でありながら「自民党をこわす」と叫ぶ、極めて特異な小泉政権が誕生した直後の選挙でした。

 私たち民主党は「小泉総理がいくら叫んでも、政官業癒着の自民党の政権では構造改革はできない」と訴えてきました。民主党としては「政権交代なくしては、ほんとうの改革はできない」ことと、同時に国民生活に安心をもたらすセーフティネットの整備が不可欠であることを訴えた選挙戦でした。

 それに加え、靖国参拝問題など、いろんな面での危うさを指摘し、後半は内閣支持率も低下してきました。

 しかし、小泉人気が自民党支持に次第に浸透し、非常にむずかしい選挙であったことも事実です。

“野党第一党効果”を生かせた

●民主党の比例代表での当選者8人、選挙区で当選者18人という結果について、現時点での総括のポイントはどこに置いていますか。

■菅幹事長
 小泉政権という特異な政権、異常ともいえる高い支持率にささえられた政権のもとでの選挙で、民主党が議席数を小幅とはいえ増やしたことについては、“民主党の善戦健闘”といえます。

 たしかに、比例区の得票が1000万票を切ったことでたいへん重要な課題が残りました。このことをしっかりと反省し、検証する必要があります。

 しかし、“政権与党に対抗しうるもうひとつの党が必ず必要なんだ。それは民主党だ”ということを国民に認知してもらったのも事実です。2大政党制の実現にむけて、今回の参議院選挙の結果は非常に良かったと思っています。

 戦術的には、20ある複数区(定数2以上の選挙区)のなかで18人の当選を果たし、2議席目を他の与党や野党がとるのではなく民主党がとるという“野党第一党効果”を戦略的に生かすことができました。

 また、1人区でも三重県のように民主党中心の推薦候補が当選し、成果をあげたところがあります。

市民派候補への対応が不十分だった

●比例区のとりくみ、連合との関係についてはいかがでしょうか。

■菅幹事長
 連合との関係は依存しすぎか否か、という議論の前に、党の主体が弱いところは連合との連携もうまくいかず、勝てなかった。

 三重選挙区のように党と連合の協力がうまくマッチした選挙区では、ふんばりがきいて当選へとつながりました。京都も福岡もそう分析できます。

 一方、比例区では民主党も自民党も予想したよりも、個人名投票が少なかった。このことを、どう分析するかは極めて重要な点だと思われます。

 党名投票が多かったという点から見えてくることは、同じ党の比例区候補が個人名の印象を互いに相殺しあってしまったのではないかと考えられます。大変効率の悪い運動を結果的にやってしまったことになります。

 比例候補者には「自主的に活動して」と提示しただけで、本格的な割り振りを行わなかった。固有名詞が相殺してしまった上に、党としての組織的なサポートが不十分だったために得票数が予想を下回る結果になってしまったのではないかと思われます。特に組織を持たない市民派候補についての対応は戦略的に不十分でした。

 次の選挙では全体を15ブロック程度に分け、1人ずつ比例代表の候補者を立てるといった発想の方がいいのかもしれません。

 民主党の組織論でいえば、組合依存云々の議論の前に、実質的に運動できる力を、民主党自身がそれぞれの地域にもてるかどうかが大きな鍵になってきます。

 有力な国会議員や地方議員をチームとして地方に存在させる。自分たちで戦える民主党としての組織力があった上で、組合にも協力してもらうという形が、双方にとってプラスになると思うのです。

改革ビジョン示して論争していく

●今後、小泉内閣への民主党の対応はどうなりますか。

■菅幹事長
 今回の選挙の結果、「改革への期待」という大きなボールが、国民から小泉総理に対して手渡されたが、その大きなボールを小泉総理がきちんと打ち返せるかどうか、大いに注目するところです。

 民主党としては、小泉政権がきちんとした改革を進めるため、法案を国会に提出してきた場合は、賛成することは十分ありうる。しかし、小泉政権そのものを支えるといった発想は全くありません。

 民主党は自分たちが持っている改革ビジョンをきちんと提示し、論争していく姿勢に変わりはないのです。

 判断を下すには時期尚早かもしれないが、小泉総理がかかげる構造改革の先行きは非常にきびしいと思われます。

 第一の理由は、自民党内のいわゆる抵抗勢力がこの選挙によってより数を増し、自民党の体質は森政権当時とまったく変わっていないからです。

 第二に、株価の低迷、景気の問題を前にして、構造改革よりも景気対策を先行させる可能性は極めて高い。それに加え、靖国神社公式参拝問題などアジア外交への対処も、非常にあやうい点が懸念されます。

 こうした状況に対して小泉総理が政治的な指導力を発揮できるかどうかは、きわめて疑問です。自民党内をまとめ切れなかったり、アジア外交がうまくいかなかったり、国民の期待の大きさに応えきれなくなって、自ら行き詰まる可能性は相当に高いと思われます。

次回総選挙で政権交代は可能

 わが党はきちんと求心力をもって野党第一党として、政権交代を可能にする党としての役割を、今まで以上に認識しなければなりません。民主党が政権を担うために、次の衆議院選挙にむけて政策論議にみがきをかけつつ、やや遅れてきた地域組織の問題にこれまで以上に重点をおいて取り組んでいくべきだと思っています。
 次回の総選挙で、300小選挙区に優れた候補者を立て、しっかりした運動を展開すれば政権交代は可能です。

(取材:2001年7月31日 党本部にて)

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