トップ > ニュース
ニュース
ニュース
2007/10/18
肝炎対策本部、厚労省の血液製剤投与症例一覧放置問題を追及
記事を印刷する





 民主党B型・C型肝炎総合対策推進本部は18日午後、国会内で第10回目となる会議を開催。血液製剤フィブリノゲン投与に関する肝炎等症例一覧(418件)について、厚生労働省及び薬害肝炎集団訴訟の原告メンバーからヒアリングを行った。

 冒頭、山田正彦ネクスト厚生労働大臣は、「製薬会社が血液製剤の投与により原告が肝炎に感染したことを認識しておきながら放置していたことは大変な問題である」と述べ、製薬会社への指示が不十分であった厚生労働省の責任も含め、徹底追及していく方針を示した。

 会議ではまず、血液製剤を投与された418名の肝炎等患者に対して今日まで告知も症状の確認もしていない問題について、厚生労働省の担当者から説明を聴取。「(厚生労働省からの)命令書に対するご報告」とする平成14年8月に製薬会社から提出された症例一覧表において、住所、氏名は記されていなかったこと、患者に知らせる必要があると判断しなかった等の見解を述べた。

 薬害肝炎原告団のメンバーは、つらい症状を訴えるとともに、一覧にある418名の患者を気遣い、一刻も早く事実を公表するよう要請。1日120人もの命が失われている現状を述べ、「これ以上犠牲者を増やさないで。私たちの命を粗末にしないで」と、悲痛な叫びをあげた。

 菅直人本部長は、製薬会社の報告において、住所、氏名が外された肝炎等症例一覧に疑問を感じなかったのかと追及。告知の必要性からも、当然患者を特定すべき情報が漏れているにもかかわらず、放置した厚生労働省に対して「責任の所在を曖昧にするためではないか」と指摘し、「業務上過失傷害の可能性もある」と、語気を荒げた。

 そのほか、多くの議員が一覧表にある418名の患者に対して、肝炎等の発症を告知する必要を認識がないと判断したことについて、意図的であるとの見解で一致。命令書とあるように強制力を持っていたにもかかわらず放置した対応について、「裁判の相手が多くなると厄介なので製薬会社と一緒になって隠したのではないか」との疑念を強めた。また、厚生労働省の担当者からは最後まで「公表する」との言葉は聞かれず、様々な指摘に対して「検討する」「調査する」と繰り返すに過ぎなかった。

 菅本部長は、問題解決の糸口が見出されないやりとりに「悲しくなる」と述べ、「11年前の薬害エイズ問題の経験が何も活かされていない」と口惜しさをにじませた。そのうえで「過去のことを調べることと今急ぐべきことを同時にやるように」と要請。問題隠蔽に労を費やすよりも、患者の命・健康を第一に考えるようにと訴えた。

 肝炎対策本部では、19日に舛添厚生労働大臣に対し、「抗議要請書」を申し入れすることを決定。(1)患者への告知と実態調査(2)5年前、何故告知の必要性なしと判断したのか、その責任者の公表(3)責任者に対する刑事責任追及の可能性の有無の調査(4)418名の肝炎等の患者に謝罪し、具体的な対策措置――等の要請を盛り込む意向を明らかにした。

 会議後のブリーフィングで、山井和則ネクスト厚労副大臣は、今回5年前に調査した「血液製剤フィブリノゲン投与に関する肝炎等症例一覧(418件)」が再び問題となった経緯について説明。9月の大阪高裁で、原告の1人が初回投与日、症状発現日等から一覧の中にある症例が自分ではないかと情報公開請求を行ったことにより、製薬会社が当時知らないと主張していた住所と氏名を把握していながら対応していなかった事実が明らかになったとして、「これにより『わからなかったので対応できなかった』との舛添厚労相の発言の論拠が崩れた」と述べた。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.